メール配信システムは、潜在顧客に向けたアプローチや、既存顧客に向けた商品やサービスの認知度・ファン度向上に欠かせないマーケティングツールの一つです。
さまざまな事業者が配信しているメルマガも、こうしたシステムを活用して送信されています。
メール配信システムを使えば、作業者に負荷をかけずに、顧客属性やライフスタイルに最適なタイミングで最適な文面でアプローチできるようになります。
そんなメール配信システムとは、どんなことができて、どのようなメリットがあるのでしょうか。
さらに、導入時にどのサービス事業者を選べはいいのか、その選定基準を理解しておけば、自社とのミスマッチを防いでコストパフォーマンスの高い効果を得ることも可能になります。
編集部
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このページの目次
メール配信システムとは、登録した大量のユーザーに対して一斉にメールを送信するためのシステムで、メールを使ったマーケティングツールの一つです。
ECサイトや企業などから送られるメルマガ配信にも使われています。
多くのユーザーに手動で送信すると、同一ユーザーに同じメールを送ってしまったり、適切なタイミングでメールを届けられなかったりと、マーケティングに最適とはいえない状況を引き起こすこともあります。
ところが、メール配信システムを使えば、マーケティング担当者の負荷を減らし、施策の成果を検証・分析がしやすくなります。
メール配信システムは、メール配信だけで自社のマーケティング施策を成功させるための仕組みづくりに欠かせないツールでもあるといえるでしょう。
メール配信システムには、クラウド型とオンプレミス型、さらに大量配信型とセグメント型があります。
最近のメール配信システムの傾向としてはクラウド型で、大量配信型とセグメント型の両方の良いところを兼ね備えたタイプが主流になりつつあります。
クラウド型は、クラウドサーバに保存したデータをインターネット経由で利用するタイプです。
一方、オンプレミス型はクラウド型とは逆に、物理的サーバに保存したデータを、そのサーバに接続した端末から利用するタイプです。
簡単にいえば、メールを送るときにブラウザ上から送るのか、パソコンにインストールしたソフトウェアから送信するのかの違いです。
近年では、オンプレミス型でもレンタルサーバを利用して格安でデータ管理する企業も増えています。
しかし、運用にかかる各種コストを抑えたい企業ではクラウド型への移行も増加傾向にあります。
これは、クラウド型とオンプレミス型で、人員などのリソースやコストをかける部分が異なり、かかるコストの大きさが違うからです。
・サーバやパソコンへのインストールが不要
・インターネット環境があれば、利用場所・端末を問わない
・カスタマイズ性が低い
・導入コストが低い
・月額制でランニングコストが低い
クラウド型の場合、自社でサーバやパソコン、メール配信システムのソフトウェアの用意が不要です。
そのため、システムを構築したり、メンテナンス、データ管理、セキュリティなどに要する手間とコストもかかりません。
導入にかかる費用もオンプレミス型に比べて格段に低く、月額でも1,000円~10,000円が相場です。
その反面、サービスを提供している事業者の規約に順守しなければいけないというデメリットがあります。
・サーバやパソコンへのインストールが必要
・自社仕様のカスタマイズが可能
・導入コストが高い
・運営コストがかかる
オンプレミス型の場合は、自社でサーバやパソコン、メール配信システムのソフトウェアを用意する必要があります。
そのため、導入初期にシステム構築や、セキュリティなどの各種設定をしなければいけなく、運営開始後は定期的なメンテナンスが必要になります。
ただし、自社の仕様に合わせたカスタマイズができることから、不要な機能を省いて使いやすいものにすることができるメリットがあります。
コスト面ではクラウド型よりも高くなりやすいです。
そしてオンプレミス型は、レンタルサーバを利用しても初期費用で数千円~1万円程度、月額では5,000円前後の費用がかかります。
また、ソフトウェアにはライセンス料が必要となり、最低でも250万円程度が必要です。
さらに、運営開始後にかかるメンテナンス等のランニングコストは、およそ毎月数万円ほどかかる見込みです。
オンプレミス型は、さまざまな部分で専門的な知識と技術が求められるため、メール配信システムを導入するのが初めての人にとっては、やや難易度の高いツールといえます。
大量配信型とセグメント型にも、それぞれ特徴があります。
