近年、リモートワークをきっかけに契約業務においてもDX化が加速しています。
どの電子契約サービスを導入すべきか?検討のポイントは何か?を迷われている担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では電子契約サービスにかかる費用とその相場、また書面契約から電子契約に移行するメリットについても、わかりやすく解説します。
このページの目次
電子契約にかかる費用の基本構成は、
それぞれサービス内容によって料金は異なりますが、
仮に、基本料金1万円・従量課金200円の法人プランの場合、契約数が月50件であれば年額25万円〜、月300件であれば年額85万円〜程度が目安になります。
なんとなくの相場感が掴めたところで、次章にて基本料金や従量課金について、詳しく解説していきます。
電子契約にかかる費用の内訳は、基本料金と従量課金です。
また、契約によって電子証明書の発行が必要な場合は、その発行手数料もかかります。
この章では、これら3つの費用について解説をします。
基本料金とは電子契約サービスの使用に対して発生する月額料金です。
相場としては1~10万円、法人向けの一般的なプランであれば、月額1万円前後が多いです。
基本料金はサービスに登録できるアカウント数、契約書を送付できる数、外部サービスとの連携機能などのオプション機能で料金が変わります。
利用できる機能が多ければ多いほど、基本料金は高い傾向にあります。
各社サービスの基本料金を比較する時は、数字の単純比較ではなく、自社に必要な機能を考慮することがとても重要です。
また、基本料金を少しでも抑える方法として、支払方法を月払いではなく、年払いにすることが挙げられます。
月払いより年払いの方が少し安く価格設定をしているサービスがあるので、気になるサービスの支払方法も併せて確認することをおすすめします。
従量課金は契約書の作成や送信をする際に発生する料金で、1件あたり100~200円が相場です。
契約書を送付する度に発生する費用なので、契約件数に左右されます。
多くの電子契約サービスは従量課金を採用していますが、中には定額料金で「月5件までの契約は無料」というプランを用意してるサービスもあります。
自社のだいたいの契約件数を把握してから、各サービスの見積を取得するといいでしょう。
電子契約には基本料金と従量課金のほかに、電子証明書の発行手数料が発生するケースがあります。
電子証明書とは、電子契約の手続きにおいて、本人であることを証明するためのものです。
電子契約においては、紙の契約書に判子を押したものと同等の効力を持たせるために、電子署名という仕組みが欠かせません。
電子署名は電子証明書とタイムスタンプで成り立っています。
後述の章にて解説しますが、電子契約には「立会人型」「当事者型」の2種類があり、より厳密な本人確認が求められる当事者型の場合に、電子証明書の発行が必要になります。
電子証明書は電子認証局という第三者機関によって発行されます。
電子認証機関は2種類あり、公的機関である法務局が運営するパブリック認証局と、民間企業が運営するプライベート認証局があります。
電子証明書は期間によって発行手数料が変わります。
仮にパブリック認証局にて1年間の電子証明書を発行した場合は4,300円かかります。
またプライベート認証局の場合は1~4万円が相場です。
ただ、社内システムなど閉じた環境での利用の場合、自社でプライベート認証局を開設して、プライベート認証書を独自で発行すれば、発行手数料はかかりません。
自社社員のITスキル次第ですが、費用低減においては有効な手段の1つです。
◾️質がよく安いサービスを検討したい方はこちらの記事もご覧ください。
これまで電子契約においてかかる費用を解説をしてきましたが、書面契約から電子契約に移行して本当に費用対効果があるのだろうか?と疑問に感じている方もいるかもしれません。
本章では、書面から電子契約に移行して得られる費用対効果について解説をしていきます。
仮に月300万円の請負契約を月100件契約締結をしていると想定した場合、以下のような費用が発生します。
概算ではありますが、月に約35万円、年間だと約420万円の費用が契約業務に発生していることがわかります。
保管料は契約書を保管するスペースがない場合、その場所のレンタル代も追加でかかります。
次に同じ条件下で、電子契約の場合を見てみましょう。
月約6.8万円、年間で約82万円となり、書面契約と比較すると大幅に費用を低減できることがわかります。
これは、書面契約にて費用の約6割を占めていた印紙税を払わなくていい点が大きく寄与しています。
オプション費用や電子証明書の発行手数料などが追加でかかる場合もありますが、それらをプラスしても書面契約の費用以上にはならないでしょう。
◾️電子契約と収入印紙の関係について詳しくはこちらをご覧ください。
これまで自社にかかる費用について解説してきましたが、取引先には費用負担が発生するのでしょうか?
