承認業務を進めるために必要な「稟議書」。
備品購入や新規契約をするためには、責任者や関係者からの承認が欠かせないですよね。
とはいえ「稟議書はどうやって書いたらいいの?」「どんな点に気を付けたらいいの?」などの疑問や悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では稟議書の書き方からポイント、注意点、真似できるサンプルなどを詳しく解説します。
このページの目次
稟議書とは、その名のとおり、稟議を通すための書類のこと。
この書類は伺い書とも呼ばれ、企業や組織などで承認を必要とするものとして承認者に回ります。
権限が低い人から高い人へ向けて回すのが通例となっており、
企業や組織規模が大きければ大きいほど、承認者が増え時間もかかります。
そこで、稟議内容を確実なものにするためにも、書類として残しておく必要があり、よりわかりやすく伝わりやすいものを作成することが大切となるでしょう。
ここからは稟議書に必要な5つの項目を解説します。
まずは何について申請するのかを書くことが必要です。
件名は最初に目が付く場所であるため、短くわかりやすく具体的にすることが求められます。
承認してほしい稟議が後回しされないような件名を付けましょう。
何について書かれた稟議書なのかわかるように、件名よりも詳しくまとめます。
件名がタイトルなら、概要は要約をイメージすればわかりやすいかもしれません。
承認してほしい内容を書くことを忘れてはいけません。
承認者が何を判断すればよいのかをストレスなく理解するために必要な項目です。
特に以下の内容は具体的に記載しましょう。
承認してほしい内容が明確になっていれば、スムーズな承認フローになるでしょう。
申請の目的や理由を書くことも重要です。
何のために申請するのかを記すことで、申請の意図が相手に伝わりやすくなります。
承認者にもこの稟議には承認が必要だと思わせるように書くことが必要です。
稟議を通すためには、メリット・デメリットともに客観的に記載する必要があります。
メリットの場合は、可能な限り数値化(定量化)しておくことをおすすめします。
漠然とした文章よりも数値で表現できれば、より具体的に理解できます。
また予想されるリスクやデメリットも隠さず明示することで、承認者を納得しやすくなります。
ここからは稟議書を書く際のポイントを解説します。
誤字脱字・情報の誤りはないように注意を払いましょう。
これがあるだけで、修正や差し戻しなどの手間と時間が発生します。
事前に複数回確認して、誤字脱字や情報の誤りを防ぎましょう。
なるべく短文で簡潔にまとめるようにしましょう。
詳しく説明しようとすると、どうしても長くなってしまうことがあります。
しかし短い時間の中で相手に理解してもらうためには、わかりやすさが欠かせません。
また箇条書きやナンバリングなどを駆使して、見やすさにも配慮しましょう。
稟議書を書く場合、専門用語を使わないように心がけることが大切です。
現場にとっては馴染みのある言葉であっても、承認者・経営層には通じないこともあります。
専門用語を使用する場合は、簡単な注釈を付けることを推奨します。
なるべく平易な言葉を使ったり置き換えたりすることで、読みやすさを求めましょう。
そのまま使用できる例文をパターン別に5つ紹介します。
高額なものを購入する際には、備品購入の稟議書が必要です。
今回はタブレット端末におけるサンプルです。
令和〇年〇月〇日
営業部長 ▲▲様
営業部 ◆◆◆
営業用タブレット端末の購入について
作業効率向上のために、以下についてご検討のほどよろしくお願いいたします。
記
対象製品:〇〇社製 〇〇タブレット ABC-DEF11型
価格:1台45,000円
数量:5台(営業部員1人1台必要となるため)
理由・背景:営業提案の説得力を高めるための資料全てを持ち歩くことは困難。
しかしタブレットがあれば、資料の持ち運びの負担を減らせる。
また資料の印刷し忘れやカタログ不足などのリスクも軽減可能。
さらにペーパーレス化を促進でき、経費削減も期待できる。
添付資料:作業効率に関する計測データ1通
〇〇タブレット ABC-DEF11型 カタログ
以上
社員を新たに採用するためには、稟議書の提出が必要です。
とくになぜ社員を採用する必要があるのかを説明することが欠かせません。
令和〇年〇月〇日
人事部長 ▲▲様
総務部 ◆◆◆
派遣社員の正社員登用について
派遣社員の正社員登用をお願いしたく、下記についてご検討お願いいたします。
記
1. 登用予定者
〇〇 ▼▼(XX歳)
2. 登用理由
・◆◆のスキルが長けており、部署には無くてならない存在である
・同業での就労経験があり、自社の環境も理解している
・部署の同僚とも良好な人間関係を築けている
3. 雇用条件
勤務地:本社
