TOP > 経営 > 資本金 > 資本金とは?資本金の決め方から注意点まで徹底解説!
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資本金とは、株式会社など法人を設立する際、必ず準備しなければならないものです。
この資本金は、会社の価値を判断する重要な役割もあるため、なんとなく決めるのではなく、しっかりと考えたうえで決めていく必要があります。
そこで今回は、資本金とは何か、そして資本金の決め方や、決める際の注意点など、資本金について詳しく解説していきます。
このページの目次
企業の会社概要などで目にする項目のひとつに「資本金」というものがあります。
この資本金とはいったい何なのか?というと、資本金は、会社を設立する際、主に代表者が事前に準備した、会社の運転資金のことです。
会社の運転資金である資本金は、金額が大きければ大きいほど資金繰りが楽になり、余力ある事業展開が可能となります。
また、万が一金融機関などからの融資が必要になった際も、資本金が多いほど審査に通りやすくなる傾向にあります。
ちなみに、「資本金の額が多いと、すごく儲かっている会社なんだ」と、解釈されている方も多いですが、それは正しくありません。
確かに「資本金の額が多い=儲かっている」というイメージはありますが、あくまで資本金は、事業を展開するうえでの元手金ですので、売上高との関係性はありません。
したがって、資本金の額が多いからといって、必ずしも儲かっている会社だとは限らないということを、しっかりと理解しておきましょう。
資本金に似たものとして、「資本準備金」というものがあります。
会社設立時に用意したお金のうち、すべてを資本金として計上せず、その半分までを資本金準備金として計上することができます。
たとえば事業の元手として1,000万円を用意したのであれば、500万円を資本金、残り500万円を資本準備金とすることができます。
結論から言ってしまえば、資本金と資本準備金には実務上の大きな違いはありません。
ただし、資本準備金にすることで税制上のメリットを受けられる、赤字の補填などに使いやすいなどの利点があります。
資本準備金についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
会社を設立する場合、株式会社は最低1,000万円以上、有限会社なら最低300万円以上の資本金が必要でした。
ですが、2006年5月に新会社法が施行され、資本金が1円以上あれば会社を設立することが可能となりました。
したがって、資本金の金額を決める際は、創業者自ら自由に決めることができるので、仮に資本金1円の会社を設立したとしても、制度上全く問題ないということになります。
しかし、いくら資本金1円で会社を設立することができるとしても、それはあまり現実的とはいえません。なぜなら、会社を設立するには、まず設立準備費用が必要になりますし、設立した後、少なくとも数ヶ月間は利益が出ないことも多いからです。
このように、利益が発生しない期間でも、しっかりその期間を乗り越えていけるだけの運転資金を確保しておかなければならないため、ある程度の資本金は必要なのです。
資本金の決め方の目安としては「初期費用+最低3ヶ月分の運転資金」を算定し、出した数字よりも少々余裕をもたせた金額を、資本金とすると良いでしょう。
初期費用+最低3ヶ月分の運転資金
事業が軌道に乗るまでは、すべて資本金で埋めていくことになるので、設立後の資金繰りなどをしっかり計算したうえで、適正な資本金の額を決めるようにしてください。
参考までに総務省の調べによると、日本企業のうち、約9割近くが300万円~3,000万円の資本金であるとのことです。
「1円の資本金でも会社を設立することが可能である」ということは、既にご紹介しましたが、あまり資本金が低すぎても、事業を展開していくうえでマイナスになりうる可能性もあるので、注意が必要です。
では続いて、資本金の金額が及ぼす影響について、いくつか具体的に挙げていきます。
資本金は、会社設立時の運転資金であると共に、会社の価値を判断する際の、ひとつの評価材料にもなっています。
つまり、資本金の金額が多ければ多いほど、会社に与える信頼度は高くなり、少なければ少ないほど信頼度は下がります。
また、資本金が少なく、会社の信頼性が得られない場合、取引先の候補となる新たな相手先や、融資をお願いする際の金融機関などからも、取引自体を断られる可能性も出てきます。
資本金は、その会社の信頼度を表す、言わばバロメーターのような役割もあるということを知っておく必要があります。
