エクセルで勤怠管理をしたいと考えている人は多いようです。日頃から利用することが多いツールなので、これで管理できると簡単などの理由が背景にはあるようです。
ただ、実は改正労働安全衛生法が施行され、エクセルでの勤怠管理は非推奨となりました。
以下ではエクセルでの勤怠管理方法として入力例や無料テンプレートの紹介などをしつつ、これから対応しなければならない新しい勤怠管理の方法についてもご説明します。
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エクセルで勤怠管理を行うということは、具体的に以下の情報を管理したり計算したりすることを指します。
ここで挙げた作業は一例ではありますが、最低限このような作業を勤怠管理と呼びます。勤怠管理とまとめて表現をしますが、裏側には多くの業務が隠されています。
これらの情報を全てエクセルへ手入力するのは現実的ではありません。そこでエクセルらしく関数を組み合わせて勤怠管理をします。
例えば出勤時間と退勤時間から自動的に勤務時間を計算するのです。また、有給を取得すれば自動的に付与日数が減るような計算もします。自動的に計算される部分を増やし、エクセルの能力を発揮するものがエクセルでの勤怠管理です。
具体的にエクセルで勤怠管理を行う場合、最低限以下のような項目を管理できるものを作成します。
実際に作成したものは以下のとおりです。
従業員にはここに勤怠管理の情報を入力してもらいます。例えば以下のように登録してもらいます。
このように入力してもらったものを、雇用主は管理します。そして、その内容を元に給与計算をして、給与の支払いをします。
ワードやエクセルなどビジネスで利用するテンプレートを多数取り扱うサイトです。王道のテンプレートを取り扱うサイトと呼ばれることもあります。
それだけ有名なサイトということもあり、勤怠管理に関わるエクセルテンプレートも多数用意されています。最低限の機能を有しているものから、複雑な機能を有しているものまで幅広く用意されていることが特徴です。自分が必要とするテンプレートを簡単に見つけられます。
テンプレートをダウンロードするためには、事前に会員登録が必要です。ただ、これは数分で終わる作業であり、テンプレートが手に入ることを考えると大したことではありません。また、一度登録しておくと他のテンプレートもダウンロードできますので、登録しておいて損はありません。
勤怠管理向けのエクセルテンプレートを中心に取り扱うサイトです。様々な種類のテンプレートが用意されていますので、働き方に応じたものを見つけやすいサイトです。
具体的なテンプレートには、標準的なものや夜勤向けのもの、時間外労働を集計しやすいものなどがあります。どのようなテンプレートを利用したいのかが決まっている場合は、こちらで検索することで簡単に見つけられるでしょう。
また、提供されているテンプレートは社員用やアルバイト用など、雇用形態によって分かれています。シートが分かれているものもありますので、エクセルで複数の雇用形態にも対応が可能です。
コンビニや小売店など小規模なお店の勤怠管理向けのテンプレートサイトです。エクセルを利用して簡単に勤怠管理を始めたい人におすすめです。
企業向けで利用するテンプレートは、小規模なお店では利用しづらいことがあります。勤怠管理で求められている項目が違いますので、どうしてもそのままのテンプレートでは不都合が出てしまうのです。
しかし、こちらのサイトでは最初から小売店などを意識して提供されています。上記2サイトとは異なった系統のテンプレートが使われているのです。
エクセルでの勤怠管理は、改正労働安全衛生法で定められている勤怠管理に適したものではありません。こちらの法律では、従業員の労働時間を客観的に把握することが義務付けられています。
客観的に把握するとはいくつかの観点があるのですが、タイムカードやパソコンなどを利用して、客観的に正しいと言える記録がされている必要があります。つまりエクセルのように自分で入力する勤怠管理は、主観的なものであり改正労働安全法に準じていないのです。
もしエクセルで勤怠管理をする場合は、毎日記録内容を業者が確認しなければなりません。また、内容が途中で変更されていないことを証明しなければなりません。これは非常に手間のかかることであり現実的な作業ではありません。そのためエクセルでの勤怠管理は、現在非推奨となっています。
エクセルで勤怠管理をしていると、集計ミスなどの問題が起こる可能性があります。集計ミスなどの問題を引き起こすと、支払いする給与に差が出るなど別の問題も引き起こしてしまいます。
集計ミスが起こる理由は様々です。例えば集計にあたり手動で入力する部分があり、その入力を間違えることが考えられます。また、集計としては問題なく計算されているものの、そもそも数式が間違っていることで、誤った数値が算出されていることも考えられます。
