[事例つき]ポーターの3つの基本戦略とは?「死んだ集中戦略」の意味

[事例つき]ポーターの3つの基本戦略とは?「死んだ集中戦略」の意味

記事更新日: 2020/02/14

執筆: 編集部

マイケル・E・ポーターが提唱した3つの基本戦略とはいったいどういうものなのでしょうか。

ポーターの提唱する競争戦略とは、企業がライバル企業と競争をして勝つことを目的とした経営戦略論です。この戦略を立てる際に参考になるのがポーターの基本戦略です。

ポーターの基本戦略は「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」の3つに分けられます。

この記事ではポーターの3つの基本戦略について詳しく説明していきたいと思います。

コストリーダーシップ戦略

1. コストリーダーシップ戦略とは

コストリーダーシップ戦略は、競合よりも低価格で提供する価格戦略です。幅広い顧客を対象として、競合よりも安価に商品を販売したり、サービスを提供したりすることで競争的優位を築きます。

コストリーダーシップ戦略を実行するには、低コストでモノやサービスを作ることが重要となります。低コストを実現するためには、高い技術力はもちろん、業務効率化やシステム化による社内のコスト削減が求められます。

2. 低コストを実現するには

コストリーダーシップ戦略を成功させるためには低コストを実現しなければなりません。低コストを実現するには、規模の経済性を活かすことや、経験曲線効果を利用するなどの方法があります。

たとえば、競合他社に先駆けて先行投資を行い、初期段階では赤字になっても安い価格で商品やサービスを提供します。先行者の強みを活かすことで、シェアを高めることを目指すのです。

シェアを高めることで規模の経済が働くとともに、生産量も増えるため経験曲線効果が働いていきます。その結果、低コストが実現でき、競争優位性を確保できるのです。

3. どんな企業に向いているのか

コストリーダーシップ戦略は広い顧客をターゲットとし、競合他社よりも低いコストを実現することを目標としています。すでに高いシェアを獲得している企業や、これまでになかった新しい商品やサービスを展開する企業に向いた戦略と言えます。

コストリーダーシップ戦略を実行した企業の例としてはマクドナルドがあげられます。

マクドナルドといえば、同業他社と比べて、圧倒的に安い値段でハンバーガーを食べることができます。ハンバーガー業界で高いシェアを獲得していたマクドナルドは、ハンバーガーの低価格化を推進することで、競争優位性を確保しています。

今でも圧倒的な低価格で若年層などから人気があるマクドナルドですが、かつてはコストリーダーシップ戦略をより前面に押し出していました。

大幅な値下げ政策により大きくシェアを伸ばすことに成功したのですが、大規模な価格競争を引き起こす原因となり、結果的には過度な低価格戦略は失敗に終わっています。

現在は製品開発力を強化しプロセスを最適化することで低コストを実現しています。

差別化戦略

1. 差別化戦略とは

差別化戦略とは、市場が認知している商品・サービスの価値に対し、意図的に自社の商品・サービスの価値を増加させることで、顧客に競合他社より割高な価格を支払ってもらうことで利益を生み出す戦略のことです。ここでの差別化は価格を維持、または上げることが狙いになります。

差別化戦略は、業界内で独自のポジションをおく戦略とも言い換えられます。コストリーダーシップ戦略を実行するには、資本力と技術力が必要となるため、実際には多くの企業がこの差別化戦略をとるのではないかと思います。

差別化戦略は、幅広いターゲットを対象に、他の企業が持たない特徴を活かすことで、特別な地位を占める戦略です。

差別化戦略の一例として高級ブランドメーカーがあげられるでしょう。顧客が魅力的に感じるブランド力を追求することで、高くても売れる仕組みを作り上げています。

2. どんな企業に向いているのか

さきほどのマクドナルドと同じハンバーガー業界に、差別化戦略で成功している企業があります。それはモスバーガーです。モスバーガーの経営戦略は、マクドナルドに対する差別化戦略の成功事例と言えます。差別化のポイントは、メニューの数・価格設定と、店舗ディスプレイの2つにまとめられます。

