知っておきたい資本金・資本準備金・資本剰余金。違いやルールとは?

知っておきたい資本金・資本準備金・資本剰余金。違いやルールとは?

記事更新日: 2018/11/12

執筆: 高浪健司

「資本金」に似たようなものに「資本準備金」「資本剰余金」と呼ばれるものがあります。

ではこれらには、一体どのような違いがあって、どういった役割があるのでしょうか?

今回は、資本準備金と資本剰余金の違いやルールなどを中心に、最低限知っておきたい知識を解説していきます。

会社を設立するには資金が必要

まず、会社を設立するにあたり、ある程度の資金が必要であるということは、すでにご存知のことでしょう。

現在においては新会社法の施行によって、1円以上の資本金があれば、会社を設立することが可能ですがそれはあくまで制度上のことであって、現実的には困難です。

なぜなら、会社のオフィスを借りる賃料や、デスクや椅子、パソコンやその周辺機器など、事業をおこなう上での環境を整えるための費用が必要だからです。

また、ほとんどの場合、会社設立時から数ヶ月間はまったく売上があがらないという状態が続く場合がほとんどなので、そういった時期でも持ちこたえていけるだけの運転資金が必要となるわけです。

そこで重要になってくるのが、資本金や資本準備金、資本剰余金の存在です。

では「資本金・資本準備金・資本剰余金」とは、どういったものなのでしょうか?それぞれ詳しく見ていきましょう。

資本金とは何か

資本金という言葉自体、ビジネスにおいて触れる機会が多いので、すでにご存知の方も多いかと思いますが、改めて資本金について説明していきます。

前項でも述べましたが、会社を設立する際はまず事業をスタートさせられるよう、環境を整えなくてはなりませんので、そのためには初期費用が必要となります。

また、事業をスタートさせてから数ヶ月間程度は、売上げがあがらないことも多いため、それを考慮した運転資金が必要となります。

このように、事業を始めたあとに必要な初期費用と運転資金をあらかじめ算定し、創業者が事前に用意した資金のことを「資本金」といいます。

よく「資本金の額が大きいから、その会社の資産も多い」と、解釈する方がいますが、資本金はあくまで事業をスタートさせるための元金であり、会社の資産を表すものではありません。

 

資本準備金とは何か

さて、次に資本準備金についてですが、まず会社法第445条にて、資本準備金の定義がどのようにされているのかを見てみましょう。

-会社法第445条第2項-

資本金の払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる。

-会社法第445条第3項-

資本金の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない

資本準備金について、会社法ではこのように定義されています。

どういう事かというと、たとえば資本金として1,000万円を準備したとします。そのうち、2分の1である500万円までは資本準備金として扱うことができるということです。

つまり、1,000万円を全額資本金として計上するのではなく、資本金500万円で会社を設立し、残りの500万円を資本準備金として残しておくことができるのです。

資本準備金として計上するメリットとは

さて、ここまで資本金と資本準備金についてお伝えしてきましたが、実務上において大きな違いはありません。

ではなぜ、わざわざ資本金と資本準備金を分ける必要があるのでしょうか

それは資本金ではなく資本準備金として計上することで、以下のようなメリットがあるからです。

転用しやすい

資本金を増やすことを増資、減らすことを減資といいますが、これらの手続きにはそれ相応の手間と費用がかかります。

登記変更の手続きが必要ですし、原則株主総会の特別決議も必要です。

それに比べ、資本準備金に関わる手続きは簡便です。

資本準備金を取り崩す場合は、株主総会の普通決議で十分であるうえ、登記も不要です。

資本金は事業の元手であるのに対して、資本準備金はその名の通り、困った時のために準備しておくお金という意味合いがあり、制度上動かしやすくなっているといえます。

よくある資本準備金の移動は、資本準備金の取り崩しによる赤字補填です。資本準備金を取り崩すことによって、比較的容易に赤字補填をすることが可能です。

節税効果

資本金と資本準備金を分けることで、節税効果があります。

株式会社など法人を設立すると、法人住民税という税金を納めなければなりません。この税金は、たとえ会社が赤字だとしても必ず納めなければならないもので、その税額は資本金をベースに計算されます。

要は資本金が多いと支払う税金も増えるのです。

こうしたデメリットを回避するため、株主から出資された資金をすべて資本金とするのではなく、2分の1までを資本準備金として分けます。

資本金の額が少なくなることで、結果的に節税効果に繋がるというメリットになるわけです。

このように、資本金と資本準備金を分けることで、節税効果が得られるとともに、赤字の補填など運転資金としても蓄えておけるので、より余力ある事業展開が可能となります。

よって、資本準備金はできる限り多く積立てておくことが重要です。

資本剰余金とは何か

さて、次に資本剰余金についてですが、おそらく資本剰余金という言葉は、あまり聞いたことがないという人も、少なくないかと思います。

目にしたことがあるとすれば、会社の財政状態を記す貸借対照表(BS)のなかの「純資産の部」の項目でしょう。

下の表は、株式会社ココナラの第7期決算公告です。

この決算公告をみると分かるように、資本剰余金とは資本準備金を包括したものであり、より具体的には、資本剰余金と「その他資本剰余金」をあわせたものです。

「その他資本剰余金」とは、資本金や資本準備金とは別に、それ以外の資本取引から生じた余りのお金(剰余金)のことをいいます。

  • 資本準備金の取り崩し額
  • 自己株式処分の差額

などが「その他資本剰余金」として計上されます。

最大の違いは配当原資になるか

資本準備金と「その他資本剰余金」の最大の違いは、株主への配当原資として認められているかです。

会社が株主に配当をおこなう際、純資産のうち、資本金や資本準備金からでは配当原資をすることは認められていません。しかし、資本剰余金であれば配当原資とすることが認められているのです。

利益剰余金とは別物

ちなみに、剰余金には資本剰余金の他にも「利益剰余金」と呼ばれるものもあり、資本取引とは異なり、会社の事業活動によって生み出されたお金のことをいいます。

これは別物なのできちんと区別しましょう。

まとめ

さて、今回は会社を設立するにあたって重要となってくる「資本金」「資本準備金」「資本剰余金」を解説しました。

資本金や資本準備金、資本剰余金など純資産に関する勘定科目は、非常に専門的なことも多く、ややこしい部分もありますが、それでも経営者であれば必ず知っておかなければならない重要な部分です。

また、資本金をいくらに設定し、そして資本準備金をどのくらい残すのかなど、最初の決定事項は、今後の事業展開において、非常に重要なポイントになってきます。

特に最重要となる資本金の決め方は以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

画像出典元:Pixabay

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