自己破産とは?手続きできる条件から生活への影響まで徹底解説

自己破産とは?手続きできる条件から生活への影響まで徹底解説

記事更新日: 2019/04/02

執筆: 編集部

負債が自分で返済できる限界を超えてしまった時、多くの人が検討するのが「自己破産」ですが、そもそも自己破産とはどんな手続きなのでしょうか?

また、手続きするにはどのような条件があり、生活にはどのように影響するのでしょうか?

この記事では、メリット・デメリット、申請可能な情報の条件など、自己破産についてわかりやすく解説します。

自己破産とは?

まずは、自己破産がどんな手続きであるかを知っていきましょう。

自己破産とは、借金がかさみすぎて返しきれなくなってしまったり、返済が滞ってしまっている場合に「支払い不能」と裁判所で判断してもらい、すべての借金を帳消しにしてもらう手続きです。

ただ正確には「借金を帳消しにする」という解釈は正しくありません。

自己破産する時の手続きは「破産手続き」と「免責手続き」の2つに分かれています。

まずお金を借りている人の財産を現金化して債権者(貸している側)に配当するのが破産手続きです。

この「破産手続き」で支払えなかった負債を免責手続きで帳消しにしてもらいます

ただし、自己破産は借金を整理するために行使する手段の中では最終手段です。

借金返済の目処が立たなくなった時に行う債務整理には自己破産の他に3つの方法があります

それぞれ簡単に解説します。

債務整理の方法

債務整理をする時、考えられる手段は4つです。

1. 任意整理

2. 特別調停

3. 個人再生

4. 自己破産


それぞれどんな違いがあるのでしょうか?

1. 任意整理

任意整理は借金の金額が比較的少額の場合取られる手段です。

手続きは弁護士や司法書士に依頼することになり、本人が直接交渉することはありません。

また、代理人に任意整理を依頼した時点で取り立てがストップします。

任意整理をする場合のメリットとしては、手続きが始まっても借りた人は破産者にならないことが挙げられます。

これは任意整理は裁判所を通す手続きではなく、債権者との話し合いのみで解決する方法だからです。

また、交渉先を絞ることができるので、自分の資金の中から返済できると判断した債権者と任意整理を行いたい債権者を選んで手続きを行うことができます。

将来的にかかるはずだった金利は原則カットされて、額面通りの金額のみを返済することになりますが、大抵の場合全額を返済することになります。

 
2. 特別調停

特別調停は裁判所が間に入って債権者との話し合いを行い借金の整理を行う手段です。

弁護士に依頼することも可能ですが、原則本人が手続きを行うことになります。

任意整理の場合は依頼する代理人によって手数料が異なりますが、特別調停は1社について500円と決まっています。

債務整理は即日で取り立てがストップされますが、特別調停は申立が受理されるまでは取り立てが続くことが特徴です。

合意にこぎつけるまでに数ヶ月要することが殆どであること、双方の同意が得られなければ調停不成立となり他の方法で整理することを考え直さなければいけません。

ただし、和解が成立した場合は任意整理と同じく金利は原則カットされます。

和解に時間や手間がかかっても費用を削りたいという場合は特別調停を、手間を掛けず短期間で手続きを終わらせたいという場合は任意整理を選ぶというのが最もわかりやすい違いでしょう。

費用を削りたい→特別調停

短期間で終わらせたい→任意整理

ということです。

 
3. 個人再生

個人再生は、継続的に収入があるが、支払いができなくなる可能性があるという人が行う債務整理の方法です。

個人再生は任意整理や特別調停では追いつかない多額の借金を抱えている場合に、返済金額を減額してもらって返済をすることになります。

個人再生は地方裁判所を通して手続きを行います。

自己破産よりは手続きが通りやすいという点と、返済にあてる財産の中に住居が含まれないという点が個人再生のメリットです。

債務整理先を選ぶことはできないので、すべての債権者の返済を大幅カットすることになります。返済額は借金した金額の5分の1以上です。

個人再生は借金が5000万円以下で、かつ将来的に収入が見込める人でなければ認められません。

 
4. 自己破産

自己破産は支払いができないことが確定している人が借金を全額カットしてもらう手続きです。

裁判所を通しての手続きになりますが、「支払いができない」と認められるところが最も厳しいと言えます。

自己破産は法律で定められた「差し押さえ禁止」となっている財産以外はすべて没収されてしまうので、借金財産ともにほぼ0からの再スタートになってしまいます。

このように、自己破産は債務整理の手段でも最も逼迫した状況の人向けの手続きとなっています。

それでは、特に自己破産について、手続きを行うメリットとデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