マクドナルドは、メニューの数を少なめに設定しています。オペレーションが楽になることから、価格を押さえることができるのです。

それに対してモスバーガーは、メニューの数がマクドナルドの倍近くあります。メニュー数が増えることで、顧客の多様な好みに対応できますが、その分価格は高めになります。

1990年代後半には、マクドナルドが他社に先駆けてメニューの値下げを実施した結果、ハンバーガーの値下げ競争が行われました。競合他社がマクドナルドに続いて値下げに走ったなか、モスバーガーは価格を維持して差別化を図りました。

モスバーガーの店舗ディスプレイは、店内を自然な色合いにしたり、観葉植物を配置したりすることで、長時間滞在してもくつろげる店舗づくりをしています。それに対し、マクドナルドは、顧客の滞在時間を減らすことで回転率を上げることを狙った店舗ディスプレイを行っています。

モスバーガーは、業界のトップを走るマクドナルドに対し、高品質・高価格路線という差別化戦略を採用して、独自の地位を築いているといえるでしょう。

集中戦略

1. 集中戦略とは

集中戦略とは、業界の特定市場や顧客にターゲットを絞り込んで、自社の経営資源を集中的に投入して競争的優位を築く戦略です。企業の資源を特定の市場、製品、流通、地域などへ集中的に投入することで、少ない経営資源でも効率の良い戦略の実行が可能になります。

小さな会社でも、ある一部分においては大企業よりも優れているといったことはよくあります。こうした優れた部分の市場や製品で競うことで、経営資源が劣っていたとしても戦える戦略が集中戦略です。

集中戦略を行う場合は市場や製品を限定します。そして、その市場や製品に対し集中的に経営資源を集めて競合に差をつけるのです。一点集中することで競合に差をつけて競争的優位を築いていこうという戦略なのです。

コストリーダーシップ戦略、差別化戦略は、どのようにして競争優位性を高めるかということを考えるのに対し、集中戦略はターゲットとなる市場を業界全体ではなく、特定の範囲に限定することで、競争に勝つという戦略です。

ただし、市場の選択を誤ると、その市場の規模が一定以下になってしまった場合、事業として成り立たなくなってしまいます。また、流行り廃りが激しい分野では、急激に縮小してしまう可能性もあるため、リスクも伴う戦略といえます。

2. 集中戦略は死んだ、とは

集中戦略は、ポーターが提唱した3つの基本戦略の1つですが、戦略理論としての価値はすでになくなったと言ってもよいでしょう。

その理由はポーターが提唱したどの戦略理論にも集中は必要だからです。戦略を決めるうえで集中することは大前提ですので、基本戦略として定義する必要性がなくなったとも言えます。

実際、ポーターも後年の論文では集中戦略に触れていません。このような意味で集中戦略は死んだ、と言われているのです。

まとめ

ポーターの3つの基本戦略とは、次の3つの戦略です。

コストリーダーシップ戦略は幅広い市場に対し、競合と低コストで競う価格戦略です。すでに高いシェアを獲得している企業や、新しい商品やサービスを展開する企業に向いた戦略です。

差別化戦略は幅広い市場に対し、他の企業が持たない特徴を活かすことで、特別な地位を占める戦略です。高品質・高価格路線を求める企業に向いています。

集中戦略は限られた市場に限定して、集中的に経営資源を投入する戦略です。小さな企業でも一部分であれば大企業とも渡り合える戦略ですが、コストリーダーシップ戦略や差別化戦略とくらべて、その存在意義が薄れています。

集中戦略は戦略理論としての価値は低くなっています。これから競争戦略を学ぶのであれば、集中戦略以外の2つの戦略をしっかり理解しておけばよいでしょう。

画像出典元:Burst

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