・情報発信向き
・大量のメールを一斉配信できる
・配信メールのスケジュール設定ができる
大量配信型は、同一の情報を多くのユーザーに配信することを想定して作られています。そのため、ユーザーのニーズに合わせた配信には不向きです。
・メルマガや顧客データ収集向き
・ユーザーのニーズにマッチした配信が可能
・ストーリーメールに対応している
・CRMなど他システムと連携できるものも多い
セグメント型は、パーソナライズされたメール配信が得意です。
そのため、属性や行動履歴などの幅広いユーザー情報をもとに、最適なメールを作成し、ベストなタイミングで効率的に配信できるようになっています。
ECサイトや企業からのキャンペーン情報のように、ストーリー性のあるメールを配信することも可能です。
メール配信システムでできる主な機能をリストアップしました。
・文面作成
・アドレス管理
・配信スケジュール管理
・URLクリックカウント
・各種メール配信
・ログ管理
・暗号化
メール配信で最も重要なのは、“ユーザーに読まれる”メールを送ることです。
メール配信システムを使うことで“読まれやすい”メールを送ることが可能になります。
現代人は忙しい人が多く、届くタイミングによっては開封されない、開封されても内容次第ではコンバージョンしない、すぐに閉じられてしまうことも少なくありません。
それを回避するには、ユーザーの属性からライフスタイルを考慮して、ユーザーに合ったタイミングで、なおかつユーザーに最適化したメールを送る必要があります。
メール配信システムでは、ユーザーの性別や職業などセグメントに合わせた文面を用意することができるようになっています。
多忙な現代人でも一目見て内容を把握できるようなHTMLメールも作れるため、コンバージョンしやすいメールを作成することも可能です。
さらに、ユーザーが主婦層の場合は日中に、会社員なら昼休みや就業後のタイミングに合わせてスケジュール設定して配信することもできます。
送信したメールがユーザーに届いているのかを知る到達率や、本文に挿し込んだURLへのクリック率といった情報も収集できるため、マーケティング施策を検証するうえでも役に立つ機能が用意されています。
メール配信でマーケティングをおこなう際、頭を悩ませるのが手間とコストです。
メール配信システムでは、次のようなメール配信における次の課題を解決することが可能です。
・セグメント別の送信内容の用意
・送信先アドレスの設定
・送信タイミングに合わせた作業時間の確保
・配信速度の遅さによるユーザー離れ
・迷惑メールボックスへの到達
・配信リストや退会者リスト管理の煩雑な業務
・重複配信や誤送信リスク
・配信後のクリック率や開封率の効果測定
手間を割いていた業務も、メール配信システムを導入することによって効率化できるようになります。
手作業でおこなっていた作業が自動化できるため、コストパフォーマンスも上がります。
手作業で全ての配信業務をおこなうとなると、多くの煩雑な手順を踏むことになります。
メール配信システムを使えば、それらの多くを自動化できるため、格段に業務が効率化できます。
手作業での配信・管理業務は、ヒューマンエラーを生む最大の原因になります。
誤送信や重複送信、送信や削除の漏れなど数えればきりがないほどです。
メール配信システムを導入すれば、これらのエラーを回避でき、ヒューマンエラーのリスクそのものを軽減できます。
顧客情報を取り扱ううえで、もっとも避けなければならないのが情報漏洩です。
情報漏洩が起こる要因には、ヒューマンエラーとセキュリティ面の甘さがあります。
これらのリスクを回避するには、システムで管理するのが最も安全です。
データを社内管理しないクラウド型であれば、情報漏洩もしづらく、セキュリティ面もサービス提供事業者が常に最新の状態に保ってくれるため、ウィルスやスパム対策も安心です。
手作業で配信業務をおこなっていると、配信したメールの到達率や開封率、クリック率を確認することさえ手間と時間がかかります。
マーケティングは多くの情報を素早く分析して検証を繰り返すことでその精度を高めていけますから、どれだけスピーディに対応できるかがカギとなります。
メール配信システムを導入すれば、マーケティングに必要な情報を大量かつ容易に収集できます。
それによって、分析・検証・実証といったPDCAサイクルをより迅速に回せるようになります。
メール配信システムを導入すると、ユーザー属性からセグメントの分類まで楽におこなえるようになります。
これによって休眠顧客や潜在顧客を抽出し、それぞれに対して効果的なアプローチをすることが可能です。
