派遣社員についても正社員などと同様に勤怠管理が必要です。この勤怠管理の結果に沿って、給与の支払いなどが行われます。
それでは派遣社員の勤怠管理はどのようにすれば良いのでしょうか。
この記事では、派遣先、派遣元それぞれの勤怠管理の役割や、両者で締結する労働者派遣契約の内容、派遣社員の勤怠管理で抑えておきたいポイント・注意点を徹底解説します。
勤怠管理システムを導入するメリットやおすすめのシステム3選も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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このページの目次
派遣社員は派遣元が雇用し派遣元が給料を支払います。そのため、派遣元と派遣先で勤怠管理の情報は共有されなければなりません。
それでは具体的にどのような情報を管理し共有しなければならないのでしょうか。
派遣元と派遣先に分けて勤怠管理する情報をご説明します。
派遣元が管理しなければならない項目は、派遣社員との雇用契約にまつわるものが中心です。
派遣社員は派遣元と契約しているわけですので、この契約に関する項目の管理が必要です。
例を挙げると以下のとおりです。
派遣先が管理しなければならない項目は、実際に派遣社員に行動してもらった結果にまつわるものが中心です。
これらの情報を基に派遣元は賃金の支払いをしますので、適切な管理が必要です。例を挙げると以下のとおりです。
派遣元と派遣先では様々な契約を締結する必要があります。
具体的な内容は厚生労働省から発表されている資料に13項目記載されていますので、以下にまとめます。
# | 契約内容 |
1 | 派遣労働者の従事する業務内容 |
2 | 派遣労働者の就業場所 |
3 |
派遣労働者を直接指揮命令する者 |
4 | 労働者派遣の期間、派遣就業する日 |
5 | 派遣就業の開始・終了時刻、休憩時間 |
6 | 派遣労働者の安全、衛生の確保に関する事項 |
7 | 派遣労働者からの苦情の処理に関する事項(苦情の処理方法、処理体制) |
8 |
派遣契約が終了した後、派遣社員の雇用の安定を図るための事項 |
9 | 紹介予定派遣に関する事項 |
10 | 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項 |
11 |
労働者派遣の期間や派遣就業などの定めを超える就業に関する事項 |
12 | 派遣労働者に利用させることができる派遣先の施設等 |
13 | 業務内容が期間制限のない業務の場合の根拠となる労働者派遣法の条項番号など |
これらの中からポイントになる部分を以下でさらにご説明します。
派遣社員が派遣される先では、派遣事業所ごとに「派遣先責任者」と呼ばれる人を定めることが求められています。
派遣労働者100人あたり1人の選任が必須です。派遣契約の管理や派遣社員の受付窓口としての役割があります。
派遣先責任者は派遣先が雇用する人材でなければなりません。また、複数の派遣事業所での兼任はできず、ひとつの派遣事業所で専任する必要があります。
なお、専用の資格などが必要となるわけではありません。ただ、労働関係の法律や人事など総務的な部分において知見のある人が望ましいです。
また、派遣先責任者と誤認されるものに指揮命令者があります。
こちらは実際に現場で、派遣社員から業務の質問を受けたり指示を出したりする人です。役割が異なりますので、誤って理解しないようにしましょう。
勤怠管理の具体的な項目は、開始・終了・休憩時間などの管理です。
また、これらの時間を管理することによって判明する、時間外労働の長さについても管理しなければなりません。
一般的に勤怠管理では、有給休暇の取得状況なども管理されます。しかし、派遣社員の場合は派遣元がこちらの情報を管理します。派遣先は休暇の内容が有給休暇であるのかどうかを意識する必要はありません。
なお、単純に時間を管理すれば良いだけではありません。
長時間労働が見受けられる場合は、管理者が改善をしなければなりません。適切に休憩を取得していないなども同様に、働き方について指導する義務があります。
派遣先は派遣先管理台帳の作成が求められます。派遣元に情報を通知する際に利用しますので、必ず作成が必要です。
作成した派遣先管理台帳は、就業中はもちろんのこと派遣契約が終了してからも3年間は保管義務があります。
