「リード(見込み客)の獲得や育成をサポートしてくれる」と近年ますます注目されているマーケティングオートメーション(MA)ツール。
昨今は国産のツールが増えたこともあり、機能もUIもかなり充実してきています。
この記事では導入を検討している方に向けて、MAツールにできること、導入に伴うメリット・デメリット、現場での運用実態、おすすめのツールを紹介します。
このページの目次
マーケターが集めてきたリード情報(見込み客情報)をとりあえずそのままセールスに渡してしまう。
皆さんの職場では、そんなことはありませんか?
その非効率を改善してくれるのがMAツールです。
もう少し踏み込んで説明すると「MAツールはリード開拓におけるマーケティング活動の様々な作業を自動化・効率化するシステム」と言えます。
MAツールを活用することで、それぞれのリードが持っている興味・関心を把握できる上に、その行動に対して最適なタイミング・手法でアプローチすることが可能になります。
こうしてリードを囲い込み、さらには定期的に商品やサービスを利用するホットリード(有料顧客)にまで育成することが可能になるのです。
またリードを精査することで、質の高いリードリストを作成し、営業に役立たせることもでき、売上アップへとつながる環境が整います。
このようにMAツールが担う部分は、リードとのコミュニケーションの基盤となる非常に大事な部分だと言えます。
導入により効果が出やすいのは以下のような企業です。
MAツールは2000年代にアメリカで生まれたため、これまではほとんどアメリカのツールでしたが、日本で導入企業が増えるに従って、国産ツールもかなり増えてきました。
アメリカ発・日本発、共に良さがありますが、社内に技術者がいない、もしくはツール専任者をおけない場合は、導入後のサポートを考えて国産ツールを選ぶことをおすすめします。
MAツールを導入すれば、リードの獲得、育成、営業へのリード受け渡しが可能になります。
MAツールに搭載されている機能を詳しくみてみましょう。
リードの状況(自社にどれくらい関心をもっているのか)に応じてメールをカスタマイズするので、それぞれに最適なメールを作成できます。
リードの興味関心に合わせたコンテンツに切り替える機能や、配信するメールでA/Bテストを行い、一番効果的なメールを配信する機能も搭載されています。
従来ならば手間がかかる上に、効果が分かりにくかった「メールでのリードアプローチ」を効率良く行うことが可能になります。
実際の作業画面はこんな感じです。ツールによって画面は大きく違いますが、どのツールも基本フォーマットに入力すればひとまずメールを作成できるようになっています。
HTMLの知識があれば、デザインを工夫できます。
リード獲得に直接的に繋がる「入力フォーム」や「ランディングページ」を作成します。
知識があればカスタマイズを行ない、最適なデザインのものを作成できます。
リードを分類し、さらにそのリードの行動を評価基準に沿ってスコアリングすることで、リードに点数や優先順位をつけられます。
これにより質の高い最適なリードを選出できます。
営業活動全体を把握し、営業サイクルにおける弱点を検証できます。
リードのweb上での行動をリアルタイムで営業に通知してくれる機能もあるので、最適なタイミングで営業がアプローチをかけられるようになります。
便利な機能が搭載されているMAツールですが、こうしたツールの中には、BtoC(消費者向けビジネス)向きのものと、BtoC(法人向けビジネス)に向いているものがあります。
一般的にBtoCツールの方が、より多くのリード数を想定しています。
またリードの好みを正確に読み解き、寄り添ったアプローチ実現します。
対してBtoBツールは、好みや嗜好よりも組織として合理的な判断を下すことを想定したアプローチが組まれています。
これらを踏まえて、自社のニーズに合う機能を備えているツール、コスト面・サポート面で納得できるツールを選びましょう。
MAツールを選ぶのが難しい理由はいくつかありますが、その1つが、カバーしている範囲の曖昧さです。
一般的には
MA : マーケティング活動の自動化
SFA : 営業活動の自動化
CRM: リードとの関係構築
と言われます。
この3つは概念的には独立していますが、実際のツールはMAの機能とSFAの機能をあわせもっていたり、MAツールだけれどCRMと簡単に連携できたりと、切っても切り離せない関係です。
