電子契約で収入印紙がいらない理由とは?印紙税が非課税になる法的根拠を解説!

電子契約で収入印紙がいらない理由とは?印紙税が非課税になる法的根拠を解説!

記事更新日: 2023/05/11

執筆: 佐藤杏

紙の契約書を締結する際には、必ず収入印紙による印紙税の納税が求められています。

しかし、同じ契約でも電子契約の形で締結すれば、収入印紙は不要、つまり納税の必要がなくなります。

この記事では、なぜ電子契約だと印紙税が不要になるのか、法的根拠や国税庁の見解に基づき徹底解説していきます!

電子契約で印紙税が0円になる?

結論:「文書」が作成されなければ印紙税は0円になる!

契約書に収入印紙を貼って印紙税を納税する義務は、印紙税法第2条および第3条に定められています。

契約書の印紙税は、取引や契約自体に課税されるのではなく「取引や契約の文書(例:契約書など)」が課税対象です。

つまり、取引や契約を行っても「文書」が作成されなければ印紙税は、0円になります!

電子契約で印紙税が0円になる文書とは?

では電子契約で、印紙税が0円になる文書とはどんなものでしょうか?

答えは、国税庁「印紙税額一覧表」に掲載されている課税対象となる契約文書の作成・締結を行った場合は印紙税0円になります。

課税対象となる契約文書の例


画像出典元:国税庁「印紙税額一覧表」

例:7号文書(継続的取引の基本となる契約書)の場合

7号文書に該当する契約書を月10枚発行している場合は、紙の契約書では印紙税「40.000円」ですが、電子契約では印紙税「0円」になります。


電子契約にできる文書を、電子契約化することで収入印紙代がなくなり、コスト削減と節税に繋がります

 

電子契約で収入印紙がいらない法的根拠

画像出典元:国税庁「印紙税の手引(3契約書)」

電子契約は、一般的に非課税文書として扱われていますが、実は「電子契約は収入印紙不要」とはっきり法律で決まっているわけではありません。

ではなぜ非課税文書として扱われているのかというと、印紙税法・国税庁・政府が「課税対象は紙の契約文書」と説明しているからです。

以下の5つの法的根拠から、「電子契約は紙の契約書ではないので収入印紙不要」と解釈できます。

理由1:印紙税法の基本通達

印紙税法の法令解釈通達で下記のような説明があります。

第7節 作成者等
第44条 (作成等の意義)法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

引用:法令解釈通達第7節 作成者等

「課税文書となるべき用紙」と記載があり、この「用紙」=紙と解釈され、紙を利用しない電子契約は非課税文書で印紙税がかからないと判断されています。

理由2:印紙税法第2条と3条

印紙税法第2条と3条では以下のように定められています。

第2条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。
第3条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。

引用:第2節 文書の意義等

印紙税法の中では、「文書」=紙の書面、電子データ=「電磁的記録」と区別して使用されています。

第2条、第3条にある「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書」の中の「文書」とは、すなわち紙の書面のことを指すため、電子データである電子契約は非課税文書で印紙税を納める必要はないと解釈されています。

理由3:国税庁の電子契約に関する見解(1)

国税庁の「No.7100:課税文書に該当するかどうかの判断」で「下記3点が全て当てはまる文書が課税文書」と説明しています。

電子契約は、No.7100:課税文書に該当するかどうかの判断の3点に該当しないため印紙税不要となっています。

(1)印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること
(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
(3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと

引用:「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」

 

理由4:国税庁の電子契約に関する見解(2)

国税庁は「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」で「電子データで行った契約は作成に該当しないため、印紙税は発生しない」と回答しています。

作成は紙の契約書に対して行う行為であり、電子データで行った契約は「作成に該当しない」という考え方です。

「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」に対する国税庁の回答 注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

引用:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について

 

理由5:政府の電子契約に関する見解

政府は「参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書」の中で、印紙税について「電磁的記録(電子ファイル化された契約書)は印紙税の課税対象ではない」と答えています。

