TOP > ビジネス基礎 > マーケティング用語 > ニーズとウォンツの違い、マーケティングでの活用法・施策を具体例で解説!
「ニーズとウォンツの違いがいまいちハッキリしない…」そんな方が多いのではないでしょうか?抽象的な概念なので分かりにくいんですよね。
今回は、ニーズとウォンツの違い、ニーズとウォンツをマーケティングで活用する方法や施策を具体例を用いて基礎から説明します。
ニーズとウォンツは、どちらも人の行動を決定づける要因となりますが、本質的な意味は大きく異なります。ニーズとウォンツへの理解を深めれば、大ヒット商品誕生の秘密が分かりますよ。
このページの目次
ニーズとウォンツは混同されやすいのが特徴。どちらも「お客様が求めているもの」とはいえ、ニーズとウォンツの違いをはっきりとさせておかないと、効果的なマーケティング戦略が立てられません。
これから具体例を用いてニーズとウォンツについて説明するので、相違点を明確にしておきましょう。
ニーズとは、何かが不足している状態、不足状態から沸き起こる欲求のこと。置かれている状況に不満があり、不足部分を補いたい!という状態・心理が、「顧客のニーズ」と呼ばれています。
・顕在ニーズ:本人が自覚しているニーズ
・潜在ニーズ:本人が自覚していないニーズ
ニーズには潜在ニーズと顕在ニーズの2種類があり、お客様自身が意識している顕在ニーズだけでなく、お客様自身が自覚していない潜在ニーズを見つけ出すことが大切です。
ウォンツとは、ニーズを満たしてくれる特定のモノに対する欲求です。人は不足している状態に違和感を覚えると、何かで満足できる状態に近づけたくなります。その時に必要な「これ(特定のモノ)が欲しい!」という欲求がウォンツです。
・基本ウォンツ:ニーズを満たすベースとなるウォンツ
・条件ウォンツ:希望通りにするために追加したい条件付きウォンツ
・期待ウォンツ:満たされて当然だと期待しているウォンツ
ウォンツの種類は3つ。1つ目は基本ウォンツで、具体的な解決策に対する欲求。基本ウォンツが満たされれば、ニーズは充足します。
2つ目は条件ウォンツで、解決策の中に求める細かな条件です。基本ウォンツをグレードアップさせるための条件と考えると分かりやすいでしょう。水(基本ウォンツ)があれば喉の渇き(ニーズ)を潤せますが、「冷えた水のほうが良い…」と思うのは条件ウォンツです。
3つ目は期待ウォンツで、満たされて当然!と期待していること。「喉の渇きを潤すために、水(基本ウォンツ)が欲しい→市販されているミネラルウォーターなら安心して飲めるはず(期待ウォンツ)」という関係です。
不足部分を補いたい!と思うのは、ニーズとウォンツの共通点。しかし、ニーズは不足部分を補う「目的」、ウォンツは不足部分を補う「手段」という違いがあります。
ニーズとウォンツの違いは、人の行動パターンを理解すると分かりやすいです。
喉が渇く=喉の渇きを解決できていない状態・喉の渇きを解決したい欲求(ニーズ)
↓
喉の渇きを解決してくれる「水」が欲しい(ウォンツ)
このように、人の行動には何らかの目的があるはずで、その目的がニーズです。そして、目的を満たすための具体的な手段に対する欲求がウォンツです。
でも、水を買う前に「喉が渇いた…」などの目的がある時と、特にこれといった目的がない時とがありませんか?それが、顕在ニーズと潜在ニーズの違い。
人の行動パターンは、(1)目的をはっきりと意識して行動する時と、(2)無意識のうちに行動するケースに分かれます。
さらに、(3)手段(ウォンツ)がきっかけで、目的(ニーズ)が満たせると知るパターン、(4)手段(ウォンツ)を知ったことがきっかけで、気付いていなかった目的(ニーズ)を知るパターンもあります。
ニーズとウォンツをマーケティングに活用したい方は、人の行動様式にはいくつかの種類があることを覚えておいてください。なぜなら、この行動パターンの違いが、お客様が商品購入に至る心理を理解する手がかりになるからです。
抽象的な説明では分かりにくいと思うので、ここからは具体例を挙げてニーズとウォンツの違いを説明していきます。ニーズ(目的)を満たすのがウォンツ(手段)ですが、1つのニーズに複数のウォンツがあることがほとんど。また、1つにウォンツに複数のニーズがある場合もあります。
次は、先ほど紹介した、「人の行動パターン4種類」をベースにして考えてみましょう。
具体例:
喉の渇きを解決したい→水が欲しい→コンビニでミネラルウォーターを購入
・ニーズ「喉の渇きを解決したい」
・ウォンツ「水が欲しい」
具体例:
別の用事でコンビニに立ち寄る→いつものミネラルウォーターも買っておこう→コンビニで常飲している水を購入