実は署名の種類によっては、相手にも費用負担が発生するケースがあります。
電子署名には本人であることを証明する方法が2つあり、それぞれ「立会人型」「当事者型」と言います。
この章では、電子署名の種類と取引先の費用負担の有無について解説をします。
立会人型は契約を締結する当事者ではない第三者が、当事者の指示に基づき電子署名を付与するタイプの電子契約です。
具体的な方法は、契約システムから配信されるメールを受信することによって本人であることを認証します。
メールを受信さえできれば誰でも利用ができ、相手側に費用は発生しません。
スピーディに契約締結ができるため、導入しやすいタイプの電子契約です。
当事者型は厳格に本人であることを証明することが求められるため、自社の他、取引先にも認証局にて電子証明書を発行してもらう必要があります。
電子証明書の発行手数料は1名につき数千円〜数万円かかります。
また契約の都度、認証サービス業者から認証を受けないといけないため、時間と手間は立会人型と比較してかかります。
その代わり厳格な本人確認ができるため、なりすましのリスクが低く、契約の種類によっては当事者型でないと成立しない契約もあります。
電子契約サービスを提供している企業は近年増えています。
各サービスを比較するポイントは月額費用のほか、ユーザー数や署名数、従量課金の価格などが挙げられます。
ここでは、代表的な5つの電子契約サービスの最安値プランを比較してみました。
初期費用 | 月額費用 | ユーザ数 | 署名数 | 従量課金/1件 | 無料プラン・トライアル有無 | |
電子印鑑 GMOサイン |
要問合せ | 8,800円〜 | 無制限 | 無制限 | 100円 | 有 (ユーザー数1名) |
クラウドサイン | 10,000円~ | 無制限 | 無制限 | 200円 | 有 (ユーザー数1名) |
|
freeeサイン | 1,280円~ | 1名 | 10通/月 | 0円 | 要問合せ | |
DottedSign | 15ドル~ | 1名 | 無制限 | 要問合せ | 有 | |
DX-Sign | 8.800円 (税込) |
無制限 | 無制限 | 220円 (税込) |
有 |
(税抜価格)
「電子印鑑GMOサイン」は、クラウド型の電子契約サービスで、2023年7月末時点で300万社の企業が導入しているサービスです。
業界トップレベルのセキュリティを誇り、弁護士監修という点も安心できるポイントです。
月額費用は8,800円(税抜)と相場の値段で、セキュリティ強化・内部統制パック(月額50,000円/税抜)、本人確認パック(月額20,000円/税抜)、契約レビューパック(月額50,000円/税抜)など各種オプションをつけることも可能。
また、100円(税抜)から設定されている従量課金は、大量送信が見込まれる顧客用に特別料金も用意されています。
「クラウドサイン」は弁護士ドットコムが運営している電子契約サービスです。
他のサービス同様、弁護士監修と高度なセキュリティを保持しているので、大企業の導入事例を多く確認できます。
基本料金は個人事業主もしくは小規模企業向けに10,000円(税抜)のプランからスタートし、その次が2.8000円(税抜)と他社と比較して少し高めです。
一方で、外部サービスの連携数が他社と比較して圧倒的に多く、契約業務をより効率化できるでしょう。
「freeeサイン」は従量課金を採用せず、契約の送信料が0円である点が魅力です。
テンプレートの編集など使い勝手がよく、導入にあたっても操作レクチャーを実施するなどオンボーディングプログラムがしっかりしている点は企業からも好評です。
支払オプションは年払い・月払いから選ぶことができ、年払いを選択すると月額980円〜になります。
ただし、このプランはユーザーが1名しか登録できません。
ユーザーを無制限に追加するには、月額23,800円(税抜)以上のプランを選択する必要があります。
「DottedSign」は台湾の会社で、グローバルに電子契約サービスを提供しています。
無料でアカウント登録をすることで、スマートフォン、タブレットなどデバイスを横断してオンライン上のドキュメントに簡単に署名ができます。
先述したfreeeサインと同様に、契約書1送信にかかる従量課金が発生しません。
但し、基本料金は1ユーザーあたりにかかる費用なので、会社の契約業務に関わる人数次第では割高になる可能性があります。
「DX‐Sign」は2021年にリリースされた比較的新しい電子契約サービスです。
弁護士監修のもと、セキュリティと操作性にこだわって設計されています。
直感的に操作ができるため、ITリテラシーに自信がない人でもわかりやすいと評判です。
なお、現在8,800円(税込)のNormalプランを期間限定でお試しすることができます。(2023年11月時点)
以上5つのサービスを紹介してきましたが、もっと多くのサービスを比較したい方はこちらの記事もぜひご参照ください。
電子契約サービスの比較をしていると、本記事に記載している相場より安いと感じるサービスを見つけることがあります。
一見、基本料金が安いので良さそうに見えますが、実際は高額になるケースもあります。
この章では、どんなポイントに注意をしたほうがいいかお伝えします。
電子契約では、契約書1送信に対して送信料がかかる従量課金を取り入れているサービスが一般的です。
ただ、中には基本料金の中にその送信料金も含まれていると唱っているサービスがあります。
この場合、基本料金内で送信できる件数をチェックしてみましょう。
例えば年間150件(12件/月)が上限に設定されている場合、追加は従量課金が発生するため、結局は費用が高くなってしまうことがあります。
冒頭に記載した通り、利用できる機能が多ければ多いほど、基本料金は高くなります。
契約業務においては契約書の作成・送付の他、契約書を保管したり、アカウント管理、セキュリティに関しても考慮しないといけません。
基本料金が他サービスと比較して安い場合、保管料やアカウント追加、セキュリティに関する費用が含まれているか?もし含まれていない場合は、そのオプションを追加した合計額は他社と比較して安いか?を確認してみましょう。
費用が安いサービスであっても、マニュアルやシステムの一部が日本語に対応していない、またトラブル時の日本語窓口がないなどは要注意です。
新しいシステムを導入した上に、言語の壁や頼れる窓口がないことは社員への負荷が更にかかります。
外資系のサービスを導入する時はこのポイントも含め、サービス概要を確認をしてみてください。
今回は電子契約サービスの費用、相場について解説をしました。
書面契約と比較すると電子契約への移行が費用面で大きなメリットがあることがわかりました。
しかし、サービス導入にあたっては単純な数字の比較ではなく、自社の規模感、契約件数やその内容に応じて、プランを検討する必要があります。
これまでに解説したポイントを踏まえ、自社にとって最適なサービスはどれかを検討してみましょう!
画像出典元:Unsplush
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