TOP > 開業・独立 > 開業 > 【完全版】イチからわかる整骨院の開業方法と必要資金
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ある程度の経験を積めば、誰しもが「開業」の二文字を考えてしまいます。整骨院も例外ではなく、業界の中でも非常に開業するパターンが多いです。
今回は、開業に必要な資金や具体的な開業方法を紹介しましょう。
このページの目次
初めて整骨院を開業する方にとっては、一体何から手をつけて良いのか分かりません。整骨院の開業には相応の手順があり、資格取得など法的に必要な要素が含まれています。
ここでは整骨院を始めるための手順を紹介していきましょう。
整骨院を開業するためには、「柔道整復師」の資格が必要です。
「柔道整復師」の資格があれば、整骨院を開業することができるのですが、多くの整骨院では健康保険の取り扱いをしている場合が多く、患者が整骨院を選ぶ大きなポイントです。
この健康保険の取り扱いを行うためには、「施術管理者」を取得する必要があります。
療養費の支給申請を患者に代わって保険者へ行う行為を受領委任と言います。この受領委任を取り扱い管理することができるのが「施術管理者」です。
施術管理者になるためには受領委任の届出が必要であり、受領委任の届出には「3年間の実務経験」の証明書と「2日間の施術管理者研修受講」の修了証が必要です。
開業と同時に健康保険の取り扱いを始めるのであれば「施術管理者」の取得は必須ですので、現在勤めている整骨院で3年間の実務経験を証明する証明書をもらい、施術管理者研修に申し込みましょう。
開業準備として、信頼できる団体のセミナーへの参加や各種医療機器の情報を集めたりと、整骨院業界での常識やノウハウを集めましょう。
下積みが長く、これらの情報や人脈をすでに持っている方であれば、開業準備の期間をグッと短縮することが出来るでしょう。
事業計画は「どのように整骨院を運営していきたいか?」を明確にするためのもので、金融機関や関わるスタッフに構想を伝えておくことが大切です。
特に金融機関においては、融資を受ける際に事業計画がしっかりしている方が審査も通りやすく、希望した開業資金を得る確率が高くなります。
「どのエリアで運営するか?」「どんな患者さんをターゲットにするか?」「どのような整骨院にするのか?」を明確にすることがポイントです。
開業場所の選定は、事業計画にも大きく関わってくる項目です。ここでは、開業場所の選定に必要ないくつかのポイントについて解説します。
物件の周辺エリアは、顧客属性が決まる重要なポイントです。
アクセスの良いビジネス街であれば仕事帰りのサラリーマンが多く、郊外のベッドタウンであれば部活でスポーツをしている子供たちが対象になることも考えられます。
物件の賃料もアクセスがよければ高くなり、郊外になるほど安くなる傾向が考えられるでしょう。
物件のエリア選定は、費用と顧客属性が決定付けられる部分になるため、収支部分と整骨院のコンセプトが関わってきます。
来院する顧客層を想定しながら、日々の売り上げとランニングコストをシミュレーションしておくことが重要です。
物件の選定と同時に、院内のレイアウトも考えておく必要があります。
施術台の設置台数やトイレの位置、エアコンの設置箇所など、レイアウトには検討する部分が多いです。
施術台の設置台数は、日々の売り上げに関わってくるので台数による予算組みが可能になります。1台しか設置できないレイアウトよりも、複数台設置できるレイアウトの方が売りは立つでしょう。
しかし増やし過ぎると施術できる人材確保も必要になるので、人的なコストを考えながらバランスの良い台数を見出すことが大切です。
トイレの位置やエアコンの設置箇所などは、顧客にとっての良い環境づくりに関わってきます。院内の環境が良ければ、顧客満足度に繋がりリピーターが増える要因の1つにもなるでしょう。
レイアウトが決定すると、次に行うのは実際の工事です。同時に医療機器の搬入設置も、このタイミングで行うことが多いでしょう。
ここでは、レイアウト工事と機器の設置について解説していきます。
整骨院にも様々な医療機器が使われることが多くなりました。施術台のみを設置して全て手動による施術を行う方法もありますが、医療機器を設置することで少人数でも効率よく運営することが出来ます。
医療機器は、各医療メーカーが効果的で操作性の良い機器を日々開発しているので、最新の情報を得るためにメーカー主催のセミナーなどに積極的に参加しておきましょう。
院内のレイアウト工事では、整骨院レイアウトを良く理解している内装業者との連携が重要です。