なお、派遣先管理台帳については以下でさらに詳しくご説明をします。
派遣社員が快適に働けるように、安全や衛生を確保しなければなりません。派遣先にはこれらを意識した労働環境の提供が求められます。
例えば派遣社員が作業しやすいように、適切なサイズの机を用意しなければなりません。また、着替えが必要であれば、更衣室やロッカールームの用意が必要です。正社員も利用している場所であれば、派遣社員でも利用しやすいように環境を整えます。
また、労働環境の整備には、ハラスメントが起きていないかのチェックも含まれます。派遣社員に対するパワハラやセクハラなどの有無にも目を向けることが大切です。
派遣元と派遣先はお互いに、苦情を受け付ける担当者の選任が必要です。
労働環境などに不満があった場合、苦情を言える環境づくりが求められます。仮に最初から担当者が決定されていないと、苦情が言えないと考えられます。
苦情の内容が改善するべきものであった場合、派遣先は問題の解決に努めます。労働環境の改善などをしなければなりません。
なお、苦情が出たことに対し一方的に契約を解除するなど、不利益な取扱いをしてはいけません。
上記でご説明した派遣先管理台帳は、厚生労働省から管理するべき項目が以下のとおり示されています。
# | 派遣先管理台帳の記載事項 |
1 | 派遣労働者名 |
2 | 派遣会社名 |
3 | 派遣会社の事業所名 |
4 | 派遣会社の事業所の住所 |
5 | 派遣就業した日 |
6 | 始業・終業時刻、休憩時間(実績) |
7 | 業務の種類(実績) |
8 | 就業した場所 |
9 | 苦情の処理状況 |
10 | 紹介予定派遣である旨(紹介予定派遣の場合のみ) |
11 | 派遣先責任者、派遣元責任者 |
12 | 期間制限のない業務としている根拠となる労働者派遣法の条項番号など |
13 | 派遣会社から通知を受けた労働・社会保険の加入状況 |
これらの項目のうち、1番・5番・6番・7番・8番は1ヶ月に1回以上、派遣元に通知(連絡)する必要があります。
派遣社員の勤怠管理では、正確な出社時刻と退社時刻を把握しなければなりません。
自社の正社員に求める勤怠管理と同様に、派遣社員にも勤怠管理が求められています。正社員でも派遣社員であっても、勤怠管理の基本は正確な出社時刻と退社時刻を把握することです。
勝手に時間を丸めたりすることなく、基本的には1分単位で正確に把握しなければなりません。勤怠管理をする側で勝手に5分間になどに丸めてはいけません。
また、依頼した時間外労働やサービス残業が発生しないようにも注意が必要です。契約以外の労働をさせないようにしましょう。
派遣社員についても、勤怠管理システムなどを利用して勤怠管理をします。
この勤怠管理の情報の元となるのは、本人の勤務に紐づく自己申告の情報です。
ただ、この自己申告の情報が必ずしも正しいとは限りません。場合によってはサービス残業を隠していることもありますし、逆に残業を水増ししていることもあります。鵜呑みにして良いとは限らないのです。
つまり、管理者は本当にどの程度働いているのかを管理することが求められます。また、その管理に基づいて申告情報を承認することも求められます。
自己申告の情報を鵜呑みにするのではなく、勤務状況と一致しているのかを管理するように注意しましょう。
勤怠管理の方法(システムの入力ルールなど)は会社によって異なります。
特に派遣社員の場合には、派遣元と派遣先で両方のシステムを利用していることがあります。それぞれに独自のルールがあり、混合してしまうことも考えられます。
ルールを混合してしまうのは本人の責任ではあります。ただ、このまま勤怠管理の情報を会社間でやり取りするとトラブルとなる可能性もあります。法令違反になってしまうこともありえるのです。
変則勤務など、会社によって勤怠管理が異なる働き方はあります。それらを意識して、派遣社員が誤った入力をしていないかに注意しましょう。
勤怠管理において必須である情報は、正確な出社時刻と退社時刻です。これらの情報が入っていなければ、勤怠管理などできません。
これらの情報の元となるのは、本人が記録した勤務状況です。紙を利用している会社やタイムカードを利用している会社、エクセルを利用している会社などがあるでしょう。どのような場合でも、基本的には本人が意識して時刻を記録しなければなりません。
