「収支報告書を作らないといけないけど、何を記載すればいいかわからない」という方向けに、収支報告書の基礎知識から記載方法までを網羅的に解説した記事です。
飲み会や部活・謝恩会といったシーンでの収支報告書の作り方サンプルも紹介しているので参考にしてみてください。
このページの目次
収支報告書とは、一般的に1年間の収支の内容を記載した報告書のことをいいます。
収支とは、収入と支出の両方を含めた会計用語であり、収入とは「お金の流入」を意味しており、支出とは「お金の流出」を意味しています。
収支報告書は、個人事業主を除いて法的に求められることはありませんが、会社員や、部活動・サークルに所属している個人が収支報告書の作成を求められるケースはあります。
なぜなら、所属している団体の活動を維持するために、収入と支出の内容を把握する必要があるからです。
特に、会社の飲み会や忘年会など、特定のメンバーで構成されたイベントで収支報告書が必要になるケースが多いようです。
一方、決算報告書(決算書)との違いは何でしょうか。
決算報告書も、内容は基本的に収支報告書と同じ1年間の収支の報告書ですが、決算報告書は、法人に作成・提出が法令で義務付けられています。
法人は、会社法、法人税法、金融商品取引法に基づき、会社の1年間の経営状況や財務状況を記載し、税務署、株主、金融機関、国などに報告しなければなりません。
決算報告書は、それぞれの法令ごとに異なる内容で作成される必要があり、特に上場企業の場合は金融商品取引法に基づき有価証券報告書も併せて作成する必要があります。
収支報告書は、現金の出入りだけを記載しますが、決算報告書は、収支の他に、資本、保有資産、負債などの情報も記載し、税務署や株主などに公表しなければなりません。
特に以下の項目が、収支以外で決算報告書に記載する内容です。
では実際に、収支報告書には何を記載すればいいのかを紹介していきます。
まず最初に記載すべきは、収支報告書の構成要素の一つである「収入」の内訳です。
冒頭でもお伝えした通り、収入は「お金の流入」のことを指しますが、収支報告書ではどのような「活動」から収入が発生したかを明記する必要があります。
そのため、どのような名称で記載するべきかは所属している団体等によって異なります。
「収支報告書の書き方」の項目で具体的な内容を紹介しているので、そちらを参考にしてイメージを膨らませてみてください。
次に記載すべきは、収支報告書の構成要素のもう一つである「支出」の内訳です。
支出は収入とは反対の概念になるので、「お金の流出」を意味しており、収支報告書ではどのような「活動」から支出が発生したかを明記することになります。
支出の内訳を記載する場合も、どのような名称で記載するべきかは所属している団体等の要求によって異なります。
いずれの場合も、どのような活動で収入・支出が発生したかを明記することがポイントとなります。
収支報告書を記載する時の留意点の一つ目としては、証拠となる資料を残しておくことです。
一見、収支報告書と関係ないと思われがちですが、活動の結果生じた収支であることを証明するためには重要なことです。
例えば、今月の飲み会における収支報告書を作成して上司に提出した場合、「この飲み代って何だっけ?」と聞かれる可能性もあります。
極端な話、自分が疑われないようにするためにも、関連する資料(主にレシートや領収書)はノートに貼り付けるなどして保管しておいた方が良いでしょう。
そうすれば、上司に聞かれた場合でも、「このレシートです」と見せるだけで簡単に説明することも出来ますね。
もう一つの留意点をあげるとすれば、それは収支報告書に記載している収支残高を確認することです。
いくらの収入があり、いくらの支出があり、その結果いくら残っているのかを正確に記録することが大切ということです。
いくらレシートや領収書を適切に保管していたとしても、収支報告書自体の金額が間違いだらけだったら意味がないですよね。
留意点の一つ目が「客観性」であり、二つ目が「正確性」の話となるので、どちらか一方を重視すれば良いわけではなく、両方抑えておくべき大事な点だと理解しておいてください。
ここでは実際のケースに合わせた「収支報告書」の作り方を紹介していきます。
まずは、会社の飲み会や忘年会の場合を想定した場合、どのように記載すれば良いのでしょうか?
会社によって形式は異なるかと思いますが、一般的には翌日や数日以内に、幹部から上司宛てにメールで報告するケースが多いので、ここではメールでの記載方法を紹介します。
*****【メール記載方法の例】*****
○○部長
先日開催された飲み会(忘年会)の収支報告の件でご連絡です。
開催目的:○○年度社内忘年会
開催日時:○年○月○日○○時~○○時
開始場所:○○(場所名)
参加人数:○○人
■ 収入の部
・会費:1名当たり○○円 × 参加人数 = ○○円
・参加者全員から会費徴収したことを当日私が確認しております。
・詳細は添付名簿リストをご参照ください。
■ 支出の部
・飲み代:合計○○円
・詳細は添付領収書をご参照ください。
■ 残金
収入から支出を差し引いた結果、○○が残高となっており、次回のイベントに繰り越し予定です。残高は封筒に入れて管理しておりますので、内容確認の上ご承認のほどよろしくお願いします。
*****【以上】*****
次に、謝恩会のケースを見ていきましょう。
謝恩会の場合には、主に以下のような収支報告書で十分かと思います。
ポイントとしては、先ほどの留意点でも紹介した2点を意識することです。
上記に記載している項目は一例なので、必要に応じて適宜名称は変更してみてください。
その上で、収支いずれにおいても、その金額を証明する資料を添付することが大事になります。
この例で「名簿参照」「添付資料参照」としているように、収支報告書とは別の資料をまとめて添付しておけば問題ありません。
また、収支合計と残高が適切に計算されているかを確認しておきましょう。
では次に、部活動のケースを見ていきます。
こちらも基本的な考え方は謝恩会の場合と全く同じです。一例をあげると以下のような収支報告書になります。
先ほどと異なる点は、収支の内訳項目だけです。
こちらも、実際の活動内容に応じてより具体的に記載してみてください。
また先ほどと同様に、「金額の証明となる資料を添付すること」、「収支合計と残高金額が正確に計算されていること」の2点をしっかりと確認するようにしてください。
最後に、これから収支報告書を作らなければならないという方向けに、オススメのテンプレートを紹介しておきたいと思います。
先ほど紹介した収支報告書の書き方を参考にして作成して頂いても構わないですが、「既に出来ているテンプレートを無料で利用したい!」という方は、経理プラスで公開している無料テンプレートを利用してみてください。
ファイル内のタイトルは株式会社を想定したテンプレートとなっていますが、利用目的に応じて名称を変更してもらえれば、あとは収入と支出の内容と金額を入力するだけで、簡単に収支報告書が作成出来ます。
いかがだったでしょうか?
今回は「収支報告書」の基礎知識から収支報告書の作成方法や留意点など、幅広く紹介してきました。
実際に収支報告書の作成が必要となった場合に備えて、基本を抑えた説得力のある報告が出来るようにしてみてください。
画像出典元:Shutterstock
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