「起業」「ベンチャー」「スタートアップ」… 最近このようなワードを耳にする機会が増えたように感じませんか?
実は、個人、法人問わず新たに事業を始める事業主は増加傾向にあり、そのスピードは年々加速を続けています。起業は従来よりも随分と身近な存在へと変化しました。
この記事では、起業に関する基礎知識から実際に起業するためのステップまでをわかりやすくまとめています。
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起業とは、読んで字のごとく「(新しく)事業を起こす」ということ。
最近では、「起業」という言葉が「ベンチャー」や「スタートアップ」という新しいワードと関連づけて扱われる機会がとても増えました。
「冒険的」という意味を含む「ベンチャー」や「スタートアップ」は、革新的アイデアや技術を武器に、大手が手をつけていないような新規の事業に参入することを意味します。一般的な「起業」との違いは「新しい分野の開拓」であり、主に以下のような特徴が挙げられます。
【ベンチャーやスタートアップの特徴】
・世の中に新しい価値を提供する
・既存のサービスや商品を画期的に進歩させる
・長年の課題点を新しいアプローチでクリアにする
起業と同じような意味で使われている「開業」「独立」「創業」、それぞれの間にはどのような違いがあるのでしょうか。
「開業」も同じく事業を始めることを意味しますが、ここにも違いがあります。ポイントは「誰が事業を始めるのか」という点です。
結論から言うと、法人ではなく、個人が新しく事業を始める際に「開業」を使うことになります。「飲食店を開業する」、「古着屋を開業する」などがこれに当たるでしょう。
この呼び方は、個人が事業を始める際、「開業届(個人事業の開廃業届出書)」を税務署に提出することに所以があるようです。法人として申請を行う場合は「法人設立届出書」を提出することになります。
「勤めていた会社を辞めて独立する」というと、「起業する」に近い意味合いを感じますが、実際は「独立」と「起業」は別物です。
独立とは、「他に頼らない」ということ。つまり、会社を退職しどこにも属していない状態が独立であり、その先にあるアクションが起業ということなのです。
実は、「創業」の意味は起業と同じく「事業を始める」ということ。ただし、それらは全く同じというわけではありません。例えば、普段よく耳にする言葉で「創業○周年記念」や「明治○年創業」などといったフレーズがありますが、「創業」という言葉は事業が始まる時点が過去である場合に用いられるのが一般的とされています。
起業という言葉は「来年起業する」のように未来に向けて使うことができるのに対し、「来年創業する」というように創業を未来に対して用いることは適切とはされていません。
法人として起業した人の数は、2010年から8年連続で増加傾向にあります(2017年東京商工リサーチ調べ)。起業する人はなぜ増えているのでしょうか。
インターネット環境の発展は、企業だけでなく、個人でも大きなビジネスチャンスをつかむことを可能にしました。
従来は妨げとなっていた物理的な制約はインターネット上には存在せず、起業に関する情報収集から実際の事業まで、ありとあらゆることが手持ちのパソコンやスマホだけで完結することができる時代となりました。
初期投資ゼロで事業をスタートすることもできるのです。「起業してみたい」という人にとっては願ってもない追い風と言えるでしょう。
多くの企業によって終身雇用という制度が見直され、「大手企業に就職さえすれば一生安心」という概念はもはや崩壊しています。
また、働き方の多様化が進んでいることもあいまって、大小なりとも不満や不安を抱きながら会社で働き続けることよりも、「自分の力で可能性を広げてみたい」と起業に踏み切る人が増えているようです。
「新しく事業を起こす」という意味の通り、起業において求められるのは0から1を生むスキルです。
起業までの険しい道のりでは、初めて経験することや想定外のハプニングに頻繁に遭遇します。
そのため、あらゆる事態を踏まえて綿密な事業計画を立てる力、そして、不慮の出来事に対してもリスクを覚悟で挑戦する行動力、この2つが起業を行う上で欠かせない重要なスキルと言えるでしょう。
経営とは、起業で築いた「1」をさらに発展させていく活動のことです。そのために、まずは利益を上げる力、そして得た利益を資金とし、今後の事業発展のために効果的に運用する力、これらが重要なスキルとして求められます。
「ビジネス」とは、「利益を上げる」という一過性の目的のために行う活動のことを指します。つまり、一定の期間で利益さえ上がれば目標達成ということ。
対して「経営」は、利益を上げることを継続的に実現し、長期スパンでビジネスを発展させていく、という経済活動のことを意味します。
