人事評価システムを導入すれば、評価業務の効率化や公平化、マネジメントの質を向上できます。
この記事では、人事評価システムのメリットや機能、導入時の注意点などを詳しく解説します。
「中小企業」「自治体」それぞれに合った人事評価システムも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
人事評価システムとは、人事評価に関する業務を自動化できるシステムです。
人事評価は、人材育成、社員のモチベーション向上、組織の活性化に欠かせません。
しかし、これまでの紙ベースやExcelによる評価は、膨大な作業量や評価結果の偏り、データ分析の難しさなど、多くの課題を抱えていました。
そうしたなか、企業のニーズに合わせたさまざまなタイプの人事評価システムが登場し、業務の効率化だけでなく、評価の公平性を担保できるなどの理由から、企業の規模や業種を問わず導入が進んでいます。
人事評価システムのおもな機能は以下の4つです。
人事評価システムは、従業員の個人情報や経歴、スキルなど、従業員に関するあらゆる情報をシステム上で一元管理できます。
人事評価に関わる全員が、部署や場所を問わず、必要な情報にすぐにアクセス可能になります。
常に最新の情報を把握できれば、正確な人事評価の土台となり、配属先の検討やキャリアプランの策定に役立てられるでしょう。
人事評価システムでは、従業員の目標や達成度、評価などを登録・管理できます。
目標の達成度を可視化できるため、社員のモチベーションアップや目標達成に向けたアドバイスがしやすくなります。
また、システム上で面談やフィードバックの内容を管理・分析でき、振り返りや次の目標設定に活用できます。
人事評価システムにはさまざまな評価機能があり、自社の評価手段にあわせた評価が可能です。
評価者や人事担当者の負担が軽減されるだけでなく、評価基準を明確にできるため、評価の公平性を保てます。
人事評価システムでおもに管理できる人事評価の種類は以下のとおりです。
MB評価 | 目標達成度に基づいて個人の貢献度を評価 |
360度評価 | 上司、同僚、部下など、多角的な視点から評価 |
コンピテンシー評価 | 職務遂行に必要な能力(コンピテンシー)を明確化し、評価 |
人事評価システムは、給与計算システムや勤怠管理システムなど、ほかのシステムと連携することで、さらに多くのメリットを生み出せます。
たとえば、人事評価システムと採用管理システムを連携すれば、採用内定者の情報を自動で同期でき、人材の配置を効率的に検討できます。
システム連携によって得られるデータを分析して、組織全体の人材課題を把握し、効果的な人材育成の施策・立案に役立てましょう。
では、人事評価システムにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
4つのメリットについて説明します。
人事評価システムはこれらの作業を大幅に効率化でき、作業時間を軽減します。
モバイル対応できるシステムを導入すると、外出時や出張先でも各自がスマホで進捗を記入したり内容を確認したりでき、非常に便利です。
評価項目が不明確の場合、評価する側のスキルが不十分な場合、従業員が評価内容に不信感をもつことが多々あります。
「上司との相性が評価内容に影響しているのでは」と感じたことがある方も多いでしょう。
人事評価システムは、評価項目が明確に定められていて、評価する側のスキルが求められないので、不当な評価が生まれにくい環境が整います。
公正な人事評価が当たり前になれば、「頑張れば評価される」と思えるので業務へのモチベーションがあがり、結果的にチーム全体の雰囲気も良くなります。
多くの日本企業の評価制度は、「能力評価」「業績評価」「情意評価」が軸になっていて、これら3つを組み合わせる比率を変えることによって、自社に最適な制度を作っています。
しかし、近年、評価方法が非常に多様化しています。
例えばこんな評価制度をよく耳にするようになりました。
人事評価システムを導入すると、新しい評価制度を簡単に取り入れられます。
人事評価システムには「人の印象に左右されない機械的に評価されたデータ」が蓄積されます。
また、過去のプロジェクト履歴や研修受講履歴など、行動履歴も保存されていきます。
これらのデータを活用すれば、従業員の得意や不得意が可視化され、個人の育成方針を立てやすくなります。
個人だけではありません。それぞれのチームに足りないスキルや得意な分野も明らかになります。
これらのデータをそのチームの上司だけでなく全社で共有できるので、異動の際に効率的に人を配置可能です。
担当上司が変わっても情報が引き継がれることも大きなメリットですね。
メリットの多い人事評価システムですが、コストと導入の面で課題があるため注意が必要です。
対策とともに見ていきましょう。
人事評価システムの導入には、初期費用とランニングコストが発生します。
しかし、適切な人事評価システムの選定と運用によって、コスト以上の効果が期待できます。
コストを抑えるため、以下のように対策しましょう。
人事評価システムを導入する際には、人事評価システムの機能や特性を活かせるように、評価制度やフローの見直しが必要になります。
また、評価担当者や評価対象者の理解を得て、システムが使いこなされなければ、十分な効果は得られません。
システムの導入・定着を成功させるためには、以下の対策が効果的です。
中小企業向けのおすすめ人事評価システムを3つ紹介します。
予算と機能のバランスのほか、自社の評価制度に合っているか検討しましょう。
画像出典元:「HRBrain 人事評価」公式HP
HRBrainは、シリーズ導入社数累計3,000社以上の実績を誇るシステムです。
ユーザビリティに優れ、企業ごとのプロセスに合わせた自由度の高いカスタマイズが可能です。