五について 事務処理の機械化や電子商取引の進展等により、これまで専ら文書により作成されてきたものが電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。

引用:参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書

以上の5つの根拠から、印紙が必要なのは紙の契約書であり、電子契約は非課税文書で収入印紙は不要として扱われています。

電子契約によるコスト削減・節税の事例

では、電子契約サービスを導入したことで実際にコスト削減・節税はどのくらい実現したのか、

SaaSログが行った電子契約サービスのユーザーへの取材では、以下のような回答を得ました。

印紙代削減額は約200万円!
不動産/建設/ 設備業界(導入ツール:電子印鑑GMOサイン)
我が社では、オプション機能を利用し月額も比較的高額な料金となったが、無料で使えるオプションも充実していた。使用開始後4ヶ月ほどは無料オプションをプラスしていたがそれでも150万円ほどの経費削減ができ、とても助かった。
印紙代約20%削減
サービス/外食/レジャー業界(導入ツール:ジンジャーサイン)
基本的にはドラッグ&ドロップという操作だけで必要事項の入力が完了するので、操作に特別な知識は必要ありません。契約書の電子化により作業スピードの効率化とペーパーレスが実現できます。紙媒体の契約書では非効率でなんとかしたいと考えている会社にはオススメしたいです。
印紙代月1万円程度節約できた
IT/インターネット/通信業界(導入ツール:イースタンプ)
従来使用していた契約書のデータもまとめて取り込みつつオンラインで契約書を管理して印刷にかかる費用や手間を減らすことができるので、オンライン上で新たに契約書を作り直すことに面倒を感じている会社におすすめです。

ツールに関する良し悪しはあるものの、電子契約サービスを導入した企業の多くは、印紙代の削減ができるというメリットを感じていることがわかります。

自社に適したサービスを選び、電子契約サービスによる契約業務の効率化とコスト削減が同時に実現できれば良いでしょう。

全ての電子契約が印紙税0円になるわけではない

では、全ての文書を電子契約に移行でき、印紙税を0円にすることができるのでしょうか?

答えは、全ての電子契約が印紙税0円になるわけではないのです。

では、どんな場合に、印紙税0円にならないのでしょうか?

電子契約を印刷し原本にした場合

電子契約データをプリントアウトした書面に押印や署名等が行われた場合は「プリントアウトした書面が契約書原本」とみなされ、紙の契約書が発行されたとして課税対象になります。

電子データ上で契約の作成・締結・原本保存を完結しないと印紙不要にはならなず、課税対象になるので注意しましょう。

電子契約システムを導入すれば、法的に有効な電子データ上で契約の作成・締結・原本保存を完結することが出来ます。

電子契約に出来ない契約書の場合

一般的な契約書の多くは電子契約が可能ですが、中には電子契約ではなく「紙の契約書」しか認められていない契約書もあります。

電子契約を導入する時は「自社の契約書の種類」を確認しましょう。

電子契約では認められない契約書の例

  • 任意後見契約(任意後見契約に関する法律第3条)
  • 事業用定期借地権設定契約(借地借家法第23条第3項)
  • 定期借地権設定契約(借地借家法第22条)
  • 更新の無い定期建物賃貸借契約(借地借家法第38条第1項)
  • 取壊し予定の建物の賃貸借契約(借地借家法第39条)
  • 農地の賃貸借契約(農地法第21条) 
    など

 

必ず押さえておきたい!おすすめの電子契約サービス5選

国内トップシェア!『クラウドサイン』

画像出典元:「クラウドサイン」公式HP
 

クラウドサインは日本で8万社が利用している電子契約サービスです。

同社によると日本の電子契約サービス市場で8割のシェアを占めているということですから、まさに国内シェアNo.1といえるでしょう。

クラウドサインのおすすめポイント

  • 日本最大級の弁護士ポータルサイトを持つ「弁護士ドットコム」が運営
  • タイムスタンプが標準搭載され万全のセキュリティ対策
  • 取引先が押印・署名を忘れないよう確認依頼メールが送信される
  • 取引先がアカウント取得することなく契約締結可能