なお、一般的に資本金は、300万円~500万円程度準備できれば、一定の信頼性は確保することができます。
会社の資本金を決めるにあたり、税負担についても考慮しておきたいところです。
消費税法に基づき、会社設立時の資本金が1,000万円未満の場合、基本的に会社設立から2期目までの消費税が免除されます。
※1,000万円以上の場合は、初年度から課税対象となります。
法人住民税に関して、これも資本金の金額などによって均等割額が異なってきます。
この法人住民税というのは、法人を設立していれば利益に関係なく発生する税金のことで、たとえ会社が赤字だとしても、定められた金額を支払わなければなりません。
なお、法人住民税の均等割額の基準は「都道府県民税…資本金」「市町村民税…資本金+従業員数」とされています。
均等割額は下記のとおりです。
法人住民税の均等割額
このように、資本金や従業員数などによって、法人住民税の均等割額も異なりますので、税金面を重視したい場合などは、1,000万円以下に資本金を設定することをおすすめします。
一部の事業内容によっては、その事業に対して許認可を受けなければならない場合があり、その際、最低資本金額が決められているケースがあります。
例えば、人材派遣業の会社を設立する場合、「一般労働者派遣業」という許認可を得なければならず、一般労働者派遣業の許認可を得るためには、最低2,000万円の資本金が必要となります。
このような決まりを知らずに会社を設立してしまうと、設立後に資本金を増やす「増資」という手続きを、改めてやらなければなりません。
増資をおこなうには、当然費用もかかりますし、手続き自体に時間も要します。
設立後にこうした手続きをおこなうことは非常に無駄なことですので、資本金を決める際は、事業に必要な許認可はあらかじめ確認しておきましょう。
資本金というのは、一度設定したら二度と変更することができない。というものではありません。
前項でも少々触れましたが、会社を設立した後であっても、資本金を増やしたり、あるいは減らしたりすることも可能です。
ちなみに、資本金を増やすことを「増資」、減らすことを「減資」と言います。
増資というのは、株式会社が新たに株式を発行し、投資家に新株を購入してもらうことで資金を集め、資本金を増加させることを言います。
増資の目的は、主に新規事業の立ち上げや事業拡大など、会社が成長する際に必要となる、資金の調達手段です。
資金調達の手段と言えば、銀行などから借入し、利息を含め全額を返済していく、という流れを想像する人が多いかと思います。
しかし、増資による資金調達は、あくまで株式を購入してもらって集める資金ですので、金融機関のように返済する必要がありません。
ただし、増資をして資本金が増えると、その分税負担などに影響してくる可能性が出るなど、メリットもあればデメリットもあるので、増資をおこなう際は、様々な視点から検討する必要があります。
減資とは、株式会社の資本金を減らすことを言います。減資によって資本金を減らす目的は、税金対策や配当をおこなうためなど、いくつか目的はあります。
なかでも、赤字が続いた際、その累積赤字を補填するために使われることが多いです。
減資をおこない、累積赤字を補填をすれば、会社の貸借対照表の見た目がよくなりますので、資金調達をおこなう際も、銀行などからの融資が受けやすくなります。
赤字が続いている状態だと、銀行などからの融資も非常に困難になるわけですから、こうした対策を取るわけです。
ただし、減資をおこなえば、当然資本金の額も減ることになるので、その分、会社の信頼も下がってしまうという懸念もあります。
本来であれば、赤字を埋めるために減資を使うのではなく、営業利益などでなんとか赤字をカバーしていきたいものです。
このように、一度設定した資本金でも、その後の事業展開や会社状況などによって、資本金の額を増やしたり、減らしたりすることが可能です。
経営者であれば、資本金のみならず、それに伴う「増資」や「減資」の知識なども、しっかり身に着けておきましょう。
今回は、会社設立時に必要となる「資本金」について、詳しく解説してきました。
資本金というのは、事業を開始するにあたり大事な運転資金となるため、非常に重要な資金です。また資本金の設定額によって、税負担額に違いが生じたり、実務上において不利にもなったりと、ビジネスにおいて大きく影響してくるものです。
資本金を決める際は、なんとなく決めるのではなく、自身の会社にとってもっとも適正な資本金となるよう、正しい判断をするようにしてください。
なお、こちらの記事では会社設立時の資本金についてより詳細に解説しています。ぜひ参考にしてください。
画像出典元:Pexels