 

自己破産するメリット

自己破産のメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

1. 借金が全部なくなる

最も大きいメリットはやはり借金が全てなくなるという点ですよね。

返済義務がなくなるので、借金という重たい荷物から解放されます。

2. 厳しい取り立てが終わる

借金をしている時、債権者からの督促状や電話がひっきりなしにかかってきます。

この取り立てが精神を追い詰める原因となってしまうのですが、手続きが始まれば取り立ての連絡は全部代理人が請け負ってくれるので本人に来ることはありません。精神的負担がなくなります。

3. 差し押さえ禁止の財産は残るので最低限の生活維持が可能

財産はすべて没収されますが、生活や仕事に必須のものや、現金上限99万円など、差し押さえ禁止になっている家財は残ります

即座に一文無しで住居から放り出される、というような手続きではないので、この点は安心することができるでしょう。

自己破産するデメリット

自己破産のデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

1. 自己破産者として信用情報に残る

自己破産をした経歴がブラックリストとして信用情報に載ります。

この信用情報はクレジットカード会社や銀行などの金融機関がアクセスできる情報なので、これにより5年から10年ほどの間、クレジットカードの審査やローン審査に通らなくなります

2. 財産は現金化の上、債権者への返済にあてられる

車やバイク、保険の解約金、退職金などありとあらゆる財産が没収され返済にあてられます

財産とみなされるものは99万円以上の現金と20万円を超える家財などですが、20万円以下であってもクレジットカードの分割払いで支払った家財は回収されてしまうので注意が必要です。

3. 「官報」に載る

官報という国が発行している広報誌に手続きの内容や氏名、住所などが載ります。

官報は有償での閲覧になるので、誰もが見るというわけではありません。

しかし、逆に言えばお金を支払って官報を読んでいる人には知られてしまうので、知られたくない人や会社がある人にとってはリスクになるでしょう。

4. 資格制限がかかる

弁護士や司法書士など人の財産を扱う資格は取得できなくなります

また、既に資格を持っている人であっても、一定期間の間はその資格を行使することは出来ません


このように、自己破産をするとなると借金が帳消しになるというだけではなく、相応のリスクを背負うことになります。

それでは、リスクを背負ってでも自己破産をしたいという場合、どのような手続きをしなければいけないのでしょうか?

自己破産をするには?

自己破産は債務をすべて帳消しにするという債権者に不利益を与える手続きであるため、誰でも自己破産できるわけではありません。

自己破産の手続きの中でも、借金の返済を免除される「免責申請」に対しては、厳しい基準が設けられており、裁判所が認めなければ自己破産出来ません

それでは、まず自己破産の対象になるのはどのような人なのでしょうか?

自己破産できる条件

自己破産するための条件は、主に2つです。

1. 支払い能力がない

自己破産できる条件としては「支払能力がない」と裁判所で認められることが挙げられます。

自己破産をする人は多額の借金を背負っていることが多いですが、実は金額は関係ありません

6,000万の借金を背負っていても生活の状況を裁判所が見て「支払える」と判断したら自己破産はできなくなりますし、100万円くらいの借金でも無職などの理由で支払いの見込みが立たなければ自己破産できます

2. 借金の理由がギャンブルなど特定の理由に入らない

借金の理由が以下の4つに当てはまると免責手続きができません。

1. ギャンブルやソシャゲ課金などの浪費が理由の借金

2. クレジットカードを介して現金を得る換金行為

3. 他人に自分名義のクレジットカードなどを渡した結果背負った借金

4. 株や先物取引など投資での損失


これらは「免責不許可事由」と呼ばれており、ほとんどの場合免責手続きをしても許可が下りません。

免責不許可事由でも自己破産できる?

