階層別研修とは?実施目的から体系図作成方法、研修カリキュラム例を解説

階層別研修とは?実施目的から体系図作成方法、研修カリキュラム例を解説

記事更新日: 2025/01/14

執筆: 遠藤亜美

社員を階層に分けて研修を実施する階層別研修が注目されています。

一方で「成功させるにはどうすればいい?」「カリキュラムは?」など、疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、階層別研修の目的や、実施に必要な体系図などの基礎知識をまとめました。

メリット・デメリットや成功させるポイント、カリキュラム例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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階層別研修とは?

階層別研修とは、社員を階層で分けて実施する研修のことです。

まずは、階層別の意味や選抜研修との違いについて解説します。

そもそも階層別とは何を指すのか

階層別とは、社員を役職や立場で分けることを指します。

  • 新入社員
  • 若手社員
  • 中堅社員
  • 管理職

階層によって求められる役割やスキルは異なります。

そのため役職や立場が変わるタイミングで研修を実施する必要があるのです。

階層別研修と選抜研修の違い

階層別研修と選抜研修は、対象者や目的などに違いがあります。

  階層別研修 選抜研修
対象者 特定の階層になった社員全員 特定の役割や職位を担うことが期待される優秀な社員
目的 組織の底上げ 特定の社員の引き上げ
タイミング その階層になってから その階層になる前


階層別研修は階層になった全員に実施することで、チーム全体や組織全体の底上げを目指します。

一方の選抜研修は、優秀な社員を選抜して次の階層に引き上げることが目的です。

多くの企業では、すべての社員に階層別研修を実施したうえで、一部の幹部候補や管理職候補を対象に選抜研修を行う形をとっています。

階層別研修を実施する目的

ではなぜ階層別研修を実施するのでしょうか。

2つの目的について、わかりやすく解説します。

会社から求められている役割の理解を深める

新しい階層で、どのような能力を身に着けてどのように貢献すべきかを把握できていないと、十分なパフォーマンスは発揮できません。

そのため、階層別研修を実施して、自分が果たすべき役割を理解してもらう必要があるのです。

階層別に求められるスキルや知識の習得

階層が上がるほど、求められるスキルや知識は増えていきますが、独自のスキルアップや現場の指導だけだと、十分な効果が得られない可能性があります。

そのため、各階層に応じた育成を実施することで、短期間でパフォーマンスを発揮できる状態にするのです。

OJTについても知識を深めたい方はこちら

階層別研修に必要な「体系図」とは

階層別研修における体系図とは、階層別研修の全体像を視覚的に表した図のことです。

階層別研修を導入するために、必要性や作成方法をチェックしておきましょう。

階層別研修体系図の必要性

体系図を作成する目的は、自社の実情にあった研修体制を構築することです。

階層ごとの研修内容が定まっていないと、研修を実施しても十分な効果は得られません。

しかし、体系図を作成すれば、全体像や階層別に必要なカリキュラムを見える化できます。

計画的で継続性のある教育を実現できるため、効果の最大化につなげられるでしょう。

体系図の作成方法

体系図を作成する手順は以下の通りです。

1. 対象者を明確にする

階層別に社員を分けて対象者を決定しましょう。

どこまでが若手社員でどこからが中堅社員かなど、あらかじめ区分を決めておくことがポイントです。

階級や年次、勤続年数、習得スキルなど、階層の基準を明確にしてください。

2. 階層別の研修内容を決定する

各階層の対象者に対して、どのような役割を求めているのか整理します。

その役割を果たすために必要な知識とスキルを明確にし、階層ごとの具体的な研修内容を決定してください。

研修内容は、企業の方針や現場の声を取り入れつつ、講師や所要時間、研修後のフォロー内容なども、あわせて決めておくとよいでしょう。

3. 体系図としてまとめる

上記で設定した項目を表にまとめます。

とくに決まった形式はありませんが、以下のように階層と対象者を縦軸に、研修内容を横軸に記載するのが一般的です。

こちらは小売業を例にした簡易的な体系図です。

  研修内容(カリキュラム例)
新入社員 新入社員研修
ビジネスマナー研修
若手社員 入社2・3年目研修
中堅社員 新任管理者研修
フォロワーシップ研修
管理職 上級管理者研修
リーダーシップ研修
店舗スタッフ 新人研修
店舗スタッフ研修
店長 店舗マネジメント研修