その結果、機会損失リスクの軽減に繋がります。
自社が抱える課題に対して、どのような解決を望んでいるのか、その目的意識を明確にすれば、本当に必要としているサービスの取捨選択ができます。
それが結果的に、コストパフォーマンスの高いサービス導入に結びつきます。
たとえば海外への配信を視野に入れている場合、多言語に対応しているかどうかも選定基準の一つになります。
メールを配信しても、サービスによってはメールソフトの迷惑メールとして扱われることがあります。
それでは、到達してもユーザーの目に触れることがなく、機会損失を招いてしまいます。
ユーザーの受信メールボックスに届くサービスを選ぶのが大切です。
その基準としては、フィルタリングが厳しいと評判のYahoo!メールや、利用者数の多いGmailへの到達率が高いものがベストです。
メール配信システムには、配信できるメールの総数や登録できるユーザー数に上限が設けられています。
送信するユーザー数やメールのボリュームを勘案し、自社のボリュームに対応できるサービス事業者を選択しましょう。
メール配信システムには、受信先の端末によって表示の仕方を選択できるものがあります。
近年ではパソコンを持たないユーザーも多いため、モバイル端末への対応は不可欠です。
パソコンとモバイル端末の両方に対応しているものを選ぶのは最低条件と考えておいてもいいでしょう。
テキストだけのメールと画像や絵文字などが使われたビジュアルの良いメールでは、ビジュアルの良いメールのほうが開封率が高く、URLへのクリック率も高くなる傾向があります。
これは、忙しい現代人がいかにスピーディに情報を把握しようとしているのかを示す良い指標でしょう。
しかし、HTMLの知識のない人にとって、ビジュアルの良いメールを作成するのは簡単ではありません。
ところが、HTMLエディタがあれば、専門知識がなくても従来のテキストメールのように簡単に文面をつくれます。
試用版やトライアルが可能なメール配信システムであれば、自社が求めている機能が搭載されているのかを知る良い手掛かりになります。
導入前に試してみて、そのなかで最も自社にマッチしているものを選びましょう。
画像出典元:「Zoho Campaigns」公式HP
コスト重視の方におすすめなのが、Zoho Campaigns(ゾーホー・キャンペーン)です。
無料プランでも、最大2,000人の宛先に月6,000通までのメールを配信でき、ベーシックなテンプレートを利用したメール作成からメール配信先の管理、レポート機能、そして、カスタマイズ可能なメルマガ購読者登録フォームなどが利用できます。
無料トライアルでは14日間有料プランを試すことができ、その後は無料プランを使い続けることも可能。有料プランでは、動画の埋め込み、配信時刻の最適化、ステップメール等メールの自動配信など、メールの効果を高める機能を多数搭載。
各種サービスとの連携をスムーズに行えるため、メールの配信先リストを効率的に調整できます。さらに、顧客管理システム(CRM)と連携させることで、より本格的なメールマーケティングに取り組めます。
情報セキュリティ認証及びクラウドセキュリティ認証を取得しており、世界中で高い信頼を集めています。
・HTMLメールエディタ
・配信時刻の最適化
・A/Bテスト
・モバイル端末対応
機能によってプランが選べ、登録メールアドレス数(500件~)によって、細かく料金が設定されているため、コストを抑えることが可能です。
無料プラン | スタンダード | プロフェッショナル | |
月間契約(税別) | 0円 | 480円~/月 | 720 円~/月 |
年間契約(税別) | 0円 | 360円~/月 | 540円~/月 |
その他、定期的なメール配信が決まっていない場合など、必要な時に必要なメール配信数に応じた料金で利用できる従量制プランもあります。
福祉
31〜50人
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初期費用 | 月額費用 | 配信数 |
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初期費用 | 月額費用 | 登録アドレス数 |
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SNSユーザーに比べて母数が多いと言えるのです。
メール配信システムを使うことは、多くのユーザーに対して的確なアプローチをおこなうのに最適なツールです。
画像出典元:Pixabay、O-DAN