立会人型と当事者型を解説!電子契約の種類別メリット・デメリット

立会人型と当事者型を解説!電子契約の種類別メリット・デメリット

記事更新日: 2024/05/23

執筆: Mai Nemoto

近年、日本では働き方改革に伴うリモートワークの促進やペーパーレス化によって、紙の契約書や押印作業を無くす電子契約の活用が進んでいます。

本記事では、立会人型・当事者型の違いや法的効力、メリット・デメリットなどを解説

両方に対応している電子契約サービスも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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電子契約の種類には立会人型・当事者型がある

電子契約において重要なのはデータへの信頼性であり、署名者の本人性確認が信頼度に直結するといえます。

署名方法は、立会人型・当事者型が存在し、法的効力のある契約締結をするという点ではどちらを選んでも基本的に問題ありません。

ここでは2種類の電子署名方法について解説します。

立会人型とは

立会人型とは、電子契約を執り行う当事者以外の第3者が電子署名を付与する方法を指します。

契約締結に立ち会うという意味合いから「立会人型」と表現され、第3者には電子契約サービスの事業者が該当するので「事業者署名型」とも呼ばれます。

本人確認は、電子契約サービス(ログイン時に2段階認証が必要な場合あり)と、メールアドレス(ランダムに生成されたセキュリティの高いURL)で行うことが一般的です。

取引先に負担をかけることなく、締結完了までをスピーディーに進めることができます

当事者型とは

当事者型とは、電子契約を執り行う当事者が電子署名を付与する方法を指します。

契約者である当事者の電子証明書を利用することで、本人確認を行います。

電子証明書は従来の印鑑証明書に相当するものであり、発行機関である認定局へ本人確認用書類を提出することで取得ができるようになります。

立会人型よりも本人性が高く、証拠力が強い署名方法です。

立会人型のメリット・デメリット

電子契約を導入する際は、立会人型と当事者型のどちらが自社と取引先のニーズに合っているのかを見極める必要があります。

まずは立会人型のメリット・デメリットについて考えてみましょう。

メリット:導入ハードルが低い

立会人型は、電子契約に必要となる準備・費用・時間が最低限であるため、導入ハードルが低いというメリットがあります。

契約締結において必要となるのは、主に電子契約サービスとメールアドレスのみです。

そのため取引先には、準備における負担をかけずに済み、費用もかかりません。

本人確認の方法は、取引先が契約に関するメールを受信し、記載されているランダムに生成されたURLをクリックすることで認証される仕組みです。

両者が異なる電子契約サービスを利用していた場合でも、メールを受信できれば締結できる利点もあります。

デメリット:セキュリティリスク

立会人型は、なりすましなどのセキュリティリスクがあるという点はデメリットといえます。

メールに記載されているURLをクリックすることで本人確認をするため、アカウント自体がサイバー攻撃によって乗っ取られてしまった場合に、なりすましリスクが懸念されます。

対策として2段階認証や多要素認証によるセキュリティ強化がありますが、サイバー攻撃の巧妙化は日々進化しておりリスクを完全に排除することは難しいといえます。

利便性に優れている一方で、このようなセキュリティリスクがあることも考慮しなくてはいけません。

 

◾️電子契約の仕組みやメリットについて詳しく知りたい方はこちら!

当事者型のメリット・デメリット

続いては、当事者型のメリットとデメリットについて解説します。

メリット:本人確認における信用度

当事者型は、電子証明書を利用した本人確認方法をとっているため、本人性が高く、なりすましのリスクが低いというメリットがあります。

電子証明書とは印鑑証明書に相当するものであり、政府が認めた認証局でのみ発行が可能な証明書です。

発行手続きの際に、運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなどの本人確認用書類が必要となるので立会人型よりも証拠力が強いといえます。

そのため、取引において厳格な規約を定めている企業でも導入しやすい署名方法といえるでしょう。

デメリット:時間と費用がかかる

当事者型は、電子契約の締結完了までに時間と費用がかかるため、立会人型に比べて負担が大きいという点はデメリットといえます。

本人確認として利用される電子証明書の取得には、必要な書類を準備した上で書面もしくはオンラインによる申請が必要です。

電子証明書の取得には専用のソフトウェアをインストールし、証明期間に応じた手数料の支払いも発生します。

加えて、両者が同じ電子契約サービスを利用していないと契約締結ができません

こういったコストについて、取引先にしっかりと説明して理解を得る必要があります。

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電子契約に関わる法律「電子署名法」とは

電子署名法とは

電子署名法とは、2001年4月1日から施行された「電子署名及び認証業務に関する法律」の略称です。

電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用し、生活向上や経済発展を図るという目的のもと定められた法律で、その時代の実情に合わせて何度か法改正が行われています。

電子契約を導入するにあたっては、電子文書に法的効力を与える電子署名法の理解が必要不可欠です。

立会人型にも電子署名法は適用されるのか

立会人型は、電子契約を執り行う当事者以外の第3者が電子署名を付与する方法ですが、一定の基準を満たす場合は電子署名法が適用されます

電子署名法2条1項では、電子署名の定義について以下の記載があります。

第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。

二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

(引用元:電子署名法2条1項

この電子署名法における解釈の補足として、2020年7月に総務省・法務省・経済産業省より『利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A』が公開されています。

これらを踏まえると立会人型の場合でも、以下の3点を満たすことで適用されます。

  1. 契約を執り行う当事者の意思のみに基づいて署名プロセスが進められること
  2. 電子契約サービスが技術的・機能的に意思を介入する余地がないこと
  3. 電子契約サービス利用時の個人情報や送信日時など付随情報を確認できること

よって、一定基準を満たす立会人型の電子契約サービスであれば、法的な効力のある契約締結が可能です。

 

◾️電子契約に関連する法律についての記事は、こちらをご覧ください。

結局どちらを選べばいいの?

