20代を企業人として働き、30代のいま起業をしたいと思う一方で、このまま組織人でいたほうがいいのではないかと迷っていませんか?
若年層の起業家の活躍が増えていたり、そもそも30代からの起業は遅いというイメージがある方も多いかもしれません。
しかし、実際には30代を過ぎてから事業を興し、成功を収めている起業家はたくさんいます。
今回は実際に成功を収めた起業家の例や年齢別のおすすめビジネスを解説していきます。
このページの目次
30代になると、ライフスタイルが変化する人も多く、結婚し家庭を持つ人、社内で責任ある立場を任される人などさまざまです。
また、40代50代になると、今度は家族が増えて支出が増えたり、老後を考え出す人もいます。
30代で起業することにためらう理由は、安定した収入や地位を守りたい、また現実味を帯びてきた40代50代の自分の人生を考えるからでしょう。
それでも30代からの起業に成功し、より大きな収入や充実感を得ている実業家たちも多くいます。
次世代型電動車イスの開発・販売をおこなう「WHILL株式会社」を創業したのは、杉江氏が30歳のときです。
1982年に静岡県に生まれ、立命館大学を卒業した後、日産自動車株式会社の開発本部に入社をした、いわゆる技術畑出身者です。退社後は、ボリビアやラオスなどの世界各国を回り、数ヶ月滞在するなどして知見を広めた経歴を持っています。
WHILLの電動車いすが次世代型といわれるのは、従来の車イスにテクノロジーを組み合わせ、さらにデザイン性を持たせたところにあります。そのきっかけは、一人の車いすユーザーの「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」という声だったというのは、有名な話です。
家計簿アプリでも知られる「株式会社マネーフォワード」を創業したのは、辻氏が35歳のときのことです。
1976年に大阪に生まれ、京都大学農学部を卒業した辻氏は、ソニー株式会社に入社し、マネックス証券に出向したのち、転籍をしています。
起業時、辻氏にはすでに妻子がいる状態でした。前職のマネックス証券を退職するまで、なかなか踏ん切りがつかず3年ほどかかったそうです。
産業用協働ロボット・COROの開発メーカー「ライフロボティクス株式会社」を創業したのは、尹(ユン)氏が35歳のとき。
1972年に兵庫県に生まれ、東北大学大学院工学研究科で助手を務めたのち、国立研究開発法人産業技術総合研究所で主任研究員となった経歴の持ち主です。
産業技術総合研究所では、ロボットに関する研究開発を行い、その経験を活かして産業用ロボット開発企業を起業しました。
スマホ向けフリマアプリの代表格「メルカリ」を創業したのは、山田氏が36歳のときです。
ただし、山田氏は24歳で一度「ウノウ」という会社を設立し、のちに売却をしているので、メルカリは2度目の起業だったということになります。
IoT向け通信サービス「SORACOM(ソラコム)」を創業したのは、玉川氏が39歳のとき。起業家としては遅いスタートのように思えます。
1976年に大阪府に生まれ、工学系大学院を修了したのちアメリカの大学でMBAを取得後、科学や工学を研究する日本IBM研究所、アマゾンデータサービスジャパンでの勤務経験を持っています。
※ IBM研究所は、科学や工学の研究者が集う研究施設。Javaを実行する際のプログラミングコード(プラグラムの文字列)を、パソコンが処理できる機械語に変換するためのプログラムを開発したことでも知られています。日本IBM研究所は、世界12ヶ国にあるIBM研究所のうちの一つです。
※ アマゾンデータサービスジャパンは、オンラインショップサイト『Amazon』で収集されたデータをマーケティングデータとして分析・活用するAmazonのグループ企業です。
宇宙空間に漂うスペースデブリ(役目を終えた人工衛星やロケットの残骸)の除去を行う「ASTROSCALE(アストロスケール)」を創業したのは、岡田氏が40歳のときです。
1973年に兵庫県に生まれ、東京大学農学部を卒業したのちに、米国のコンサルティング会社 マッキンゼーに入社した経験の持ち主です。
岡田氏が、世界で唯一スペースデブリ除去専門の会社を立ち上げた背景には、もともと地球の環境問題に興味があったこと、宇宙への憧れがあったのだそうです。
前の章でご紹介したマネーフォワード創業者の辻氏も、起業する際には「成功するのか?」「食っていけるのか?」という不安が強かったと語っています。
30代の起業を成功させるには、どんなことが必要なのでしょうか。
よく、「30代でスキルがないですが、起業できますか?」という質問を耳にします。
結論から言うと、起業はできますが、収入アップという観点で難しいもしくは長い時間がかかります。
起業する上でまず考えなければならないのは、これまで社会人としてどんな経験・スキルがあるのか=自分の強みは何かです。
30代で起業するなら、自分の強みを活かした事業内容にするのが最適でしょう。
もし、30代でも本当にスキルがないと感じるのであれば、スキルが足りないと思う部分を補ってくれるビジネスパートナーを見つけましょう。
30代ですので、スキルを身に付けてから起業するより、パートナーの力を借りつつ、起業と同時進行でスキルアップのための努力をする方が現実的です。
30代を過ぎての起業で大きなハードルになるものの一つに、家族からの理解が挙げられます。