エクセルは簡単に数式が変更できますので、誤ったものに変更される可能性は十分にあります。その結果、集計される内容に間違いがあるなどの問題を引き起こす可能性があります。
法改正に対応し難い問題があります。勤怠管理に関する法律は定期的に改正されますので、それらに対応できないことは問題です。
エクセルで勤怠管理をしていると、法律に合わせて複雑な数式を埋め込まなければなりません。エクセルの機能を駆使して勤怠管理を進めても、法改正のたびに必要な部分を変更しなければならないのです。
最初のうちは対応できるかもしれませんが、年数が経ってくると対応が難しくなります。また、年数がそこまで経過していなくとも、大規模な改正があると対応できなくなってしまいます。
エクセルでの勤怠管理はセルに数式が組み込まれていたり、ドロップダウンリストなどで情報を選ばせたりしたものを、エクセルマクロで処理していることが多々あります。これらの関係を相互に確認しながら、適切に運用していくのは簡単なことではありません。
非常にエクセルに長けている人がいれば、法改正にも対応できます。ただ、そこまで労力を使うのは効率的ではなく、おすすめできません。
エクセルは同時に編集しにくい問題もあります。勤怠管理に順番待ちが発生する可能性があるのです。
実際にエクセルには共有と呼ばれる機能があります。この機能を利用すれば、一つのエクセルファイルを複数人で編集できます。この機能についてご存知の方もいるでしょう。
ただ、この機能はあるものの、使い方によってデータファイルが破損してしまう場合があります。例えば多くの人数で編集作業をしてしまうと、新しく保存できない場合があるのです。
機能としては提供されていますが、大人数で利用することは推奨されません。勤怠管理の重要な情報であることを踏まえると、なおさらこのようなリスクを犯してまでエクセルで勤怠管理するべきではありません。
エクセルでの勤怠管理は問題があります。これを解決するためには、勤怠管理システムの利用がおすすめです。
勤怠管理システムとは、勤怠管理関連のサービスに特化したアプリケーションです。エクセルのように表計算ソフトを利用するのではなく、最初から勤怠管理のために作られたものです。専門的なものですので、エクセルと比較して利用しやすく高機能であるメリットがあります。
勤怠管理システムには様々な種類がありますが、現在はクラウド型が主流です。これはインターネットを経由して勤怠管理システムを利用するものです。インターネットに接続されているパソコンやスマートフォンがあれば、どこからでも勤怠管理ができます。
勤怠管理システムには、最初から様々な数値計算の処理が用意されています。勤務時間の集計や年休取得の処理など、エクセルでは数式を組まなければならない部分を最初から提供してくれています。
しかも、これらの計算は内容が正しいものであるのか何度もテストされています。エクセルで計算する時のように、集計ミスが起こることはほぼありえないのです。エクセルで勤怠管理をする場合と比較すると、正確な値を簡単に手に入れられます。
エクセルで勤怠管理をすると、複雑な数式を駆使しなければなりません。それに対して勤怠管理システムですると、数式について意識する必要はありません。常に正しい数式で計算されますので、計算ミスを大幅に減らすことが可能なのです。
クラウドサービスの勤怠管理システムを利用していると、法改正などに自動的に対応してもらえます。必要なタイミングで適時対応してもらえることが特徴です。
エクセルで勤怠管理をすると、法改正に合わせてシートの書き換えが必要です。数式の修正などが必要となり、専門的な知識と時間が必要となります。そもそもエクセルに詳しい人員がいなければ、法改正に対応できない可能性すらあります。
それに対して勤怠管理システムでは、法改正を特に意識する必要はありません。提供会社が必要な対応をしてくれるのです。利用する側は新しい使い方を覚えるだけです。どちらが簡単であるかは言うまでもありません。
勤怠管理に関する法律が改正されると、企業は必ず対応する必要があります。避けられない作業ですので、可能な限り簡単に対応できる、勤怠管理システムを利用するべきなのです。
画像出典元:「ジョブカン勤怠管理」公式HP
最大の魅力は200円/月で導入できる安さ。30人程度のベンチャーから1,000人以上の企業まで、全ての規模で利用可能です。主要な給与計算ソフトと連携できる便利なシステムです。
打刻方法は、PC/タブレット打刻・モバイルGPS打刻・ICカード打刻・指静脈打刻・LINE/SLACK打刻の5種類。
生体認証打刻が搭載されているので、不正打刻に悩んでいる企業におすすめです。
操作画面は、必要な情報が大きく表示されシンプルな印象です。
勤怠管理機能のみなら月額200円で利用できますが、その他機能を追加すると費用が発生します。最低限の機能で始められることは大きなメリットです。