自社の契約で立会人型・当事者型のどちらを採用すべきか迷った場合の選定ポイントを解説します。

時間と費用を重視するなら「立会人型」

契約締結完了までに必要となる時間や費用を抑えて、導入ハードルの低さを重視する場合には立会人型がおすすめです。

受信したメールに記載されているランダムに生成されたURLをクリックするだけで、本人確認が完了するため手軽に利用することが可能です。

取引先が異なる電子契約サービスを利用している場合でも、メールを受信できれば電子署名をすることが可能であり、締結完了までをスピーディーに進められます

本人確認の信用度を重視するなら「当事者型」

本人確認の信用度が高いという観点で法的効力の強さを重視するのであれば、当事者型を選ぶと良いでしょう。

当事者型では、政府が認定した認定局によって発行される電子証明証を利用して本人確認を行うため、法的効力が強いといえます。

証拠力の高い電子契約を締結したい場合には、立会人型よりも当事者型の方がマッチしています。

両方に対応した「ハイブリッド型」もある

手軽さと証拠力の両方を取りたい場合には、立会人型と当事者型の両方に対応したハイブリット型をおすすめします。

立会人型と当事者型の両方に対応していることで、文章の性質や取引先によって、適切な電子署名方法を使い分けることができます

例えば、電子証明書を利用した法的な本人性の担保として自社は当事者型の署名をし、取引先には最低限の負担で署名できる立会人型を採用するといったことが可能です。

どちらか一方を選択するのが難しい場合にはハイブリット型も検討してみましょう。

 

◾️電子契約サービスのシェアランキングに関しての記事はこちら!

立会人型・当事者型を選べる電子契約サービス5選

一般財団法人日本情報経済社会推進協会と株式会社アイ・ティ・アールが2023年3月に発表した『企業IT利活用動向調査2023』によると、電子契約の利用企業は前年の69.7%から73.9%に拡大しています。

さらに、立会人型か当事者型のどちらか一方ではなく、「両方を採用している」企業は4.3ポイントUPという結果に。

この結果を踏まえて今回は、立会人型・当事者型の両方に対応している電子契約サービスを5つに厳選して紹介します。

(参考:-JIPDECとITRが『企業IT利活用動向調査2023』の速報結果を発表-

  月額費用 無料プラン 立会人型 当事者型 ハイブリッド型
電子印鑑GMOサイン 8,800円〜 フリープラン
イースタンプ 要問合せ 要問合せ
(認印タイプ)

(実印タイプ)
BtoBプラットフォーム 契約書 10,000円〜 フリープラン 要問合せ
かんたん電子契約forクラウド 10,000円〜 1ヶ月間のお試し版 要問合せ
paperlogic 20,000円〜 要問合せ 要問合せ

(税抜価格)

電子印鑑GMOサイン

「電子印鑑GMOサイン」とは、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が展開している、導入企業数300万社以上を誇る大手電子契約サービスです。

電子認証局の発行システムと直接連携しているため、当事者型で必要となる電子証明書を同じシステム上で申請することができます。

イースタンプ

「イースタンプ」とは、インターネット接続事業を展開している株式会社ハイホーの電子契約サービスです。

クラウド保管機能では、署名者に本人確認資料を求めることが可能であり、免許証や許可証を撮影・アップロードしてもらい、電子契約書と一緒にクラウド保管できます。

BtoBプラットフォーム 契約書

「BtoBプラットフォーム 契約書」とは、企業間電子商取引プラットフォームの運営事業を展開している株式会社インフォマートの電子契約サービスです。

最新のブロックチェーン技術を採用した電子契約が使えるだけでなく、ワークフローシステムで社内稟議の電子化も実現します。

かんたん電子契約forクラウド

「かんたん電子契約forクラウド」とは、システム構築・運用などの事業を展開しているセイコーソリューションズ株式会社の電子契約サービスです。

2020年に国内で発行された認証タイムスタンプのうち65%を発行した実績があり、セキュリティに厳しいとされる金融機関の導入実績も多数あります。

契約の依頼・締結・保管までを全て一元管理できるだけでなく、最大30名までの契約当事者が存在する電子署名付与も可能です。

paperlogic

「paperlogic」とは、クラウドソリューションの開発・販売事業を展開しているペーパーロジック株式会社の電子契約サービスです。

取引先も電子証明書の取得・利用ができるだけでなく、請求書・納品書・取締役会議事録など幅広い文書の電子化へ対応しています。

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まとめ

導入ハードルが低い立会人型と、本人確認における信頼度が高い当事者型の2種類について解説してきました。

時間と費用を優先するなら立会人型、証拠力の高さであれば当事者型がマッチしていますが、近年は両方に対応したハイブリット型を導入している電子契約サービスもあります

リモートワークの促進やペーパーレス化に伴い、今後も電子契約サービスの導入は加速していくと予測されるので、自社や取引先にあった電子署名方法を活用してください。

画像出典元:O-DAN

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