30代になると、家庭を持っている方も多いため、今まで通りの生活が送れるのか、家族をきちんと養っていけるのかという観点で、起業を反対されるケールも多いです。
家族側からすれば、金銭的な不安、生活スタイルが変化してしまうことへの不安、収入が安定しなければ配偶者も働かなければならない、子供が小さいうちは共働きするなら預け先も必要になるなど、無限に不安が膨らみます。
起業したいという夢を実現したいならば、家族の理解は欠かせません。
しっかりと相手の言い分を聞いたうえで、「なぜ、自分が起業したいのか」を伝えましょう。
精神論を語るより、冷静な起業への思いや、事業計画、収入面の詳細を丁寧に伝えることで、家族の理解を深めることが重要です。
起業家に根性論はナンセンスかもしれませんが、「絶対にこの事業を成し遂げてやる」という強い思いがなければ、これまでの安定を捨て去ることはできません。
愛着ある仕事を辞めて、先行きの見えない大海原にオール一本で漕ぎ出すようなものだからです。
ご紹介した起業家たちも、それぞれに「自分がやるんだ」という使命感を胸に事業を興したり、誰かの切なる声に後押しされて社会のためにと動き出した人たちばかりです。
起業は、決して綺麗事だけでは続きません。だからこそ、最終的に何をモチベーションにするかが、その先の明暗を分けるといえます。
投資家として有名な佐俣アンリ氏は、medium.comというブログで、30代以上の人が起業するのなら、持つべきものは「攻めの姿勢」だと語っています。
佐俣アンリ氏は、60社以上の企業へ投資を行い、さらには現在70億円のシードファンド(会社設立前あるいは設立直後の企業に限定した投資)を運営している投資家です。
佐俣氏のもとに相談にくる起業家を目指す人の中には、起業したいと考えてはいるものの、中途半端に守りの姿勢に入ったままの人もいるといいます。
起業して事業が軌道に乗るまでには、何度もトライアンドエラーを繰り替えす必要があり、決して楽な道ではありません。
それでもなお、攻めの姿勢を貫ければ、事態は好転するときがやってきます。
20代のように失敗したら再就職すればいいかという状況にはならないのが30代以降の起業です。
ハイリスクの中でも攻めの姿勢を貫ける覚悟があるのかがキーポイントです。
これから起業したいと考えるあなたに、年齢に合ったおすすめのビジネスをご紹介します。
WEB関連ビジネスをおすすめする理由は、あなたがデジタルネイティブ世代に近く、そしてこれまでの業務や生活でITに慣れているからです。
普段から、探し物をするときや日々のニュースをインターネットで済ませていませんか?
インターネット上にあるコンテンツに慣れ親しんでいるあなたなら、WEBデザインやコンテンツ制作、インターネットを利用したマーケティングビジネスに適合しやすいはずです。
前職でモノづくりをしていた人でも、インターネットで世情を把握したり、あるいはSNSなどで自己発信する機会が多ければ、WEBに関わる事業なら馴染みがやすいでしょう。
40代ともなれば、転職経験を持つ人も多いでしょう。いろいろな職業を経験していれば、それぞれの内情を知っているはずです。内部でどのような問題が起きやすいのかがわかっていれば、その対処方法も考えやすく、提案もしやすいことでしょう。
コンサルティングの仕事は、相談を受けて、その内容に応じて相手企業の成長をお手伝いするというもの。
成長に繋がる提案をするには、その企業が社会的にどのような役割を持っているのか、内部の問題点は何かなど、幅広い視点が必要です。
年齢的にも、周囲にはすでに起業を果たしている人もいるはず。そうした彼らをバックアップすることも、コンサルティング事業でなら可能です。
長く社会人を経験していると、自然と社会的な交流が生まれます。50代であれば、企業人ならそれなりに高い地位の役職についている友人、知人も多いはず。
そこで彼らを引き合わせ、縁を繋ぐマッチング関連の事業なら、今ある人脈を使って仕事を始めることができるはずです。
ビジネスマッチングで大切なのは、相性です。それは引き合わせる者同士の人間性による相性もあれば、考え方など企業方針による相性もあります。
そこを見極める目が必要になるので、これまで多くの人材を見つめてきた50代のあなたなら、きっとその選別を上手くできるはずです。
下記の記事では、起業のメリット・デメリットについて解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。
30代以上での起業が難しいのは、精神面はもちろん、体力面でも20代のころに比べると落ちてくることを自覚するからかもしれません。
しかし、体力が落ちるといっても、徹夜仕事が難しい、フットワークがやや重くなる程度なら、パートナーを見つけてカバーしてもらえばいいことです。
大切なのは、起業をすることへの覚悟とモチベーション。
生半可な覚悟を抱くくらいなら、副業で事業を拡げていくほうが、リスクも少なくて済みます。
「何が何でもやってやる」というモチベーションの源になるものがなければ、起業後に続くさまざまな試練を乗り越えていくことは難しくなります。
起業をしたいと思ったら、まずは本当に覚悟があるのかを自分に問いかけてみましょう。それでも、やはり起業したい!と思えるなら、動き出してみることです。
会社設立の具体的な手続きの流れ・費用は以下の記事で解説しています。起業を検討しているのであれば、こちらもぜひ参考にしてください。
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