ゲストハウス開業マニュアル|必要な準備や資金、繁盛の秘訣、年収は?

ゲストハウス開業マニュアル|必要な準備や資金、繁盛の秘訣、年収は?

記事更新日: 2020/01/22

執筆: 浜田みか

インバウンドの影響もあり、ゲストハウス開業にも注目が高まりつつある昨今。ホテルや旅館をオープンするよりも手軽に開業できることもあり、フランチャイズ化も始まっています。

ゲストハウスを開業してみたいと思っても、実際に必要な準備や資金など、どんなものかピンとこないという人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ゲストハウスを開業しようと検討している人に向けて、次の情報を解説します。

  • 開業に必要な準備や資金の基本的情報
  • 経営を成功させるための秘訣
  • 経営すればいくらぐらいの年収になるのか

ゲストハウス開業までの流れ

ゲストハウス(民泊)は、旅館業法での簡易宿所営業に当たります。ホテルや旅館をオープンさせるのとは異なり、個人でも開業できるため、いまとても注目度が高いビジネス形態です。

ここでは、ゲストハウスを開業するまでの流れをご紹介します。

開業までの流れ

上図を見ていただくとわかるように、ゲストハウス開業までにはたくさんのやるべきことがあります。これらを一人でするには、計画立てて効率よく動かなければなりません。

物件決めや許認可申請では、業者や役所の担当者と複数回にわたってやり取りすることになるからです。

ゲストハウス開業に必要な6つの準備

ゲストハウス開業までの流れで、やるべきことが大まかに把握していただけたかと思いますので、ここでは一つ一つの準備について解説していきます。

1. コンセプト決め

コンセプトとは、開業したいゲストハウスの方向性です。具体的に挙げると、次のようなものです。

・どんな雰囲気の内装にするのか

・どんな人たちに利用してもらいたいのか

・利用した人たちにどんな宿泊体験を提供したいのか

ある程度方向性を決めておくと、その後の物件探しや内装工事、備品設備の選定でブレることがなくなります。

また、資金を準備するときに必要な予算が立てやすいため、早めにコンセプトは絞り込んでおきましょう。

2-1. 資金準備

ゲストハウスで必要になる資金は、どんなゲストハウスにするか、どんな物件で開業するかによって大きく変動します。

いくら低資金で始められるとはいえ、余裕のない資金では開業してから運転資金に困ることになりかねません。

資金を用意するときは、次のポイントに留意しながら、それぞれの予算を決めて準備を進めましょう。

・物件にどれくらいの費用を充てるのか

・内装にどれくらいの費用を充てるのか

・設備や備品にどれくらいの費用を充てるのか

必要になる資金は、開業費用だけではありません。開業後、思うように集客ができなくても運営を続けられるように運転資金も必要です。

さらには、ゲストハウス経営だけで収入を賄うのであれば、自分自身の生活費も見込んで資金を用意しましょう。

開業後の運転資金では、稼働率を低めに設定して、客単価から売上の推測値を算出します。

稼働率は常に一定とは限りませんから、周辺環境から繁忙期・平常時・閑散期をおおよそで割り出し計算してみましょう。スタッフを雇う予定があるなら、人件費の算出もしておきます。

持ち家で開業する場合、立地にもよりますが開業に必要な資金はおよそ1,000~2,000万円ほど。

すべてを自己資金で用意するのが難しい場合は、最低でも500~600万円は自己資金で用意しておき、足りない分は融資で補填することも考慮しましょう。

2-2. 物件決め

資金の準備と並行して、物件を探します。物件を決める際には、コンセプトに合う物件・立地であることはもちろんですが、集客しやすい場所かどうかも含めて選定しましょう。

あまりにも利便性の悪い場所だと、客が訪れにくく、稼働率を高めるには相当な努力が必要になってしまいます。

利便性は良いけれど、周囲に競合となる宿泊所が多ければ、差別化を図る努力がより一層必要です。

持ち家がある場合は、その物件がゲストハウスとして使える家なのか、コンセプトに合った内装が可能な物件なのかなどを検討する必要があります。

築年数が古い物件の場合は、リフォームに耐えうる状態かを専門家に診断してもらい、物件の現状を確かめておきましょう。

もしもリフォームに耐えられないほど状態の悪い物件の場合、建て替えになる可能性もあります。

3. 許認可申請

ゲストハウス開業では、開業前に得ておくべき許可があります。

この許可がなければ開業できませんから、必要な許認可は何かを把握しておかなければなりません。開業に必要な許認可は、次の場所で行えます。

所要期間は、それぞれの手続きで異なるため、スケジュール管理の参考にしてください。

建築基準法に関する申請 物件所在地の自治体での手続き 2週間~半年ほど
旅館業法に関する申請 物件所在地管轄の保健所での手続き 1ヵ月ほど
消防法に関する申請 物件所在地を管轄する消防署での手続き 1週間ほど