レイアウトについてノウハウを持っている業者との連携は、自分が気づかなかった点や注意するポイントが明確になることもあるので、微細な点も確認を怠らないようにしましょう。
以前から整骨院を運営していた物件であれば、居抜きでそのまま使うことも可能です。この場合レイアウト工事費用が格段に安く済むので、物件選定の段階から検討材料として認識しておきましょう。
開業するまでの手続きを始めとして、レイアウト工事や機器の設置など設備投資が必要になることが多くあります。
ここでは、以下の表を参考にしながら必要な資金を紹介しましょう。
上記のとおり必要な資金の内訳を見ると、内装工事費が最も負担の大きい項目になってきます。
しかし前述で紹介したとおり、居抜きであれば元々整骨院向けのレイアウトになっている可能性が高いため、金額をグッと抑えることができます。
機器の購入についても、中古を購入すれば費用を抑えることが出来るので、考えながら設備投資を実施していきましょう。
一般的に整骨院の開業に必要な金額は安く抑えた場合に100万円程度。出店する地域や店舗の敷地面積にもよりますが、条件によっては1,000万円ほどかかることもあります。
これらの費用を自己資金でまかなえない場合は、創業融資制度や助成金の活用を検討してみてください。
特に、日本政策金融公庫の新創業融資制度は、金利が安く、融資を受けやすいという特徴があります。
開業後すぐに必要となるのが運転資金です。運転資金とは、店舗を運営する上で必要となる人件費(従業員へのお給料)や、家賃・光熱費などです。
これらは開業と同時にすぐに必要となるため、事前に用意しておかなくてはなりません。開業後に店舗運営が軌道に乗るまでは入ってくる売上も不安定です。開業後売上が安定するのは3~6カ月ほどかかるといわれているので、少なくても6カ月分の運転資金を準備してから開業しましょう。
開業資金とは別に必要となってきますので、開業してから困ったということにならないためにも、運転資金は必ず確保しておきましょう。
健康保険の取り扱いを行う場合は、保険の請求を行ってから支払われるまでに時間がかかることにも注意して運転資金を算出しましょう。
何よりも一番気になるのは、整骨院経営から得られる収入です。
整骨院開業事の平均年収については、統計的なデータが情報としてアップされているので以下の表を参考にしながら地域別の平均年収を紹介します。
上記のとおり整骨院の平均年収が1番高い地域は、四国であることが分かります。四国の中でも徳島県が1番平均年収が高く、518万円と言うデータになっていました。
通常の会社員に比べて若干低い年収に見えますが、上記データは求人情報から取得したデータとなっているため、雇用された給与である要素が高いです。
個人経営による正確な年収データはありませんが、およそ300万円~700万円と規模によって差が出てきます。中には1000万円近い年収を得ている事業主もいるようなので、経営のやり方によっては高い年収を目指せる職業であると言えるでしょう。
全ての設備が整えば、いよいよ実際の開業です。整骨院を開業させるためには、いくつかの申請手続きが必要になるので把握しておきましょう。
ここでは、開設届から税務署申請までの流れを解説します。
整骨院などの診療場を開業するにあたって、保健所の開設許可が必要になります。
開設届は提出しても書類不備で返ってくることが多いので、事前に保健所へ相談しながら書類作成を進めることが得策です。
保健所へは「いつごろ開業するか?」「整骨院の名称」「間取りがわかる平面図」などの情報を持って相談すれば、手続きがスムーズに進みます。
受領委任を取り扱う場合には、開設届の写しを厚生局へ提出する必要も出てくるので、あらかじめ副本を用意した上で保健所の受理印を押印してもらいましょう。
開設後10日以内に提出することが義務付けされているので、手続きが完了する日を見越して開設する方が得策です。
整骨院で社会保険を取り扱う場合には、受領委任に関する届出が必要になります。
この手続きの際に、前述の開設届の写しも一緒に提出するので、必ず開設届が完了してから申請しましょう。
受領委任取扱の届け出には、所定の様式の他に実務経験や施術管理者に関する証明書の写しが必要となります。
それ以外にも、施術所の平面図や周辺図に加えて柔道整復師免許証の写しも必要になるので、あらかじめ必要書類をチェックしておきましょう。
地方厚生局によって、提出書類が若干異なる場合もあるので都度確認が必要です。
税務的な観点から、個人事業主として開業する場合に必要なのが「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出です。
開業届は、開業して1ヵ月以内に提出することになっていて同時に青色申告の申請も可能になります。
