自己破産をした場合、今住んでいる賃貸には住み続けられるのか?あるいは、新しく賃貸を借りられるのか?ということを心配される方は多いです。
事業を再起するにしても、別の仕事に就くにしても、「住所があること」は必要不可欠な要素ですから、何としても賃貸契約は維持したいものです。
そこで今回は、賃貸契約における審査についての説明も交えながら、自己破産と賃貸契約の関係について解説していきます。
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自己破産をした場合、いま住んでいる賃貸住宅から追い出されることを心配することもあるでしょう。
しかし、基本的には自己破産をしたことが理由となって追い出されることはない、と考えておいて問題ありません。
確かに、以前は自己破産を理由として貸主が賃貸契約を解除することが法的にも認められていました(民法旧621条)。
しかし、住居は日常生活を送るうえで必要不可欠なものであるという考えから、平成17年の法改正により自己破産を理由とした賃貸契約の解除はできなくなりました。
また、自己破産を理由に更新を断られるということも、基本的には心配する必要はありません。
賃貸住宅から追い出されたり、更新を拒否されることはありませんが、家賃の支払い方法として信販会社の代行を利用していたり、クレジットカードを使用していた場合には、自己破産の手続きによりその支払い方法を継続できなくなる可能性があります。
そのときには、支払い変更を口座引き落としなど別の手段に変更しなければならず、やむを得ず仲介業者や大家さんに相談を持ちかける必要が生じることを覚悟すべきでしょう。
自己破産を理由として賃貸住宅から追い出されることは基本的にはありませんが、ひとつだけ例外があります。それは家賃の滞納がある場合です。
なぜならば、自己破産手続きの有無に限らず、家賃の滞納は賃貸契約解除の理由となり得るからです。世間一般では複数か月の家賃滞納となると追い出される可能性が高まるとされますから、注意しておきましょう。
また「自己破産を理由とした賃貸契約解除を可能とする」ことを定めた特約がある、という場合もあるかもしれません。
ですが、たとえこのような特約があったとしても、やはり自己破産を理由とした賃貸契約解除はできないという原則があるので、特約は無効となります。
自己破産を行ったという事実は、官報へ記録されたりインターネット上に裁判結果記録として掲載されたりします。
しかし、これらは探そうとしなければ見つけられない情報なので、自己破産の事実が周りの人などに広く知られてしまうことはあまりありません。
それよりも、信用情報機関が管理する個人の信用情報に自己破産の情報が登録されてしまう(ブラックリストに載る)のが非常にダメージが大きいです。
信用情報機関のブラックリストに載ってしまうと、クレジットカードを新たに作ることや、カードローンの利用申し込みをすること、家などを購入するためにローンを組むことなどが難しくなってしまいます。
そして、ブラックリストへの掲載は賃貸借の契約にも悪影響を及ぼします。
まず、基本的には不動産会社は信用情報機関に加盟することができないので、個人の信用情報を閲覧することはありません。
賃貸契約において気にしておく必要があるのは、いくつかの家賃保証会社は信用情報を閲覧できる、という点です。
現在、賃貸契約において家賃保証会社の使用が求められることは少なくありません。
もし個人の信用情報を閲覧され自己破産の履歴を知られた場合には、家賃保証会社より保証契約を断られる可能性が高く、よって賃貸契約を結べなくなることが多くなるのです。
家賃保証会社の使用の有無あるいはどの家賃保証会社を使用するかというのは、大家さんや仲介業者が決めることです。
自己破産の履歴があっても契約ができる賃貸物件を辛抱強く探していく必要があります。
個人の信用情報は、信用情報機関により違いはあるものの、基本的には5~10年で抹消されます。ですから、遅くとも自己破産をしてから10年が経過すれば、自己破産の履歴を確認されることはなくなります。
しかし、自己破産の履歴が消えるまでにローンやクレジットカードなどの借金で返済の遅れが発生などしたら、その履歴も5~10年残ります。
せっかく自己破産の履歴が消えてもそちらの事故履歴が残っていればやはり賃貸契約は難しくなるので、くれぐれも自己破産後は借金の取り扱いに注意すべきでしょう(そもそも借金をすること自体難しいのですが)。
自己破産をした後はその履歴が信用情報機関に登録されるので、家賃保証会社を使用しての賃貸契約が難しくなる、ということまではご理解いただけたと思います。
では、そんな状況を踏まえた上で、自己破産をした後でも借りられる家を見つけるには、どうすればいいでしょうか。ここでは2つの方法をご紹介します。
これまでご説明してきたとおり、自己破産後に賃貸契約のハードルが上がるのは、賃貸契約に際して家賃保証会社の審査を受けるときに自己破産の履歴が障害となる、というのが主な理由です。ですから、家賃保証会社を使用しなくてもよい物件であれば、賃貸契約を結べる可能性が高まります。
例えば家賃保証会社ではなく保証人の設定でも良い物件などが狙い目です。
家賃保証会社を通さない賃貸契約であっても、仲介業者や大家さんが独自に審査を行うこともあります。
この時、自己破産の履歴までは見られないとしても、十分な収入があり支払い能力に問題がないかは当然問われるので、その点についてはきちんと証明できるようにしておくべきでしょう。
公営住宅や公社住宅、UR賃貸などの公的な賃貸物件は、自己破産をしていても利用できる可能性があります。
特に公営住宅については家賃も安いので、自己破産後でお金に余裕がない場合には検討の余地があります。
ただし、これらの公的な賃貸物件は地域によっては倍率が非常に高く、入居申込が抽選式であったり、あるいは空きがなく入居申込ができなかったりします。
確実に入居できるわけではないので、公的な賃貸物件を狙いつつも、それ以外の賃貸も同時進行で探しておきましょう。
自己破産の手続きをしても、基本的には今住んでいる賃貸には住み続けることができます。ただし、新たに賃貸契約を結ぼうとする際には、自己破産の履歴が障害となってしまうこともあります。
自己破産をした後でも賃貸契約を結ぶには、自己破産の履歴を見られる家賃保証会社を使用しなくても良い物件を探すと効率が良いです。ただし、家賃を支払う能力があることを証明する必要はあることは覚えておいてください。
画像出典元:写真AC、Pixabay、Pexels
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