これから喫茶店を開業しようと思っている人へ、開業に必要な届け出や資格、資金、オープンまでの流れや準備、成功するポイントについて解説します。
チェーン店が非常に強い喫茶店・カフェ業界ですが、それに負けないコンセプトを打ち出すことが最も重要となります。ぜひ、最後までお付き合いください。
このページの目次
喫茶店・カフェ開業を目指す人にとって、その業界を知るということは非常に重要です。まずは2019年現在の喫茶店・カフェ業界を知ることから始めましょう。
喫茶店・カフェ業界において知っておかなければならないのが、「チェーン展開」というキーワードです。
全国的に見ても喫茶店・カフェ業界の店舗数は大きな変化はありませんが、法人や団体経営の店舗数が非常に伸びており、個人経営店は苦戦傾向にあります。
喫茶店・カフェ業界のチェーン店で最も強いのが、いわずと知れたスターバックスです。
全国47都道府県全てに店舗を出店しており、その店舗数は1,400もあります。現在出店計画がある店舗もあり、今後も喫茶店・カフェ業界を牽引する存在です。
他の上位チェーン店ランキングも合わせて確認しましょう。店舗数のランキングをあげると以下のようになります。
第1位 スターバックスコーヒー(約1,400店)
第2位 ドトールコーヒーショップ(約1,100店)
第3位 コメダ珈琲(約800店)
第4位 タリーズコーヒー(約700店)
第5位 サンマルクカフェ(約400店)
これらのランキングを見ても喫茶店・カフェ業界のチェーン店がいかに強いかがわかります。
これから喫茶店・カフェ開業をするのであればこれらのチェーンとどのように差別化ができるのかを検討する必要があります。
前述したように、喫茶店・カフェを開業するためには「チェーン店とどのように差別化するのか?」という点が最も重要になります。
差別化というと少しわかりにくいかもしれませんが、噛み砕いて言うのであれば「あなたの喫茶店・カフェにお客が行く理由を明確にする」ということです。
「喫茶店・カフェ開業が夢だった」という人は多いと思います。しかし実際に開業をする人はごくわずかです。だからこそ、開業するのであれば喫茶店・カフェを経営する目的をはっきりさせましょう。
「地域のコミュニケーションの場を作りたい」「学生が気軽に入れるカフェを作りたい」などお店の軸となるビジョンを持つことが重要です。
差別化をするために、重要になるのがお店のコンセプトです。
メニューや内装、商品の価格帯などはコンセプトによって決まってくるものなので、このコンセプト作りが成功の決め手となります。
コンセプト作りには、あなたの喫茶店・カフェにお客様が「わざわざ行く理由」は何であるのかを真剣に考える必要があります。
最近では喫茶店・カフェも多様化してきました。
無農薬・有機野菜を使用した料理や飲み物を提供するオーガニックカフェ、猫と触れ合える猫カフェ、スポーツカフェ、自家焙煎にこだわる純喫茶、イタリアンカフェ、アジアンカフェ、主婦向けにキッズスペースのあるカフェ、インターネットカフェなど。
あなたはどんなお店を開きたいですか?よく考えてみてくださいね。
喫茶店・カフェのチェーン店を店舗数ランキングで紹介させていただきましたが、どの店も少しコンセプトが違うということがわかると思います。
個人で喫茶店・カフェを開業するのであれば、「チェーン店ではできない魅力」のある店にしなければなりません。
例えばケーキが非常に美味しいという商品の差別化なのか、お客様との距離が近いというコミュニケーションによる差別化であるのか、あなたの店の魅力を打ち出すことが必要なのです。
あなたが開業する喫茶店・カフェの魅力は何であるのかを検討しましょう。
コンセプトが決まったら、お店を知っていただく必要があります。いわゆる集客方法について考えてみましょう。
まずはあなたの店の存在とその軸となるコンセプトをPRすることが重要です。
具体的なPR手段を考えてみましょう。最近ではSNSによって、経費のあまりかからない宣伝をすることができます。これらは若い世代の集客に効果があります。
ホームページ、ブログ開設、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、YouTubeなどを利用して宣伝を行います。
地域の人はリピーターになりやすいために、地域の情報誌などの広告を出すことも重要です。紙媒体のチラシやビラ配りなども効果があります。もし、印刷環境がない場合にはラクスルなどのネット印刷サービスに依頼することもできます。
リピート客も大事です。リピート客がいるからこそお店もまわります。
新規顧客を入れたら、どうやったらリピートしてもらえるかは常に考えるようにしましょう。
リピート客はお金をかけずに工夫次第で増やすことができるものです。一度来てもらったお客は全員リピーターにするつもりで工夫するようにしましょう。
これは一例ではありますが、Squareの提供するオリジナルギフトカードである「eギフトカード」を使用すれば顧客がリピートしやすくなり、店舗への足も軽くなるでしょう。
