人事査定とは?考課・評価との違いや具体的な査定方法も紹介

人事査定とは?考課・評価との違いや具体的な査定方法も紹介

記事更新日: 2024/08/13

執筆: 遠藤亜美

社員のモチベーションのみならず、会社の業績や社風にまで強く影響する人事査定は、企業にとって大変重要な取り組みです。

しかし実際に導入するとなると、方法がよくわからないというケースも多いかもしれません。

本記事では、人事査定の概要や流れ、メリット・デメリット、主な査定項目や方法、注意点について解説します。

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人事査定とは?

人事査定とは、一定期間における社員の仕事ぶりや会社への貢献度を客観的に評価し、給与や賞与、昇格といった処遇に反映させることを指します。

人事査定の目的

人事査定の目的は、業績や能力、情意などについて特定の基準にしたがって社員を平等に評価することにより、不公平感をなくすと同時に仕事へのモチベーションや会社への忠誠心を喚起させることにあります。

それによって、会社全体の成長や業績向上、チームの団結力を上げる効果などが期待できます。

人事「査定」「評価」「考課」の違い

人事査定に似た言葉に「人事評価」と「人事考課」があります。

三者に厳密な違いはなく、同じ意味や文脈で使われることが少なくありません。

あえて違いをいうと、「評価」は、社員の能力開発や育成、組織内での異動を目的として社員の仕事ぶりや能力を判断する仕組みというニュアンスです。

「考課」は、社員の業績や会社への貢献度を一定の基準で評価し、昇給や昇格の判断に活かすのが目的のため、「評価」に比べるとより人事査定に近いといえます。

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人事査定を行うメリットとデメリット

人事査定には、メリットとデメリットがあります。

まずメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

  • 社員の納得感やモチベーションがアップする
  • 企業理念を共有できる

人事査定では、一定の基準で平等に社員を評価します。

努力すればするほどそれに見合った昇給や昇格が約束されるため、社員のモチベーションが向上する効果が見込めます。

また、企業理念を理解して仕事に反映できる社員は自ずと査定結果が良くなるので、企業理念を深く浸透させ、理想の社風を構築することが可能になります。

一方、評価者によって評価結果が異なるなど査定方法を誤ると不公平感が生じ、社員のモチベーションが低下したり、社内不和が蔓延したりするデメリットもあるため注意が必要です。

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人事査定の流れ

人事査定は、以下の3つのプロセスにしたがって行います。

  1. 項目に沿って査定する
  2. 待遇に評価結果を反映する
  3. フィードバックを行う

項目に沿って査定する

人事査定を行うには、特定の評価基準が必要になります。

社員を平等かつ客観的に評価する項目を定め、その内容に沿って査定を進めます。

その際は、評価内容に偏りが起きないように、多角的な項目を設けることが重要です。

また、社員自身にも自己評価シートを記入してもらい、査定材料にします。

待遇に評価結果を反映する

給与は、勤続年数に応じて上がる「本給」と、業績や会社への貢献度で変動する「仕事給」に大別できます。

評価結果を反映するのは、後者の「仕事給」と「賞与」です。

人事査定は、半年や1年という決まった期間ごとに行いますが、その間の業績や貢献度合に応じて仕事給を上げたり下げたりします。

賞与も「基準額(基本給×〇か月分)」に成果に応じた評価係数を乗じて算定します。

フィードバックを行う

査定結果は、社員一人ずつに個別で伝えるようにします。

個別面談と自己評価シートへのコメントという2通りの方法があります。

評価が高かった社員については、納得のいく待遇によりモチベーションアップが期待できるためフィードバックを行いやすいです。

しかし評価が低い社員は査定結果に不満を抱くケースが少なくありません。

その不満を解消し、次回は評価アップを目指して努力する気持ちになれるように、具体的な目標やテーマを共有するなど伝達の仕方を工夫する必要があります。

フィードバックを適切に行えるかが人事査定の成否を分けるため、このプロセスには細心の注意と対策が求められます。

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人事査定の主な査定項目

人事査定の主な項目は以下の3つになります。

  • 業績
  • 能力
  • 情意

業績

個人の営業売上や訪問件数など、評価を数値化しやすい項目を指します。

一定期間における営業売上が予算を上回ったのかそうでなかったのか、だとしたらその度合いはどれくらいだったのかといった観点で評価します。

ここでは単に結果だけでなく、それに至るプロセスにも注目して評価することが重要です。

また、社内の課題解決に向けた提案や企画、コスト削減を成功させた場合も、評価の対象になります。

能力

業務上のスキルや知識、資格、希少性の高い経験値などを評価する項目です。

会社全体の業績アップや信頼向上、危機回避に寄与する専門性の高い項目ほど高く評価するようにします。

そうすることで社員の仕事への意欲やモチベーションを高めることができます。

情意

積極性や責任感、成長意欲、チームワークへの貢献度、思いやり、コンプライアンスといった仕事への姿勢や社員としての相応しさを評価する項目になります。

いずれも数値化が難しいですが、人としてのマインドや意識を正当に評価することができれば、社員一人ひとりの会社への愛着が増し、企業理念の定着・浸透にも役立ちます。

成果主義一辺倒では、多様性と持続可能性が強く求められる時代に生き残ることは困難です。

情意評価を充実させれば、成長力とレジリエンス(耐久力)に富んだ組織の実現が目指せるでしょう。

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人事査定の方法は?

