ペーパーレス会議のメリットと欠点とは?期待できる効果と成功させるコツ

ペーパーレス会議のメリットと欠点とは?期待できる効果と成功させるコツ

記事更新日: 2021/04/15

執筆: 編集部

ペーパーレス会議とはよく聞くけれど、一体どんなものなのか分からず、なかなか導入に踏み出せない人も多いでしょう。

ここでは、ペーパーレス会議導入のメリットとデメリットを詳しく見ていきます。導入することで得られる効果は、デメリットを補って余りあるものなのです。導入する際の成功のコツも解説していきます。

ペーパーレス会議とは?

ペーパーレス会議とは、簡単に言えば「紙を使わない会議」のことです。しかし、一般的な会議では議事次第や目次などの資料を紙に印刷して配布することが多いのが現状です。ペーパーレス会議を導入し、紙の使用を辞めるにはどうすればいいのでしょうか。

ペーパーレス時代の到来~行政でも電子化が進んでいる

法整備が進み、契約書や請求書の電子化が認められたのをご存じでしょうか。

それを定める「電子帳簿保存法(国税庁)」(2016年改正)をはじめとし、2019年には通称「デジタルファースト法案(デジタル手続法案)」が成立しています。

行政手続きを原則電子化するという内容で、実際に行政の手続きは次々と電子化が進んでいます。企業もそれに応じて書類の電子化に慣れていかなければなりません。その初めの一歩としてペーパーレス会議はもってこいなのです。

会議におけるペーパーレス

従来の会議では、使う資料は紙に出力していました。会議の参加人数と予備分を用意し、ホッチキスで冊子を作る作業は主に新入社員や若手の仕事で、多くの人が経験してきたことでしょう。

会議では、配布した紙の資料で情報が共有され、各々が重要だと思うことを資料に書き足していました。

しかし、ペーパーレス会議では、文字通り紙を使いません。共有サーバ内(またはクラウド上)の指定箇所に保存された資料を、各々のパソコンやタブレットを使用して見るのです。

しかし、会議のペーパーレス化には、メリットとデメリットがあります。詳しくみていきましょう。

ペーパーレス会議のメリット

ペーパーレス化することに不安を感じる人もいるでしょう。しかし、導入にはメリットが非常に多いのです。是非メリットを確認していただきたいと思います。

紙代・トナー・備品のコスト削減

紙の資料を準備するためには、思ったよりもコストがかかっていたのをご存知でしょうか。印刷するための紙、プリンターのトナー、資料をまとめるホッチキスなど、資料準備に多くの備品を使います。

私が新入社員の頃、自部署の黒のトナーを毎日交換していた記憶があります。調べてみると、業務用のトナーは一つ10,000円前後。単純計算で月20日だとすると、月200,000円です。1年に換算すると、一つのプリンターだけで2,400,000円にのぼります。

会議がペーパーレスになれば、少なくとも上記費用を削減することができますね。

準備(印刷・配布)、資料の保管にかかる時間短縮

資料を印刷し、まとめ、配布するのには時間がかかります。会議が重なればプリンターは混雑しますので、イライラも積み重なることでしょう。出力してから誤字脱字を見つけてしまい、印刷し直すなんてことはよくあることです。

会議が終わってからは、資料の保管業務に取り掛かります。資料をファイリングし、棚にしまう作業です。欠席者の机に資料を届けなければならない場合もあるでしょう。持ち出し禁止書類の枚数の確認もしなければならないし、すぐに廃棄しなければならない書類はシュレッダーにかけなければなりません。

このシュレッダーもまた詰まりやすく、ゴミ袋を一日何回も変えなければならない強敵です。会議の準備、保管、そして後片付けだけで一日を終えた日が思い出されます。

会議がペーパーレス化されれば、この一連の業務がなくなるのです。シュレッダーをかけたあとのゴミもなくなりますし、エコという観点からもおすすめです。

データ管理で資料の検索が楽になる

自分の机の上に積まれた書類が雪崩をおこした経験がある人は意外と多いのではありませんか?上手にファイリングされ、丁寧に棚に整理整頓されていたとしても、目的の資料を探すのにとても手間がかかります。

一つの棚に保管されていればいいですが、資料室のようなものがある場合はさらに大変です。歩き回って探さなければなりません。

ペーパーレス会議が導入されれば、資料を探すのは一段と楽になります。データで管理されるので、検索機能を使うことができるのです。

もう、机の上で資料が散乱する光景も、歩き回って資料を探すこともなくなるでしょう。そして、少し机の上も綺麗になるかもしれませんね。

ペーパーレス会議のデメリット

もちろんペーパーレス会議にはデメリットもあります。メリットとデメリット、どちらも把握することで、自社で導入するに値するか、判断する必要があります。詳しく見ていきましょう。

画面の大きさに見やすさが依存する

A3の資料をA3の画面で見れば、紙に出力した時と同じように見えます。しかし、ノートパソコンやタブレット端末の画面は小さいです。そのため、文字を読む際には拡大して見ることになります。

すると、資料全体を把握しようとすると、どうしても縮小せざるを得ないため、「見づらい」「使いづらい」という意見が出ます。ペーパーレスを導入する際にこれが一番の問題点となるかもしれません。

