事業に失敗して借金が返済できない…自己破産するにはどうすれば良いんだろう?
この記事を読んでいる人には、借金返済が難しくて止む無く自己破産という道を選ばざるを得ない…という人もいるのではないでしょうか?
自己破産というと取り返しがつかない、再起不能、といった状態をイメージされる人が多いです。
しかし実際自己破産は、きちんと手順を踏めば再起を測ることができるようになるといった非常に心強い制度なんです。
今回はそんな自己破産の方法や注意点について詳しく解説していきます。
このページの目次
事業に失敗して財産がなくなってしまった結果、借金を返済することができない!といった状態の方を対象に、裁判所に自己破産を申請すると債務が帳消しになるといった制度です。
借金を返済する義務を帳消しにしてもらうことを免責(責任から免れる)といい、免責すると新たにまた収入を得ることができるようになるというわけです。
自己破産は、収支がまわらない人を対象に一度それらをリセットすることで再起してもらうことが目的なので、基本的には申請が通るようになっています。
車や不動産などの財産を所有した状態で、それを隠していると自己破産として認められません!
それらを全て売ってもなお返済ができない状態で初めて認められます。
もし虚偽の報告をしてしまうと、逆に罪に問われてしまうケースもあるので要注意です。
ギャンブルなどによる賭博行為や、あまりにも激しい買い物をしてしまったといった浪費行為では認められないことになっています。
とはいったものの、これらの要因に関しては裁判官の判断によって特別に許可がおりるケースも多くあります。
前述したように自己破産は再起を促す制度なので、こういった事象を不許可にしてしまうと制度自体成り立たなくなってしまうからです。
そう何度も自己破産を繰り返すことはできない!ということです。過去7年間の中で自己破産が通っている場合は、基本的に認められません。
逆にいうと1回目の自己破産から7年経過したら2回目の自己破産を申請することができるのですが、1回目より厳しく審査されることになります。
理由が明確でかつ納得できるものでない限り、基本的には通らないと思ってください。
また2回目の自己破産では、反省の色があるかどうかを重視されるケースが多いです。また同じ失敗を繰り返すと判断されてしまうと、同時に審査も厳しくなってきます。
自己破産の手続きは個人でも行うことができますが、その流れは非常に複雑で慎重な手続きが望ましいので弁護士に相談するのが得策でしょう。現に9割以上の人が弁護士に相談しています。
この際自分の収入や借金の状態がわかるものを持参し、弁護士にみてもらうようにしましょう。
弁護士に見てもらったときに「自己破産すべき」と判断してもらったら、この先のSTEPに進みます。
受任通知というのは、債権者に対して送付することで借金の取り立てを止めることのできる効果を持っています。
こちらは貸金法によって「通知後は取り立てていけない」と明記されており、法的拘束力のある通知です。
受任通知を送付した後、弁護士と一緒に債務の整理をしていきます。このとき不動産や車などの財産が残っていないかどうかもチェックします。
弁護士と一緒に書類を用意して裁判所に自己破産の申立てをします。
自己破産申立書 | 申立をする裁判所によって書面が違うので確認すること |
陳述書 | どうして破産に至ったのかの経緯を示す書類 |
債権者一覧表 | 債権者一覧がわかる表。借入時期なども記載する |
資産目録 | 不動産などの財産についての情報 |
給与明細書など収入のわかるもの | 直近の収入状況を伝えるための書類 |
源泉徴収票 | もし用意できなければ課税証明書でも問題ない |
住民票や戸籍謄本 | 本籍がわかる書類 |
上記であげたものは最低限用意しなければならない書類です。そのほかにも保険証の写しなど個人情報のわかる書類が必要になってきたりするので、弁護士と相談しながら用意しましょう。
実際に申立てを開始します。地方裁判所に書類を提出し、手続きを開始してください。
手続き中基本的には審査待ちの状態ですが、1ヶ月後くらいに裁判所から呼び出されて自己破産の経緯や財産事情を聞かれる破産審尋というものがあります。
なので待ちの間は弁護士と破産審尋で聞かれる内容に向けたシミュレーションをしておくと良いでしょう。
審査が通ったら、実際に免責許可が降ります。この際裁判官に呼び出されて、今後の生活について簡単に面談を行います。
ここでしっかりと前向きな姿勢を見せることができれば、無事自己破産が成立するといった流れです。
