法定調書の基礎知識を得る|主な種類や提出範囲、期限について解説!

法定調書の基礎知識を得る|主な種類や提出範囲、期限について解説!

記事更新日: 2020/05/20

執筆: 高浪健司

企業や個人事業主が税務署へ提出すべき書類のなかに法定調書というものがあります。

この法定調書は税務署がお金の動きをチェックするための資料となり、非常に多くの種類が存在するほか、提出するべき条件範囲や提出期限なども定められています。

そこで今回は、法定調書の主な種類や提出の義務範囲、そして提出期限など法定調書について詳しく解説していきます。

法定調書とは何か


「法定調書」と聞くと、なんだか法律で決められた一種の書面といったイメージとして捉えがちですが、一種類の書面ではありません。

法定調書とは、所得税法や相続税法、租税特別措置法など税務署に提出することが義務づけられている資料のことを指します。

ちなみに、法定調書には現在60種もの書類が存在しており、身近なところでいう支払調書や源泉徴収票も法定調書としてそのなかに含まれます。

そもそも税務署というのは常にお金の動きを把握しておかなければなりません。

そのため、支払いなどが行われた事実を書面としてそれぞれ提出してもらうことで、税務署はお金の動きをより正確に把握することができるようになります。

つまり、こうした60種類もの法定調書が存在する理由は、税務署がお金の動きを把握するための重要な資料ということになるわけです。

なぜ法定調書を提出するのか

法定調書とは税務署に提出することが義務づけられている資料のことを指す。ということはお分かりいただけたかと思います。

では、そもそもなぜ法定調書を税務署へ提出しなければならないのか。また、法定調書はどのように活用されるのか。など、前項でも少し触れましたが、例を交えながらさらに詳しく解説していきます。

例えば…

Aという会社がBさんに対して150万円の報酬で仕事を依頼しました。Bさんはその依頼を請け、頑張って終わらせました。そして約束どおり150万円の報酬を受け取りました。

通常こうしたやり取りが行われた場合、A社はBさんに報酬として150万円を支払ったことを示す支払調書を作成し税務署へ提出します。

そしてBさんも同様に、A社から150万円の報酬を得たということを「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」に必要事項を記入し、税務署へ提出します。これが適正な申告の流れです。

ただ、もしどちらかが金額を少なくごまかしていたり、申告すらしなかったりした場合、当然双方の金額があわないことになります。

しかし、税務署にはすぐにわかるようになっています。それは、法定調書(支払調書など)があるからです。

つまり、お金の動きに対してそれぞれ内容があっているかをチェックするために法定調書は活用されるのです。また脱税を防ぐといった役割もあります。

税金というには自己申告が基本となります。したがって、申告したものが本当に正しいものなのかどうかは検証しないと分かりません。

そのため、事前検証をおこなうために法定調書の提出を義務づけているのです。

仮にA社、Bさん共に提出や申告をしなかった場合はバレないのでは?と思うかもしれません。

しかし税務署は「確定申告の内容」「法定調書」「税務調査」などあらゆる情報収集をおこなっています。

また、銀行口座も過去10年分の取引履歴を強制的に調査することができる権限も持っています。

提出・申告をせず、その時はバレなかったとしても、それはまだ税務署が調査に来ていないだけで、いずれバレます。何か不審な点があれば、いくらでも調べることができるのが税務署です。

繰り返しになりますが、法定調書の提出は義務です。法で義務づけられていることは確実におこなうようにしましょう。

法定調書の種類とは

法定調書には「所得税法に規定するもの」「相続税法に規定するもの」「租税特別措置法に規定するもの」「国外送金等調書法に規定するもの」すべてあわせると60種類も存在します。

なお、ここでは主に中小企業および個人事業主に関係してくる「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」に絞って紹介していきます。

給与所得の源泉徴収票

多くの人にとってなじみ深い源泉徴収票。

実はこの源泉徴収票には種類があり、給与・賞与や役員報酬、アルバイト、パート費が対象となる給与所得の源泉徴収票のほか、退職金が対象となる退職所得の源泉徴収票、年金受給者が対象となる公的年金等の源泉徴収票があります。

ちなみに、給与所得の源泉徴収票は給与を支払う人(事業者)が必ず作成しなければならない書類となります。そのため、税務署へ提出するのは給与を支払う事業者側がおこなうことになります。

退職所得の源泉徴収票

退職所得の源泉徴収票は、給与や賞与とは所得税の計算方法が異なるため、原則として給与や賞与とは別に退職金が支給される際に交付されます。

この退職所得の源泉徴収票に関しても確定申告などに必要となる場合があるため、紛失には気を付けたいところです。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書とは、フリーランスや個人事業主などに対する原稿料や講演料などの特定業務における報酬を支払った場合に作成する書類のことです。

