会社設立に必要な発起人とは?意味と役割、株主や取締役との違いを解説

会社設立に必要な発起人とは?意味と役割、株主や取締役との違いを解説

記事更新日: 2019/01/02

執筆: 浜田みか

会社設立では、個人事業の起業とは違い、いろいろな手順を踏むことになります。その一つに、“発起人の決定”があります。

発起人をたてるといっても、そもそも発起人とは何をする人なのかがわからなければ、正しく選ぶことができず、その後の会社運営にも影を落としてしまうことにもなりかねません。

今回は、会社設立における発起人の意味と役割、取締役や株主との違いを解説します。

また、発起人を選ぶ際には、気をつけるべき点も一緒に解説します。

発起人とは

会社を設立する際、まず最初に必要となるのが発起人です。その発起人の役割、株主や取締役との違いについて解説します。

発起人とはどんな人?

発起人を簡単に説明すると、会社をつくることを考えた人のことを指します。

たとえば、物品販売の事業を友人と二人でおこなっていたとしましょう。ある日、友人が今の事業を法人化してやっていこうと声を発したとすると、その友人が発起人ということになります。

厳密には、会社法上で発起人には役割と責任が定義されており、単に会社設立に参画した人だけを指すわけではありません。

会社法上でいうところの発起人とは、「会社設立にあたって出資し、定款に記名・押印した人物」となります。

よって、上記の例でいくと、友人が出資し、定款に署名・捺印をすれば、発起人として認められることになります。

発起人は会社設立後に株主となり、会社の意思決定に関わっていくことになります。

発起人の責任と役割とは?

発起人には、会社設立にあたり責任と役割があると述べました。それらがどのようなものなのか、リストにまとめました。

発起人の役割

  • 原資(資本金)を出資する
  • 会社の事業内容を決定する
  • 定款を作成する
  • 会社設立手続きを行う

発起人の責任

  • 原資の調達に不足が生じたとき、その不足金額を支払う
  • 会社の設立手続きなどにおいて、自身の役割を全うせず会社に損害を与えた場合、賠償の責任を負う
  • 会社設立に至らなかった場合、設立に関係する行為の責任を負う
  • 会社設立に至らなかった場合、設立に関係して支出した費用の負担責任を負う


発起人は、会社設立に関する手続きや費用面の責任を負う立場にあり、その責任を履行する義務があります。

そのため、発起人になるにはただ名乗りを上げるのではなく、必ず定款に署名・捺印することが義務付けられています。

発起人と株主はほぼ同じ

先ほど説明したように、発起人は会社に出資をしているので、無事に会社を設立できれば、株主となって会社の意思決定に関わることになります。

よって、発起人と株主はほぼ同じだといえます。

ただし、発起人は会社設立が行った人なので、それは会社設立後ずっと変わることはありません。一方で、株主は株式の譲渡によって変わっていきます。

たとえば、発起人が他の人に株式を譲渡してしまえば、その人は発起人ではありますが、株主ではなくなってしまいます。

発起人と取締役の違いとは?

発起人は会社設立の企画者であり、出資者です。

一方で取締役は、株主から会社の運営を任された人のことを指します。取締役は株主総会によって決められます。

会社によって、発起人と取締役が同じであることも少なくありません。特に、個人事業主から法人成りした企業では、よくあることです。

しかし、発起人と取締役が異なることもあります。

この場合、株主である発起人と、経営を任された取締役の間で「所有と経営の分離」がなされていることになります。

株主である発起人は株主総会を通して会社の意思決定に関わりますが、経営に直接携わる権利を持ちません。経営は取締役に委任します。

なお、一般的に社長と言われるのは、取締役の中でも代表権をもつ「代表取締役」のことですので、発起人=社長というのも、多くの場合で成り立つといえます。

発起人を決めるときの注意事項

発起人の選定には、要件があります。要件から逸脱していると、発起人として認められませんので、どのような決まりごとがあるのかを知っておく必要があります。

発起人の資格

発起人になれるのは、15歳以上の人物または法人です。

必要な資格などはありませんが、法的に人格が認められており、なおかつ印鑑登録ができる年齢を超えている必要があります。15歳未満は、印鑑登録が認められていないため、発起人になることができません。

印鑑登録ができる人格には、外国籍の人物や、破産している人物もその対象に含まれます。

なお、法人が発起人となって設立された会社は一般的に、発起人となった会社の「子会社」とよばれます。

発起人の人数

発起人になれる人数は1人以上で、上限はありません

一人だけで原資を調達することが難しい場合は、発起人を複数人立てることによって資本金を集めやすくなり、設立に際して生じるリスクも分散させることが可能です。

発起人が複数いる場合の注意点

発起人を複数たてる場合、設立時の資金面や負うべき責任に対するリスクが分散できる反面、気を付けておかなくてはならないことがあります。

一人で会社を設立する場合は、自分の考え方をそのまま事業計画や進行に反映させることができます。

ところが、発起人が複数人いると、それぞれに考え方があり、意見の相違が出やすくなります。それが資金調達や事業内容に響くものであれば、発起人同士の意見の違いから、設立計画自体が頓挫してしまうことにもなりかねません。

発起人が多すぎないか、建設的な議論を行える相手か、相性は悪くないかを考えて、選出には気をつけましょう。

発起人の株式比率には要注意!

株式会社において発起人が複数の場合、特に注意を払わなければならないのが株式の配分です。

もちろん会社の経営権が決まるということもありますが、もう一つ重要なのは、将来的なエグジットの際に決定的な利益の差を生みだすということです。

例えば、3人で起業し、4:3:3の割合で出資をしたとします。

順調に会社が大きくなり、ついにM&Aでエグジット。1億円で会社を売却するとなった場合の売却金は、株式比率と同じく、4,000万・3,000万・3,000万となります。

これは最初の資本金出資額で決定することなのです。たとえ、筆頭株主である4の割合の社長がほとんどの事業を頑張ってきたとしても、関係ないのです。

また、エグジットで得られる金額によっては新たな問題が発生します。4の割合の社長が会社を大きくして上場したいと思っていたとしても、M&Aでの売却金が欲しい3の割合の社長2人によって、望まない売却を議決される場合もあるのです。

経営者は目の前のビジネスに集中しがちになってしまいますが、会社の売却や上場など将来の大切な局面では株式の持ち分が最も重要です。

最初に適当に決める経営者が多いですが、ここで後々の大きな後悔をしてしまう経営者が多いのが実情です。

どのように株式を分配するのか、発起人間でしっかり相談する、また信頼できない人は発起人にしないことは必須事項です。

まとめ

会社設立に必要な発起人の意味と役割、株主や取締役との違いを解説してきました。

会社設立において、発起人は責任を負う立場となります。それなりの覚悟をもって引き受ける、あるいは任せるようにしましょう。

また複数人を発起人として選定する場合は、株式の分配に細心の注意を払うようにしましょう。


発起人の決定以外にも会社設立に必要な手続きは多く存在します。以下の記事ではそれを分かりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

画像出典:ペイレスイメージズ

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