ソーシャルビジネスを解説!収益の仕組みと海外・日本の事例とは?

ソーシャルビジネスを解説!収益の仕組みと海外・日本の事例とは?

記事更新日: 2021/04/01

執筆: 編集部

社会や地域が抱える問題を解決できる事業を展開するソーシャルビジネスに注目が集まり、その分野にチャレンジしようという動きが活発化しています。

この記事では、ソーシャルビジネスの概要、収益の仕組み、海外・日本のソーシャルビジネスの事例と関連用語などを紹介します。

ソーシャルビジネスの新たなビジネスモデルを計画しているなら、この記事を参考にしてください。

ソーシャルビジネスとは

ソーシャルビジネスとは、社会問題を解決することを目的とした事業です。

ソーシャルビジネスで解決を目指す社会問題には、環境汚染、貧困問題、人種差別や性差別、子育て支援や介護、まちづくりなど様々な分野の問題が含まれます。

ソーシャルビジネスと社会起業家

社会問題の改善や解決を目指すソーシャルビジネスを起業する人を、社会起業家やソーシャルアントプレナー(Social Entrepreneur)と呼ばれます。

ソーシャルビジネスの特徴

経済産業省による「ソーシャルビジネス研究会報告書」では、次の3つの特徴すべてを満たすものをソーシャルビジネスとして定義しています。

1. 社会性 

現在解決が求められる社会的課題に取り組むことを事業活動のミッションとしている。

※取り扱う社会問題により、活動範囲に地域性が生じる場合があるが、地域性の有無はソーシャルビジネスとして判断される基準には含めない

2. 事業性

1.のミッションをビジネスの形にし、継続的に事業活動を進めていくこと

3. 革新性

新しい社会的商品やサービス、それを提供する仕組みを開発したり、活用したりすること

そのビジネス活動が社会に浸透することにより、新しい社会的価値が生み出されること

 

こうした3つの特徴が揃っているビジネスモデルがソーシャルビジネスと定義できます。

 

ソーシャルビジネスと何が違う?

  目的の違い 資金源 人材
ソーシャルビジネス 社会問題の解決と利益 事業収益 従業員
一般的なビジネス 利益が最優先 事業収益 従業員
NPO(ボランティア団体を指す) 社会問題の支援 寄付・事業収益 従業員
ボランティア
ボランティア(個人を指す) 社会問題の支援 寄付 ボランティア
NGO(国関係なく活動するボランティア団体を指す) 社会問題の解決・支援 寄付
助成金・補助金
職員
ボランティア

 

ソーシャルビジネスの収益の仕組み

これまで社会問題の解決の担い手は、行政やNPO・ボランティアでした。

行政やNPO・ボランティアの活動は、公的資金の活用や無償で行われるので、収益性は重要視されません。

しかし、ソーシャルビジネスは収益が資金源です

社会問題の解決と収益のバランスの確保が必須となります。

次にソーシャルビジネスの収益の仕組みを具体的な事例を使って紹介します。

マザーハウスの収益の仕組み

画像出典元:「マザーハウス」公式HP

マザーハウスの事業内容は、発展途上国でアパレル製品及び雑貨の企画・生産・品質指導して、先進国で販売することです。

マザーハウスが取り組んでいる社会問題は、発展途上国の雇用拡大、貧困問題・経済自立になります。


マザーハウスの現地雇用と経済的自立

マザーハウスの商品は、バングラデッシュなどの貧困国で生産しています。

貧困国で生産する事で、継続的に安定した雇用を現地で生み出し「経済的自立をさせる事」で、貧困問題の解決に乗り出しています。

ボランティアや援助ではなく「自立と雇用」がソーシャルビジネスになっています。


マザーハウスが収益を上げた理由

マザーハウスが収益を上げ続けている理由には次の2つがあります。

  • 発展途上国で製造された商品でも、クオリティに妥協せず優れた商品を提供していること
  • マザーハウスのストーリーを発信し続けることでブランド価値を確立したこと

