スタートアップを成功に導くリーンキャンバス!作り方を丁寧に解説!

スタートアップを成功に導くリーンキャンバス!作り方を丁寧に解説!

記事更新日: 2021/03/17

執筆: 小石原誠

「リーンキャンバス」という言葉を知っていますか?

特にスタートアップの企業について、サービスのビジネスモデルの構造を検証し、問題点を洗い出すとともに、社内などで共有することでビジネスの考え方の浸透を図れるというツールです。

元々、アメリカのシリコンバレー出身の起業家が考案したものであり、厳しいシリコンバレーを生き抜いたノウハウが凝縮されたツールであり、これから起業をする人、あるいは起業したばかりのスタートアップにぜひおすすめしたいものです。

今回は「リーンキャンバス」について概要や特徴、目的について解説するとともに、作り方から実例までも丁寧に説明・紹介していきます。

リーンキャンバスとは?

リーンキャンバスの概要と目的

リーンキャンバス(Lean Canvas)とは、主に企業がスタートアップ時に自社のビジネスモデルについて9つの要素に分けて検討を行うことを目的としたフレームワークです。

同じくフレームワークとして有名な「ビジネスモデルキャンバス」と同様に、9つの要素について順を追って記載していくことで、自社のサービスがビジネスモデルとしてどのような構造になっているのかを整理していくことができます。

これにより、スタートアップ時における自社のサービスの強みや問題点を洗い出すとともに、それらを社内などで共有することができるようになります。

リーンスタートアップとは

リーンキャンバスは、アメリカ・シリコンバレーの起業家エリック・リースが提唱した起業の方法論「リーンスタートアップ」の中で提案されているフレームワークです。

エリックはインターネットのコミュニケーションサイトを運営するベンチャー企業の立ち上げを経験しており、その際の体験についてまとめて方法論としたのが「リーンスタートアップ」です。

エリックはリーンスタートアップをまとめる際に、日本でも有名な「トヨタ生産方式」を知り、自身の理論との間に共通点があることを見出しています。

「リーン」は英語で「lean」と綴り「無駄がない」という意味ですが、これはトヨタ生産方式の「ムダとり」の影響であるといわれています。

リーンキャンバスの特徴

リーンキャンバスの特徴は、同様のフレームワークである「ビジネスモデルキャンバス」と比較して、よりスタートアップ企業向きである点です。

そのためビジネスモデルキャンバスとは記載する要素が異なっています。

例えばビジネスモデルキャンバスでは「Key Partners(キーパートナー)」という要素がありますが、これは場合によってはスタートアップ企業にはハードルが高い要素といえます。

その代わり、キーパートナーの代わりにリーンキャンバスでは「Problem(問題)」という要素が入っています。

これは、スタートアップにおいては問題意識を持つことが重要という考え方に合致しているといえるでしょう。

そのほかリーンキャンバスの特徴としては、A4用紙1枚に記載できるくらいのシンプルさゆえに他者と共有しやすいという点や、フレームがシンプルであるために誰でも簡単に、スピーディーに取り組みやすいといった点が挙げられます。

