稟議書の作成や承認に時間がかかり、悩んでいる企業は多いのではないでしょうか。
稟議書の電子化は、決裁までの時間を短縮し、コスト削減にもつながります。
この記事では、稟議書の電子化を検討している方に向けて、メリット・デメリットを詳しく解説し、おすすめシステムも紹介します。
稟議書に悩みを抱えている方は、ぜひご覧ください。
このページの目次
稟議の電子化とは、稟議書を電子データで管理し、申請から承認までのプロセスをオンライン上で完結させることをいいます。
具体的には、稟議書を電子ファイル化し、ワークフローシステムなどを活用して、承認フローを可視化し、効率化を図ることを意味します。
電子化できる稟議書は、企業の業務内容や規模によって異なりますが、一般的に以下のものが挙げられます。
これらの稟議書を電子化することで、担当者や承認者の手間は省け、稟議処理にかかる時間を大幅に短縮できます。
近年、企業を取り巻く環境は大きく変化しており、稟議書の電子化は急速に進んでいます。
ここでは、稟議書の電子化が進んでいる背景について具体的に解説します。
2022年1月の電子帳簿保存法の改正で、保存要件に関する規制が緩和され、帳簿書類を電子化するハードルが下がり、さまざまな書類の電子化が進みました。
稟議書そのものは電子帳簿保存法の対象ではありませんが、稟議書に添付される契約書や見積書、請求書などの書類とともに、業務効率化、ペーパーレス化などの観点から、稟議書も電子化されるケースが多く見られます。
新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワークが急速に普及しました。
場所や時間を選ばず仕事ができるようになった一方で、紙ベースの稟議書は、場所や時間にとらわれず処理することが難しく、業務効率の低下を招く要因となっていました。
電子化された稟議書であれば、いつでもどこでも申請や承認ができ、リモートワーク環境下でもスムーズな業務の遂行が可能になります。
それでは、稟議を電子化することで得られるメリットについて解説していきましょう。
稟議書を電子化することで、稟議のメリットである時間短縮をさらに加速させることができます。
電子化された稟議書は一斉に閲覧や承認ができ、遠方でも即座に処理が可能だからです。
紙だと一人一人閲覧をしなければならず、渡すための移動時間も必要となりますが、電子化された稟議書であれば移動時間は必要ありません。
また、作成時点で気づかなかったミスを確認者が発見した場合には、作成者の元へ送付をした上で再作成をする必要もあります。
電子化された稟議書であれば、送付の時間と再作成の時間短縮をすることもできます。
稟議書を電子化すると、紙の書類を作る必要がなくなります。
また、作成時に失敗をした書類は無駄になりますが、電子化されていればコストに無駄なく稟議を行うことができます。
ほかにも、書類であれば保管するためのスペースが必要です。
経営年数が長い会社や規模の大きな会社では保管すべき書類は大量にあり、保管するためのスペースや必要書類を探すために人件費も必要となります。
しかし、電子化されていれば保管をするためのスペースを取ることも、探すために人員を割く必要もありません。
電子化をされている稟議書であれば情報の検索がすぐに済むため、監査の効率が非常に良くなります。
また、大量の書類を運ぶための労力や時間を取られることもないため、さらに効率が良くなります。
通常、監査には準備に時間と人員を大きく割かれます。
日ごろから監査に向けて整理をこまめにしていなかったために、数日間何人もの人が徹夜をして準備をするといった話もよくあることです。
電子化をすることで大幅な時間短縮に期待ができます。
電子化された稟議書は「修正が容易」「同一内容の作成が簡単」といった、申請者の負担を大きく減少させるメリットがあります。
なぜなら、同一内容の稟議の場合も変更箇所のみの修正で稟議書が作成できるからです。
紙の場合、稟議書の作成中や提出後にミスがあった場合には修正の必要があり、多くの場合が最初からやり直しとなります。
また、同じ内容の稟議でも紙の場合は1から作成を行わなければなりません。
電子化された稟議書では最初からやりなおさずとも、訂正箇所のみの修正でかまいません。
稟議の申請者にとって時間の負担だけでなく、精神的な負担の軽減もできるでしょう。
電子化された稟議書では、記入項目にチェック機能をつけることでミスの防止に効果が期待できます。
また、記入例を表示しながら作業をすることもできるため、より正確な稟議書の作成が可能です。
作成時のプレッシャーも格段に下がるため、作成者が気持ちに余裕をもって確認をしながら稟議書の作成ができるでしょう。
稟議を電子化するメリットについて紹介をしてきましたが、もちろんデメリットも存在します。具体的にどのようなデメリットがあるのでしょうか?
