LOI締結後の大きなトラブル事例や経営者の注意点、法的拘束力は?

LOI締結後の大きなトラブル事例や経営者の注意点、法的拘束力は?

記事更新日: 2018/08/15

執筆: 宮嵜涼志

LOIという言葉の定義は曖昧です。意向表明書のことを指す場合もあれば、基本合意書のことを指す場合もあります。これらは似て非なるものです。

意向表明書より基本合意書についてしっかりと理解をしておくことが重要です。なぜなら基本合意書に限っては、法的拘束力をもつ場合もあり、トラブルの種にもなるからです。

本記事では、似て非なる2つのLOIの違いを解説するとともに、おさえておくべき注意点を紹介します。


M&Aの流れ

意向表明書とは?

トップ面談を踏まえて、買い手企業がM&Aを希望する場合、意向表明書といわれる買収方法、買収価額などの提案条件が書かれた資料を買い手側が提出します。売り手側にとって意向表明書は、どの買い手と交渉を進めていくかを決める判断材料になります。

基本合意書とは?

買い手側からの意向表明書を踏まえ、売り手と買い手の間でやり取りを行い、おおまかな条件について同意がとれた段階で、基本合意契約を締結します。基本合意の内容は、買収の基本的な条件、独占交渉権やその交渉期間などです。この内容を記載したものが基本合意書です。

基本合意書はMOU(Memorandum of Understanding)とも表現されたりします。覚書という意味ですね。

意向表明書と基本合意書は違う!

意向表明書は買い手側から売り手側に対する、この条件でどうですか?というアプローチです。それに対して基本合意書は、M&Aの実現に向けての一緒にこのルールに則って進めていきましょう、という合意書です。

やや極端な表現をすると、告白と婚約くらいの違いがあるということです。

法的拘束力は?

意向表明書はない

意向表明書は買い手側からの提案という位置づけですから、もちろん法的拘束力はありません。

基本合意書は法的拘束力を持つときも

基本合意書も覚書ですから、基本的には法的拘束力はありません。しかしさきほど紹介したように、基本合意には独占交渉権に関する内容も含まれます。そのため、きちんと法的拘束力を持つ形で契約する場合もあります。案件ごとに異なるというのが実態です。

特に買い手企業が上場企業である場合、基本合意書の開示義務が生じる場合があります。しかし買い手側としては、M&Aがまだ確実に行われるかわからない段階で開示をしたくないわけです。このような買い手側の事情により、基本合意書の開示義務を逃れることを目的として、法的拘束力を持たせないようにするパターンがあります。

法的拘束力をもった形で結ぶ場合は、M&Aアドバイザーが教えてくれますし、分からなかったらきくようにしましょう。また法的拘束力の有無にかかわらず、合意という形で書面にきちんと残すわけで、事実上拘束されるということには留意しておくべきです。

気をつけるべきトラブル事例

意向表明書はまだ合意がされてない段階の書類のため、トラブルの種になるようなことはありません。トラブルの種になりうるのは基本合意書です。双方の合意のうえで契約内容を書面に記しているわけで、どちらかその内容に反することをすれば当然トラブルにつながります。

たとえば独占交渉契約など、基本合意書の内容を破った場合、基本合意書は法的拘束力を持たない場合もあるため、裁判沙汰にはならないかもしれません。しかし、基本合意書の内容を守るのは商慣習のようなものです。それを破ったという事実は、業界で広く知れ渡ってしまうことになります。

これは大きなリスクです。失った信頼を取り戻すのは難しいですよね。新しく事業や仕事をはじめるにしても、社会的な信用がなければ非常に苦労をすることになるでしょう。

こういった事態を避けるためにも、基本合意書を破ることは避けるべきですし、もっといえば破ることになる可能性がある基本合意契約を結ぶべきではありません。法的拘束力がないからといって軽い気持ちで契約をせずに、リスクをきちんと考慮して基本合意契約をするようにしましょう。

まとめ

どちらもLOIと略され、大変紛らわしい意向表明書と基本合意書。意向表明書は買い手側の売り手へのアプローチで、基本合意書は本格的にM&A交渉を進めて行く前の覚書です。

基本合意書は双方の合意のうえで書面にまとめたものなので、法的拘束力をもつ場合もあり、またトラブルの種にもなります。たとえ法的拘束力がない場合でも、軽い気持ちで契約をせずに、リスクをきちんと考慮して基本合意家役を結ぶようにしましょう。


画像出典元:Pexels

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