主な人事査定として以下の4つの方法があります。

  • コンピテンシー評価
  • 目標管理制度(MBO)
  • OKR
  • 360度評価

コンピテンシー評価

社内で成果を出している人の思考や行動パターンといった行動特性(コンピテンシー)を基準として査定する評価方法です。

仕事ができる優秀な人材に共通する特徴が基準のため、組織として的を射た評価が可能になるうえ、社員の行動規範となり人材育成にも役立ちます。

目標管理制度(MBO)

社員が自分で決めた目標を上司との間ですり合わせ、組織としても有効な目標として認められた場合に、その進捗度合いを査定対象にする方法です。

自ら目標を設定することにより社員のモチベーションや能力が向上し、目標が達成できた際は、達成感を上司と共有し、一体感を味わえる利点もあります。

その経験が次のステップにつながるので、人事査定と社員育成が同時に行える点は非常に有効です。

OKR

OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、「目的と主な結果」を意味します。

会社や部署単位で、業績アップやシェア拡大といった目的のために設定した目標を、社員がどの程度達成できたかという視点で評価する方法です。

社員は努力の方向性が明確になるため、迷いや疑問がなく仕事に集中できる効果があります。

また、OKRは目標達成率60〜70%と、あえて挑戦的な目標を掲げるのが一般的です。

そうすることにより、現状に甘んじたり諦めたりしないチャレンジングな風土が醸成でき、生産性や社員の成長が高まると期待できるからです。

360度評価

上司や同僚、部下、取引先の担当者など社員を取り巻くさまざまな立場の複数の人たちからの評価を集めて客観的に査定する方法です。

上司目線だけでなく、異なる立場の意見を集約することによって社員の本質により近づけるメリットがあります。

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人事査定を行う上での注意点

人事査定を行ううえで注意すべき以下の点について解説します。

  • 評価基準を明確にし公平な査定をする
  • 多面的な評価をし客観性を保つ
  • 査定結果を適正に反映する
  • フィードバックによるフォローを行う

評価基準を明確にし公平な査定をする

どのような業務や行動について、どこまでの成果やレベルに達すれば、どれくらい評価されるのかという評価基準を明確にします。

その上で基準を社員に公開し、評価者によって結果にばらつきやブレが出ないようにする必要があります。

多面的な評価をし客観性を保つ

売上や訪問件数、特定スキルなど、成果や能力が可視化できる点だけでなく、課題解決のプロセスにおける貢献度や、積極性や成長意欲、思いやりといった情意についても評価する仕組みを構築することが重要です。

社内人材は、思考や性格、得意分野などがそれぞれ異なるのが一般的です。

そのためさまざまな角度から複数の要素を評価することにより、人事査定の客観性を保つことが不可欠です。

すると、「自分はこんなに頑張っているのにわかってもらえない」という不満や、それによるモチベーション低下、社風の悪化などを軽減することが可能になります。

査定結果を適正に反映する

査定結果が出たら、それに見合う処遇に反映させます。

良い成果の場合は、仕事給や賞与を増額します。

査定項目の良し悪しを数値化し、評価係数を設定するなどして一定の計算式で反映できるようにしておくのが望ましいでしょう。

フィードバックによるフォローを行う

査定結果は、必ず本人に直接フィードバックするようにします。

査定の理由や、そう判断されるに至ったプロセスを明確に伝えることで、モチベーションが向上したり、深い納得感が得られたりします。

すると、査定が良かった社員は、より意欲が増してさらに成果が出るように励めます。

査定が悪かった社員も、何を修正し、どこに注力すべきかが分かるので、不満を引きずらずに仕事と向き合えるでしょう。

査定結果を聞くのは、だれしも緊張しますし、落ち込んだり悲しくなったり腹が立ったりと、微妙な心理が交錯するものです。

だからこそフィードバックをきっちりと行うかどうかで、社員の気持ちや社内の雰囲気が大きく違ってくると理解し、細心の注意を払って行う必要があります。

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まとめ

人事査定は、社員のモチベーション向上や、会社や部署全体の業績を左右する大事な仕組みです。

不公平感をなくし、だれからも納得感が得られるだけの客観性を重視する必要があります。

評価方法にはさまざまなものがあるので、業績、能力、情意を多面的に評価できる最適なやり方を選択してください。

画像出典元:pixabay

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