カリキュラムについては「階層別研修のカリキュラム例」の章で解説しています。

階層別研修を実施するメリット

階層別研修を行うことで得られるメリットについて解説します。

導入しようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

組織内でスキルや知識が共有可能

上司や先輩が直接指導するOJTでは、育成担当者によって教育の質に差があります。

その点、階層別研修では、階層の社員に一律で研修を実施します。

教育を標準化・均質化することで、社員の能力レベルにバラつきが生じにくいことがメリットです。

社員モチベーションの向上

階層別研修を実施すれば、自分に求められる役割や能力を理解できます。

具体的に何をすればよいのか明確になることで、意欲的に業務に取り組むようになり、モチベーションアップにつながるでしょう。

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階層別研修のデメリットとその対策

階層別研修にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも考えられます。

対策とあわせて確認しておくと安心です。

個人スキルに合わせた研修内容にしにくい

階層別研修は階層ごとに一律で行うため、社員一人ひとりに対して柔軟な対応はできません。

社員によってはすでに必要な知識やスキルを習得していたり、逆に研修内容が不十分だったりすることも考えられます。

対策

社員一人ひとりを適切にフォローする、受けたい内容を選択できる「選択型研修」と組み合わせるなどが挙げられます。

受身の研修になりやすい

階層別研修は受け身になりやすく、積極的に学ぶ姿勢を引き出せない可能性があります。

とくに講義形式の研修は自分から考える機会が少なく、内容が身につかないこともあるため注意が必要です。

対策

ワークショップやディスカッションなど参加形式の研修も取り入れてみましょう。

スケジュール調整が難しい

複数の社員を集めて実施する階層別研修は、スケジュール調整が困難です。

とくに忙しい管理職を同時刻に集めるのは難しく、参加できない人が出てくる可能性があります。

対策

業務時間外に実施するなど柔軟に日程を設定して、社員が参加しやすい環境を整えることが重要です。

必要に応じてe-ラーニングやオンライン研修なども検討しましょう。

階層別研修を成功させる3つのポイント

階層別研修の効果を最大化するためのポイントをまとめました。

1. 研修の効果測定・検証を行う

階層別研修のあとは、効果測定・検証を実施することが重要です。

満足度アンケートや理解度テストなど、複数の測定方法を取り入れてください。

これらの結果をもとにPDCAサイクルを回し、研修内容を定期的にブラッシュアップしましょう。

最新の知識や方法を積極的に取り入れることで、階層別研修の効果をより高いものにできます。

2. フォローアップ研修を行う

フォローアップ研修とは、研修が終了して一定期間が経過したあとに開催する研修です。

研修内容や研修以降の業務を振り返ることで、学んだ内容の理解度向上や定着を促します

さらに研修の効果測定としても役立つので、課題の発見やブラッシュアップにもつながるでしょう。

3. 研修カリキュラムにアウトプットを取り入れる

学習方法は新しい知識やスキルを得る「インプット」と、それを実際に使用する「アウトプット」に分かれます。

双方を組み合わせて実施することで、知識やスキルの定着を早めることが可能です。

学習したことを発信したり、業務を疑似体験したりすることで、階層別研修の効果を高められます。

研究内容の発表やロールプレイングなどのアウトプットを、研修カリキュラムに取り入れましょう。

研修の効果を高める「アクティブラーニング」とは?

階層別研修のカリキュラム例

階層別研修を成功させるには、適したカリキュラムを選択することが重要です。

各階層におすすめのカリキュラム例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

新入社員研修

ビジネスマナー研修 ビジネスシーンで求められるマナーや立ちふるまいを習得する
コンプライアンス研修 社会人として倫理観や責任感について学び、ルールを守る意識を高める
OA研修 ビジネスシーンで活用する機器の基礎知識や操作スキルを身につける
マネー研修 給与体系や税金などビジネスシーンにおけるお金に関する知識を学ぶ
コミュニケーション研修 聞く力や伝える力など働く上で必要なコミュニケーションの基本を学ぶ


新入社員の場合、与えられた業務の遂行に必要な知識やスキルを学ぶ必要があります。

また、他業種から転職した社員やブランクがある社員に対する研修についても、あわせて検討しておきましょう。

若手社員研修

プロジェクトマネジメント研修 プロジェクトの計画から完了までのプロセスを学んで管理スキルを向上させる
プレゼンテーション研修 聞き手に自らの主張・意見をわかりやすく伝える手法を学ぶ
ロジカルシンキング研修 論理的な思考を身につける
ストレスマネジメント研修 ストレスとの上手な付き合い方や適切に対処する方法を学ぶ


業務遂行に必要な能力を高める研修や、中堅社員にステップアップするための基礎を固める研修がおすすめです。

転職を考え始める社員が多い階層なので、リテンションを意識した研修を取り入れることも検討してください。

中堅社員研修

フォロワーシップ研修 上司やリーダーを支援する方法を習得する
セルフマネジメント研修 自らの行動や感情を自己管理するための方法を学ぶ
メンター研修 新入社員や若手社員を指導するメンターに必要な知識・スキルを身につける
リーダーシップ研修 リーダーに求められる知識や統率力や指導力を養う


管理職と現場の橋渡しを求められるケースが多いため、チームの成果を高めるための知識やスキルが必要とされます。

上司としての立場で業務をおこなうことも多くなるので、リーダーシップ研修の実施も検討しましょう。

管理職研修

マネジメント研修 マネジメントに関する専門知識やスキルを身につける
コーチング研修 部下の育成やチームのパフォーマンス向上を目的とした知識やスキルを習得する
リスクマネジメント研修 企業が抱えるリスクに対する予防と対応策を学ぶ
評価者研修 公正・公平な評価をおこなうための知識やスキルを身につける


社員をまとめる立場である管理職には、組織運営やリスクマネジメントのための知識やスキルが必要です。

社員の成長や業績拡大のために、何をすべきか学べる研修を選択してください。

役員研修

アカウンティング研修 会計・財務に関する知識やスキルを習得する
経営戦略研修 経営戦略の立案やプロセスの作成に必要な知識やスキルを学ぶ
トップマネジメント研修 企業経営のための知識やスキルを学ぶ


事業戦略や方針の策定などに関わる役員には、経営の知識や高度なマネジメント能力が求められます。

また、グローバル展開を検討している場合は、海外の文化や法律の違いを学べる研修が必要でしょう。

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まとめ

階層別研修では、階層別に求められる知識やスキルの習得を目指します。

組織内でスキルや知識が共有でき、社員モチベーションの向上につながることがメリットです。

一方で自社やそれぞれの階層に適したカリキュラムを設定しないと、十分な効果は期待できません。

階層別研修体系図を作成して、全体像を見える化しましょう。

成功させるポイントや階層ごとのカリキュラム例も紹介したので、ぜひ役立ててください。

画像出典元:O-DAN

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