リーンキャンバスを作成してみよう

リーンキャンバスの作り方は至ってシンプル

リーンキャンバスの作り方はいたってシンプルです。

まず手書きでもワープロでも何でもよいので、9つの要素に分割したフレームを作成します。

その後、下記のとおり順を追って、9つの要素について「自社のサービス」の考え方を記載していくだけです。

それでは、各要素について順を追って説明していきましょう。

1. Problem:問題

自社のサービスがターゲットとしている顧客が抱えているであろう問題や課題を記載します。

ここで記載する問題や課題は3つまで、としましょう。

問題や課題が多くて書ききれない、という場合は、ターゲットを絞り切れていない等の、自社のサービスの欠点である可能性が出てきます。

特に体力の少ないスタートアップは、まずはしっかり対応できる問題や課題を明確にしましょう。

2. Customer Segments:顧客セグメント(ターゲット)

自社のサービスがターゲットとしている顧客の姿をイメージして記載します。

この際、「男性」「高齢者」「主婦」などのざっくりとしたイメージではなく、「●●歳代男性で●●を必要としている人」など、より具体的なイメージをしてください。

これにより、提供するサービスのあるべき姿がより明確になります。

3. Unique Value Proposition:独自の価値提案

自社のサービスについて、どのようなオリジナリティがあり、どのような価値を顧客に提案できるかを記載します。

ここでは、できるだけシンプルに分かりやすく書けることがポイントとなります。

4. Solution:解決策

ここまでで整理してきた顧客ターゲットや顧客が抱えている問題・課題に対して、具体的にどのような手法で解決へとアプローチできるのかを記載します。

3. Unique Value Propositionとの差別化が難しいですが、3. Unique Value Propositionが(顧客が)達成できる目的、こちらの4. Solutionはそれを具体化するための手段、として書き分けると良いでしょう。

5. Channels:顧客との接点

自社のサービスとターゲットとなる顧客との接点をどのように作るか、どのようにサービスを提案するのかを記載してください。

つながるチャネルは様々なものを検討しておくことが重要です。

それにより顧客へのアプローチ方法にバラエティが出てきますし、複数のチャネルを有機的に連携させて戦略的なアプローチをとることも可能となります。

6. Revenue Streams:収益の流れ

自社のサービスがどのように収益を産み出すのかを記載します。

例えば「モノ」を売るサービスであれば、その「モノ」が売れた場合の売上が収益となりますし、最近のスマートフォン向けゲームアプリであれば、アプリそのものが無料であっても、広告枠を設定したり課金要素を取り入れれば、それらが収益源となります。

重要なのは「誰から」「どうやって」収益を得るのか、ということを具体化しておくことです。

7. Cost Structure:コスト構造

自社のサービスにかかるコストを検証して記載しましょう。

「構造」とあるとおり、これも「何に」「どのような」コストがかかるのか、ということを具体化しておけばOKです。

あくまで「構造」なので、この時点で細かな数字を算出する必要はありませんが、大まかなざっくりとした金額感は出しておくとよいでしょう。

8. Key Metrics:主要指標

自社のサービスで達成すべきKPI(Key Performance Indicator)をここで設定・記載します。

「何を」「どのくらい」達成すれば自社のサービスが目標を達成したと見なせるのか?という観点から慎重に考えてみましょう。

9. Unfair Advantage:圧倒的な優位性

「Unfair」とは「不公平な」という意味ですが、転じて、どのような競合他社であっても敵わないような「圧倒的な」アドバンテージは何かあるのか?ということを考えて記載してください。

リーンキャンバスの具体例

最後に、リーンキャンバスの具体例として、「高価格のパーソナルトレーニングサービス」をイメージしたものを掲出しておきます。

重要なことは、細かいところまで考えて煮詰まらないようにすること。

まさに「リーン=無駄がない」という言葉のとおり、スピードを意識してシンプルに考えてみましょう。

もし考えがストップしてしまうような要素があれば、それこそがあなたのサービスが今抱えている問題点であり、これから考えなければいけない要素といえるでしょう。

まとめ

今回は、サービスのビジネスモデルの構造を検証し、問題点を洗い出すとともに、社内などで共有するツールである「リーンキャンバス」について、その概要や特徴、目的について解説するとともに、作り方から実例までも丁寧に説明・紹介してきました。

リーンキャンバスの最大の特徴は、フレームがシンプルであるため誰でも簡単に作れるところ…といいたいところですが、もしビジネスモデルの構造が不十分である場合は、リーンキャンバスを作ることも苦労するはずです。

自分のサービスのビジネスモデルは大丈夫か?といった観点からも、ぜひ一度リーンキャンバスを作ることにトライしてもらいたいと思います。

画像出典元:Unsplash、Pexels、O-DAN

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