ツールを選ぶ際は、自社とリードとの関わりの中で、どの部分を強化したいかを考えましょう。
MAがカバーするのは、リードとの最初の接点、いわば出会いの部分です。集客してから商談するまでの期間を効率化したいならMA。
営業活動自体をデータベース化し、営業活動自体のレベルアップを強化したいならSFA。
商談後、リードとの良好な関係を維持していくための顧客情報管理に注力したいならCRMが有効です。
MA・SFA・CRMを連携するとより高い効果が得られるので、すでに導入しているツールがある場合、もしくはツール導入を予定している場合は、それらと連携できるMAツールを選びましょう。
インターネットが普及する以前の営業は、個人の営業力や経験に基づいてリード開拓を行っていました。
いわゆる飛び込み営業やテレアポなどを行い、クライアントに自社サービスの利点を伝え、情報をコントロールしながら商談を獲得していたのです。
しかしインターネットの普及により、誰でも商品購入前に自主的に商品情報をネットで調べられるようになりました。
そのため、企業は「自社に都合の良い情報のみを伝えてリードを獲得する」という戦略が取れなくなり、様々なチャネル(Google検索やSNSなど)でのマーケティングを実施するようになりました。
このマーケティング活動を効率的に行なうためにMAが必要とされています。
前述したように「とにかく数をこなす営業」の時代が終わり、マーケティング活動が重要視されたことで、リードの行動分析を行う必要が出てきました。
しかし配信したメールの開封率分析や、リードデータのレポート作成を全て人力でこなすには限界があります。
そこでメール開封率、サイト内での行動履歴、閲覧ページやサイトの滞在時間、さらにはサイト訪問者の企業データを取得・分析できるMAツールが注目されるようになりました。
MAツールを導入すれば次の4つのメリットが生まれます。
1. リードの確実な囲い込みができる
2. リードの効果的な育成ができる
3. 営業の仕事の効率化が図れる
4. 顧客とのコミュニケーションを常に進化させられる
過去に会員登録してくれたリードやメルマガに登録しているリードなど、様々なリード情報をデータ化し、メール配信などでコンタクトを取り続けることは時間と労力を要する作業になります。
しかしそうしたリードのケアを怠れば、自社の顧客にならないだけでなく競合他社の顧客になってしまう可能性もあります。
MAツールを導入すれば、リードの情報を一元管理でき、メール配信やコンテンツの提供などでコンタクトを取り続けることが容易になります。
こうしてリードの流出を防ぎ、確実にリードを囲いこめるようになるのです。
MAツールを導入すれば、リードの過去の行動履歴分析により、関心のある内容を把握できます。
顧客の興味が分かれば、配信するコンテンツやタイミングを個別にアレンジでき、配信自体の効率性を上げられます。
こうして、リードの購買意欲を刺激し、自社の顧客となるよう効果的に育成できるのです。
顧客になりそうなリードを抽出し、営業に渡せることもMAツールのメリットです。
これまでの属人的な営業スタイルでは、手当たり次第に営業をかけるケースが多く、押しの強い営業スタッフは成約を取れても、そうでない人はなかなか成約を得られませんでした。
手当たり次第にリードにアタックするスタイルでは、断られることが当たり前という雰囲気が生じ、営業スタッフのモチベーション維持が難しいという問題もありました。
しかし、MAツールによりリードを点数化でき、現時点でどの程度確度の高い/低いリードなのかを客観的に測れるようになります。
営業スタッフは可能性の高いリードに優先して営業できるようになるので、営業活動を効率化でき、成約に結び付けやすくなります。
MAツールは分析機能が充実しているため、配信コンテンツの中身や配信タイミングを分析可能です。
なんとなく送っていたメールに効果があるのかないのか、それが分かれば内容を改善でき、さらに魅力的なコンテンツ作成につなげられますね。
MAツールを導入すれば、SNSとの連携・キャンペーンなど、顧客との様々なコミュニケーションを見直す上で必要な情報を容易に手に入れられます。
MAツール導入により生じる可能性のあるデメリットもあります。
1. リードのデータ化が必要
2. 運用専任者が必要な場合も