 

クラウドサインの料金プラン

  Standard Standard plus Business 
月額固定費用(税込) ¥11,000 ¥22,000 ¥110,000
送信件数ごとの費用(税込) ¥220 ¥220 ¥220
ユーザー数 無制限 無制限 無制限
主な機能
  • 書類の作成・送信
  • 電子署名+タイムスタンプ
  • テンプレート作成・管理

 

(Standardの機能に加えて)

  • 紙の書類のインポート

(Standardの機能に加えて)

  • アカウント登録制限
  • IPアドレス制限
  • 承認権限設定
  • 電話サポート

 

 

 

2. 送信料が無料!「NINJA SIGN」

画像出典元:「NINJA SIGN by freee」公式HP
 

NINJA SIGN by freeeは、Googleドキュメントを使用することで、テンプレートやドラフトの編集をシステム上でできる機能が画期的です。

送信料0円と、”フォルダ権限設定”が、ユーザーに高く評価されています。

NINJA SIGN by freeeのおすすめポイント

  • 契約書送信数無制限、送信料0円と低コスト。(但し1アカウントのみ)
  • 既存の自社形式の契約書のwordファイルをGoogleドキュメントにアップロードするだけで編集、契約書の送信が可能
  • 受信側はサービスに登録・ログインしなくてもボタン一つで契約締結が可能
  • 契約書内容ごとの承認ルート設定が可能
  • 修正履歴で誰がいつ、何を修正したかすぐ分かる

 

スタートアップ支援専門家 プロトスター株式会社 代表取締役CEO

スタートアップ支援専門家 前川英麿によるNINJA SIGNの総評

エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズに入社。その後、フロンティア・ターンアラウンドに入社。15年よりスローガン株式会社でSlogan COENT LLPを設立。16年に起業家支援インフラを創るべくプロトスター株式会社を設立。経済産業省 先進的IoTプロジェクト選考会議 審査委員・支援機関代表等。

簡単で初心者でも使いこなすことができる電子契約サービス

大手からNINJA SIGNに移行しましたが、NINJA SIGN導入後は申込書(契約書)の作成締結のスピードが格段に上がっています

NINJA SIGNではPDFだけではなく、WordからGoogle Docsへ変換してテンプレートを作成することが可能です。そのため取引先から契約書の修正依頼があっても、全てNINJA SIGN上で対応でき、毎契約書の送信が1,2分で完結できています。

料金プラン

プラン 初期費用 月額固定費用 機能
Free 0円 0円 基本機能のみ
Light 0円 4,980円
(税込5,478円)
テンプレート登録数無制限
Light Plus 0円 19,800円
(税込21,780円)
Wordテンプレート登録等追加
Pro お問合わせ 50,000円~
(税込55,000円〜)
専任サポート等追加
Pro Plus お問合わせ 120,000円~
(税込132,000円〜)
全機能、全オプションが利用可能


詳しいプランの違いや料金詳細は資料をご参照ください。

 

 

3. Word形式で送信可能「BtoBプラットフォーム契約書」

画像出典元:「BtoBプラットフォーム契約書」公式HP

 

BtoBプラットフォーム 契約書は、BtoBプラットフォームシリーズの1つで、運用実績20年以上、導入企業約60万社のクラウド型電子契約サービスです。

BtoBプラットフォームシリーズと連携させることで、契約書だけではなく、見積・受発注・請求の際の帳票類をすべて電子データ化できる点が魅力です。

『BtoBプラットフォーム 契約書』のおすすめポイント

  • 最大5社間の電子契約締結ができる
  • 過去に紙で作成された契約書もクラウド上に保管できる
  • 電子契約締結時にタイムスタンプ、電子署名が付与され、締結した契約情報はブロックチェーンに記録される
  • シリーズ使いをすれば、商取引行為を全て電子データ化できる

 