マザーハウスは、途上国の生産でも国産と変わらないクオリティを提供し続けることで固定ファンを増やし、収益を上げてきました。

マザーハウスのソーシャルビジネスとしての背景を知らずに、商品の魅力から顧客となる層も多くいます

マザーハウスの店舗では「途上国での生産」をアピールするポスターなどは見当たりません。

継続的に収益を上げるには「社会問題解決の新しいビジネスモデル」と「通常のビジネスとしても魅力的であること」が必要です。

有名なソーシャルビジネス:グラミン銀行

画像出典元:「グラミン銀行」公式HP

次に世界的な有名なソーシャルビジネス「グラミン銀行」を紹介します。

グラミン銀行とは

グラミン銀行は、貧困層の人々に無担保で少額融資を行う貧困層向け金融サービスを提供しているバングラデシュの銀行です。

創始者であるムハマド・ユヌスが2006年にノーベル平和賞を受賞したことで有名になりました。

グラミン銀行の起業の理由と取り組んでいる社会問題

グラミン銀行は、バングラデシュの貧困層の女性たちを支援することを目的としていました。

貧困層の女性たちは所得が少なく、資産もそれほど持っていません。

お金を借りたい場合、地主や仲買人から高金利で借りるのが一般的であり、それがさらなる貧困に拍車をかけました。

グラミン銀行では、貧困層に向けて無担保での少額融資サービスを提供しました。

グラミン銀行が貧困層へ金融サービスを提供できた仕組み

移動業務

銀行スタッフが村の人々が集まるところに出かけて、融資や貯蓄、返済などの手続きを行う

5人組

借り手同士で5人組と呼ばれるグループを作る

返済不能なメンバーが出れば、他のメンバーが返済の肩代わりをする

4つの原則と16の誓い

規律・団結・勇気・勤勉を柱とした「4つの原則」と、環境美化、家族計画、節約、教育などの分野について「16の誓い」を村の集会で暗唱する

借りたお金を浪費して返済が滞るのを防ぎ、生活の質の向上を促す活動として行っている

グラミン銀行の現状

1998年の大洪水の影響を受け、多くの債務者が返済不能に陥りグラミン銀行の経営にも暗雲が立ち込めました。

この危機を打開する方法として、グラミン銀行は一部仕組みを変更して立て直しを図りました。

変更した仕組みの例

  • 5人組を基盤とした貸付から個人貸付への転換
  • 返済が難しい場合は返済スケジュールを見直す
  • 少額融資だけでなく大規模融資の提供
  • 毎月一定額を10年間積み立てる貯蓄型金融商品の提供

開始当初は、ほとんど利益がない状態でしたが、2000年以降は顧客の増加に伴い毎年継続して利益を計上しています。

グラミン日本とは

画像出典元:「グラミン日本」公式HP

バングラデシュのグラミン銀行の日本版がグラミン日本です。

グラミン日本のビジネス

グラミン日本では、貧困や生活困窮者に低金利・無担保で少額融資を提供しています。

 

取り組む社会問題

現在日本では6人に1人の国民が貧困ライン(収入から社会保険料や税金を差し引いた年間所得が122万円未満)以下で暮らしているという報告があります。

さらに一人親世帯の過半数以上が貧困状態なのが現状です。

グラミン日本は、日本の貧困問題解決のためのソーシャルビジネスを展開しています。

利益を上げるための仕組み

融資額とその利子を回収しビジネスとして利益を上げるために、グラミン日本では融資対象者に以下の条件を設けています。

  • 現在の収入が一定ライン以下※生活保護基準の1.8倍以内が目安、地域や世帯構成により違いあり
  • 5人一組のグループで互いに信頼しあい、助け合うことができる
  • 規律が守れて、毎週のセンターミーティング(5人一組のグループ会合)に参加できる

融資実績を増やすため、さらなる認知度の向上とソーシャルビジネスとしての成功を目指して現在も活動を続けています。

ソーシャルビジネスの事例

海外や日本のソーシャルビジネスの事例をさらにいくつか紹介します。

ビッグイシュー

画像出典元:「ビッグイシュー」公式HP

ビッグイシューではホームレスの人たちに路上で雑誌の販売をしてもらいます

売上の一部がホームレスの収入になり、ホームレス状態から抜け出す足がかりになるというソーシャルビジネスです。

1991年にイギリスで始まったビッグイシューですが、2003年9月にはビッグイシュー日本版が創刊されました。

イギリスでも日本でもビッグイシューがビジネスとして成り立っているのは、ホームレスの活動ではなく、誰もが定期的に購読したくなる魅力的な雑誌にした点です。

ビッグイシューの仕組み

ビッグイシュー日本版は現在定価450円で販売されており、230円が販売従事者のホームレスの収入になってます。

販売従事者として登録されたなら、最初の10冊は無料で提供され、完売すると4,500円の売上になります。

2回目以降はその売上を元手に、1冊220円で仕入れて450円で販売するという仕組みです。

ビックイシューの現状

新型ウイルス感染症の影響による緊急事態宣言で、外出者が激減し、路上販売というスタイルが困難になりました。

ビジネスを継続させるために「コロナ緊急3ヵ月通信販売」というサービスを新たに提供し、通信販売で得た売上の一部を雑誌販売従事者に毎月定期的に還元できるようにしています。

