減資手続きの方法は?今さら人に聞けない疑問をわかりやすく解説!

減資手続きの方法は?今さら人に聞けない疑問をわかりやすく解説!

記事更新日: 2020/02/14

執筆: 浜田みか

会社の信用や資産といった責任能力を裏付ける資本金。それを減少させることを「減資」といいます。

減資を行うには、会社法によって定められた手続きを取る必要があります。

今回は、減資を行う目的から手続の流れ、減資に必要な書類について解説します。

減資の目的

会社が資本金を減らすのは、目的があってのことです。その目的とは、どのようなものなのでしょうか?

節税対策

資本金が1億円を超えると外形標準課税の対象になり、これは会社にとって大きな負担になります。

資本金を1億円以下にして税法上の中小企業という扱いにすることで、税制の優遇措置が受けられるようになります。

これにより節税できるようになるため、資本金が増えた場合にあえて減資を行うケースがあります。

会計監査法人設置の回避

前事業年度末の資本金が増資で5億円以上になると、会社法上で大会社の扱いに変わります。

大会社になると、会社法で会計監査人の設置が義務付けられているため、監査法人や公認会計士と監査契約を結ばなくてはなりません。

会計監査人を設置すると、年額でおよそ数百万円の負担が発生します。

また、会計監査を受ける義務が発生しますから、会計監査人設置は時間もコストもかかり、会社にとって不利益ともいえます。

大会社として経営することや上場などの目的がある場合を除いては、会計監査人設置は避けたいところ。

そこで資本金を減資することによって、会計監査人の設置が回避できるようになります。

株主への配当金確保

会社法では、株主への配当を行う際、分配可能額までしか配当できないという制約があります。

欠損金が多い場合、減資を行うことで欠損金を処理して配当が可能になるケースがあるのです。

事業再生における欠損填補

赤字が累積すると、欠損金として貸借対照表に記載されます。

事業再生を行う会社では、資本金で欠損を填補することによって、貸借対照表上のマイナス部を穴埋めすることによって、会社の信用力を向上させることが可能です。

また、事業再生が必要な会社では、株主に配当金が分配できない状況に陥っていることもあります。

そのような場合には、配当可能な状況に持ち直さなければなりません。そこで減資を行うことによって、事業再生後に利益が発生した場合に配当しやすい状況をつくり出すことが可能です。

減資の種類

資本金の額を法定処理を踏んで減少させる会計処理のことを「減資」といいます。減資には2種類あり、それが「有償減資」と「無償減資」です。

有償減資

有償減資とは、簡単には会社の財産(資本金)が実質的に減少するものをいいます。

資本金を減少させることで増える「その他資本余剰金」を財源とした余剰金を株主に対して配当する手続きを伴います。

通常、過剰資本になっている状態を是正するために行われるもので、株主に対して出資金が払い戻されることから"有償"減資といわれます。

無償減資

無償減資とは、貸借対照表上で純資産がマイナスになっている場合において、欠損を填補するために資本金を充てて欠損を帳消しにする会計処理上の減資です。

会社の財産が実際に動くわけでなく、あくまでも形式上の減資に留まるため、株主に対して配当されることはありません。

無償減資が行われるのは、累積した赤字を資本金で穴埋めする場合です。会社の財政状況の改善や、配当の原資となる分配可能額を増加させるのが目的です。

100%減資も可能

減資では、資本金を0円にまで減少させることも可能です。これは、株式会社の最低資本金の制度が廃止されたことに起因します。これによって資本金の減資における限度がなくなったのです。

そのため、債務超過に陥っている企業が会社再建では、既存株主の株式数を一度ゼロに戻して新たな出資者に株式を割り当てる「100%減資」と呼ばれる方法を取ることが可能になりました。

ただし、資本金の額をマイナスにすることはできません。これは、減少させる資本金の金額を、減資の効力発生日時点の資本金の金額を下回ることができないからです。

たとえば、効力が発生する時点の資本金の額が2,000万円であれば、原書させられる資本金の額は2,000万円までとなります。

減資手続きの流れ

原資は、株主や債権者の利益を害する可能性があるとして、株主と債権者を保護する目的で厳格な手続が会社法によって定められています。

減資手続きではまず株主総会の収集を行い、その後、以下の手順を踏んでいきます。

1. 株主総会での特別決議

減資を行うには、会社法によって株主総会の特別決議が必要と定められており、次の事項について決定する必要があります。

  • 減少する資本金等の額
  • 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
  • 資本金の額の減少が効力を生ずる日