これらの手続きは、多岐にわたります。また、物件や物件の環境によって必要な手続きが異なります。

以下に、ゲストハウス開業に必要な手続きを抜粋して掲載しています。

ゲストハウスとして開業するには、建物に関する許認可、営業に関する許認可、安全性に関する許認可を得なければなりません。

上図では、必要な手続きの一部を取り上げていますが、物件によってはさらに必要な書類もあります。

申請に不足や不備があれば開業できませんので、何が必要で、どのように申請すればいいのかは行政書士に確認し、サポートを受けるのが確実です。

4. 建築・工事

許認可が下りれば、申請内容に基づいた工事を行っていきます。

工事は気象状況や使用する資材によってスケジュール通りに進まないこともあります。それらを踏まえて、開業日を設定しておきましょう。

5. 設備・備品

内装工事が終われば、必要な設備を運び入れていきます。

ベッドやインテリアなど宿泊に必要な設備は、内装工事が終わるまでに選定を終わらせておきましょう。アメニティなどの備品も同様です。

6. 立ち入り検査

工事が終わり、設備が整ったら、消防署や保健所による立ち入り検査が行われます。

利用者が安全に宿泊できる環境になっているかどうか、防災面・衛生面・生活面の観点でチェックされます。

一つでもアウトだと許可が下りませんから、建築・工事に入る前の設計段階から行政書士に関わってもらうのが安心です。

ゲストハウス経営を成功させるポイント

ゲストハウス開業をゴールにしていると、そのあとの経営が不振に陥ることがあります。

ここでは、ゲストハウス経営を成功させるための秘訣をポイント別に紹介しています。開業計画と併せて、どのように経営をしていくか方針を固めておきましょう。

周辺環境に合わせてオープン日を設定する

観光スポットにゲストハウスを開業する場合、そのエリアの閑散期・繁忙期を把握したうえで、閑散期を避けてオープン日を設定しましょう。

ゲストハウスの集客は最初の3ヵ月が勝負です。この期間に多くの利用者から良い評価をもらうことによって、その後の安定運営に繋がるからです。

オープンしたのに一向に何の評価もない宿泊所は、利用者に不安感を与えてしまいやすく、その後の集客に多くの労力をかけることになります。

それはゲストハウスでも同じです。特に観光スポットのように多くの人が集まるエリアでは、競合となるゲストハウスも多く存在します。

スタートダッシュが切れるかどうかが勝負の分かれ目だといえます。

観光エリアではないけれど、人が集まりやすいエリアにオープンする場合では、エリアへの人の出入りに大きな変動はないかもしれません。

しかし、集客に影響を及ぼす要素があるから、そこにゲストハウスを開業しようと考えたはずです。

たとえば、近くにコンサート会場があったり、オフィス街があったりするエリアでは、人が集まりやすい時期・集まりにくい時期があります。

これらが集客に影響しますから、人が集まりやすい時期に合わせてオープンするのがいいでしょう。

稼働率を上げる

ゲストハウスは、ホテルや旅館と比べて客単価が低いもの。だからこそ、利用者も安くで泊まれるところに魅力を感じてやってくるのです。

客室の稼働率が悪いと売上が上がらず、安定して経営をしていくのが難しくなります。

ですから、ゲストハウスでは稼働率を上げるために、ただ利用してくれる客を待つだけでなく、利用者が来たくなるような仕掛けが必要です。

たとえば、宿泊者と一緒にイベントをしたり、周辺地域とコラボした商品やサービスを開発してみたりといったものが挙げられます。

ゲストハウスを利用する人の多くは訪日外国人ですから、彼らが日本に来て良かった、ここに泊まって良かったと思い出作りになるようなイベントやサービスを提供してみるのもいいでしょう。