『BtoBプラットフォーム 契約書』の料金プラン

プラン 初期費用 月額費用 特徴
フリープラン 0円 0円 無料プランでもユーザー数無制限
シルバープラン お問い合わせ 10,000円〜 電子契約のみ利用可能
ゴールドプラン お問い合わせ 30,000円〜 電子契約に加え電子保管が利用可能


料金は全体的に割安
だといえます。

文書送信1通あたりの費用も50円/通と、他のサービスと比べても安いです。

また現在、オプション機能「ドキュメントScanサービス」のスキャン費用10万円を無料提供する特典プランもあります。

 

BtoBプラットフォーム 契約書 含む資料を一括DL

 
 

 

4.充実したサポート体制が評判!『ジンジャーサイン』

 画像出典元:「ジンジャーサイン」公式HP

ジンジャーサインは電子契約サービスを初めて導入する企業でもスムーズに利用しやすいサービスです。

使いやすいUIときめ細やかなサポート体制で、導入企業・契約先企業ともに安心して利用できます。

『ジンジャーサイン』のおすすめポイント

  • 捺印稟議、契約締結、送付、進捗確認、フォルダ保管、書類検索などの契約関連業務をWeb上で完結できる
  • 契約ステータス管理ができ、進捗の停滞に備えてアラートが設定できる
  • タイムスタンプ、2要素認証など複数のセキュリティ対策で安全を担保できる
  • 設計・導入・運用までの手厚いサポート体制

 

『ジンジャーサイン』の料金プラン

ジンジャーサインの料金の詳細はお問い合わせが必要です。

 

5. 文書の性質や相手に合わせて署名方法が選べる「電子印鑑GMOサイン」

画像出典元:「電子印鑑GMOサイン」公式HP
 
 

電子印鑑GMOサインは、簡単に導入できるメール認証により本人性を担保する「立会人型 電子署名」はもちろん、電子認証局により厳格に本人確認・発行された電子証明書によって本人性を担保する「当事者型 電子署名」の2つの署名タイプを採用していることが強みです。

電子印鑑GMOサインのおすすめポイント

  • GMOグローバルサイン社という電子証明書を発行できる電子認証局をグループ内で持っている
  • 法的効力が強い電子証明書による電子署名が備わった電子契約サービスを提供している
  • クラウド上で署名可能なので、マルチデバイスからアクセスできる
  • 紙による契約と同じ見た目を再現できる印影が登録可能
  • キーワードや契約日、契約金額などのいろいろな条件で過去の契約書を検索できる

 

電子印鑑GMOサインの料金プラン

  お試しフリー 契約印&実印プラン
月額料金(税込) 0円 9,680円
送信料(契約印タイプ(立会人型)) 0円 110円/件
送信料(実印タイプ(当事者型)) - 330円/件
送信料(マイナンバー実印) - 要問合せ
電子証明書 - 1枚目無料、2枚目以降8,800円/枚/年
ユーザー数 1 無制限
署名数 無料/5⽂書まで 無制限


電子印鑑GMOサインには、無料プランと有料プランの2種類あります。

電子印鑑GMOサインは政府機関や大手企業でも利用されている電子認証局GMOグローバルサインと連携しており、契約印&実印プランに加入すると、安全性が担保された電子署名を利用できます

プランの詳細については、以下の資料をダウンロードしてご確認ください。

 

まとめ

この記事では、電子契約で印紙税がかからない理由を法的根拠を元に説明してきました。

電子契約で締結された契約文書は、基本的に収入印紙がいらないですが、契約によっては、電子契約ができないものなどもあり、電子契約にしたから絶対に節税できるとは限りません。

また、電子契約を行う際には、取引先の理解と協力も必要です。

自社だけでなく取引先双方にとってメリットの感じられる電子契約サービスはどんなものなのか、トライアルやセミナーなどを積極的に活用し、より良いサービス導入が実現できるように精査することがポイントと言えるでしょう。

画像出典元:Shutterstock、O-DAN

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