コロナ禍の影響を受けて企業のIT動向に注目が集まっています。
ソーシャルディスタンスの維持やリモートワーク推進のため電子契約の導入を進めている企業も増えています。
この記事では電子契約市場の規模、今後の成長の見込み、国内外で人気の電子契約サービスを徹底解説します。
電子契約の導入を検討されているなら自社にふさわしいサービスを選ぶ参考にしてください。
このページの目次
電子契約とは、個人間や企業間で交わしていた紙や自筆の署名、印鑑による契約書ではなく、電子署名を用いて電子データの契約書で契約を交わすことです。
電子契約にすれば、契約前の交渉などのコミュニケーションもオンラインで行なえるので契約業務がスムーズになります。契約締結後の契約書の保管・検索・閲覧も電子化できます。
このように、契約前・本番の契約・契約後までの過程が電子化されるので、契約業務全般の効率化を図ることができます。
電子契約による契約業務の効率化を図れるように、契約前のオンライン上での交渉、契約締結に必要な電子署名の付与、契約締結後の契約書の保管や検索、閲覧などのソリューションを提供するのが電子契約サービスです。
独立系ITコンサルティング・調査会社のITRが国内の電子契約サービス市場規模の推移と今後の予想を発表しています。
調査結果を見ると、2018年度の国内電子契約サービス市場の売上金額は36億7,000万円で、前年度より83.5%増となり、急激に市場規模が拡大していることを物語っています。
ITRの分析では、国内電子契約サービス市場の急激な拡大の背景には、新型コロナウイルス感染症の対策として、書面契約のためにわざわざ出社さぜるを得ない状況を改善し、テレワークを推進する企業が増えたことを挙げています。
さらに2020年6月には、内閣府、法務省、経済産業省が「脱ハンコ宣言」と呼ばれている契約書への押印不要の見解を明らかにしました。
電子契約サービスは自然災害やパンデミックの発生を予想した事業継続計画を立てる点でも有効な手段となるでしょう。
今後さらに電子契約サービス市場は拡大することが予想できます。
こうした社会的追い風の影響により今後も書面契約の廃止が進んでいくと思われます。
ITRは調査のなかで、電子契約サービス市場の今後も予想しています。
同社によると電子契約サービスのCAGR(年平均成長率)は2018年度から2023年度までの間で40.1%、2023年度には市場規模が現在の36億7,000万円から200億円規模に迫ると予想しています。
おすすめの電子契約サービスとしてまずは海外市場で人気の電子契約サービスを紹介します。
すでに日本に上陸しているサービスなので、自社の契約業務と適合すれば選択肢のひとつになるでしょう。
全世界180ヵ国以上、50万社以上、数億人が署名者として利用しているのがDocuSignです。世界No.1シェアを誇っています。
DocuSignは日本の企業、特にグローバル企業ですでに導入しているところがあり、使いやすいと評判の電子契約サービスです。
次に国内市場で人気の電子契約サービスを紹介します。
クラウドサインは日本で8万社が利用している電子契約サービスです。
同社によると日本の電子契約サービス市場で8割のシェアを占めているということですから、まさに国内シェアNo.1といえるでしょう。
取引先がわざわざクラウドサインのアカウントを取得する必要がないという点が導入へのハードルを下げる材料となっています。
クラウドサインが日本市場で大きなシェアを占めている理由のひとつは、日本最大級の弁護士ポータルサイトを持つ「弁護士ドットコム」が運営しているという点です。
紙に署名捺印をする日本の文化では、法律的な観点から電子契約サービスの導入に難色を示す企業が多いですが、運営会社が弁護士ドットコムということで安心感を提供できます。
企業の法務担当にとって電子契約で交わされた文書に証拠能力があるのかという点も心配材料になるでしょう。
その点でもクラウドサインは、同社を利用して交わされた文書が裁判証拠として利用されたという実績をすでに持っています。
サービスの機能面だけでなく、法的効力も保証されているという点がクラウドサインの強みでしょう。
「GMO電子印鑑Agree」は簡単に導入できる電子サインを用いた電子契約サービスと、電子認証局による電子証明書によって保証された電子署名を付すことで法的効力を強化できる電子契約サービスの2つを提供しています。
自社調べによると、電子証明書付与タイプの電子契約サービスでは導入社数国内No.1です。
GMO電子印鑑Agreeは政府機関や大手企業でも利用されている電子認証局GMOグローバルサインと連携しています。
それにより実印&契約印プランに加入するなら安全性が担保された電子署名を利用できます。
2020年6月15日より、GMO電子印鑑Agreeが商業・法人登記のオンライン申請で利用できるようになりました。
これは法務省により、GMO電子印鑑Agreeのサービスで付与されたGMOグローバルサイン社の電子証明書が、商業・法人登記のオンライン申請において、利用可能な電子証明書として認められたことによるものです。
商業・法人登記のオンライン申請に利用できるという点はもちろん強みですが、それを支えているのがGMOが「GMOグローバルサイン社」という電子証明書を発行できる電子認証局を自前で持っているという点です。
法的効力が強い電子証明書による電子署名が備わった電子契約サービスを提供しているというのは、重要な内容の契約を交わす機会の多い企業にとってはとても魅力的です。
最後に紹介するのがNINJA SIGNです。
登場して間もない電子契約サービスですが、月額料金が安いので比較的導入しやすいサービスとしてシェアを広げています。
2019年10月に有料化の一般化向けサービスを始めたNINJA SIGNですが、その強みはなんといっても低料金です。
料金プランのLightでは月額費用が4,980円で利用できます。
そして契約書送信数も無制限で契約書送信件数ごとの費用も0円です。
Lightプランの場合は1アカウントに限定されますが、経営者や経理担当者、法務担当者だけが契約業務を行っているといった中小企業におすすめの電子契約サービスです。
市場規模は今後も拡大することが予測されます
それぞれ特徴的な4種類の電子契約サービスを紹介しました。
国内No.1シェアのクラウドサインは導入企業が8万社です。
しかし日本の企業は約385万社ですから、その割合は全体から見れば2%未満です。
今後も様々な電子契約サービスがその市場に参入してくることでしょう。
コロナ禍の影響もあり、企業では電子契約サービスの導入が急がれています。
とはいえ、サービスをきちんと比較し事業内容に適応した長く使えるサービスを選ぶことが必要でしょう。
画像出典元:Pixabay
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