電子契約に印紙不要はなぜ?法的根拠と電子化のメリット

電子契約に印紙不要はなぜ?法的根拠と電子化のメリット

記事更新日: 2020/09/30

執筆: TAK

最近何かと話題になりつつある「電子契約」ですが、「電子契約と紙の契約の違いについて今一つよくわからない」という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、電子契約では収入印紙が不要という点を解説した上で、紙契約との違い、電子契約のメリットやオススメサービスについて紹介していきます。

これから電子契約を導入したいと考えている企業や個人事業主の方は、参考にしてみてください。

収入印紙とは何か?

印紙と印紙税について

電子契約について理解を深めるために、まず紙の契約書で必要となる「印紙」と「印紙税」について解説していきます。

印紙は「収入印紙」とも言われ、国が発行する切手のようなものです。

収入印紙は法務局や郵便局などで購入することができ、納税(印紙税)の支払い手段として用いられます。

実際は、文書に収入印紙を貼り、消印することで納付します。

言い換えれば、印紙税の支払いが必要となった場合には「収入印紙」という形で納付し、これによって納税の証明が出来るというわけです。

契約書に収入印紙が必要となる理由

それでは、どのような場合に印紙税の支払いが必要となるのか確認しておきましょう。

結論から言えば、印紙税法で定められた「課税文書」を作成した場合に、印紙税を支払う必要があります。

課税文書と聞くと難しそうに聞こえますが、簡単に言えば「収入印紙を貼る必要がある紙の文書」のことです

課税文書には様々な種類があります。

知っておくべき点としてはビジネスで交わすことの多い「契約書」が課税文書に含まれている点です。

そのため、契約書を作成した場合は、印紙税を支払うために「収入印紙」を貼る必要があります

そもそも、「なぜ契約書のような課税文書を作成すると印紙税が課税されるのか?」と言うと、取引の成立に伴い(国が課税根拠と考える)お金が発生するからです。

税金はお金のある場所から徴収する性質を持つため、課税されるとも考えられますね。

電子契約に印紙は不要

電子契約で収入印紙が不要の理由

続いて、電子契約と収入印紙の関係性について見ていきます。

紙の契約書の場合には「印紙税」を納める必要がありましたが、電子契約をした場合にはどうなるのでしょうか?

結論としては、電子契約の場合は印紙税は非課税であり、収入印紙は不要となります。

その理由は、先ほど紹介した印紙税法に定められた「課税文書」に該当しないためです。

これだけ知っておけば十分かと思いますが、もう少し掘り下げて見てみると、印紙税法の法令解釈通達では以下のように定められています。

「法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。」

国税庁ページより引用)