その他必要な書類として公務員等の保険に関する届出や、労災保険指定医療機関の届出があります。
これらは、公務員の保険を取り扱う場合や労災認定された患者の対応に必要な届出なので、合わせて確認しておきましょう。
全ての届出が完了すれば、晴れて営業開始となり整骨院運営に集中できる状態になります。
店舗を構えると言うことは、周辺エリアへの宣伝が必要となり広告費についても検討しなければなりません。規模によっては人材採用や教育も必要になるでしょう。
ここでは、開業後に必要になる広告宣伝と人材採用教育について紹介します。
業種問わず店舗経営では、周辺地域への宣伝広告が最も重要になります。
最近では、無料で実施できる広告宣伝としてホームページやSNSを活用した方法が注目されています。ホームページへの問合せから得た顧客アドレスを使って、ダイレクトメールでの広告宣伝も可能です。
SNSではFacebookやTwitterを駆使すれば、無料で効率よく宣伝することもできるでしょう。まさに「口コミ」がWeb化したツールなので、使い方によってはかなりの宣伝効果が見込めます。
費用をかける一般的な宣伝広告としては「ちらし、診察券、紹介カード、リーフレット」などが挙げられます。
これらの宣伝方法は、一見してアナログに感じるかもしれませんが地域密着型の宣伝方法としては大きな効果を発揮することが可能です。
これ以外にも、近年注目されている広告がGoogle広告です。Google広告に登録することで、スマホ検索した際にキーワードから最寄りの店舗をマップ付きで表示してくれる仕組みが構築されています。
ワンクリックで〇〇円といったシステムなので、興味を示したユーザーの数に応じて費用が発生する仕組みです。年配の方でもスマホで検索することが増えているので、広告手段の1つとして検討してみても損はないでしょう。
経営者にとって1番費用対効果の高い広告が「口コミ」です。アナログですが、地域住民の「口コミ」が最も効果的で信頼性が高く広告費を必要としません。これほど強い宣伝広告はないと言って良いでしょう。
お客様からの良い評価をもらうためには、技術や接客術を日々磨くことが大切です。また、お店の中を常に清潔に保ち、気持ちよく過ごせる環境作りも重要です。
近年では、人材採用が非常に難しくなっています。募集媒体を使っても、掲載費用ばかり取られて一向に人が集まらないなんてことも珍しくありません。
独立を考えているならば、現在働いている職場やこれまでに出会った人脈を大切にしましょう。声をかければ、あなたが開いた整骨院で一緒に働いてくれるかもしれませんし、良い人を紹介してもらえるかもしれません。
人材採用が出来れば「人材育成」が必要になってきます。人材育成は経営者が最も頭を悩ませる項目であり、一筋縄ではいかない部分もある課題です。
コミュニケーションやマネージメントスキルが必要になる分野なので、技術だけでなく対人関係における知識を身につけておくと良いでしょう。
リピート客を増やすことも大事です。リピート客がいるからこそお店もまわります。
新規顧客を入れたら、どうやったらリピートしてもらえるかは常に考えておきましょう。
リピート客はお金をかけずに工夫次第で増やすことができるものです。一度来てもらったお客は全員リピーターにするつもりで工夫するようにしましょう。
これは一例ではありますが、Squareの提供するオリジナルギフトカードである「eギフトカード」を使用すれば顧客がリピートしやすくなり、店舗への足も軽くなるでしょう。
このオリジナルギフトカードは、オンラインで作成・販売することが可能であり、顧客が将来店舗に来た際に使えるクーポン券やお得な優待券を作成できます。
作成後は、ウェブサイトやSNSで販売することもできますし、掲載にもコストが一切かかりません。
eギフトカードの作成は何度でも無料で、かかる費用は顧客がeギフトカードを購入する際に発生する決済手数料のみとなります。
整骨院を開業させるには、複数のプロセスがあり大変な部分も多くあります。
しかし、事前に下積みがあり人脈を作っておくことで簡略化される手続きも多いので、雇われている間にノウハウを得ておくのも良いでしょう。
経験や知識がなくオーナーの立場として考えている場合には、人材確保や育成が特に重要になります。
個人事業主として自身で経営する場合と、施術者を別に立てる場合では大きく動きが変わってくるので、自分がどちらの立場なのかを把握した上で開業準備を進めましょう。
画像出典元:ぱくたそ、Pixabay、Unsplash
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