3. 案件化率や受注率の向上までにはある程度の時間が必要
MAツールを導入した場合、まずはメルマガ会員や資料請求などをしたリードを登録しなければなりません。
紙ベースでリード情報を管理していた場合は入力する必要があり、他のソフトで管理していた場合、それを移行する時間と手間が必要です。
リード数が膨大で、手作業による入力が難しい場合は、名刺管理ソフトと連携できるMAツールを選ぶとよいですよ。
MAツールの中には運用のために専門の知識を必要とするもの、専任者を必要とするものがあります。当然ですが、高機能なツールほど求められる知識・専任者が増えます。
専任の担当を置くことによって発生する人件費も考慮しておきましょう。
担当を置けない場合は、サポート体制が万全なツールを選んでください。ただし、利用料金が低額なツールの中には、サポート料金が高額なツールがあるので、注意が必要です。
リードの獲得、育成にはある程度の時間が必要です。
ですからMAツールを導入しても、すぐに成果が上がるわけではありません。
成果が上がるのを待つ間も、ツールの月額費用・コンテンツ作成費用が発生することを理解しておく必要があります。
MAツールは高機能なので、「導入すれば、全部代わりにやってくれる」と思いがちですが、導入しても人がやらなければいけないことがあります。
必ず覚えておきましょう。
シナリオとは、潜在顧客の集客から商談までのいわば脚本です。この脚本は自社で書かなければいけません。
誰に? | アプローチするターゲットを設定。 年齢・性別・企業情報だけでなく、「セミナー参加者」「メルマガ会員」などこれまでの行動パターンを加味してターゲットを決定。 |
いつ? | メルマガを何時に送るのか、どれくらいの頻度で送るのかといった具体的なタイミングを設定。 |
何を? | 定めたターゲットをさらに細分化し、ターゲットごとに有効な内容を検討。 |
どうやって? | メール配信・Webサイト・SNSなどオンラインでアプローチするのか、DM送付・セミナーなどオフラインでアプローチするのかを決定。 |
こういったことを非常に細かい点まで決める必要があります。
決めることはたくさんありますが、どのツールも視覚的に操作できるようになっているので、操作そのものは難しくありませんよ。
MAツールは、人が決めたシナリオを自動的に実行してくれるツールなので、せっかく導入してもシナリオが悪いと効果が出ません。
また、シナリオは一度決めたら終わりではなく、分析しながらアップデートしていくものなので、常にシナリオ作成に関わる作業は発生することを覚えておきましょう。
シナリオ作成において決定した「何を?」を具現化するのがコンテンツ作成です。
例えばメール配信の内容を「新商品の案内」と決めるのがシナリオ作成。それを実際の文面にするのがコンテンツ作成です。魅力的な内容・見せ方を追求する非常にクリエイティブな業務です。
コンテンツも見直しながら修正を重ねていくものなので、ある程度の工数が必要となります。
シナリオと同様、コンテンツも自社で作成する必要があります。
多くのMAツールは、すでに自社で情報をもっているけれど適切なアクションをとれていない顧客に対して対策をとることを目的としています。
そのため、リード母数が多ければ多いほど、自動化するメリットが大きくなります。
もちろん、ランディングページや問合せフォームの作成・広告出稿機能など集客機能を兼ね備えたツールもたくさんありますが、セミナー開催・展示会などオフラインで名刺交換できる場は自社で設定しなければいけません。
また、MAツールを効果的に活用するために必要なリード数は、最低でも1,000、業種によっては3万と言われています。
MAツールは高額なので、リード数を集めることだけを目的にする場合はMAツールではなく、架電・パンフレット配布・動画配信・メルマガ配信など、それぞれに特化したツールを導入する方が効果的な場合もあります。
現場では実際にどのようにツールを運用されているのか、MAJINさんに教えていただきました。
運用人数、知識ともにハードルが低いこと、オプション機能を追加しなくても十分に活用できることが分かりますね。
MAJINの導入ポイント
MAツールを実際に導入した企業の活用事例は下記の記事でもまとめています。
現場での実際の運用方法がイメージつきづらい方はこちらもご参考ください!