Zilingo(ジリンゴ)

画像出典元:「Zilingo」公式HP

Zilingoは2015年にシンガポールで設立されたファッションスタートアップです。

東南アジアの中小・零細・個人規模のブランド、小売業者、工場をマッチングするBtoBマーケットプレイスを運営しています。

BtoC向けのファッションECマーケットプレイスも展開中です。

取り組んでいる社会問題

東南アジアの製造業者は生産しても十分な利益を獲得できず、労働者も基本的な賃金、福利厚生、安全な労働環境が保証されていないという問題があります。

そうした国の工場で働いている労働者の大半は女性です。

Zilingoは安全で最低賃金が保証された仕事を提供し、公平で正しい労働対価を提示する努力を続けています。

Zilingoのビジネスモデル

Zilingoのターゲットとなる顧客は中小企業や個人事業主です。

彼らに在庫管理システム、越境対応物流システム、売上分析、コンサルティング、テクノロジーサポートまでを無料で提供しています。

融資、保険、カタログ作成、商品撮影などのオプションサービスもあり、これらのサービスを一つのプラットフォームで提供できるのが魅力です。

Zilingoの現状

ECマーケットへの出品は無料で、売り上げの15%が販売手数料としてZilingoの収益となります。

現在、契約している小売業者は33,000社以上、月間のアクティブユーザーは500万人以上となっており、オーストラリア・香港・インド・インドネシア・フィリピン・シンガポール・タイ・アメリカにオフィスを置きグローバルに事業を展開しています。

2019年2月には約250億円規模の資金調達に成功しました。

創業から3年半でこのクラスの資金調達に成功したのは驚異的です。

今や世界的に認知されている「Uber」はこの規模の資金調達を成功させるまでに約5年かかったからです。

驚異的な成長を遂げているZilingoは成功したソーシャルビジネスのひとつの例といえます。

LITALICO(りたりこ)


画像出典元:「LITALICO」公式HP

LITALICOは、学習塾及び幼児教室の運営事業、障害児支援事業、障害者への就労支援事業、インターネットメディア事業などのソーシャルビジネスです。

 

取り組んでいる社会問題

LITALICOが取り組んでいる社会問題は、障がい者への就労支援と教育問題です。

日本には964万人の障害がある方がおり、そのうち377万人が労働可能と言われています。

しかし、労働可能な障がい者のうち実際に就業しているのは14%と言われています。

月の平均収入は15,600円程度であり、これだけでは生活するには厳しい状況にあります。

LITALICOでは、障がい者向けの就労支援サービスを提供することをソーシャルビジネスとしています。

さらに、LITALICOは教育問題についても取り組んでいます。

文部科学省の調査では学習面もしくは行動面で著しい困難を示す児童が全体の6.5%、不登校が16万人いるという報告があります。

LITALICOでは、従来の画一的な教育システムでは限界があると考え、それぞれの子どもに合った学習環境を提供する「LITALICOジュニア」という学習教室を運営しています。

LITALICOの現状

LITALICOは2018年には障害者と就労支援事業所をマッチングする情報サイト「LITALICO仕事ナビ」、2019年には障害福祉で働きたい人向けのメディア&転職サービス「LITALICOキャリア」のサービスをスタートさせてソーシャルビジネスの基盤を固めています。

rebake(リベイク)