このオリジナルギフトカードは、オンラインで作成・販売することが可能であり、顧客が将来店舗に来た際に使えるクーポン券やお得な優待券を作成できます。
作成後は、ウェブサイトやSNSで販売することもできますし、掲載にもコストが一切かかりません。
eギフトカードの作成は何度でも無料で、かかる費用は顧客がeギフトカードを購入する際に発生する決済手数料のみとなります。
ここからは、実際に喫茶店・カフェを開業するまでの流れをお伝えしたいと思います。実際に開業するための準備期間としては最低でも1年はかかると思ってください。
前述したように喫茶店・カフェの構想やコンセプトを作ることが非常に重要です。決定するまでには何年もかかることもあるでしょう。また、開業までの資金と運営する資金の計画を考えましょう。
一般的に喫茶店・カフェは黒字化するまでにある程度の時間を必要とする業種です。また、仕入れを行う必要があるためにまとまった資金は重要です。
資金の目途が立ったら、いよいよ物件探しです。コンセプトにもよりますが、喫茶店・カフェはその物件の立地などに大きく影響されやすいため、良い物件に巡り合うまである程度の時間をかけてでも探す必要があります。
喫茶店・カフェには通常の物件探しではなく、自宅に併設するという方法もあります。また、いわゆる「居抜き物件」を探すという方法もあります。何があなたのお店に適しているのかをじっくり考えてみてください。
物件が決定したら、喫茶店・カフェの内装作りに取り組むことになります。工事業者を決め、内装工事をスタートさせるとともに厨房の器具などを発注しましょう。
お店の内装やインテリアが決まったら、営業許可を提出する必要があります。
喫茶店・カフェの開業には保健所の食品営業許可が必要となります。保健所の担当の方の立ち合い検査で合格すれば許可されることになります。
いよいよ、開業まで間近となりました。喫茶店・カフェは食材を仕入れる必要があるために、仕入れ先業者を決めましょう。他にもスタッフの採用、ホームページの開設、広告制作などを行い準備していきます。
また、喫茶店・カフェを運用するための保険を検討してもいいかもしれません。あまり一般的には知られていませんが、カフェのための保険は数多くあるのです。リスクも考え、考えてみてはいかがでしょうか。
さて、開業までの日が近づいてきました。このあたりでスタッフとともに営業シミュレーションを行いましょう。実際に仕入れ先に材料を発注し、知人に来店してもらいサービス提供してみましょう。
問題がなければいよいよオープン!しかしながらここがゴールではありません。まだまだスタート地点に立ったばかりです。
忘れないようにしなければならないのは、開業届を1ヵ月以内に税務署に提出することです。これからは税金の申告などをする必要があります。税金に対しての勉強も重要です。
喫茶店・カフェを開業するにあたり、どれくらいの開業資金が必要になるでしょうか。資金シミュレーションをしてみましょう。
喫茶店・カフェを開業するための資金は大きく「物件取得の費用」と「店舗投資の費用」に分けることができます。
保証金 | 1,000,000円 |
礼金 | 100,000円 |
仲介手数料 | 100,000円 |
造作譲渡費 | 500,000円 |
前家賃 | 200,000円 |
合計(A) | 1,900,000円 |
厨房機器費 | 50,000円 |
看板施工費 | 150,000円 |
内装・設計費 | 500,000円 |
販売促進費 | 100,000円 |
備品費 | 300,000円 |
合計(B) | 1,100,000円 |
(A)+(B)=3,000,000円
もちろん規模にもよりますが、およそ20席の喫茶店・カフェを開業するための資金としては300万円が必要になるでしょう。大きいのは物件取得のためにかかる費用ですが、これを住居と併設すると削減することもできるでしょう。
今回計算したのは、「イニシャルコスト」と呼ばれる初期費用です。喫茶店・カフェを経営するためには「ランニングコスト」つまり、毎月発生する費用のシミュレーションも必要になります。
そのため、上記の資金以外にも実際に開業するにあたりお店の運転資金も必要になります。「車は購入したけどガソリン代が払えない」という事態は避けられるようにしっかり計算しましょう。
喫茶店・カフェの1ヵ月あたりの運転資金はどれくらいになるでしょうか。先ほどの例を元に資金シミュレーションしてみましょう。
人件費(2名) | 500,000円 |
家賃 | 100,000円 |
材料費 | 100,000円 |
水道光熱費 | 30,000円 |
広告宣伝費 | 50,000円 |
合計(B) | 780,000円 |
もちろん、規模にもよりますが1ヵ月でこれくらいの資金は必要になってくるでしょう。喫茶店・カフェは黒字化するまでに半年はかかるといわれていますので、500万円ほどの資金を確保してからスタートさせるべきでしょう。