画像出典元:「Pardot」公式HP
初期費用 | Growth | Plus | Advanced | 無料お試し |
0円 | 150,000円/月 | 300,000円/月 | 480,000円/月 | × |
マーケティングチームと営業チームの効果的な連携を実現できるSalesforce Engage for Pardotを利用する場合は、月6,000円/1ユーザーが必要です。
利用方法などのドキュメントやナレッジが多くあるため、割とすんなりと利用できました。たまにレスポンスが悪いことがあります。
(IT関連:従業員500人以上)
大量のデータを管理できる点は便利です。貴重な顧客データを個人スタッフが管理するリスクから解放されます。ただ、ルールが多いので、使いこなすまでに時間がかかります。
詳細はこちらの資料をご覧ください。
画像出典元:「b→dash」公式HP
初期費用 | 月額費用 | 無料お試し |
要問合せ | 300,000円 | × |
長年蓄積した膨大なデータを活用すべく、 データマーケティングツールb→dashを導入した。今までできなかったOne to Oneマーケティングをスポーツ領域で実現できました。
(球団)
非常に使いやすいです。ただ最初の設定に時間がかかります。
(広告関連)
こちらの資料から詳細をご覧いただけます。
画像出典元:「MAJIN」公式HP
初期費用 | 月額費用 | 無料お試し |
100,000円 | 100,000円 | 30日 |
オンラインサポートは無料です。
導入時のサポートや導入後のコンサルティングには費用が発生します。
(スタートダッシュサポート:200,000円 コンサルティング:月1,000,000円)
稼働開始までの設定項目が少なく使いやすかったです。他のサービスとの連携ができないところが不満です。
(製造業:従業員500人以上)
cookie状態の匿名顧客から、実名化した見込顧客までコミュニケーションでき、役立っています。ただ、ランディングページを作れないのが不便。キャンペーンなどでページを作りたい時もあるので、そこは改善してほしい。(製造業:従業員500人以上)
画像出典元:「List Finder」公式HP
初期費用 | ライト | スタンダード | プレミアム | 無料お試し |
100,000円 | 39,800円~/月 | 59,800円~/月 | 79,800円~/月 | 20日 |
PV数・顧客データ数に応じて、課金される従量課金制ですが、基本プランでも50,000PV・顧客数5,000件まで管理できるので、ほとんどの企業が39,800円で運用できています。
サポート費用は無料です。
メール配信業務を効率化したかった。また、Webサイトのリニューアルの時期が重なったので、アクセス分析が簡単に行えるList Finderを選びました。
(経営コンサルティング:従業員約30人)
「使いやすさ」と「コスパ」が 乗り換えの決め手です。(システム開発:従業員約600人)
画像出典元:「Liny」公式HP
初期費用 | スタート | ベーシック | プレミアム | 無料お試し |
49,800円 | 5,000円/月 | 39,800円/月 | 69,800円/月 | 3ヵ月 |
1年間の最低契約期間があります。
顧客にあわせたオリジナルの画面を作成が簡単にできる。他ツールと比較してLinyに決めた理由は使いやすさ。
(ブライダルプロデュース)
スタッフ1人でも設計・運用可能です。直感的に操作できるので、急に配信が必要になった時でも2時間でコンテンツを作成できました。(県庁担当者)
起業ログおすすめ5選の機能をまとめるとこのようになります。
Pardotやb→dashがフル機能装備なのに対し、MAJIN・List Finder・Linyは機能に制限があることがわかります。
自社に必要な機能を明確にした上で、ツールを選びましょう。
MAツールは、リードの獲得、育成、顧客になる可能性の高いリードの抽出、営業へのリード情報受け渡し、マーケティング活動の分析、これら全てを行えるツールです。
MAツールへのニーズの高まりとともに、ますます種類が増えているため、自社のニーズを満たす機能を備えたツールをきっと見つけられるでしょう。
マーケティングを効率的にサポートしてくれるMAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
画像出典元:burst、pixabay
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