・ニーズ「飲用水入手にかかる無駄な時間や手間を減らしたい」
・ウォンツ「常飲している水が欲しい」
具体例:
コンビニでニキビ用化粧品を発見→「これを使ったらニキビが治る」と解決策を知る→ニキビ用化粧品を購入
・ニーズ「ニキビを治したい」
・ウォンツ「ニキビ用化粧品が欲しい」
具体例:
コンビニで肉まんを発見→「そういえば昼ご飯抜きで空腹だった…」と空腹をなくしたいという欲求に気付く→肉まんを購入
・ニーズ「空腹を解消したい」
・ウォンツ「肉まんが欲しい」
このように、人は心の中でいくつかのステップを経てから行動にうつります。その際には、ニーズ(目的)とウォンツ(手段)が複雑に絡み合って、人の消費行動を決定づけています。
実際には、ここに条件ウォンツ(冷たい水が良い…など)や、期待ウォンツ(安全な飲用水が良い…など)が追加され、お客様の頭の中のステップはもっと複雑。
水が欲しいと思っても常温の水しかなかったら、冷たい水が良いという条件ウォンツが満たされないのでお客様は購入を控えるでしょう。
もしくは、消費期限切れの商品だったら、安心して飲める水がいいという期待ウォンツが満たされないため、購入してもらえません。
お客様は厳しい視点でたくさんの商品を選別します。求める目的(ニーズ)にぴったりと一致し、この手段(ウォンツ)なら問題を解決してくれる!と思える…そこまで来て初めて商品購入に至るのです。
そして、人の購買行動にはニーズとウォンツ以外に「シーズ」「デマンド」も関係してきます。次は、シーズ・デマンドについて説明します。
シーズとは「種」を意味し、企業が持つ技術やノウハウのこと。今の状態ではお客様のニーズを満たせませんが、将来的にウォンツになる可能性のある能力がシーズです。
でも、どれだけ高度な技術(シーズ)だったとしても、製品化に高額な費用がかかるなどの理由で販売できなれば役に立ちません。価格や質も含めて、お客様の希望に合った製品やサービスに変換することがシーズの最も重要な点です。
シーズ志向でできた商品の代表がスマホです。スマホが登場するまでは、「スマホが欲しい!」という発想さえない状態。
しかし、企業が顧客の潜在ニーズを拾い上げ、技術力を高めてスマホの販売を始めました。それが消費者のニーズと見事に一致したため、爆発的にスマホ普及率が高まったのです。
デマンドとは「需要」を意味し、特定商品に対する購買意欲と支払い能力のことです。ニーズとウォンツの行きつく先にデマンドがあると考えると分かりやすいかもしれません。
喉の渇きを解決したい→水が欲しい→A社のBという水を200円で買おう(デマンド)
デマンドで重要な部分は、ニーズとウォンツを満たしていても支払い能力が伴わないとデマンドにはならないこと。500mlで5,000円の水だったら、理想通りの商品でも買おうとは思いませんよね。
そういった意味では、デマンドは「ウォンツを現実レベルで捉えたもの」と言えるでしょう。ニーズやウォンツの段階までは理想を優先できますが、最後のステップとして「現実的に買えるか?」「それだけの金額を支払う価値があるか?」という壁を乗り越えないとゴール(商品購入)に辿り着けません。
また、需要者目線で考えることが重視されてきた近年では、デマンドの概念が注目されています。有名なのは「オンデマンド(需要に応じて)」で、視聴スケジュールを自由に決められる点が顧客ニーズにマッチして成功を収めました。
「オンデマンド」については下記の記事で解説しています。
ニーズ、ウォンツ、シーズ、デマンドの関連性を説明すると、顧客の希望(ニーズ、ウォンツ)から発生するのがデマンド。そして、デマンドを成立させるためには、適切なシーズを選択する必要があります。
ニーズ:「喉の渇きを解決したい」
↓
基本ウォンツ:「水が飲みたい」
↓
条件ウオンツ:「冷たい水が良い」
↓
期待ウオンツ:「有名なA社の水なら安心」
↓
デマンド:「冷えてるA社の水が200円で販売されている!これをください!」
このように段階を追って商品購入を決めますが、シーズはウォンツの種であり、商品の質や価格に関わってきます。
最終的な購入意思を決定する時に「これなら妥当な値段だ」「この商品ならこれだけのお金をかけても良い」と思える商品に仕上げるためには、企業が持つ技術(シーズ)の中から、できるだけたくさんのお客様のニーズに一致する「種(シーズ)」を選ばなくてはなりません。
お客様はニーズやウォンツがあって商品購入を検討しますが、その際には最も奥深いレベルでの欲求である「ニーズ」を知ることが重要です。その理由を知るために、ウォンツだけ分かっているケース1と、ニーズだけ分かっているケース2を比較してみましょう。
お客様:水(ウォンツ)はありますか?