勤務時間:9:00~18:00
初年度年俸額:〇〇万円
4. 入社予定日
10月1日
以上
新規事業者と契約締結する際に必要となる稟議書のサンプルです。
令和〇年〇月〇日
新規取引に関して
下記のとおり、当社との新規取引を開始したく提案いたします。
記
新規取引検討先 株式会社〇〇〇
主な事業内容 BtoBマーケティングならびに営業支援
推奨理由 ①当社の「〇〇」サービスによって、自社の「▲▲」を効果検証できる
②当社の「〇〇」サービスは競合他社でも利用されている
③株式会社〇〇〇は売上が伸びており、経営状況も良好である
添付資料 株式会社〇〇〇のパンフレット
株式会社〇〇〇からの提案資料
以上
出張する際に稟議書が必要な企業もありますので、そのためのサンプルです。
令和〇年〇月〇日
〇〇県への出張について
下記のとおり、××社が開催する会合に参加するため、〇〇県へ出張許可をお願いいたします。
記
1. 日時
〇〇年〇月〇日(〇)〇時~〇時
2. 出張費用
〇〇万円(宿泊、交通費込み)
3. 開催場所
〇〇県▲▲市XXXセンター
4. 目的
①××社が開催する会合に参加し、交流を深めるため
②長年お世話になった〇〇氏が今年定年退職を迎えるためご挨拶のため
以上
PCなどの機材を修理する際の稟議書サンプルです。
令和〇年〇月〇日
営業部長 ▲▲様
営業部 ◆◆◆
ノートPCの修理について
現在使用しているノートPCが不調でエラーメッセージが頻出します。
メーカーに問い合わせたところ、修理の必要があるようです。
そのため、下記についてご検討のほどよろしくお願いいたします。
記
メーカー: 〇〇社製 ABC-DE
修理費用: 〇〇万円
理由: 今回修理依頼をするノートPCは共有パソコンとして、多くの情報やデータが保存され
ており、早急な修理と復旧が不可欠であるため。
以上
ここからは稟議書が却下される2つの原因を解説します。
通りやすい稟議書を作成するためには、必須項目を満たしておくことが重要です。
最低限以下の項目が含まれた内容を目指しましょう。
2つ目の原因は、稟議書を提出する背景や理由が十分説明されていないことです。
承認者は、そこまで現場の詳細な事情を知らないことも多いものです。
そのため、このくらいは承知しているだろうという前提で、稟議書を作ってしまうと、説明不足と思われて却下されやすくなります。
部署外の人が見てもわかるレベルでまとめることが重要です。
昨今では、従来の紙での稟議書ではなく、電子化された稟議書を用いる企業も増えてきています。
紙の稟議書では承認されるまでに手間も時間もかかりますが、電子化することで承認業務を効率化することができます。
ここからは、稟議書を電子化する方法とメリット・デメリットをみていきましょう。
稟議書の電子化というと、ワークフローシステムの導入が一般的です。
ワークフローシステムとは、申請や承認などの業務フローを電子化・効率化するツールのことです。
ワークフローシステムでは稟議書のフォーマットを自由に作成でき、テンプレート化することも可能。
事前の根回しや承認フローもシステム上で行われるため、電子印鑑や承認ボタンで作業が完結します。
ワークフローシステムを導入することで、承認フローがスムーズになります。
承認者が不在で承認フローがストップすることもなくなり、申請者・承認者共に時間を有効に使えるようになるでしょう。
また稟議書が電子化されることで、ペーパーレス化が推進され、かつ過去の稟議書の検索も容易になります。
ワークフローシステムを導入する限りは、それなりの運用コストが発生します。
オンプレミス型だと初期費用が高くなりますが、クラウド型であればコストを最小限に抑えられるサービスも選択可能です。また、承認フローや社内ルールの見直しも必要になります。
「稟議決裁さくらさん」は、社内のワークフローに合わせてカスタマイズできる稟議決裁システムです。
稟議決裁さくらさんを導入することで、ペーパーレスの促進による業務効率化や印紙代のコストカット等に期待ができるでしょう。
決裁者はオンラインで承認することができるため、稟議書を回覧する必要がなくなり、社内の意思決定をスピーディーにすることができます。
ペーパーレス促進や意思決定・承認スピードを早めたい企業におすすめのサービスです。
料金については問い合わせが必要になります。
初期費用+月額費用の料金体系のサービスが多いため、予算を確認しておくと良いでしょう。
今回は、稟議書の書き方について解説しました。
この記事で紹介した必要項目を満たすことで、承認者に伝わる稟議書を作成できるのではないでしょうか。
ただし、企業によって稟議書のフォーマットは異なる可能性がありますので、過去の稟議書などを確認しながら作成してみてください。
画像出典元:O-DAN Unsplash