じつは、免責不許可事由の借金であっても、自己破産の許可が下りる場合があります。

裁量免責」と言って、真面目に手続きをすれば免責してくれる事例です。

1. 免責不許可事由が原因の借金であることを正直に申告する

2. 借金を背負うことになった原因の習慣を一切止めている

3. 申請後借金をすることなく健全に生活している


この3点が認められれば免責される可能性は高いです。

要は誠実に手続きをして真面目に生活改善を図っているということを裁判所に伝えれば可能性があるということですね。

自己破産するまでの流れ

自己破産するまでの流れは以下の通りです。

1. 代理人に依頼

まず手続きを取ってくれる代理人に依頼をします。

金額にもよりますが、基本的に代理人になってくれるのは弁護士です。

面談や手続きを行い、代理人として手続きをしてもらいます。

2. 債権調査と申立書の作成(代理人)

どのような用途にどれくらいの金額を使っているかなど、取引内容を細かく調査して、正確な借金額を割り出します

借金額が確定した後、代理人が申立書を作成します。

3. 手続き開始

作成された申立書を裁判所に提出し、自己破産手続きがはじまります。

4. 裁判所での免責審査

代理人と一緒に本人も裁判所に出頭し、自己破産の免責申請について裁判所で話します。

5. 自己破産の免責許可

裁判所から免責許可が下りたら自己破産手続きは完了です。


自己破産の具体的な手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。

 

免責申請が通らなかったら?

自己破産の手続きをしても、通らないという場合もあります。免責申請が通らなかった場合は、どんな手続きが必要なのでしょうか?

自己破産の申請が通らない事例は珍しく、相当債務者に落ち度がある場合だけなのですが、自己破産の申請が通らないのであれば、個人再生も通らない可能性が高いです。

ですので、自己破産できなかった場合は、裁判所を通さずに債権者との交渉で成り立つ任意整理を行うという方法が考えられます。

交渉次第にはなりますが、原則全額返済の任意整理であっても、借金が軽減される場合があります

任意整理に切り替える場合は任意整理の交渉に慣れている代理人を探すのがおすすめです。

自己破産はどこに相談すればいいのか

自己破産の手続きがしたい、でもどこに相談にいけばいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか?

特に、自己破産を考えるほど経済的に逼迫していたら、弁護士なんて到底雇えない、と頭を抱えてしまいますよね。

ですが、そんな方にもきちんと自己破産するための窓口はあるんです。

それでは、自己破産したい時に相談できる機関をご紹介します。

雇えるのであれば、債務整理専門の弁護士事務所へ

弁護士を雇うことに経済的ハードルがないという方であれば、債務整理専門の弁護士を訪ねて直接雇うという方法が最もシンプルです。

また、債務整理専門の弁護士であれば、無料相談を行っている事務所も多く存在します。

経験豊富な弁護士に代理人をしてもらうのが最も安全なので、可能な方は自分で弁護士を選ぶことをおすすめします。

悩んでいる場合は市区町村の無料法律相談

市区町村の自治体では無料で法律相談をできる環境が用意されています。

指定の曜日に30分程度、弁護士に直接悩みを相談することができるので、まず自己破産について知りたい、自己破産するか悩んでいる、という最初の段階の方は利用してみてもいいでしょう。

ただし、相談した流れでそのままその弁護士に依頼をすることは出来ないので、注意が必要です。

自己破産の支援をしてくれる「法テラス」

弁護士費用が不安という方は法テラスを利用することがおすすめです。

法テラスでは、経済的に困難な方向けに、無料相談や弁護士の斡旋、弁護士費用の立て替えなどの支援を行ってくれます。

1. 誰に頼めば良いのかわからない

2. 弁護士費用がすぐには捻出できない


これらの条件に当てはまる方は、利用を検討してみてください。

電話相談も行ってくれる法律相談センター

各都道府県の弁護士会では、無料で法律相談ができる「法律相談センター」を運用しています。

市区町村の法律相談とは異なり、こちらでは弁護士の紹介もしてくれるのが大きな特徴です。

また、借金に関する相談では、電話相談も受け付けてくれるので、気軽に利用できます。

自己破産が生活に与える影響

自己破産は法的にも記録がついてしまうので、成立した後の生活に悪影響があるのでは?と不安になってしまいますよね。

それでは、自己破産した後どのような影響があるのでしょうか?