あなた:水はありません
お客様:喉の渇きを癒せるものがありますか?(ニーズ)
あなた:水はありませんが、アイスコーヒーと紅茶があります
お客様:じゃあ、アイスコーヒーをください
ケース2のようにニーズが分かっていれば、選択肢として複数のウォンツを提案できます。だけど、ウォンツしか分からないケース1だと、ニーズを満たせずお客様に満足してもらえません。
実際の現場では、ケース1のようにお客様がニーズを明らかにせずにウォンツだけを提示することがよくあります。そんな場合には、ウォンツからニーズを求める(探る)テクニックを使いましょう。
分かっている情報(ウォンツ)を元にして、ニーズを推測すればお客様が本当に求めているものが導き出せます。
お客様:水(ウォンツ)はありますか?
あなた:水はありませんが、コーヒーか紅茶ならあります
お客様:じゃあ、紅茶をください
このように、「水が欲しい(ウォンツ)」という情報から「喉が渇いている」というニーズを導き出せれば、別のウォンツをお客様に提案できニーズを満たせます。
ウォンツを要求された時に、お客様の背景(年齢、性別、外見、その時の季節や状況など)を手掛かりにしてニーズをぴたりと当てるためには、日頃から顧客が何を求めているか?を考えておくことが重要。
定量調査であるアンケート調査などを行えば、お客様が何に困っていて、どんなものに関心を抱いているかのデータがとれます。ただし、定量調査ではウォンツは見つけやすいものの、ニーズを見つけるのは困難。
ニーズを見つけやすいのが、定性調査のインタビューです。その場で消費者に質問できるので、アンケートよりも問題点の内容を詳しく知れるのがメリット。その結果を元にすれば、ウォンツからニーズを探りやすくなるでしょう。
それ以外にも、TwitterなどのSNSで顧客の感想を知る方法もおすすめです。商品名やサービス名で検索すればリアルなお客様の声を聞けます。「この水は甘いから余計に喉が渇いて困る」という感想があったら、水(ウォンツ)に喉の渇きを改善したいニーズが隠れていることが分かります。
ウォンツだけしか分からなくても、「どうして?」「なぜ?」といった質問をすればニーズに結び付けられます。
お客様:水はありますか?
あなた:なぜ水が欲しいんですか?
お客様:喉が渇いたからです
このように質問していけば、水が欲しい(ウォンツ)の元になっていた「喉の渇きをなくしたい」というニーズを突き止められます。
ウォンツに対する質問を重ねれば、別のニーズを拾い上げることも可能。突き詰めて「なにを必要としているか?」を考えれば、お客様の本当に欲しているものにつながります。
お客様:水はありますか?
あなた:なぜ水が欲しいんですか?
お客様:喉が渇いたからです
あなた:どうして喉が渇いたら水が欲しいんですか?