しかし、勤怠管理システムを利用すれば、この問題が解決できます。
例えば勤怠管理システムの中には、パソコンの起動時間と連携できるものがあります。パソコンが起動されている間は、勤務時間であると判断をして勤怠管理ができます。
また、入退室管理のシステムと連携させることで、時間を判断する方法もあります。
方法は様々ですが、勤怠管理システムを利用すれば自動的に時刻を取得できます。勤務時間の記録を忘れる可能性を下げられます。
勤怠管理システムによって、勤怠管理が簡単になるメリットがあります。特に管理部門の手間は、大きく削減できます。
勤怠管理システムを利用していると、勤怠情報の集計などが簡単になります。例えば残業時間の集計や有給休暇の消化状況が把握しやすくなります。
会社全体の残業時間などは、派遣社員も含めて管理しなければなりません。そのような時に紙やエクセルで勤怠管理をしていると、管理部門に負担がかかるのは言うまでもありません。
しかしシステム化すればこの手間は大きく削減可能となり、負担を軽減できるメリットがあります。
勤怠管理システムを導入する大きな目的は、法令尊守であると考えられます。システムを使って勤怠管理をすることで、正しく勤怠管理ができていることを証明するのです。
正しく勤怠管理ができていない場合、気づかないうちに36協定を超過していることなどがあります。もちろんこれは法律違反であり、気づかなかったで済むものではありません。場合によっては刑事罰を受けるようなものです。
勤怠管理システムを利用していれば、法律違反になりそうな人物はアラートを出すなどの設定ができます。法律違反にならないように、事前に察知できることはメリットです。
画像出典元:「ジョブカン勤怠管理」公式HP
クラウド型勤怠管理システムの中でも、知名度が最も高いものです。また、導入実績も多く各種メディアで取り上げられていることもあります。
勤怠管理に必要とされる機能が一通り揃ったツールです。自社の社員はもちろんのこと、派遣社員についても簡単に勤怠管理ができます。
加えて勤務時刻の打刻方法にはICカードやパソコン連携など、様々な方法が用意されています。正社員や派遣社員、アルバイトを含めて正確で簡単に勤怠管理できるものです。
画像出典元:「jinjer勤怠」公式HP
一人あたり400円で利用できる、クラウド型勤怠管理システムです。提供されている機能に対して、低価格であることが人気です。
勤務時刻の打刻方法は、パソコンやスマホはもちろんのことGoogle Homeなども含まれています。なるべく新しいものを導入せず、既存の環境で勤怠管理が可能です。この観点でも費用を抑えられるサービスです。
また、AIを利用したコンディション管理サービスもあります。モチベーションが下がっている従業員をフォローする機能もあるのです。他社に無い機能を利用したいと考えている人にも人気です。
画像出典元:「TIMEVALUE」公式HP
初期費用0円で導入できるなど、導入のハードルが低いことで人気のクラウド勤怠管理システムです。低価格でシステム導入したい場合におすすめです。
全体的にシンプルな構成であり、システムに詳しくなくとも利用できます。PCやスマートフォンがあれば簡単に勤怠管理ができます。
また、大きな特徴として利用者一人ひとりの設定ができることが挙げられます。
多くのシステムは「正社員」「アルバイト」などの大きなくくりで設定をしなければなりません。しかし、TIMEVALUEであれば一人ひとりに「フレックス」「固定給」「変速勤務の」などの設定ができます。
他にもおすすめの勤怠管理システムを知りたい方はこちら
派遣社員についても正社員などと同様に勤怠管理が必要です。派遣元に情報を提供しなければなりませんので、正確に勤怠管理をしなければなりません。
また、派遣社員の場合には、通常の勤怠管理よりも追加で管理しなければならないものが存在します。これらの項目について理解をし、法律に沿った情報の管理が求められます。
複雑な情報を管理しなければならない部分はあります。ただ、勤怠管理システムを利用すれば、手間は格段に小さくなります。法律的な部分の理解は必要ですが、システムを導入してサポートを受けながら勤怠管理をしましょう。
画像出典元:Pixabay
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