画像出典元:「rebake」公式HP

rebakeは日本全国からパンのお取り寄せができる通販サイトです。

全国のパン屋がrebakeのサイトに登録しています。

お客様は事前に特定の店のパンに予約注文をし、売れ残りやロスになるパンが出たときには、店側からそれを送ってもらうというシステムになっています。

ロスになったパンは通常の価格よりお得な価格設定です。

店側は、ロスになるパンと、通常販売するパンの両方をサイト上で販売することができます。

取り組んでいる社会問題

rebakeはフードロスの削減、とりわけ売れ残りのパンの廃棄を減らすことに取り組んでいます。

rebakeのサイトからパンを購入することで、利用者は廃棄の削減に貢献できます。

さらに収益の一部はフードロスの削減に取り組んでいる団体に寄付されます。

rebakeのビジネスモデル

rebakeを利用したいパン屋は、通信販売したいパンを登録するだけで簡単にrebakeのサイト上に自分の店のパンを公開できます。

お客様からの注文が入れば、発送手続きはそのパン屋で行います。

システム利用料、決済サービス利用料として売上の15%をrebake側に支払いますが、それ以外のサービスは無料です。

rebakeの現状

rebakeではECサイトでの通販だけでなく、コロナウイルスの影響で時短営業や休業を余儀なくされている地域の飲食店の支援にも力を入れています。

2020年には神奈川県藤沢市の飲食店を支援のために、同地域の人気パン屋4~6店舗の商品を詰め合わせたパンセットの販売を期間限定で行いました。

2020年の12月末には「青山パン祭り」というパンイベントで余ってしまったパンのセットをrebakeのサイト上で予約販売するという期間限定サービスを提供しました。

株式会社いろどり

画像出典元:「株式会社いろどり」公式HP

株式会社いろどりは、高齢者を中心とした農家が、葉っぱや花などをホテル、旅館、料亭などで提供される料理の「つまもの」として出荷する事業を展開しています。

取り組んでいる社会問題

株式会社いろどりのある徳島県上勝町は人口約1,500人、高齢化率50%以上の町です。

徳島県上勝町は、いろどり事業を通じて高齢者への働く環境の提供、地域の活性化といった問題に取り組み成功しました。

株式会社いろどりのビジネスモデル

徳島県上勝町では、町の産業としてミカンの生産を行っていましたが、寒波による大打撃などの影響もあり、新しい農作物を探しているところでした。

そこで目をつけたのが「つまもの」です。

葉っぱならば軽いのでお年寄りも扱いやすく、収穫サイクルが短いので農家の資金繰りも難しくない、さらに草花のもつ「綺麗さ」にも表品価値があると考えました。

さらに、在庫管理がしやすいようにPOSシステムを導入する、高齢者でも扱いやすいようにフルカスタマイズされたパソコンを農家に提供し農家で出庫調整ができるようするという施策を講じました。

お年寄りが扱えるようなパソコンを提供することで、お年寄りも自分で商品の売れ行きや、売れ筋商品の確認ができるようになり、働く意欲を刺激する効果も生まれています。

株式会社いろどりの現状

1986年創業の株式会社いろどりは創業から30年以上経過しました。

現在は200軒近くの農家がこの事業に参加し、年商は2億6,000万円、全国シェア80%を占めるまでに成長しています。

高齢者が仕事を持つことで、町に元気なお年寄りが増えました。さらに彼らが納税者となることで地方を支える役割の一つを担っています。

町が活性化することで、UIターン者が増加するなど売上以外の経済効果も生まれました

ソーシャルビジネスの支援ビジネス

ソーシャルビジネスを起業する社会起業家のための支援ビジネスも存在しています。

代表的なソーシャルビジネスの支援ビジネスを2つ紹介します。

ボーダレスジャパン

画像出典元:「ボーダレスジャパン」公式HP

ボーダレスジャパンではソーシャルビジネスを立ち上げる社会起業家をサポートするためのサービスを提供しています。

ボーダレスジャパンの起業家支援の仕組み

ボーダレスジャパンで社会起業家を支えるための2つのサービスを提供しています。

1:SUS(スタートアップスタジオ)
  • 事業を立ち上げる際に必要なサポートをしてくれる
  • ビジネスプランニング、マーケティング・ブランディング、採用、広報、クリエイティブデザインの5つの分野で各分野のプロフェッショナルがサポートしてくれる
  • 事業が黒字化するまではサポートは無料

2:BUS(バックアップスタジオ)
  • 経営を支えるサポートをしてくれる
  • 資金調達、経理、人事・労務、法務の各分野のプロフェッショナルがサポートしてくれる
  • バックアップスタジオ運営のために売上の2%の拠出が必要
  • このサポートにより起業家は事業に集中できる

ソーシャルビジネスで起業する際にネックとなる資金調達を含めたビジネス支援をしてくれます。

 