評価の集計・調整もシステム上で完結するため、人事や従業員の大幅な工数削減を実現できます。
料金の詳細についてはお問い合わせが必要です。
画像出典元:「あしたのクラウドHR」公式HP
あしたのクラウドは、創業12年で培ったノウハウとナレッジで、あらゆる業種の人事評価制度構築に対応するシステムです。
各地に配置された「評価マイスター」が、人事専任の担当者がいない会社の人事評価の運用をサポートします。
また、AI による「目標添削機能」「評価者モニタリング機能」などの技術で、人事評価における課題解決を実現します。
詳細についてはお問い合わせが必要です。
自社仕様にカスタマイズした画面を無料デモ体験できます。
画像出典元:「MINAGINE人事評価システム」公式HP
MINAGINE人事評価システムは、シンプルな操作性と高いコストパフォーマンスにこだわったシステムです。
新たに面談記録機能(1on1機能)が加わり、人材育成のための適正な人事評価が可能です。
初期費用:200,000円~(税表記なし)
月額費用:10,000円(1〜30名・税表記なし)
※ 人数などで変動します
自治体向け人事評価システムを検討するときは、行政として信頼性を担保できるかチェックする必要があります。
LGWAN(総合行政ネットワーク)やISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)など、政府が定めるセキュリティ要件を満たしたシステムを選びましょう。
画像出典元:「カオナビ」公式HP
カオナビは、「ISMAPクラウドサービスリスト」に登録されているシステムです。
セキュリティ項目数は1,000以上あり、自治体で導入が進む360度評価にも対応しています。
「カオナビ Government Cloud」という政府・地方自治体に特化したプランがあります。
詳細についてはお問い合わせが必要です。
画像出典元:「One人事」公式HP
One人事は、強固なセキュリティ対策 、バックアップ体制およびサポート体制を備えたシステムです。
人事評価だけでなく、労務管理や勤怠管理、給与計算などの人事労務システムをワンストップで管理でき、必要な機能を必要なタイミングで追加可能です。
詳細についてはお問い合わせが必要です。
画像出典元:「タレントパレット」公式HP
タレントパレットは、秋田県や生駒市をはじめとした多くの地方自治体で導入されているシステムです。
地方自治体の支援に特化した専門のコンサルティングサービスや、スタッフ派遣などのサポート体制も充実しています。
また、「LGWAN回線」を使った接続方式のため、セキュリティ面でも安心です。
詳細についてはお問い合わせが必要です。
人事評価システム選びに失敗してしまうと、本来の効果を十分に発揮できず、導入コストが無駄になってしまう可能性があります。
チェックポイントは以下の5つです。
人事評価システムを導入する目的を明確にし、目的に合った機能を備えたシステムを選べば、導入の効果がアップします。
たとえば、目標管理を重視する場合は、目標設定、進捗管理、フィードバックなどの機能が充実しているシステムを選ぶ必要があります。
人材管理全般を効率化したい場合は、他システムと連携が可能な人事評価システムを選ぶのがおすすめです。
人事評価システムを導入する目的を明確にすることが、適切な機能を選ぶ第一歩です。
人事評価システムには、個人情報や評価結果などの重要な情報が含まれているため、セキュリティ対策が万全なシステム選びが重要です。
とくに、インターネット上で情報を管理するクラウド型の人事評価システムの場合は、前もってどのように情報を管理するのか確認しましょう。
カスタマイズ性が高いシステムであれば、自社のニーズに合ったシステムを構築できます。
将来的な評価制度の変更にも柔軟に対応できるか確認しておきましょう。
ただし、カスタマイズできる人事評価システムは、専門の知識やスキルが必要な場合もあるので、操作性とのバランスを考慮することが大切です。
人事評価システムは、人事担当者や評価担当者だけでなく、評価対象となる社員も使いやすいシステムを選びましょう。
使いにくいシステムでは評価業務が非効率になるだけでなく、社員の負担にもなります。
具体的な確認ポイントとしては、以下のようなものがあります。
人事評価システムには、評価結果を分析する機能が搭載されているものがあります。
評価データを分析することで、組織全体の人材課題が可視化され、効果的な人材育成に役立ちます。
分析結果は、具体的に次のような場面で活用できます。
人事評価システムの導入は費用はかかりますが、作業の効率性・セキュリティ・人材データの活用、どの側面においても無料で人事評価を管理するよりはるかに大きなメリットがあります。
従業員のモチベーションを保ち、離職率を低く抑える上でも、人事評価システムは有効です。
画像出典元:Burst、Pixabay
給与体系のモデル作成方法から見直し手順までをやさしく解説
組織開発とは?基本手順・重要ポイント・代表的な手法をやさしく解説
人事査定とは?考課・評価との違いや具体的な査定方法も紹介
【時代遅れ!?】人事考課とは?目的や人事評価との違い・注意点など分かりやすく解説
【好事例あり】テレワークに適した人事評価とは?上司・部下が抱える課題についても解説
【事例と対策】人事評価への不服申立ての手順と注意点を徹底解説
【テンプレートあり】人事評価シートとは?評価項目から書き方についても例文付きで解説
【失敗しない】人事評価面談とは?具体的な進め方や面談時の上司・部下別ポイント解説も
人事評価でもAIは十分活用できる!成功事例・デメリット・メリットも紹介
自己評価の例文【職種別】うまく成果をアピールする書き方とポイント