なお、作成と提出に関してはいずれも発注者側がおこないます。

法定調書の提出義務範囲と提出期限

法定調書には、提出しなければならない範囲と提出すべき期限がそれぞれ定められています。特に提出期限ですが、毎年おこなう確定申告とは異なりますので、ご注意ください。

給与所得の源泉徴収票「提出義務範囲」

給与所得の源泉徴収票の提出範囲に関しては、年末調整をしているか否かで条件が異なりますので、それぞれの条件を見てみましょう。

年末調整をしている場合

  • 法人の役員のうち、その年中の給与等の支払金額が150万円を超えるもの
  • 弁護士、司法書士、税理士等、その年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの
  • 上記以外の人で、給与等の支払金額が500万円を超えるもの

 

年末調整をしていない場合

  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した人
  • その年中に退職した方など、その年中の給与等の支払金額が250万円(法人の役員の場合は50万円)を超えるもの
  • その年中の給与等の金額が2,000万円を超えるため、年末調整をしなかったもの
  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった人
  • その年中の給与等の支払金額が50万円を超えるもの

 

退職所得の源泉徴収票「提出義務範囲」

退職所得の源泉徴収票の提出すべき範囲は、受給者が法人の役員(相談役、顧問その他これらに類する方が含まれる)である場合に限られています。

つまり、法人の役員以外の従業員の分は提出する必要はありません。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書「提出義務範囲」

  • 弁護士、税理士など特定の資格を保有する方への報酬・料金の年間支払額が50万円を超えるもの
  • 原稿料、講演料、デザイン等への報酬・料金など、同一人に対する年間支払額が5万円を超えるもの
  • プロ野球選手などスポーツ選手に支払う報酬・契約金などについて、同一人に対する年間支払額が5万円を超えるもの]
  •  芸能人や芸能関係の業務に関する報酬・料金などについて、同一人年間支払額が5万円を超えるもの
  • プロボクサー、モデル、ホステス、コンパニオンに対する報酬・料金などについて、同一人に対する年間支払額が50万円を超えるもの
  • 外交員、集金人、電力量計の検針人の業務に関する報酬・料金などについて、同一人に対する年間支払額が50万円を超えるもの
  • 社会保険診察報酬支払基金が支払う診察報酬などについて、同一人に対する年間支払額が50万円を超えるもの
  • 事業の広告宣伝のための賞金などについて、同一人に対する年間支払額が50万円を超えるもの
  • 馬主に支払われる競馬の賞金に対し、1回75万円を超える賞金を支払った場合の年間支払額

 

法定調書の提出期限

年に一度、必ず確定申告をしなければならないと定められているのと同様に、これら法定調書に関しても提出期間が定められています。

法定調書の提出期間は原則として、翌年1月31日までとされているので、たとえば令和元年のいずれかの日に支払いがおこなわれた場合、令和2年1月31日までに税務署へ提出しなければなりません。

なお、提出する際には「給与所得の源泉徴収等の法定調書合計表」も作成し、あわせて添付する必要があるのでご注意ください。

また、これら法定調書を提出する際には、支払う相手のマイナンバー(個人番号)の記載が必要となります。

マイナンバーは契約先が法人の場合は国税庁法人番号公表サイトで確認できますが、個人の場合は、提供する方の本人確認(番号確認と身元確認)を行う必要があります。

その際、法令やガイドラインにより、収集したマイナンバーの安全管理措置を講じることが義務づけられているので、扱いにはくれぐれもご注意ください。

まとめ

今回は法定調書についてお伝えしてきましたが、ここで記述したとおり法定調書には未施行を含め2020年5月現在で60もの種類が存在します。

また、こうした法定調書は税務署への提出が義務付けられており、事業者が従業員を雇って給与や賞与を支払ったり税理士や弁護士などに報酬を支払ったりなど、提出すべき条件に該当する場合は、それぞれ定められた期間までに必要な書類を作成し、確実に提出しなければなりません。

もし、法定調書を提出する条件に該当するにも関わらず、無視したり虚偽記載などが発覚した場合、所得税法242条5号によって1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があるので注意が必要です。

繰り返しになりますが、法定調書の作成と提出は義務化されています。

書類の作成時はいろいろと手間がかかり大変ですが、無視することはできませんので、法定調書についてしっかりと理解を深め、適切に提出できるようにしましょう。

なお、提出は電子申告(e-Tax、eLTAX)でも可能なので、インターネットに詳しい場合は電子申告を活用するのも良いでしょう。

いずれにせよ、定められていることに対しては、期間内までに確実に終わらせるよう心がけましょう。

画像出典元:O-DAN/PhotoAC

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