受取利息とは?意味・用語や仕訳の仕方、個人・法人の会計処理方法も解説

受取利息とは?意味・用語や仕訳の仕方、個人・法人の会計処理方法も解説

記事更新日: 2020/08/07

執筆: TAK

預金や貸付金がある場合に生じる「受取利息」について幅広く解説した記事です。

「受取利息という名前は知っているけど、会計上や税務上の処理が今一つわからない」という方向けに、今回は受取利息の基本的な意味から、具体例を用いた仕訳処理の方法、税務上の取り扱いや財務諸表での表示方法までわかりやすく解説していきます。

受取利息とは?

受取利息の意味・用語解説

まず最初に、「受取利息」の基本的な意味について確認していきましょう。

「受取利息」は利子や利息を処理する勘定科目

そもそも「利息」というのは、お金(元本)を第三者に預入・貸付した結果、金額と時間の経過によって比例して支払われるお金です。

「受取利息」というのは、預貯金や貸付したことで生じた利子や利息などを処理する勘定科目です。

損益計算書の「営業外収益」に表示される

受取利息は「収益」を構成するため、損益計算書上に表示されることになります。

また、銀行のような金融業でない限りは、預金利息や貸付金利息は「本業以外」の収益に該当するため、損益計算書上の「営業外収益」に表示されることとなります。

中小企業であれば、「受取利息」の名称で損益計算書に表示されることが多いですが、上場企業のように「配当金」「有価証券利息」のような取引も存在する場合には、これらすべてをまとめて「受取利息配当金」として表示することもあります。

受取利息の具体例

受取利息として処理する具体例はこの後紹介していきますが、会社が銀行口座から利息を受け取る場合がイメージしやすいかと思います。

例えば、自社が「利率2%」の銀行口座に「100万円」の資金を預けていたとしましょう。

これは、「1年経てば利息2万円(=100万円×2%)をもらえる」という意味になります。
そして、1年という時間の経過に伴って受け取る「利息2万円」が「受取利息」に該当します。

この点を踏まえた上で、どのような場合に「受取利息」が発生するのか、「受取利息」はどのように計算するのかを見ていきます。

受取利息として処理する「預金利息」と「貸付金利息」

まず、どのような取引が「受取利息」に該当するかを確認していきます。

受取利息として処理する項目としては、主に「預金利息」と「貸付金利息」の2つを押さえておけば十分でしょう。

預金利息

預金利息は、法人が保有している口座資金に対して発生する利息です。

法人は事業をする上で「普通預金」「定期預金」などの口座を保有していることが一般的なので、ほぼすべての法人が関係している項目と言えます。

ちなみに、「当座預金」は無利息タイプの口座なので、利息は発生しません。

貸付金利息

貸付金利息は、法人が第三者に資金を貸し付けた場合に発生する利息です。

預金利息と異なり、貸付を行う企業は比較的少ないかと思いますが、国内外にグループ企業を保有している会社であれば、グループ内で資金の貸付を行うことはよくあります。

有価証券利息

参考程度ですが、他にも国債や社債から生じる利息「有価証券利息」を受取利息として処理することもあります。

ただ、このような債券を保有している企業は相対的に規模が大きい企業であり、「有価証券利息」として処理または「受取利息配当金」として処理することが多いです。

受取利息の計算方法

続いて、受取利息の計算方法についても確認しておきます。

冒頭で紹介した具体例でも出てきたのでイメージしやすいかもしれませんが、以下の算定式に基づいて受取利息の金額を求めることが出来ます。

先ほどお伝えしたように、受取利息は「預金利息」や「貸付金利息」として生じることが多いので、受取利息を計算する時の基礎となる金額(元本)は預金や貸付金の金額となります。