ここで注意したいのは免責許可には同時廃止と管財事件の2パターンがあるということです。
破産申立てをした時点で少なからず財産が残っていた場合は管財事件の方に該当することになり、その場合は更に長期間の手続きが必要になってくるという流れです。
具体的には管財人という監視人を専任して自己破産申告者が換金できるものを所有していないかや、どうして負債が積もってしまったのかを詳しく調査します。
自己破産による債権者への不備をできる限り少なくするための制度なんですね。
逆に同時廃止の場合は破産決定と同時に免責許可が降りるので非常にスムーズです。できる限り同時廃止で済むように弁護士と相談しながら進めていきましょう。
最も主要なメリットであると言えるでしょう。多く申立て人が債務を帳消しにすることで新たな人生をスタートしています。
しかし免責不許可事由といって免責許可が降りないパターンもあるので注意してください。
前述したように賭博行為や浪費行為が原因の場合や、財産隠蔽といったケースは法律上免責許可が降りないことになっているので、基本的には正当な理由をもとに申立てを行うようにしましょう。
99万円までは自由財産といって処分されないことになっています。ただしここで残しておけるのは現金(預金などは含まない)のみなので注意してください。
また財産を残しておける以上、前述した管財事件として扱われることになるため、別途引継予納金という手続き代が20万円かかってしまいます。
なので最大で79万円残しておけるということになります。
破産手続き開始決定後に、破産した人の名前が国が発行する官報という新聞に掲載されてしまいます。
極力誰にも知られずに自己破産して再起したいと考えている方が多いので、大半の方はデメリットに感じることでしょう。
しかし実際には官報を一般人が見ることはないですし、毎日のように発行されている新聞からあなた個人の名前を特定するのは不可能とも言えるので、まずバレることはないと思っていただいて大丈夫でしょう。
一般の職業に関しては制限受けることなく勤めることができるのですが、社会的な利益に直接影響する仕事に関してはいくつかの制限を受けることになります。
あくまで一例ですが、これらの職業は一定期間職業禁止されるなどの制限を受けることがあります。
我々の信用情報は個人信用情報機関というところで管理しています。カード会社や金融機関はこの機関と提携して我々の信用を調査しているんですね。
自己破産を行なうと信用情報にマイナスの記録がつくので、クレカや消費者金融の審査に通りづらくなってしまうのです。
なのでおよそ7年程は新たにお金を借りたりカードを発行したりといった行為ができなくなってしまうので注意してください。
破産後は結婚ができなくなるといった制限はありませんが、前述したようにローンや新規借り入れができなくなるといっデメリットがあります。
多くの方が婚約に当たって住宅ローンを検討することでしょう。ですが破産から約10年間は新しく組むことができません。
破産後すぐの結婚の場合は婚約者にも自己破産の経験を正直に伝えておいた方が良いでしょう。
住まいは自己保有の場合破産申告時に売る必要がありますが、申立てをする多くの人は賃貸かと思います。結論からいうと賃貸契約をすること自体には特に制限がありません。
ですが住宅ローンと同じで、家賃保証会社が信用情報機関に加盟している場合は、審査に通らないケースが多いです。
信用情報がないということは支払う能力がないとみなされてしまうからですね。家賃保証会社は物件によって異なるので予め確認するようにしましょう。
免責決定後は特に制限なく旅行に行くことができます。
しかし管財事件として扱われた場合は、その手続き中のみ旅行が制限されてしまいます。消息不明を防ぐ為です。旅行はすべて手続きが済んでから楽しみましょう。
免責を受けたとしても変わらず税金は支払う義務があります。
仮に滞納してしまうと更に信用情報が悪化してしまうことになり、万が一2回目の自己破産を申立てることになった際、審査に影響を受けることがあります。注意しましょう。
自己破産は多重な借金をなくすことでその人の新たな生活を支援する制度です。
弁護士のもとで申立てをすれば再起できることが大半なので、申立てを考えている人は上記の手順に沿って手続きを行ってみてください。
また一人で書類等全て用意して裁判所に申立てや債権者への通知を行うのは非常に困難なのでお近くの弁護士に相談するのが良いでしょう。
画像出典元: Burst
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