通常は株主総会による特別決議で決定しますが、例外的に次の2つのケースにおいては特別決議を必要とせずに資本金を減らすことが可能です。

株式の発行と同時に資本金の額を減少させる場合に、効力発生日後の資本金の額が効力発生日前の資本金の額を下回らないとき

この場合、取締役会設置会社では取締役会決議、取締役会設置がない会社では取締役の決定によって対応できます。

減少する資本金が定時株主総会における欠損の額を超過しない場合において、欠損填補に充当するとき

この場合、株主総会の普通決議で対応できます。

減資と減資によって発生したその他資本余剰金を欠損填補に充てる場合、同じ株主総会で決議することができます。

この場合、減資と欠損填補の順で決議を行い、欠損填補については減資の決議が成立することが前提です。

特別決議については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

2. 債権者保護手続き

減資は、有償減資であれ無償減資であれ債権者に不利益を与える可能性があります。そのため、必ず債権者保護手続きを行うことが定められています。その方法は、次の通りです。

  • 官報での公告
  • 債権者への個別催告
  • 1ヵ月以上の異議申出期間の設定

公告について定款で電子公告や日刊新聞紙への掲載を定めている場合は、掲載をもって債権者への個別催告を省略してもよいことになっています。

なお、通常時では決算公告を開示していない会社も、この場合においては開示しなければなりません。

債権者が異議申出の期間内に異議を述べなければ、その債権者は減資に承諾したものとみなすことができます。

もしも債権者が異議を申し出たときは、会社側は弁済期を迎えた債務は弁済、弁済期を迎えていない債務については相当する担保を提供するか、あるいは弁済に相当する財産を信託会社に託さなければなりません。

3. 減資の効力発生

減資の効力が発生するのは、原則、株主総会の決議などによって定められた日です。これを効力発生日といいます。

効力発生日までに債権者保護手続きが終わっていない場合、債権者保護手続きが終了したときに効力が生じます。

これまでは、資本金の減少について株主総会で決議がされただけであり、減資は効力発生日を迎えてからとなります。

なお、官報に掲載依頼をしてから実際に掲載されるまでには2~3週間ほどかかります。この日程を見込んで、異議申出期間を定める必要があります。

また、債権者保護手続きが効力発生日までに終わらない場合には、効力発生日を変更するための決定(取締役会での決議)が別途必要となりますので注意しましょう。

4. 法務局への登記申請

減資の効力発生日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局で変更登記申請を行います。登記は、申請からおよそ10日ほどで処理が完了します。

申請には、以下の書類が必要です。

  • 株式会社変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)
  • 一定の欠損額が存在することを証する書面
  • 公告及び催告をしたことを証する書面
  • 異議を述べた債権者に対し、弁済もしくは担保を供しもしくは信託したこと又は資本の原書してもその者を害する恐れがないことを証する書面

登記申請を司法書士などの代理人に委任する場合は、併せて委任状も必要になります。

減資手続きにかかる費用と期間

減資は株主総会での決議、官報等への公告、異議申出期間の設置と時間を要するものです。また、法務局においての登記内容の変更には費用がかかります。

ここでは、減資手続きにかかる費用と期間を総括しておきます。

減資手続きにかかる費用

減資手続きでは、官報への公告と法務局での手続きに費用がかかります。

官報における公告費用:およそ15万円

法務局における変更登記:3万円(登録免許税)

公告費用は、直近出の決算公告を掲載している場合にはおよそ4.5万円の負担となります。

また、司法書士に依頼して登記内容の変更手続きを行う場合は、司法書士に対する費用が別途発生しますので、全体で20万円以上の費用が必要と考えておくべきでしょう。

減資手続きにかかる期間

官報に公告を掲載する場合、申し込みから掲載までに2~3週間かかります。

毎年の決算公告を掲載している会社では、土日祝祭日を除いて最短で1週間程度が必要です。

これらの期間を含むと、減資の手続き開始から効力が発生する期日までは2ヵ月はかかると見込んでおくのがよいでしょう。

減資と発行済株式総数との関係は

株式会社が減資を行う際、留意しなければならないのが発行済みの株式総数と減資の関係性です。会社法上、「資本」と「株式」は切り離されて考えるものだからです。

減資と発行済株式総数との関係

減資の手続きは、資本金の額を減少させるためのものです。そのため、減資手続きに伴って自動的に株式数が減ったりはしません。

もしも株式数も減らすならば、株式併合または自己株式を取得して償却する手続きを併せて行う必要があるのです。

まとめ

減資手続きは、欠損の填補や税務上で優遇措置を受ける、自己株式の償却を望むなどの目的があって行われるものです。

こうしたメリットを享受するには、株主や債権者からの賛同を得なければなりませんから、手続きを行う前にはまず根回しをするなどして手続きがスムーズに進むように土壌づくりをしておくのが望ましいでしょう。

また、会社にとって資本金の額は、会社の信用度合いを示すものです。決算公告を行っていない非上場の会社が減資を行うならば、対外的な信用面でデメリットになるケースもあります。

この場合は、資本金だけを開示するよりも資本準備金を含んだ金額を開示することで信用低下を回避することが可能です。

さらには、トラブル回避のために司法書士や弁護士といった士業を頼ることも念頭に入れておきましょう。

画像出典元:Pixabay、PEXELS、Unsplash

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