資本性ローンの説明書!メリット・デメリット・融資との違い

資本性ローンの説明書!メリット・デメリット・融資との違い

記事更新日: 2019/05/17

執筆: 編集部

資金繰りに悩む経営者は沢山います。資金が潤沢にあれば資金繰りに悩むことはないのかもしれませんが、創業時には自己資金が十分ではなく、銀行などの金融機関から融資を受けて資金調達をすることがほとんどです。

資金調達としては融資が一般的ですが「資本性ローン」という選択肢もあります。無担保・無保証人、期限一括返済であるのが特徴です。

今回はもっとも有名な資本ローン、日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特例制度」についてご紹介します。

資本性ローンとは


資本性ローンとは、新規事業・事業再生などに取り組む方の財務体質強化を図るために、資本性資金を供給する制度です。資本性資金についてはあとで詳しく説明します。

資本性ローンと言うと、もっとも有名な日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特例制度」のことを指している場合も多いです。この記事でもこの前提にのっとって、「挑戦支援資本強化特例制度」の概要・利率などについて解説していきます。

まず、日本政策金融公庫の資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)には「国民生活事業」と「中小企業事業」の2種類があります。

国民生活事業と中小企業事業の違い


国民生活事業と中小企業事業はどちらも同じ資本性ローンですが、対象者や融資限度額などに違いがあります。

国民生活事業は創業時や新規事業を始めるとき、中小企業事業は企業再建や新規事業など創業時に比べて事業規模が大きい中小企業を対象としています。

国民生活事業

国民生活事業は新規事業を始める方、創業後間もない方などが対象となっています。さらに、技術・ノウハウなどに新規性がみられる方が対象です。

具体的に技術・ノウハウなどの新規性があるとみなされるのは「経営多角化、事業転換を図る」「特許権などの知的財産権を利用」する方などです。

概要

融資限度額 4,000万円
(事業承継・集約・活性化支援資金の融資制度のみ別枠4,000万円)
返済期間 5年1ヶ月以上15年以内
返済方法 期限一括返済
利息の支払 毎月
担保・保証人 無担保・無保証人
金融検査上 自己資本とみなされることがある

 

利率

利率は、融資後1年ごとに直近の決算の業績と貸付期間によって利率が異なります。

なお直近の業績は、売上高減価償却前経常利益率をもって判断されます。

利益率 \ 貸付期間

5年1ヶ月〜
7年

7年〜
9年

9年〜
12年

12〜
15年

5%〜 5.30% 5.60% 5.95% 6.20%
0%〜5% 3.15% 3.30% 3.50% 3.60%
0%未満 1.00% 1.00% 1.00% 1.00%

参考:調整支援支援資本強化特例制度(資本性ローン)日本政策金融公庫

その他の条件

  • 審査時に事業計画書の提出が必要なことがある
  • 税務申告を1期以上行なっている場合、原則所得税などの税金を完納していること
  • 四半期ごとの経営状況の報告などを含む特約の締結
  • 契約後の期限前返済は原則できない

 

中小企業事業

中小企業事業は新企業育成貸付、企業活力強化貸付または企業再生貸付を利用する方で、雇用効果が認められたり、地域社会にとって不可欠な事業などに取り組む方が対象です。

概要

融資限度額 1社3億円
(事業承継・集約・活性化支援資金については1社別枠3億円)
返済期間 5年1ヶ月、7年、10年、15年
返済方法 期限一括返済
担保・保証人 無担保・無保証人
金融検査上 自己資本とみなされることがある

 

利率

利率は、融資後1年ごとに直近の決算の業績と貸付期間によって利率が異なります。

なお直近の業績は、売上高減価償却前経常利益率をもって判断されます。

・新事業育成貸付または企業活力強化貸付

利益率 \ 貸付期間 5年1ヶ月 7年 10年 15年
5%〜 4.65% 4.65% 5.00% 5.45%
0%〜5% 3.15% 3.15% 3.40% 3.75%
0%未満 0.45% 0.45% 0.45% 0.45%

参考:調整支援支援資本強化特例制度(資本性ローン)日本政策金融公庫

・企業再生貸付

利益率 \ 貸付期間 5年1ヶ月 7年 10年 15年
5%〜 5.30% 5.40% 5.45% 5.50%
0%〜5% 3.15% 3.25% 3.30% 3.35%
0%未満 0.45% 0.45% 0.45% 0.45%