いくつかのケースについて考えてみましょう。

仕事に影響するのか

基本的には影響しない

自己破産をしたことで仕事に影響があるかというと、基本的には影響ありません。

自分の口で話してしまう以外で漏れるリスクがあるとすれば、官報です。

官報を購読する層といえば、金融業界か不動産会社が主となっています。

これらの業界で働いている場合は知られる可能性があり、覚悟が必要ですが、それ以外の業種であれば会社に知られることはまずないでしょう。

会社からの借り入れがあった場合は隠せない

基本的に知られることはありませんが、会社からの借り入れがあった場合、会社だけ自己破産の債権者から外すということはできないので、当然隠せません。

ただ、会社に知られてしまったことが業務に影響する可能性は低いでしょう。

就職に影響するのか

身辺調査された場合悪影響の可能性も

就職の場合であっても、仕事と同じく基本的には影響がありません

ただし、信用情報に自己破産の事実は残っているので、企業が身辺調査を行った時に見つけてしまうという場合は考えられます。

金融業界であれば知られるリスクは高いかもしれませんが、身辺調査は大々的には行わないので、表面上影響はないと言えるでしょう。

ただ、自己破産が影響して落ちるということが全く無いとは断言できません。

 履歴書に書く義務はない

履歴書に「自己破産の経歴あり」と書く義務はありません。

なので、就職の際にわざわざこちらから自己申告することは不要です。不利に働くことはあっても有利に働くことはない経歴なので、基本的には隠しておくことをおすすめします。

生活に影響するのか

最後に、自己破産が生活に及ぼす影響について考えてみましょう。

借り入れができない期間がある

自己破産の記録は信用情報に残るので、5年から10年の間はローンやクレジットなどの借り入れ全般ができなくなります。

クレジットカードが作れないというのが一番影響が大きいところかもしれません。

家族の経歴には影響がない

家族の誰かが自己破産したからと言って、家族の信用情報にまで傷がつくということはありません。

子どもが就職を控えている、進学時の奨学金が受けられるか心配、などの懸念はないので、ここは安心しても大丈夫です。

持ち家の場合は引っ越しなどで環境の変化も

生活への影響があるとすれば、戸建てやマンションを購入して生活をしていた場合です。

最低限の家財は手元に残りますが、持ち家はその限りではありませんので、返済にあてられます

賃貸の住まいに引っ越しをしなければならないので、多少の環境の変化は避けられないでしょう。

なお、もともと賃貸の場合は基本的に自己破産を理由に追い出されるということはありません。

ただ、新たに賃貸契約を結ぶ場合にはハードルが高くなります。

 

生命保険は原則解約

生命保険の解約払戻金についても「財産」とみなされるので、基本的には生命保険は解約されてしまい、さらに解約払戻金も債権者に分配されることになります。

ただし掛け捨て型は例外であったり、また解約を回避する手段もいくつかあるので、必ず解約しないといけないわけではないです。

 

車は基本的に没収される

「親の介護」や「病気の治療」のために車を使用しているという場合など例外は一部ありますが、基本的には車は没収されてしまいます。

 

まとめ

自己破産は借金が帳消しになるという意味では、借金に苦しむ人の大きな味方ですが、その分審査は厳しく、リスクも大きい手続きです。

ですが、生活を立て直すために国が用意してくれている救済策には違いありません。

財産という意味では心細くもありますが、その他私生活に及ぶ影響は想像より少ないということがわかっていただけたかと思います。

自己破産の手続きをする上でネックになる「弁護士費用」ですが、法テラスを利用して費用を立て替えてもらうなど、きちんと窓口は用意されています。

追い詰められて心細いかもしれませんが、立ち直る方法はきちんと用意されているんです。

すべて諦めてしまう前に、債務整理を検討してみてくださいね。

画像出典元:pixabay

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