会社設立時の決算日の決め方。損をしないための3つのポイントを解説!

会社設立時の決算日の決め方。損をしないための3つのポイントを解説!

記事更新日: 2023/09/04

執筆: 編集部

会社を設立する際には色々なことを決めなければなりませんが、決算日もそのうちの一つです。

ご存知の方も多いと思いますが、会社の事業年度の区切りの最終月のことを「決算月」、決算月の中でも最終日のことを「決算日」といいます。

決算日はいつにするかは自由に決めることができます。ただ、いつでもよいとはいえ、適当に決めてしまうとせっかくの節税のチャンスを逃してしまうことになりますので、しっかり考えて設定することが大切です。

そこで、今回は会社設立時の決算日の決め方、損をしないための3つのポイントを解説します。

決算日は自由に決めることができる

個人事業主の場合は暦年課税といって、毎年1月1日から12月31日が会計期間として定められており、所得税は翌年のは3月15日までに申告・納付しなければなりません。

しかし法人の場合は、会社設立日から一年以内であれば、基本的に決算日を自由に決めることができます

仮に、5月25日が会社設立日だとしたら、翌年の4月30日を決算日とすることもできます。

また、決算日は月末に限らなくてもよいので、たとえば4月18日など中途半端な日付を決算日にすることもできます。ただ決算処理も行いやすさもを考えると、普通に月の末日にすることをおすすめします。

決算日の決め方 3つのポイント

さて、会社設立日から一年以内であれば、決算日はいつにしてもよいというのは先程ご説明した通りです。

そこで、この章では決算日を決めるときに損をしないための3つのポイントについて解説していきます。

1. 繁忙期を避ける

繁忙期を避けたほうが良いのにはいくつか理由があります。

節税対策などを行いやすくなる

まず、季節によって売上の変動が大きい業種の場合、繁忙期を避けて、繁忙期よりも少し前の月を決算日に設定するのがおすすめです。

なぜなら、期の初めが繁忙期だった場合、期の最初に大きな売上があることになります。決算日はずっと先ですので、そのあと時間をかけてしっかり節税対策などを行うことができます。

逆に、期の初めに計画していた予定の売上が確保できなかった場合、残りの期間で計画の修正や対策をしっかりと行うことができます。

これを、売上が一番多い繁忙期を決算月にしてしまうと、繁忙期の売上に対する対策を残りの短い期間で行わなければならなくなります。

節税対策を行う場合でも、黒字化対策を行う場合でも、残りの期間が長くある方がしっかりとした対策が行えます。

決算に伴う事務作業に割く時間を確保する

もう一つの理由としては、決算日の前後は提出書類の作成や税金の納付など、やることがたくさんありますので、単純に忙しくなるタイミングを避けた方がいいということです。

繁忙期は売上が多いだけでなく、その名の通り「忙しい」ということですので、決算の事務処理のせいで本来やるべき業務が滞ってしまうのでは本末転倒です。

繁忙期は、より売上を伸ばすことに集中したいですよね。


以上のような理由から、決算日は繁忙期を避けるべきです。

2. 決算後の決算申告と納税に注意

決算後の決定申告と法人税の納付は、原則として決算日から2か月後までに行う必要があります

決算日の2か月後の日にちが土曜、日曜、祝日など税務署の閉庁日と重なってしまった場合はその翌開庁日が申告期限となります。

たとえば、5月31日を決算日にした場合、7月31日までに税金を納付しなければなりません。

ご承知の通り、税金は利益が多ければ多いほど高額になってきますので、納税する月と資金繰りが悪化してしまう月が重なってしまうと、実際に納税するお金がたりなくなってしまう可能性があります。

税金が納められずに倒産、なんてことがあるのかと思う方は多いかもしれませんが、実は中小企業ではよくあることなのです。

そうならないためにも「決算日から2ヶ月後」に納税することを踏まえて決算日を決めることが大事です。

3. 消費税の免税期間を最大化する

資本金の額が1,000万円未満の場合、基本的に2期まで消費税の納税が免除されます。本当は細かな条件によって2期かどうかは変わるのですが、ここでは一旦おいておきます。

注意すべきなのが「2年」ではなく「2期」だということ。

例えば、4月頭に会社を設立したとして、決算月を12か月後の3月とした場合と9か月後の12月とした場合、どちらも同じ「1期」となり、消費税の免除が適用される期間に差が出ます。

(例)2018年4月に会社設立をした場合

決算月 3月 → 2020年3月までの丸2年間、消費税が免税

決算月12月 → 2019年12月までの1年9ヶ月間、消費税が免税


そのため、消費税の免除期間を最大限確保したいのであれば、1期(初年度)から丸々12か月間となるよう決算月を設定しましょう。

なお、途中で説明を省いた細かい条件については以下の記事で解説しています。気になる方は参考にしてください。

 

決算日は変更も可能

決算日変更は節税につながる場合も

会社を設立したばかりの頃は売上の予想が立てづらいと思いますので、きちんと検討して決算日を決めた場合でも、いざ事業が始まると予定通りとはいかないこともあります。

そんな時は、決算日を変更することができます

具体的には、

  • 決算事務と繁忙期が重なってしまう
  • 繁忙期のすぐあとに納税がくるので、節税対策できない

といった場合に決算日を変更することが考えられます。

実際に決算日変更が節税につながる例をみてみましょう。

決算日変更が節税につながる場合

決算日が5月31日だったとします。

1月時点で、4月に予想外の大きい売上が入ることがわかりました。

この場合、決算日を3月に変更してしまうのがおすすめです。

なぜなら、決算日を3月に変更しておけば、4月に入ってくる大きい売上は次の事業年度の売上となり、今回の決算には含まれないので次の期でゆっくり節税対策を行うことができるからです。

決算日を変更しなかった場合、大きな売上のあった翌月が決算のため、どんなに頑張っても短期間で節税対策を行うのは難しいでしょう。

決算日変更の手続き

では、実際に変更するにはどのようにすれば良いのでしょうか。

1度決めてしまったことを変えるのはちょっと面倒なのでは?と思う方も多いと思いますが、決算期の変更はそれほど難しくはありません。

手順については次の通りです。

1. 株主総会の開催

株主総会で、決算日変更を決議します。

小規模の会社の場合は株主総会が開かれない場合がありますが、その際は株主総会議事録のみを作成します。

2. 定款を変更

決議した内容にもとづいて、定款を変更します。

決算日は登記事項ではないので、法務局での手続きは不要です。

3. 届け出

税務署・都道府県税事務所・市区町村に「異動届出書」を提出します。


手続きには費用はかかりません。事業年度の開始日から1年を超える決算日の変更は出来ない、ということには注意してください。

決算日変更はむやみに行うものではない

たしかに決算日変更は比較的容易にできるものではありませんが、節税目的で頻繁に行うものではありません。

それなりの時間と労力を伴うことですし、長期的にみれば節税効果も限定的です。

決算日変更はやむを得ない場合に行うもの、2回3回行うものではないということを心に留めておきましょう。

 

まとめ

会社設立時の決算日の決め方、損をしないための3つのポイントを解説してきました。

決算日を変更することも比較的容易にできますが、ころころ変えるものではありません。

一発で適切な決算日を決めるつもりで、事業の見通しをよく考えて決めましょう。


なお、会社設立時に決めるべきことは他にもたくさんあります。以下の記事で会社設立の流れをまとめているので、ぜひ参考にしてください。

 

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画像出典元:Pexels

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