参考:調整支援支援資本強化特例制度(資本性ローン)日本政策金融公庫

その他の条件

  • 日本政策金融公庫が適切と認める事業計画書の提出が必要
  • 四半期ごとの経営状況の報告などを含む特約の締結
  • 契約後の期限前返済は原則できない

 

資本性ローンの3つのメリット

 

1. 無担保・無保証人

融資を受ける時には担保や保証人が気になります。担保・保証人が必須となると、担保となる不動産や保証人を探さなくてはなりません。

経営者のみの保証人では足りない場合、第三者に保証人をお願いするのは難しいです。

資本性ローンは無担保・無保証人なので安心して融資を受けやすいです。

2. 借入金が金融検査上、自己資本とみなされる

資本性ローンは金融検査上、自己資本とみなされます。自己資本とみなされるということは、借入金=負債ではなく、借入金=純資産になるということです。

負債ではなく自己資本とみなされると自己資本比率が上昇します。自己資本比率が高まると経営が安定していると判断されるので、融資を受けやすくなるなどのメリットがあります。

自己資本とみなされますが、株式に影響がないため株式比率が変更になることはありません。

3. 利益が少ない時には低金利

資本性ローンは利益変動制の利率になっているため、利益が少ない時に低金利になります。創業時は経営の基盤が安定していなく、初期投資がかさみ損失になることも珍しくありません。

通常の融資であれば利益に関係なく一定の利率になり、利益がでていない時には利息の支払いが経営を圧迫します。利益の少ない時に低金利となるため、経営が安定する時期まで低金利になるということです。

資本性ローンの3つのデメリット

1. 業績が好調な時には高金利

利益が少ない時期には低金利になりますが、逆に利益が多い時期には高金利になります。

貸付期間などによって利率は異なりますが、売上高減価償却前経常利益率が5%超になると利率は4.65%以上になるため、通常の融資よりも利率が高いです。

2. 繰上げ返済ができない

資本性ローンは期限前返済が原則できません。繰上返済ができないため、業績が好調になると期限まで高金利で利息を支払うことになります。

3. 資本性ローンはあくまで借入

勘違いしてはいけないのが資本性ローンはあくまで借入です。金融検査上は自己資本とみなされますが、借入のため返済が必要になります。

「自己資本だから返済の必要がない」と思い、期限直前に返済資金が足りなくならないように注意しましょう。

通常の融資と資本性ローンの判断基準

資本性ローンによって金融機関からの資金調達に「通常の融資」と「資本性ローン」2つの選択肢ができました。どちらを利用しますか?

通常の融資と資本性ローンは一概にどちらが有利とは言えないので、ケースに応じた判断をしましょう。

通常の融資と資本性ローンは以下の内容が大きく異なります。

  通常の融資 資本性ローン
返済方法 毎月 期限一括返済
利率 固定(利益に関係ない) 利益変動

 

創業時

創業時は初期投資がかさみ損失がでることがほとんどです。売上や雇用が安定するまでは利益はあまりでません。

経営基盤が安定していないため、毎月の資金繰りに悩まされることもあります。そんな時期には資本性ローンがオススメです。

資本性ローンは期限一括返済のため通常の融資と違い毎月の元本返済がなく、その分キャッシュフローが安定します。利益がでても返済期限までは利息のみを払えばいいため、資金繰りに悩まされることなく、売上の向上や経営に専念することができます。

返済期間

通常の融資と資本性ローンでネックとなるのが利率です。資本性ローンを利益がでていない低金利の間だけ借りることができれば効果が高いです。

資本性ローンは繰上返済ができないため、返済期間が重要になってきます。創業や設備投資から利益がでるようになるまでの計画を作成し、利益がでる前後までを返済期間にすると利益変動制による低金利の恩恵を受けやすくなります。

まとめ


資本性ローンは期限一括返済、利益変動性の利率のため、創業時などの財務体質強化には有効な資金調達方法です。

四半期ごとの経営状況の報告などを含む特約の締結が必要になり、面倒に感じるかもしれませんが、四半期ごとに経営状況を見直す機会にもなります。

返済期間、利率に注意しながら税理士などの専門家と一緒に事業計画書の作成をしましょう。

 

税理士の探し方・選び方については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

 

資本性ローン以外の資金調達手段については以下の記事で解説しています。

画像出典元:写真AC 、O=DAN

この記事に関連するラベル

最新の記事

ページトップへ