お客様A:いま風邪を引いていて…喉が乾燥すると咳がでるからです
お客様B:喉が渇くとイライラするから、落ち着くために何か飲みたいんです
お客様C:この前熱中症になったので、早めに水分をとるよう心がけているからです
このように質問していけば、水が欲しい(ウォンツ)の元になっていたニーズは「喉の渇きをなくしたい」で、さらに、その先の目的まで探れます。
お客様A、お客様B、お客様の最初の一言は「水はありますか?」で同じ。だけど、質問を繰り返していくうちに、3人のニーズの違いがはっきりとしてきます。
ニーズとウォンツは人の消費行動を決める重要な存在なので、マーケティング戦略を立てる時に役立ちます。ここからは、ニーズとウォンツをマーケティングに活用する方法を説明します。
ニーズの高さとウォンツ高さで顧客を分類すると、上図のようになります。
1:今すぐ客(ニーズ高・ウォンツ高)1%
2:お悩み客(ニーズ高・ウォンツ低)9.5%
3:そのうち客(ニーズ低・ウォンツ高)9.5%
4:まだまだ客(ニーズ低・ウォンツ低)80%
ニーズ、ウォンツ共に高い「今すぐ客」は、今すぐに特定の商品を欲している人で1%程度。
ニーズは高いけれどウォンツは低い「お悩み客」は、必要性を感じつつも欲しいとは思ってない人。お悩み客は、全体の9.5%ほどだと言われています。
ニーズは低いけれどウォンツは高い「そのうち客」は、商品を欲しいと思っているけれど、必要性を感じていない人で、約9.5%。
「まだまだ客」はニーズ、ウォンツ共に低く、欲しくもなく必要性も感じていない人。まだまだ客が全体の80%です。
今すぐ客は購買意欲が最も高いグループなので、最後の一押しをすれば商品を購入してもらえます。
必要なマーケティング施策は、購買意欲を失わせない仕組み作りと、他社に奪われないよう自社製品だけが持つ魅力をアピールすること。
→「申し込みは3ステップ!1分で完了!」と、すぐに申し込みできる環境を整える
→「初めての方限定!今だけの特別価格!先着100名のみ!」といったキャンペーンを行い、特定客にメール配信でお知らせする
→「売上ランキング1位!30万人の愛用者がいます!」と客観的な数字で信頼性を強める
→他社商品と成分比較した表を掲載し、優れていることをアピール
→「医師や専門家と共同開発!」など他社にはない強みを強調
今すぐ客への戦略のコツは2つ。
1つ目は、たくさんのお客様の中から今すぐ客をあぶり出し効率的に働きかけること。
2つ目は、今すぐ客を逃さないようスピーディーにオファーすることです。
お悩み客は「~したい」というニーズは明確ですが、そのための方法選びに迷っている状態。悩みを解決するウォンツをアピールするマーケティング施策を行えば、「その方法でニーズを満たそう!」とお悩み客が決断してくれます。
そのためには、まず解決策を提示してニーズを満たす方法を知ってもらいます。その上で、自社商品の詳細説明をして、「この商品にはあなたのニーズを満たす力が備わってますよ!」と知らせて欲求を高めることが大切です。
お悩み客はニーズを満たす方法を比較検討するので、他の方法よりも優れている点を強調するのが戦略のコツ。
ダイエット目的のサプリを例にすると、ダイエットする方法はサプリ以外にもたくさんあります。だから、他のダイエット法よりもサプリを使ったほうがメリットがあることを証明して、お客様の心をサプリに誘導するのです。
→「痩せたいならサプリを飲むのが早道です!」というキャッチコピー
→サプリがダイエットに効果的な理由を分かりやすく解説
→サプリを使ってダイエットに成功した人の体験談を掲載
→「食事制限や運動で痩せる方法は挫折しやすい」
→「サプリなら毎日飲むだけで苦労せずに誰でもダイエットに成功!」
→「サプリを使ってダイエットするとリバウンドしにくい」
→「サプリにはダイエットだけでなく美肌効果も!」など積極的に情報発信する
そのうち客は、商品を欲しいと思っているものの、そこまで必要性を感じていない人。「今すぐにこの商品を使わないと!」と思えるきっかけ作りのために、必要性を訴えるマーケティング施策を行います。
そのうち客への戦略のコツは、商品の良さをアピールするだけでなく、この商品を使わなかった時のデメリットも強調すること。
「サプリを使ってダイエットしないと生活習慣病になりやすい」と煽れば、「生活習慣病になったら大変!サプリを買おう!」とお客様の背中を押せます。
→「早くダイエットを開始しないと加齢により代謝が落ちて痩せにくい体質に…」とリスクを説明
→「ダイエットしたらモテモテになれる!」と欲しい未来を予測させるキャッチコピー
