TOP > SaaS > 人事 > 人事評価 > 【好事例あり】テレワークに適した人事評価とは?上司・部下が抱える課題についても解説
新型コロナウイルスの蔓延防止対策や働き方改革の1つとして、現在でもテレワークの導入が増加傾向にあります。
本記事では、テレワークにおける人事評価についての課題、テレワークに適した人事評価の方法について解説します。
テレワーク時の人事評価における重要ポイント、さらにテレワークにおける人事評価事例3選も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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このページの目次
人事評価をテレワークで実現するためには、いくつかの課題があります。
ここでは、下記について順番に解説します。
デジタルデバイスの普及や通信システムの進化などによって、時間や場所にとらわれないテレワークという働き方が日本でも認知されるようになりました。
2020年に起きた新型コロナウイルスのまん延防止対策として、テレワークを導入する企業が急速に増加しています。
テレワークは、BCP対策や働き方改革の一環としても有効な手段であり、IT技術の進化と共に今後も導入する企業は増えていくと考えられるでしょう。
そのため、企業は職種に限らず、テレワークが導入できる体制を整えていく必要があります。
人事評価の制度においても、テレワークに適した形に変更し、オペレーションを構築することが求められているのです。
人事評価のテレワークは、需要が高まっている一方で、導入の障害となっている課題があります。
まず、上司側で抱えている課題を解説します。
テレワークの場合、直接対面して上司が部下を観察できないため、勤務態度や仕事への取り組み方を評価することが難しくなります。
また、リモート環境では、部下の仕事への姿勢が見えにくく、コミュニケーション量も減少しやすいので、判断材料が少ないという点はデメリットといえます。
テレワークでは、「チャットやWEB会議での発言など定性的な評価をする」「実績における定量的な評価で判断する」など、上司によって評価軸にブレが発生する可能性があります。
従来の出社を前提とした評価基準では、公平な評価ができない可能性があるため、テレワークに適した評価基準を確立させる必要があるといえるでしょう。
テレワークの場合、直接顔を合わせて対話や日常的な雑談をする機会が減るため、上司と部下のコミュニケーション不足が発生しやすくなります。
コミュニケーション不足によって、業務の進捗状況や問題点を把握しにくくなり、適切なサポートやフィードバックができない可能性があるという点には注意が必要です。
オフィスや現場に出勤している場合、タイムカードや対面によって物理的に勤務状況を監視・確認できます。
一方でテレワークの場合は、部下が実際にどれくらい働いているのか、正確な勤務時間を把握するのは難しいといえるでしょう。
社内でのペーパーレス化が進んでいない場合、労務業務などで紙書類や押印作業が必要となり、テレワークでは完結できずに手続きが滞る可能性があります。
また、相対評価制度などを採用している場合は、直属の上司がほかの担当者と情報共有して協議のうえ、最終的な評価を決定するといったケースもあるでしょう。
評価者同士がWEB会議を通じて密なコミュニケーションを取る必要があり、体制が整っていないと評価プロセスがスムーズに進まないといった問題が起こり得ます。
続いて、部下側で抱えている課題について解説します。
テレワークという環境下では、上司と直接対面する機会がないため、業務に取り組むプロセスや姿勢を日常的に見てもらえないというデメリットがあります。
そのため、自分の努力や成果が正当に評価されているか不安を感じ、評価の透明性について不満や不信感が生まれる可能性があります。
テレワークでは、上司が日常的に評価材料を取得することが難しいため、上司によって重要視される評価が異なるという点を部下は不安に感じやすいといえます。
テレワークでの評価基準が整っていないと、少ない判断材料の中でも「定性的な評価を含める上司」と「定量的な評価だけで判断する上司」に二極化してしまう可能性があります。
部下は、自分が注力している部分と上司が評価する部分にギャップを感じてしまうかもしれません。
上司側が抱えている課題にもある通り、オフィスや現場への出勤に比べてテレワークは上司の目に触れる機会が減り、評価材料が少なくなりやすいといえます。
そのため、出社しなければ適正な評価を受けられないと不安を抱える部下もいるでしょう。
テレワークという環境下でも安心して業務を遂行できるような、透明性の高い公平な人事評価が整えば、出社しなければ不利になるという不安を払拭できるかもしれません。
テレワークに適した人事評価の方法について解説します。
テレワークでは、評価項目を明確化することが重要です。
たとえば、業務の成果だけでなく、プロセスや行動基準を定義して、部下が何を達成すべきなのか明確にしたうえで共有するといった方法があります。
そのほかにも、職種や役職などのグレードごとに評価基準を設定したり、定性的・定量的な成果を両面で評価する方法も有効といえます。
評価基準の統一は、テレワークという環境下での公正な評価に欠かせません。
たとえば、全社員に対して明確化した評価基準を公開し、説明する時間を設けたり、誰もが理解できるような状態を作ることで評価の透明性や信頼性が高まるでしょう。
ほかにも、主観的なバイアスをなくして公正な評価が行えるように、評価者自体の教育制度を用いたり、時代や環境に合わせて評価基準を定期的に見直し・改善する方法も考えられます。
目標管理制度(MBO:Management by Objectives)の導入は、評価項目の明確化や評価基準の統一という観点でも有効な手段の1つといえます。
個人ごとに具体的な目標を設定し、達成するためにどのようなプロセスを踏む予定なのか明確にさせ、振り返り時にどこまで達成できたのかという観点で評価します。
併せてチームでの目標設定を組み込むことで、チームへの貢献度を含めた総合的な評価ができるようになるだけでなく、メンバー間でのシナジー効果を期待できるでしょう。