利率部分については、預金利息であれば金融機関ごとに決まっているため、その利率が適用されます。

一方で、貸付金利息の場合は、資金の貸し手側が「相手の信用」や「市場金利」を勘案した上で決定することが一般的です。

算定式の最後の部分は「日割り計算」をするための役割を果たします。

「日数」ではなく「月数」で計算するケースもありますが、いずれの場合も期中で貸付や口座を開設した場合に必要となります。

ここで1つ簡単な具体例を見て理解を深めておきましょう。

上記は「貸付金利息」の場合を想定していますが、期中に発生した受取利息を月割計算で算定してみてください。

正解は以下のようになります。

これが計算出来るようになると、後ほど出てくる仕訳でも役立てることが出来ます。

 

受取利息の会計処理

会計処理の考え方

それでは今回のメインとなる「受取利息の会計処理」について見ていきます。

会計処理を理解する上でポイントなる点は2つあり、1つは「受け取った利息金額は税金控除後の金額である」点、もう1つは「会計処理には2種類の方法がある」点です。

ポイント1:受取利息は税金控除後の金額である

例えば預金利息として「20,000円」が通帳に記録されていたとしたら、その金額は「税金」控除後の金額であるという意味です。

具体的には、源泉所得税と復興特別所得税を合わせた「15.315%」が控除されており、個人事業主の場合はこれに地方税5%を加えた「20.315%」が控除されていることになります。

 

ポイント2:会計処理には「原則的」と「簡便的」2つの方法がある

2つ目のポイントは、会計処理には「原則的な処理」と「簡便的な処理」の2つの方法が存在しており、どちらかの方法を企業が選択出来るようになっています。

違いをイメージしやすいように例をあげると、「預金利息100円から税金15円が控除された後の85円が口座に振り込まれていた」としましょう。

「簡便的な処理」の場合は、控除後の85円だけを仕訳にする方法であり、「原則的な処理」の場合は、控除後の85円と税金15円を仕訳に加味する方法となります。

原則的な処理 控除後の85円+税金15円=総額で処理
簡便的な処理 控除後の85円のみ=純額で処理


なお、少し専門的な言葉を使うと、原則的な処理を「総額主義」、簡便的な処理を「純額主義」と表現することもあります。

以上の内容を踏まえた上で、具体的な会計処理について見ていきましょう。

2つの会計処理方法【総額主義と純額主義】

ここでは簡単な例を用いて2つの会計処理の違いを見ていきます。

先ほど紹介した預金利息の例と同じですが、これを仕訳として処理するとどのようになるでしょうか?

まず、原則的な処理(総額主義)を用いた場合は以下のようになります。

ポイントは、差し引かれている税金分(源泉所得税及び復興特別所得税)を反映させて、収益を総額で処理する点でしたね。

税金部分の勘定科目としては、「法人税、住民税及び事業税」や「法人税等」が一般的に用いられます。

次に、簡便的な処理(純額主義)を用いた場合は以下のようになります。

ポイントは、入金額をベースとして収益を純額で処理する点でした。

仕訳をみてわかるように、税金部分を仕訳として処理しないので、原則的な処理に比べて簡単かつ直感的に理解出来る点が特徴と言えます。

「原則的な処理」と「簡便的な処理」のどちらを選択するかは企業方針によって異なりますが、どちらを選択するかで税務上のメリットも多少変わってきます。

この点は「税務上の取り扱い」の部分で紹介しているので、そちらを参考にしてください。

未収利息がある場合の会計処理

続いて、「未収利息」がある場合の会計処理についても紹介しておきます。

「未収」という言葉からわかるように、「利息は収益として発生しているが、まだお金として受領していない」ようなケースに必要な処理となります。

「受取利息の計算方法」で紹介した例を用いて仕訳を考えてみます。

この例の場合、利息の受取日は年に1回(6月末)となっているので、決算日時点で利息は発生しているものの、お金として受け取っていない状態です。

このような場合、月割計算をした上で発生している利息収益を「未収利息(未収収益)」として計上します。

取引内容によっては「年2回」の利息支払いとなっていることもあるので、その場合には「決算日時点で発生している未受領の利息は何ヶ月分か?」を考慮して計算するようにしてください。

