新型コロナウイルスの感染で影響を受けた事業者に対する「持続化給付金」や「休業要請協力金」の支給が始まっています。
その場合、どのような勘定科目を使用して仕訳をおこない会計処理をしていけば良いのでしょうか?税法上の取り扱いはどのようになるのでしょうか?
また、全国民に支給される「特定定額給付金」の10万円を受け取った場合、所得税として課税されてしまうのでしょうか?
本記事では、個人・事業主に支給される給付金等についての会計処理と、かかる税金について解説していきます。
このページの目次
個人に支給される主な給付金等は下記のとおりです。
・特定定額給付金(1人につき10万円)
・雇用保険の失業等給付
・子育て世帯への臨時特別給付金(児童1人につき1万円)
・学生支援緊急給付金
・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
・住居確保給付金 など
上記のうち、子育て世帯への臨時特別給付金は改めて申請する必要はありませんが、他は自ら申請してはじめて支給されます。
また6月12日の第2次補正補予算成立により、新たに「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(仮称)」が創設されました。
休業期間中に賃金を受け取れなかった中小企業の労働者に対して支援金を支給するもので、他の給付金と同じように労働者(個人)自身が申請するものです。
事業者に支給される主な給付金等は下記のとおりです。
雇用調整助成金については助成金の上限が1日1人8330円から1万5000円に引き上げられるほか、6月末までとしていた特例対応期間も9月まで延長されます。
厚生労働省:雇用調整助成金 (新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
新たに創設された家賃支援給付金の具体的な支給要件や申請方法はこれから正式発表される予定であり、補正予算で新たに成立した制度の詳細は各省庁のホームページにて随時更新されています。(家賃支援給付金/J-Net21)
個人であれ事業者であれ「知らなかった。申請を忘れていた。」ということがないよう最新情報を随時チェックしましょう。
■中小企業 金融・給付金相談窓口
受付時間:平日・土日祝日ともに、9時00分~17時00分
電話番号:0570-783183
■学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金コールセンター
受付時間:平日・土日祝日ともに、9時00分~21時00分
電話番号:0120-60-3999
では、個人・事業者共に、これら支給金等を受け取った場合、会計処理はどのようになるのでしょうか?
国や地方自治体の行政機関から支給される給付金や協力金・助成金など、返済義務のない
お金は“本業以外の収入”ですので、仕訳をするときは「雑収入」の勘定科目を使用します。
預金100万円/雑収入100万円
雑収入として仕訳処理するタイミングですが、持続化給付金については行政機関から送られてくる「支給決定通知書」に「支給決定日」が記載されていません。
今後、取り扱いが公表されるかもしれませんが、雑収入の計上時期としては通知書が届いた日、あるいは通帳に入金された日で計上するのがよいでしょう。
また、入金された後に通知書が届くことのほうが多いようですが、仮に支給通知書が届いた後に決算が到来し、その後入金となる場合もあり得ます。
このような場合の仕訳は以下の例のとおりです。
未収入金100万円/雑収入100万円
決算後、通帳に入金を確認した。
預金100万円/未収入金100万円
未収入金という勘定科目は本業以外の債権という意味がありますので、まだ入金されていない給付金は未収入金で仕訳します。
その他、個人に支払われる特定定額給付金10万円が事業用口座(屋号の通帳)に振り込まれてしまった場合、事業外の収入となりますので「事業主借」の勘定科目で仕訳します。
預金10万円/事業主借10万円
主な給付金等の課税・非課税(※)は下記のとおりです。
※非課税とは、本来は課税取引であるが「政策的な理由」や「消費税の課税にそぐわない」という観点から課税を免除しているものです。
非課税 | 課税 |
・特定定額給付金(新型コロナ税特法)
|
【事業所得等に区分(※1)】 |
「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いにかんするFAQ」
補償金の支給額を含めた一年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字の場合、税負担は生じません。
また、支払賃金などの必要経費を補填するものは支出そのものが必要経費となりますので、税負担は生じません。
しかし、例えば持続化給付金を200万円支給され、200万円の黒字となった場合は法人税を納める必要があります。
実効税率(※3)を約30%とすると、200万円のうち最大で60万円を税金として納めなくてはいけませんので注意が必要です。
所得金額の計算上、50万円の特別控除が適用されるので他の一時所得とされる金額との合計金額が50万円を越えない限り、課税対象にはなりません。
実効税率とは、国や都道府県・市町村それぞれの税金を個別に計算して法人税の総合計を求めた後、所得で割り返して実際にかかる税金の割合を表したものです。
消費税については、対価性がないため消費税区分は「不課税(※)」となり課税されません。
※不課税とは課税される4つ要件に当てはまらないものをさします(下記参照)
・国内において行われる取引
・事業者が事業として行う取引
・対価を得て行う取引
・資産の譲渡・貸付又は役務の提供
誰もがこれまでに経験したことのない新型コロナウイルスへの対応は、政府であっても今尚手探りの状態です。
今後も新しい支給金の創設や支援の拡充などが図られると思われますので、家族や会社、雇用を守るためにも、各情報と共にスムーズな会計処理が行えるようアンテナを張り続けることが必要です。
画像出典元:o-dan
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