解決策としては、会議室の壁やスクリーンに資料全体を映し出すという方法があります。全体を提示し、個々人は見たい箇所を手元の端末で拡大することで、ある程度問題は解決されるでしょう。

端末導入にコストがかかる

端末を持ち運ぶことが前提ですので、ノートパソコンやタブレットなど携帯する端末を社員一人一人に行き渡らせる必要があります。入社と同時に配布されるような会社であれば、すでに行きわたっているのでコスト面で問題はないでしょう。

しかし、ペーパーレス化に伴ってこれから端末を配布するということであれば、予算を組み、計画的に進めていく必要があります。

段階的に進めるのであれば、まずは経営層の会議をペーパーレス化するのはどうでしょうか。端末の導入も経営会議で使う数のみにすることで費用がかかる時期を分散することができます。

まず経営層で端末を導入して、ペーパーレス会議をしてみましょう。紙の資料に愛着があるとは思いますが、皆さんは生活の中でのペーパーレス化に慣れてきたのですから、ペーパーレス会議もすぐに対応できることでしょう。

ネットワーク環境の安定が必要

ファイルや資料の共有は、ネットワークが安定して接続されていることが重要です。あちらは接続できるけれど、こちらは接続できないとなれば、会議に参加している人の中で閲覧資料にバラつきが出てしまいます。

ペーパーレス会議導入の際にはネットワークについても安定性が確保できるようにしましょう。最近ではオフラインでも資料閲覧ができるツールも出てきています。個々の会社にあった端末やツールを導入することで対応するといいでしょう。

ペーパーレス会議導入により期待できる効果

コスト削減

紙、印刷に関係する備品、冊子をつくるため備品など、今までかかっていたこれらのコストが削減されます。完全にペーパーレス化するとなれば、もはや大型の業務用印刷機(プリンター)さえ不必要となるかもしれません。

時間短縮

印刷し、冊子を作り、配り、保存し、不要書類を廃棄する、という紙の資料に関わる作業にかかっていた時間が削減されます。小さな作業が繰り返され、思いのほか時間がかかっていた業務です。これらから解放されると、自分の本来の仕事にその時間を割り当てることができます。

作業効率の向上

机の上に山のように積み上げられた書類が無くなり、作業スペースが確保できるでしょう。また、ファイリングして保管していた会議資料が電子管理され、引き出しの中や棚の整理も楽になります。

紙の資料を手分けしてホッチキスで止めていたため、いくつもあったホッチキスなどの備品の数は減り、事務所の棚もスッキリするでしょう。資料を探す手間も減り、すべてが端末一台で完結するため、作業の効率を高めることに繋がります。

セキュリティーの向上

電子管理し、サーバでデータ保存するため、資料紛失などのリスクが下がるでしょう。閲覧する人、編集する人を制限することができるため、セキュリティーの面でも安心です。

ネットワークのトラブルがあることも想定されますので、きちんとバックアップすることで対応しましょう。

資料作成の質の向上

紙の資料を準備する手間が省けるため、事前準備に割くことのできる時間が増えます。出力する必要がないので、万が一の資料変更があっても、会議の直前まで、極端な話をすれば、自分の出番の直前まで資料を編集することができるのです。

また、紙に印刷し終えてからミスを発見すると、印刷し直さなければならない上、印刷済みの資料は紙の無駄となります。出力し直す手間、紙や時間のロス、社員の精神的負担を考えると、コストを補って余りあるものとなるでしょう。

ペーパーレス会議を成功させるコツ

全社員用の端末を準備し、すべての会議をある日突然ペーパーレス化するというのは、よほどの予算と覚悟がなければ難しいことです。そのため段階的に進めていくことをおすすめします。

1. トップ自らが率先する

前述した通り、まずは経営層でのペーパーレス会議の導入はいかがでしょうか。若い社員は端末に順応するのも比較的早いものです。年配の社員で構成されているであろう経営層での導入が成功すれば、全社での導入成功に繋がります。

2. 自社内、小さな会議から

すべての会議で一度に導入するのではなく、定例会や、配布資料の少ない会議から順にペーパーレス化していきましょう。試験的に体験してもらい、「便利だな」と思ってもらえれば、次々と会議をペーパーレス化していって問題ありません。「不便だ」という意見が多ければ、慣れてもらうまでは、ペーパーレス化の拡大は避けたほうが無難でしょう。

3. ペーパーレス会議のシステムやツールを使用する

企業の国際化も進み、遠隔地との会議をする機会が増えてきました。それに伴い、ペーパーレス会議のシステムやツールも増え、会議資料のウェブ上(クラウド上)の共有はとても簡単になっています。システムやツールには有料のものもあれば、無料のものもあります。また、それぞれのシステム・ツールによって、メリットや使用目的は違います。導入の際には詳しく調べることをおすすめします。

まとめ

ペーパーレスはいろいろなところで進んでいます。例えば、手紙は電子メールに、切符はICカードに、お店のクーポンは画面認証に変わりました。そして私たちはその変化に驚きつつも、対応し、今ではペーパーレスの状態の便利さに慣れてきました。

生活の中でこれほどペーパーレスが進んでいるのですから、膨大な紙を消費してきた会社の会議資料が電子書類に変わるのも、ごく自然のことかもしれません。ペーパーレス会議の導入を検討してみるのはいかがでしょうか。

画像出典元:Pixabay

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