申請機能 | アラート機能 | シフト機能 |
〇(追加費用1人100円) | 〇 | 〇(追加費用1人100円) |
マニュアルがかなり充実しているので、初めて勤怠管理システムを導入する企業でも問題ないでしょう。
UI | マニュアル整備 | 問い合わせ窓口 |
◎ | HPに動画説明あり | 電話(平日のみ)・メール・チャット |
10人以下の企業でも月額費用2,000円が発生するので、注意しましょう。
10人以下の企業向けに無料プランが用意されていますが、機能がだいぶ制限されます。(無料お試しとは別物)
初期費用 | 月額費用/ユーザー | 最低利用料金 | 無料お試し期間 |
0円 | 200円~ | 2,000円 | 30日間 |
パソコンのon,offに合わせてログ時間が計算され、労務管理の観点では良いシステム。ただ、前日のログ時間の反映が遅いこともあるので、余裕をもった管理が求められます。
(商社:従業員500人以上)
レポート機能・集計機能は圧倒的にkintoneより優れています。外出する社員が多い場合は、交通費精算を同時にできるkintoneの方が良いかもしれません。
(コンサルティング:従業員30人以下)
マネーフォワードが提供している会計・確定申告・請求書・経費・給与・社会保険など幅広いサービスと連携できることが最大の魅力です。
打刻方法は、PC/タブレット打刻・モバイルGPS打刻・ICカード打刻の3種類。主要システムと比べると少ないです。
操作画面は青が基調。管理画面はやや硬い印象ですが、打刻画面はイラストつきでわかりやすく、問題なく操作できるでしょう。
全て追加費用なく利用できます。
申請機能 | アラート機能 | シフト機能 |
〇 | 〇 | 〇 |
動画でのマニュアルは用意されていません。
UI | マニュアル整備 | 問い合わせ窓口 |
◎ | HPに画像つき説明あり | 電話(平日のみ)・メール・チャット |
最低利用料金が設定されているので、注意が必要です。
初期費用 | 月額費用/ユーザー | 最低利用料金 | 無料お試し期間 |
0円 | 400円〜 | 2,980円+ユーザー数×300円 | 1ヶ月間 |
※30人までは、何人でも同額。
MF給与で給与計算しているので、従業員情報や勤怠情報などのデータ移行が楽で良いです。ただ、ジョブカンに比べて細かい勤務体系を設定しきれないと感じています。ジョブカンは設定が大変ですが細かく設定できるので便利です。(IT関連:従業員30人以下)
打刻・申請も簡単で、マニュアルがなくても操作できます。アラートの種類がもっと多いとよいですね。(流通業:従業員500人以上)
画像出典元:「jinjer勤怠」公式HP
jinjer勤怠は、全機能が最初から搭載されているため、追加費用が発生しません。予算がたてやすいことは、大きな魅力です。
打刻方法は、PC/タブレット打刻・モバイルGPS打刻・ICカード打刻・Slack/Chatwork打刻の4種類。
Apple Watch・Google homeでも打刻できます。
打刻画面は、コメントを残せたりその日のスケジュールを確認できたりと、きめ細かな配慮が感じられる仕様です。
全て追加費用なく利用できます。
申請機能 | アラート機能 | シフト機能 |
〇 | 〇 | 〇 |
サポート体制が充実しています。
UI | マニュアル整備 | 問い合わせ窓口 |
◎ | HPに動画説明あり | 電話(平日のみ)・メール・チャット |
人事管理・給与計算・経費精算・労務管理・雇用契約と組み合わせる場合は、追加費用が発生します。
初期費用 | 月額費用/ユーザー | 最低利用料金 | 無料お試し期間 |
100,000円 | 300円〜 | 設定なし | 30日間 |
導入後は、現状の月ごとの残業時間が一目でわかり、休日出勤や有給の申請が容易にできるようになりました。(広告関連:従業員100人以上)
見やすいUIなので、規則的な勤務なら圧倒的に使いやすいです。急な変更が生じると修正作業が面倒です。どのシステムも同じかもしれませんが。(イベント関連:従業員約30人)
改正労働安全衛生法を踏まえると、エクセルでの勤怠管理は望ましいものではありません。やむを得ない場合を除いて、エクセルでの勤怠管理は避けるべきです。
その代わりとして、今では勤怠管理システムを利用した勤怠管理が推奨されています。客観的に正しいと言える情報を利用して勤怠管理することが重要なのです。
勤怠管理システムには色々なものが存在します。今回ご紹介したおすすめのサービスはどれも勤怠管理を効率化できる利便性の高いものとなっていますので、ぜひ検討してみてください。
画像出典元:Pixabay
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