受取利息に関する税務上の取り扱い

受取利息に消費税はかからない

ここからは、受取利息と税務の関係について紹介していきます。

まず最初に、「受取利息に消費税はかかるの?」と疑問を持たれる方もいるかと思います。

この点、受取利息は「非課税」と消費税法で規定されているため、受取利息に消費税はかからないです。

預金利息などは多くの企業が関連する取引になるので、この結論だけは知っておきましょう。

会計処理の選択で所得税額控除の適用の可否が変わる

続いては、会計処理の選択と税務上のメリットに関する論点です。

先ほど、会計処理には「原則的な処理」と「簡便的な処理」の2つの方法があることを紹介しました。

どちらの方法を選択するかは企業の自由ですが、企業が支払う税金の金額に多少影響を与えるため、その点を紹介しておきます。

結論からお伝えすると、煩雑な「原則的な処理」を採用した場合には、源泉されている税金を法人税の金額から減額出来る「所得税額控除」を適用することが可能となります。

対して、「簡便的な処理」を採用した場合には、「所得税額控除」を適用することが出来ません(別途必要な調整をした場合を除く)。

もっと簡単に言ってしまえば、原則的な処理であれば税務上のメリットを享受出来るのに対して、簡便的な処理だと(基本的に)税務上のメリットを享受出来ないということになります。

どういうことかと言うと、法人の場合は最終的な所得に応じて税金を「法人税」という形で納付することになります。

しかし、先ほど紹介したように、預金利息では受領時に「源泉税」が差し引かれていました。これは言い換えれば、「法人税を前払いしている」と言えるため、「所得税額控除」という形で税金を減額出来る仕組みになっているのです。

そして、この仕組みを利用するためには、「源泉されている税額」を把握しておく必要があることから「原則的な処理」で仕訳をしておいた方が便利ということになります。

「所得税額控除」を適用するための要件は細かく規定されているので、国税庁のページを確認するか、顧問税理士に相談するようにしてください。

源泉所得税と個人事業主の関係

ここまでは主に「法人」を前提とした内容を解説してきましたが、「個人事業主」の場合にはどの部分が法人と異なるかについて簡単に紹介しておきます。

相違点1:税率

1つ目の相違点は「税率」です。

具体的には、預金利息を想定した場合、利息金額から「源泉所得税及び復興特別所得税」が差し引かれていましたが、法人の場合は税率「15.315%」、個人事業主の場合は税率「20.315%」となっている点が異なります。

これは、「所得税及び復興特別所得税の15%」に加えて「地方税5%」が加算されているためです。

相違点2:源泉所得税の取り扱い

2つ目の相違点は「源泉税の取り扱い」です。

法人の場合、一定の要件を満たせば「所得税額控除」として処理することが出来ました。

個人事業主の場合、所得の性質に応じて税金が計算されることになり、「利子所得」に該当する「預金利息」については(銀行側が源泉徴収しているので)確定申告は不要となります。

相違点3:仕訳に用いる勘定科目

3つ目の相違点は「仕訳に用いる勘定科目」です。

厳密には税務上の取り扱いではなく「会計処理」の話になりますが、合わせて紹介しておきます。

個人事業主は、所得の性質に応じて税金を計算する必要があるため、預金利息のような本業とは関係ない取引については「事業主借」という勘定を用いて処理することになります。

少し細かい内容にはなりますが、個人事業主の方は参考にしてみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、受取利息に関する基本的な内容から仕訳方法、税務上の取り扱い、さらには損益計算書上の表示方法まで幅広く紹介してきました。

税務関連の話は少し難しく感じられたかもしれませんが、まずは受取利息の仕訳方法をしっかりと押さえるようにしてみてください。

画像出典元:Shutterstock

この記事を書いた人

TAK

フリーコンサルタント・公認会計士。公認会計士試験に合格後、大手監査法人のアドバイザリー部に就職し、IFRSやUSGAAP、連結納税、銀行監査などに携わる。その後、中国事業の代表として外資系コンサル会社に転職し、中小日系企業の中国新規進出や現地企業のM&Aサポート、コンプライアンス業務などを担当。帰国後は独立し、フリーのコンサルタントとして生活しつつ、ブログVectoriumを運営。

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