→「ダイエットに成功して彼氏ができました!」という成功体験談を掲載
→「買うまで半年も迷いましたがもっと早く買ってれば…後悔してます」と利用者の感想を載せる
→お客様に好印象を与えられるようホームページをリニューアルする
そのうち客にはニーズを高めるマーケティング施策が必要ですが、商品に興味を持った理由を解明しないと、効果的な働きかけを行うのは難しいです。
ダイエット目的のサプリが欲しい理由には、「痩せてキレイになりたい」以外に「減量してメタボ脱却したい」「体重を減らして太り過ぎによる腰痛・膝痛を軽減させたい」などのニーズが考えられます。ニーズにマッチする適切な働きかけを行えれば、消費者の心を動かせるでしょう。
まだまだ客は、なんとなくダイエットが気になっているだけで、痩せる必要性もサプリを欲しい!という欲求も低いです。つまり、問題意識がない状態なので、長期的な視点で「いつか」商品を購入してもらうことを目的としたマーケティング施策を行います。
まだまだ客の特徴は、ニーズやウォンツに関連した知識に乏しいこと。ダイエットやサプリのメリットを知らないから、必要性や欲求が生じないのです。
そのため、商品の個別説明を行うよりも、ダイエットをするメリット、サプリの良さ、に重点を置いて働きかけるのが戦略のコツ。
そして、まだまだ客へのマーケティング戦略の2つ目のコツは、ターゲットをある程度定め、狙いを絞ってアプローチしていくこと。なぜなら、大多数のお客様がまだまだ客なので、闇雲に宣伝活動しても効果は出にくいからです。
→ブログやメールマガジンで情報発信する
→インフルエンサーに商品を紹介してもらう
→ホームページでダイエットやサプリの基礎知識を掲載
ウォンツ・ニーズをマーケティングに活用する方法の2つ目は、潜在ニーズを拾い上げ商品開発に活かすこと。現在は物があふれる時代なので、顕在ニーズだけを満たす商品では競合他社に勝つことが難しく、価格競争に巻き込まれるリスクもあります。
生きていくために必要なものが不足していた時代は、喉の渇きを潤す(顕在ニーズ)ための商品を考えれば良かったのですが、今の日本社会では喉の渇きを潤すだけの商品では売れません。
そのため、行動パターンやウォンツを徹底的に分析して、お客様本人が自覚していない潜在ニーズを探り当てることが重要です。
先に紹介した人の消費行動パターンを使って、潜在ニーズの説明をします。
顧客自身がニーズを自覚していない可能性のある(2)、(3)、(4)の方法で購買を促せば、爆発的なヒット商品を生み出せる可能性があります。
『水』を例にとると、ただ喉の渇きを癒してくれるだけでなく、「無駄な時間をかけずに飲み水を確保したい」という潜在ニーズに気付ければ、適切な販売方法が分かってきます。これが、常飲している水をコンビニで見かけるとつい買ってしまう(2)のパターンです。
(3)のパターンだと「商品1本につき5円を水不足の地域に寄付します」と書いてある商品を発見し、「これを買えば恵まれない人の助けになれる!」と知り購入につながる…など。この場合のニーズは「もっと社会の役に立ちたい」です。
「ミネラルを多く含む水は脂肪燃焼を促す!」と宣伝してある商品を見た顧客が「病気になりたくない」という潜在ニーズを刺激されて購買意欲が高まる…これが(4)のパターンです。
このように、消費者の行動パターンをじっくりと観察すれば、隠れている潜在ニーズに気付けます。
潜在ニーズを拾い上げるためには、今の時代の消費者が持つウォンツがヒント。ヒットした商品やサービスにある共通点を探せば、消費者の潜在ニーズを探れます。
過去には「安さ」「高機能」に関するウォンツが大半でしたが、現在のウォンツは少し違います。
・企業の価値観に共感できるもの(ブランディング)
・他の人と差別化できるもの
・社会貢献できるもの
・商品の持つストーリーに惚れたもの
・自己実現につながるもの など
既に基本的な欲求が満たされている時代のせいか、+αの付加価値により潜在ニーズを満たせる商品やサービスが求められていることが分かります。
ニーズとウォンツは混同されやすいものですが、目的か?手段か?の視点で見つめ直せば区別できるはずです。ニーズとウォンツの違いを明確にすると、お客様の心の中を理解しやすくなりますよ。
また、効果的なマーケティング施策を立てる上では、潜在ニーズを探り当てることが重要ポイント。次の時代を先取りしたい方は、ニーズとウォンツに関する知識を活用して先進的な戦略を立ててくださいね。
画像出典元:O-DAN
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