喫茶店・カフェを経営していくということは、利益を出すためにどのようにすべきかということです。まず、売上をいかに出すかということを考えましょう。
売上=客単価×席数×回転数×営業日
以上の式で売上を計算することができます。営業日や座席数は変更できない部分ですので、客単価と回転数を考える必要があります。この部分に注力して経営を行いましょう。
食材・人件費・家賃を足して売で割った数値が70%程度になることを目指す、というFLR比率というものがあります。
上記の例ではその合計が70万円になるので、お店の毎月の売上げが100万円以上でなければいけません。自身の店を開業するシミュレーションをしてみましょう。
お店を開業する際に資金が足りない場合には、基本的には銀行に融資を相談してみることになるでしょう。開業資金を融資してもらうなら、比較的融資を受けやすい日本政策金融公庫がおすすめです。
しかしながら、日本政策金融公庫を含む一般的な金融機関から融資を受けるには厳しい審査があり、なかなか思うように資金が得られないこともあります。
融資が難しい場合に検討したいのが、助成金や補助金です。助成金や補助金は国や地方自治体が行っている制度です。
違いを簡単に説明すると助成金は、受けるための資格要件を満たせばほとんどのケースで受けられるもので、補助金は必要な書類を準備して担当者にPRしてそのお金を勝ち取るものです。
助成金や補助金は各自治体のホームページなどで探すことができます。気になった人は「自治体名+助成金または補助金」で自身に合ったものがないか検索してみてください。
最近では、個人同士の融資をインターネットで行う方法もあります。ベンチャーキャピタル、クラウドファンディングなどがそれに当たります。
資金が足りない時は、様々な方法がありますので、自分に適切な調達手段を考えましょう。
喫茶店・カフェをオープンするために必要な資格にはどのようなものがあるでしょうか。これから勉強しようと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
喫茶店・カフェに限らず、「食品衛生責任者」は飲食店を開業する際に必ず取得しておかなくてはならない資格です。
これは各都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講することで取得できるものです。この資格がなくてはあなたの喫茶店・カフェに営業許可が下りません。
講習は地域によって満席になることもありますので、早めに取得しておきましょう。受講料は1万円程度です。食品衛生協会のホームページなどをチェックしてみてください。
収容人数が30名以上の飲食店を開業する場合には、「防火管理者」の資格が必要です。
日本防火・防災協会の講習を受講することで取得できます。喫茶店・カフェの面積によってその受講内容が変わります。
開業するためには前述したように「飲食店営業許可申請」を保健所に提出する必要があります。
あまり知られていませんが、厨房、食器棚、空調などにおいて店舗設備の規定があるので、事前に確認する必要があります。
喫茶店・カフェでパンやお菓子のテイクアウトをする場合には、「菓子製造業許可申請」が必要となります。
その内容によって菓子製造業に該当しない場合もありますので、物件を決める際に所轄の保健所に確認するようにしましょう。該当する場合には、厨房を工場のように密室にするための工事が必要になることもあります。
「調理師免許」は必要ないの?と思われた人もいるかもしれませんが、実はこの資格は喫茶店・カフェを営業する場合においては必要ありません。
もちろん、調理師を持っていればそのお店の信頼感が上がるため、取得するのもいいかもしれません。
「栄養士」「栄養管理士」などの資格は、喫茶店・カフェを営業する上で役に立つ資格だといえるでしょう。メニューの考案や、食材を提供する上で重要な知識を得られるためです。
健康志向のお客様には格好のアピールポイントになります。食事系のカフェを考えている人は、取得を検討してみてもいいかもしれません。
「バリスタ」の資格は必要ないの?と思われた人もいるでしょうか。「バリスタ」の資格は民間のもので喫茶店・カフェを営業する場合においては必要ありません。しかし、コーヒーに関する資格は持っていて損をすることは無いでしょう。
バリスタの資格にもいくつかありますが、日本バリスタ協会のものなどは比較的認知度が高いため、取得してみると良いでしょう。
今回は喫茶店・カフェ開業を成功させる方法と、開業までの流れと必要な資格について解説してきましたがいかがだったでしょうか。
喫茶店・カフェ開業はある程度の資金があればだれでも可能ですが、経営面において成功するロジックをしっかり勉強することが重要です。ぜひ参考にしてください。
画像出典元:Pixabay、Unsplash
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