東京商工リサーチによる2018年の「全国新設法人動向」調査によると、年間の新設法人の数は約13万人、そして同時に約8000件以上の法人が廃業に至っていることが明らかになっています。
また、個人事業主に関しては、その約38%が起業後1年で廃業、10年後まで存続できているのはわずか1割というデータもあります。これらの数字から察知できることは、起業よりも事業を継続させることの方が難しい、という事実です。
「起業を成功させる」ということと、「事業を継続させる」ということは同じ目標です。長期的に事業を継続し、起業したことを成功させるためには、その場しのぎの利益にとらわれず、「発展・拡大」を視野に入れた経営を進めていくことが重要と言えるでしょう。
「何のために起業するのか」「事業を通して何を成し遂げたいのか」など、起業の目的を明確に定めることは起業におけるステップの必須事項です。
起業は生半可な動機では成功させることはできません。芯のある事業目的こそが起業までの準備、そして起業後の経営活動で求められるさまざまな決断一つひとつにおける重要な指針となるからです。
事業目的を定めたら、収益を上げるための戦略を練りましょう。
ビジネスモデルとは、一言でいうと「何を、誰に、どのようにして売るのか」ということです。提供する商品やサービスを勝算が見込める状態まで磨き上げ、それを誰に向けて、どのようなルートを介して提供するのが良いのか、徹底的に思案を重ねます。
消費者に「買いたい」と思わせるロジックを見つけ出すこともマーケティングを活性化させるためのカギとなります。
起業を進めていく上で大きな壁として挙げられるのが資金確保です。起業に必要な資金を自己資金でまかなうことができない場合、その不足分を調達するルートを探し出さなければなりません。
起業資金を調達するための代表的な方法には以下のようなものがあります。
・日本政策金融金庫から融資を受ける(公的融資)
・自治体のあっせんを得て制度融資を受ける(公的融資)
・自治体の起業支援制度を利用(補助金や助成金の交付など)
・クラウドファンディングを活用
・ベンチャーキャピタルから支援を受ける
公的融資は民間に比べて審査の通りやすさと金利の低さが魅力です。特に多くの人が利用しているのが日本政策金融金庫の「新創業融資制度」。3,000万円まで無担保・無保証で借りることができます。
自治体による支援制度はさまざまで、返済義務のない補助金や助成金を提供している制度もあります。申請できるものはないか、ぜひ近くの自治体に相談してみましょう。
近年話題のクラウドファンディング。インターネットを介して出資金を募る新時代型の資金調達ツールです。資金調達と同時に、商品やサービスの宣伝効果も期待できるというところは大きなメリットでしょう。
ベンチャー企業など、上場を目指している場合はベンチャーキャピタルからの支援も視野に入れることをお勧めします。資金支援だけでなく、経営支援も受けることができます。
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現在、登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。
個人事業主の場合、必要な手続きは税務署への「個人事業の開業・廃業等届出書」(通称:開業届)の提出のみで、費用は必要ありません。提出期限は開業から1ヵ月以内です。
従業員を雇う場合や青色申告を行う場合は、それらの手続きも開業届を申請する際にまとめて行うと円滑に進みます。
法人として起業する場合は少し複雑で、以下のような複数の場所でさまざま手続きを行う必要があります。
・公証人役場:定款(ていかん)を提出し認証を得る
・法務局:設立登記を行う
・税務書:法人設立届出書を提出する
・年金事務所:健康保険・厚生年金保険の加入手続きを行う
・労働基準監督署:労働保険の加入手続きを行う(従業員を雇用する場合)
計画から資金調達、さまざまな手続きを終え、晴れて起業という新しいスタートを切ることができました!
しかし、喜びも束の間、ここからは収益を上げるべく、起業から経営への切り替えが求められます。利益を生み出し、それを然るべきところへ投資し、ビジネスを発展させていかなければなりません。
起業後も必要な手続きはたくさんあります。確定申告など、経営に追われて忘れることがないよう、事前に年間スケジュールを立てておくことをお勧めします。
時代の変化に伴い、起業するための環境や起業をサポートするシステムは充実傾向にあります。そして、起業のハードルが下がった分、起業家のライバルは増え続けています。
起業を成功させるためには情報収集や綿密な計画立てが重要となりますが、慎重になりすぎるのは禁物です。ライバルに追い抜かれないためにも、挑戦する姿勢を忘れず、積極的なアクションを心がけるようにしましょう。
画像出典元: O-DAN
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