資金を上手く運転させる

ゲストハウスでは、細々としたところにもコストがかかります。それらを売上すべてで賄えるのがベストですが、売上がすべて現金で入ってくるとは限りません。

利用者が訪日外国人の場合、クレジットカードを利用する人が多いからです。この場合、売上金が手元に入ってくるまでにタイムラグが生じます。

このタイムラグを上手く乗り越えるのに役立つのが、別にプールしておいた運転資金です。

運営中は、光熱費や賃料(あるいはローン)、日用品代、食事提供している場合では食料品などのランニングコストが毎月かかります。これらは現金払いが主です。

毎月の売上金が入るタイミングと支払うタイミングが異なる場合、一旦運転資金で補填し、その後売上金を運転資金に補填しなおすことになります。

運転資金がなければ、売上はあるのに撤退する事態に陥りかねません。しかし、運転資金を上手く使わなければ、目減りするばかり。運転資金は計画的に使うようにしましょう。

ゲストハウス経営で得られる年収

ゲストハウス開業を検討している人にとって、とても興味があるのが「いくら儲かるのか?」といった年収の部分ではないでしょうか。

ここでは、パターン別にピックアップしましたので、ぜひ参考にしてみてください。

ゲストハウス開業で得られる年収

得られる年収は、一概にこのくらいは得られますよとは言えないのが実情です。

その理由は、ベッド数×客単価から売上額を見積もれても、必要経費の総額によって手取り収入がぐんと減ってしまうからです。

たとえば、100㎡以下のゲストハウスを例にして算出してみましょう。100㎡以下のキャパシティでは、ベッド数15がMAXです。

・ベッド数15

・1泊の料金2,600円

1泊の料金は、周辺環境を考慮して設定する必要があります。例に挙げた料金は、東京都内でゲストハウスやホテルなどが隣接している地域を仮定しています。

料金設定する場合は、競合とわたりあえて、なおかつ赤字にならないラインを狙わなければなりません。

地域の相場よりも高い金額にすると、相応のサービス提供が必要になったり、競合に利用者を取られてしまうリスクが高くなったりするからです。

観光エリアなど人が集まりやすいところは利用者も多いから高い金額でも……と考える人もいるかもしれませんが、そういったエリアは競合も多いため、宿泊料金の設定は慎重に行いましょう。

上記の条件で1日の売上を勘案すると、1日の最大39,000円になります。しかし、年中満室になることはまずありません。

閑散期では稼働率ががくんと落ちますから、利用者を甘めに見積もって5組としても、2,600円×5ベッド=13,000円です。

通常期でもいくつかの空室が出ますから、7ベッド稼働すれば良いほうとして計算すれば、1日当たりの売上は18,200円になります。

閑散期が12月~3月、繁忙期が7月~9月とした場合、閑散期・通常期・繁忙期それぞれの総売上は次の通りです。

・閑散期:157.3万円

・通常期:276.6万円

・繁忙期:358.8万円

・年間総売上:792.7万円

さらに、ここからランニングコストなどの経費を差し引きます。以下の金額は、ひと月当たりの額です。

・家賃 20万円

・融資への返済 5万円(融資300万円)

・光熱費 4万円

・通信費 1万円

・日用・消耗品 1万円

ひと月当たりの経費が31万円。年間では、372万円です。年間総売上792.7万円から年間経費を差し引くと420.7万円となります。

上記で挙げた必要経費は、あくまでもオーナー1人が全ての接客対応、清掃、備品の設置などを行うのを前提にしています。

接客には、利用希望者からのゲストハウスに対する問い合わせやクレーム対応なども含みます。利用者に訪日予定の外国人が含まれる場合は、彼らの生活時間での対応が必要になるケースもあります。

となると、実質オーナー1人でゲストハウスを運営するのは難しいため、スタッフを雇うことになります。

人件費は、ゲストハウスがある地域の最低賃金と勤務時間の長さによって変わりますから、地域の最低賃金がどれくらいかは把握しておいたほうがいいでしょう。

仮に最低賃金が923円だとすると、8時間働いてもらって1日あたり7,384円。週3日勤務してもらった場合、ひと月当たりおよそ8.9万円かかります。

これを基に年間の人件費を算出すると、106.8万円になります。

420.7万円から人件費を差し引くと、オーナーの年収は313.9万円です。この金額は、物件が持ち家かどうかや、融資への返済額でも変動します。

また、ベッド数や稼働率によっても大きく変わります。年収を概算するときの参考にしてみてください。

ゲストハウス開業は儲かるのか?

稼働率を常に高い水準でキープしない限り、儲かるとはいいきれない業態です。

ゲストハウス開業は、儲けるためのビジネスとして考えるよりも、利用する人と体験を共有し合う空間、価値を提供する場所として考えれば、お金以上のものを得られる最高のビジネスといえるでしょう。

まとめ

ゲストハウスは、ホテルや旅館を開業するよりも安価で、個人でも開業できるビジネス形態です。

人種や職種問わず、たくさんの人と触れ合えて関われる仕事としては、とても面白味のある仕事です。

しかし、その分一人では難しいことも多いため、必要に応じて周りの手を上手く借りながら開業・経営を進めていくのが望ましいでしょう。

開業においては、行政機関に提出する書類で不備があると、そこで開業計画が停滞してしまいかねません。

行政書士をはじめ、開業までをサポートしてくれる専門業者など専門家の手を借りつつ、スムーズな開業を目指すのがおすすめです。

画像出典元:Pixabay、Unspash

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