電子化するための設備が必要な場合、外部委託する場合にランニングコスト(維持費)が掛かります。
企業規模の小さな零細企業や小企業では稟議の数が少ないため、電子化をすることでコストパフォーマンスが下がる場合もあります。
電子化するためには現在の書類の内容を移さなければならず、書類の量に比例して時間がかかります。
規模の大きな企業や設立からある程度年数ある企業では、保存している書類の量は大量です。
大量のデータを移すための人材に余裕がなければ、電子化するために膨大な時間がかかるだけでなく、担当者にとって大きな負担となります。
書類から電子化へと変更されるため、稟議に関わる全ての社員が書式や記入方法に馴れる必要があります。
また、パソコンの操作に馴れていない人は、電子化された稟議書の前にパソコン操作に馴れなる必要も。
アナログで長年稟議書を作成していた社員にとっては環境の変化に苦戦し、効率が低下する場合も考えられます。
システムの導入は、自社に合ったシステムを選ばなければ、かえって業務が煩わしくなる可能性があります。
ここでは、電子稟議書システムを選ぶ際に、気をつけるべき3つのポイントを解説します。
わざわざ電子稟議システムを導入しても、社員が使いこなせなければ意味がありません。
マニュアルを必要とせず、誰でも簡単に操作できる直感的なインターフェースが理想です。
システム導入前に、実際に使う社員にヒアリングを行い、意見を取り入れると、よりスムーズな導入が可能になります。
導入後、「システムに合わせて現行のフローを変更しなければいけない」といったことにならないように、自社のフローにどれだけフィットするかをしっかりと確認しましょう。
稟議の種類によって異なる項目に対応できるよう、自由にフォームを作成できる機能が理想です。
企業によっては、承認ルートが複雑だったり、特別な承認の条件があったりする場合もあります。
複数回の承認が必要な場合や、部門によって異なる承認ルートを設定したい場合など、柔軟に対応できる電子稟議書システムを選びましょう。
電子稟議書システムは、ほかのシステムと連携することで、さらなる業務効率化が期待できます。
たとえば、会計システムと連携すると、承認された稟議書の情報が自動的に会計システムに連携されるため、入力ミスを起こす心配もなく、経理担当の負担を大幅に削減できます。
電子契約システムとの連携では、稟議の承認後、電子契約システムに自動で契約情報が連携され、契約締結までの時間を短縮できます。
人事システムと連携すれば、人事異動や組織変更に伴う承認ルートの変更を自動で行えます。
さらに、SlackやLINE WORKSなどのビジネスチャットツールと連携し、稟議申請の通知をチャットに送ることで、承認漏れを防ぎ、迅速な対応が可能になります。
ここでは稟議の電子化における具体的な事例を紹介しています。電子化に置けるメリットがどのような効果を挙げているのか確認してみましょう。
アサヒ飲料株式会社では稟議を電子化をすることで、年間4,000時間分の稟議にかかる時間のカットと、800万円分のコスト削減をすることに成功しています。
電子化以前までは発案から決済が下りるまでに3週間~1か月程度の時間を要し、回覧と回付の記録やキャビネットへの保管などで800万円程のコストが必要だったとのこと。
電子化することで、稟議の回付にかかる時間と保管場所が必要なくなったことで、時間と費用のコスト削減に成功しています。
三菱自動車では稟議書が社長の元まで届く時間が1週間ほど掛かっていたのが、1時間~1日で届くようになりました。
三菱自動車は東京に本社があり、愛知に開発部門と車体工場、京都にエンジン工場、岡山に車体工場と、全国各地に拠点が存在しています。
本社から離れた遠方の拠点からの稟議書の回付には、どうしても時間を要していました。
しかし、稟議の電子化を試みることによって、遠方での拠点で大きな効果を出すことに成功しています。
広島を起点に西日本に大型スーパーマーケットを展開する株式会社イズミでは、稟議に掛かる時間を平均2.5日短縮することに成功しています。
承認者不在での決済遅延、保管書類の増大化で過去情報の検索に費やす膨大な時間、遠方からの回付に掛かる時間、書類の整理に掛かる時間、進捗確認に掛かる時間、これらを稟議の電子化によって解決しました。
その結果、平均で2.5日の時間短縮だけでなく、稟議の進捗状況の問い合わせがなくなることで担当者が業務へ集中でき、効率化も実現しています。
まず最初に検討していただきたい、編集部おすすめのワークフローシステムを紹介します!