ソーシャルマッチ

画像出典元:「ソーシャルマッチ」公式HP

ソーシャルマッチは、日本企業と東南アジア現地企業もしくはNGOとのグローバルパートナーシップによるSDGs事業をサポートするサービスを提供しています。

ソーシャルマッチの社会起業家支援サービス

海外でソーシャルビジネスを展開したいという企業に対し、担当コンサルタントが現地情報の提供、自社にマッチした現地企業やNGOとの面談設定、当日の通訳や面談の進行役などの仕事を行います。

担当コンサルタントが現地企業の紹介から、商談サポート、プロジェクト企画まで一気通貫の支援をしてくれるので、無駄な時間をかけずに海外でソーシャルビジネスを立ち上げたいという方にはおすすめのサービスです。

ソーシャルビジネスの関連事項

ソーシャルビジネスを理解するうえで知っておくべき用語がいくつかあります。

次にそれらの用語と意味を解説します。

SDGs

画像出典元:「外務省SDGs」公式HP

SDGsとはSustainable Development Goalsの略です。

訳せば「持続可能な開発目標」となります。

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標として国連で採択されました。

ソーシャルビジネスを立ち上げようと考えている方なら、ぜひとも知っておくべき内容です。

SDGsの17の目標

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 安全な水とトイレを世界中に
  • エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

 

フェアトレード

画像出典元:「フェアトレードジャパン」公式HP

フェアトレード(Fairtrade)は公正な取引という意味です。

途上国の経済的・社会的に立場の弱い生産者と、経済的・社会的に立場の強い先進国の消費者が対等な立場で取引や貿易を行うことです。

これにより途上国の生産者への適正な賃金の支払い、安全な労働環境の整備などが実現し、彼らの暮らしの質が向上します。

フェアトレードの考え方が必要になった背景

日本を含めた先進国では途上国で生産された食料品や日用品、衣料などが驚くほど安い価格で販売されていることがあります。

安い価格で販売するために、現地の生産者や労働者に正当な対価が支払われない、生産性を上げるために、労働者に過酷な労働を強いる、必要以上の農薬を散布するなども問題が生じています。

こうした問題を解決し、生産者が質の高いものを作り続けるため、さらに自然環境にも配慮するために、フェアトレードという考え方が取り入れられるようになりました。

フェアトレード認証製品

国際フェアトレードラベル機構が定めた国際フェアトレード基準が守られた製品にはラベルが貼付できます。

途上国の現地生産者や企業との取引を含んだソーシャルビジネスを考えているなら、フェアトレードへの取り組みも考慮することで、ソーシャルビジネスとしてのブランド価値をさらに高めることができます。

サーキュラーエコノミー

画像出典元:「サーキュラーエコノミージャパン」公式HP

サーキュラーエコノミーとは「循環型経済」と訳せます。

従来の1.資源を採掘する→2.製品を作る→3.いらなくなった原材料や製品を捨てるという直線型経済システムを見直したものです。

サーキュラーエコノミーは、いらなくなった原材料や製品をひとつの「資源」と捉え、なるべく廃棄物を出さずに資源を循環させる経済システムです。

環境汚染や資源の枯渇も深刻な社会問題なので、ソーシャルビジネスで取り組むことができる問題に含まれます。

サーキュラーエコノミーの概念は次の3つの原則に基づいています。

サーキュラーエコノミーの3原則

1. 廃棄物や汚染を生み出さない設計を行う

2. 製品や原材料を使い続ける

3. 自然のシステムを利用する


この原則を見ると、サーキュラーエコノミーシステムは従来からある「Reduce(減らす)」「Reuse(再利用する)」「Recycle(リサイクル)」の3Rの考え方と違うことがわかります。

サーキュラーエコノミーは、製品の設計の段階から、回収と資源の再利用を前提条件としており、回収後の再利用やリサイクルがしやすいように解体を想定したモジュールデザインにすること、修理や部品交換などで製品自体を長く使うことを目的としています。

まとめ

ソーシャルビジネスとは、事業により貧困、環境汚染、高齢化社会、まちづくりなどの社会問題を改善することを目標としたビジネスでした。

国内外のソーシャルビジネスの事例を紹介しましたが、ソーシャルビジネスとして成功している事例はどれも、事業として継続性があり、成長しているという共通点がありました

ソーシャルビジネスには、成功すればビジネスとして収益を上げるだけでなく、社会貢献につながるという別の大きなやりがいがあります。

日本でも増えているソーシャルビジネスにぜひこれからも注目してください。

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