人事評価をテレワークで行ううえでは、業務過程の評価と成果評価の両方を組み合わせることが重要です。
業務過程の評価では、プロセスや取り組み姿勢・コミュニケーションの質など、目標や業務に対してどのように進めたかという点を評価します。
成果評価では、売上や設定したKPIなど、定量的な成果に対して評価する方法です。
定性的な評価と定量的な評価をバランスよく設定し、評価することで、テレワークという環境下でも公正な人事評価を実現できます。
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テレワーク時の人事評価における重要ポイントについて、上司と部下それぞれの立場から解説します。
まず、上司の立場について解説します。
部下と定期的にコミュニケーションをとることは、テレワーク時の人事評価において重要なポイントです。
週に1回の1on1ミーティングを設定し、業務の進捗状況や課題を定期的に共有してもらうことで、必要に応じた軌道修正やフィードバックを伝えられます。
また、部下の悩みや意見を聞き、しっかり寄り添うといったことも信頼関係の構築や離職防止対策として大切です。
上司による評価のブレをなくして公正に評価するには、マネジメント側で人事評価の研修を実施することも必要です。
研修内容に「評価者による主観的なバイアスをなくす」「評価基準を明確化する」「フィードバックの方法」などを含めると良いでしょう。
環境や状況に応じて適切な評価ができるようにマネジメント側で定期的な評価基準の見直し・改善を行い、評価者全員が一貫した基準で評価できるようにすることが重要です。
テレワークという環境下で、上司と部下のコミュニケーションを充実させるためには、IT環境を整備することが重要です。
安定したインターネット環境に加えて、チャット・通話アプリ・グループウェアなどのコミュニケーションツールの導入は必須ともいえます。
また、人事評価をテレワークで行うために、評価情報が一元管理でき、目標設定や振り返りのできるような人事評価システムの活用も有効です。
続いて、部下の立場から解説します。
上司に対して定期的に業務報告を行い、進捗状況や現状の課題、次のアクションなどを共有することが大切です。
たとえば、週に1回の進捗報告をメールやチャットで送ったり、1on1を打診して時間を確保してもらうといった方法もあります。
上司が状況を把握しやすいように積極的なコミュニケーションを心掛け、自分が業務で行っているプロセスや結果を上司が把握できるように努めましょう。
上司と目標までのプロセスを共有することは、お互いの認識のずれを回避するために重要なポイントです。
上司と一緒に目標設定を行い、目標を達成するまでにどのようなプロセスで進める予定なのか自分の計画を前もって伝えておきます。
さらに定期的に進捗状況を報告し、現状どこまで進んでいるのか、課題に対してどのように対応する予定なのかなど、上司が理解しやすいように必要に応じて共有することも大切です。
テレワーク中でも、オフィスや現場に出勤している時と同様の高い意識やパフォーマンスを発揮する必要があります。
たとえば、業務時間中は常にオンラインで問題なくコミュニケーションが取れる状態であることや、期限の厳守、成果物に対するクオリティの担保などが考えられます。
テレワークでも高いパフォーマンスが発揮できるように、自宅などの仕事環境を整えるということも1つの方法といえるでしょう。
ここでは、テレワークにおける人事評価の事例を3つ紹介します。
KDDI株式会社は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにテレワークと出社を組み合わせたハイブリッド型の働き方を導入しています。
それに伴い、2020年8月からは働いた時間ではなく、職務を明確化し、成果・挑戦・能力を評価・賞賛して処遇へ反映することを目的としたジョブ型人事制度を採用しているのです。
さらに多様な働き方を実現するために、オフィスのフリーアドレス化や、リモート会議を前提とした会議室のIT化、ノートパソコンのセキュリティ強化などにも取り組んでいます。
参考:株式会社ワンキャリア 12,000通りの働き方を可能にするKDDIの働き方改革──テレワーク、副業を推し進める理由
KDDI株式会社 時間や場所にとらわれず成果を出す働き方の実現へ、KDDI版ジョブ型人事制度を導入
アンドールシステムサポート株式会社は、コロナ禍におけるテレワークの拡大を受けて、勤務時間や場所にとらわれない多様な働き方を前提とした人事制度を導入しています。
公平で円滑な運用を実現するために、評価軸の再定義・評価項目の再調整・評価スケールの再設定・運用方法の見直しを行いました。
部署ごとの業務特性や現場での課題・制度変更における懸念事項を各事業部長にヒアリングを行い、現場の声を反映した制度にできるように努めています。
参考:厚生労働省 IT業界の働き方・休み方の推進|働き方改革、事例・人事制度の見直し
HISホールディングス株式会社は、社員の半数以上がテレワークを実施しており、2020年冬よりテレワークを前提とした人事評価制度を導入しています。
役職や等級に求める期待値を設定し、期待値を基準とした評価ができるように4項目から「能力評価のための項目」「成果評価のための項目」に絞り、5段階評価に変更しました。
さらに活用しきれていなかった目標管理と評価の紐付けを行ったり、項目ごとにバラバラだった評価期間を全て1年で評価するとしました。
参考:厚生労働省 IT業界の働き方・休み方の推進|働き方改革、事例・人事制度の見直し
テレワークにおける人事評価についての課題、テレワークに適した人事評価の方法、テレワーク時の人事評価における重要ポイントについて解説しました。
人事評価をテレワークという環境下で成功させるためには、テレワークに適した人事評価制度や環境の構築、上司・部下それぞれの理解と努力が重要です。
多様化する働き方の中で、公平で明確化された評価ができるように、自社に適した人事評価システムを活用してください。
画像出典元:O-DAN
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