画像出典元:「ジョブカンワークフロー」公式HP
ジョブカンワークフローは、シリーズ累計25万社を超える導入実績がある電子稟議書システムです。
社内のあらゆる申請書をクラウド管理でき、スマホアプリにも対応しているので、いつでもどこでも申請・承認が可能になります。
また、従業員数10名以下の小さな会社から500名を超える大きな会社まで、人数にとらわれず導入可能なのも魅力です。
ジョブカン ワークフロー |
ジョブカン 経費精算 |
大規模(500名目安) の企業向け |
|
初期費用 サポート費用 |
無料 | ||
月額費用 | 300円/1ユーザー | 400円/1ユーザー | 要問合せ |
(税抜)
最低利用料金は月額5,000円になります。
経費精算・ワークフローセットは600円/1ユーザーです。
コラボフローは、いつも使っているExcelファイルをそのまま申請書フォームに変換できる電子稟議書システムです。
コーディングの専門的な知識がなくても、誰でも直感的にシステム構築ができ、大幅な業務効率アップが期待できます。
クラウド版とパッケージ版の2つのタイプがあり、導入方法や費用、運用の仕方に合わせて選ぶことが可能です。
スタンダードプラン (クラウド版) |
プレミアムプラン (クラウド版) |
パッケージ版 | |
初期費用 | 無料 | ||
月額費用 | 500円/1ユーザー | 800円/1ユーザー | 要問合せ |
(税抜)
画像出典元:「rakumoワークフロー」公式HP
rakumoワークフローは、「Google Workspace」と連携してその機能を拡張できる電子稟議書システムです。
見やすいデザインで業務フローを可視化できるのが特徴です。
進捗やコメントがあるとメールや Slack で通知を受け取れるので、申請がスムーズに進みます。
rakumo ワークフロー |
rakumo Basicパック |
rakumo Suiteパック |
|
初期費用 | 無料 | ||
月額費用 | 300円/1ユーザー | 750円/1ユーザー | 1,350円/1ユーザー |
(税抜)
契約の際は12ヶ月単位での契約が必要になります。
「稟議決裁さくらさん」は、社内のワークフローに合わせてカスタマイズできる稟議決裁システムです。
稟議決裁さくらさんでは、「AIさくら」が秘書のように、承認フローの設定や期日管理など、稟議を決裁するまでのさまざまな業務をサポートします。
意思決定や承認スピードを早めたい企業におすすめのサービスです。
初期費用+月額費用のシンプルな料金体系ですが、詳細についてはお問い合わせが必要です。
この記事では、稟議の電子化について解説しました。稟議を電子化することで大きく「時間」と「費用」を節約することができます。
事例でも紹介したように、回付先が多い場合や遠方に拠点がある場合には絶大な効果が見込めるでしょう。
また、記入ミスや改ざんの防止、検索に掛かる時間の短縮ができる点も電子化ならではのメリットです。
下記の記事では、編集部おすすめのワークフロー25選を比較解説します。今回紹介しなかったワークフローシステムもあるので、興味がある方はこちらもご覧ください。
画像出典元:Unsplash、Pixaday