「課税文書となるべき用紙」と表現しているので、用紙(紙)ではない電子契約は課税文書ではないと判断出来るということです。

「紙」と「電子」の契約書の違いを比較

電子契約に収入印紙は不要ということがわかったところで、「紙の契約書」と「電子契約」では他に何が違うのかを整理しておきます。

まずは「媒体の違い」があります。

当たり前のことではありますが、紙の契約書の場合は「紙面」であるのに対して、電子契約の場合は「デジタルデータ」であるという相違点があります。

媒体が異なることから、紙の契約書で使用される「印鑑」「印鑑証明書」「押印」にも違いが出てくると理解すると、より両者の相違点がイメージしやすくなります。

  • 印鑑:電子証明書に含まれる「鍵(秘密鍵や公開鍵)」が相当
  • 印鑑証明書:認証局が発行する「電子証明書」が相当
  • 押印:電子署名が相当

デジタルデータは技術的な側面を持ち合わせているため、少し細かい内容ではありますが「このような違いもあるんだな」と知っておいてもらえれば良いかと思います。

電子契約のメリットはコスト削減

電子契約により得られるメリット

続いて、電子契約にすることで生じるメリットを解説していきます。

電子契約を導入した企業にとって、最も大きなメリットは「印紙税が非課税になる」ことによるコスト削減です。

今まで大量の契約書や請求書を発行していた企業にとっては、印紙税の負担はかなり大きいため、電子契約にすることで数万から数十万のコストカットを実現出来ます。

また、ペーパーレス化によるコスト削減効果も期待出来ます。

紙による業務がメインとなっている場合、都度「印刷代」や「郵送代」が発生します。

1回当たりの金額は大きくなくても、年間で累積すると相当の金額になるため、この観点からも電子契約により得られるメリットは大きいと言えますね。

電子契約によるコスト削減事例

どのような企業がどんな場面でコスト削減を実感出来たのか、知名度の高い企業「ぐるなび」の事例を見てみたいと思います。

ぐるなびは、飲食店情報を運営サイト「ぐるなび」に掲載することで、ユーザーと飲食店をつなぐビジネスを展開している企業です。

ぐるなびは「CLOUD SIGN(クラウドサイン)」という電子契約サービスを2018年頃から導入していたそうですが、2020年頃から猛威を振るっているコロナウイルスの影響でも役に立ったとインタビューで話しています。

(参考:テレワークの状況下でも、契約の電子化でノンストップの事業活動

オンラインで契約することが可能な「電子契約サービス」を利用することで、在宅ワークへの移行をスムーズに進めることが可能となり、また「押印のためだけに出社する」ということもなかったそうです。

もし電子契約サービスを利用していなかった場合には、オフィスへの出社はもちろん、紙面の準備や印刷代、郵送代、経費精算など様々な管理コストも発生していたと言えます。

電子契約サービスを導入する際の注意点

ここまで電子契約についてお伝えしてきましたが、「電子契約を実際に導入したい」と考えている方向けに、導入時の注意点についても紹介していきます。

関係者から「同意」を得る

まず最初は、「関係者の同意」を得る必要がある点です。

契約をする場面では、自分だけでなく、当事者である相手側の協力も必要となります。

また、実際の契約をする担当者の多くは現場の人なので、現場の理解も必要となります。

契約相手はもちろんですが、社内での協力体制も得られるように、導入前から関係者に理解してもらえる取り組みをしてみてください。

電子契約に対応しているかを確認

2つ目の注意点は、すべての契約書が電子契約出来るわけではないという点です。

ビジネスの現場で必要となる一般的な契約書の多くは電子契約が可能ですが、中には電子契約に対応していないものも存在している点に注意してください。

「なぜそのような電子契約が不可のものがあるのか?」というと、「書面(紙)での契約」が効力を有する条件となっているものがあるためです。

例えば、以下のような契約が該当します。

  • 任意後見契約(任意後見契約に関する法律第3条)
  • 事業用定期借地権設定契約(借地借家法第23条第3項)
  • 定期借地権設定契約(借地借家法第22条)
  • 更新の無い定期建物賃貸借契約(借地借家法第38条第1項)
  • 取壊し予定の建物の賃貸借契約(借地借家法第39条)
  • 農地の賃貸借契約(農地法第21条) など

実際の契約時には、動向を確認しながら各省庁へ問い合わせるなどして対応するようにしてください。

実績のある電子契約サービスを選ぶ

電子契約では、内容が改ざんされないように「電子証明書」「電子署名」「タイムスタンプの利用」などを通じて、信頼性を担保しています。

電子契約サービスを利用する際には「自社に合ったサービスかどうか」「サービスに信頼が置けるかどうか」という視点を持って選択するようにしてみてください。

導入実績の数だけでなく、同業他社が同様のサービスを利用しているかどうかを確認してみてもいいと思います。

電子契約サービス おすすめ5選

最後に、オススメの電子契約サービスを5つ紹介していきます。

これから導入を検討している企業は参考にしてみてください。

GMO電子印鑑Agree


画像出典元:「GMO電子印鑑Agree」公式HP

まず1つ目は、GMOが提供する電子印鑑「Agree」です。

Agreeの特徴は「電子サイン」と「電子署名」という2つの署名タイプを使い分けることが出来る点、他システムとの連携が出来る点などが挙げられます。

月額無料で使えるトライアルもあるので、初めて使う方にもオススメです。

NINJA SIGN

画像出典元:「NINJA SIGN」公式HP
 

2つ目は、サイトビジットが提供する電子契約サービス「NINJA SIGN」です。

NINJA SIGNの特徴は、様々な契約書に合わせたテンプレートが用意されているため、効率的な契約書管理が実現出来る点にあります。

契約書に応じて、ワークフローの設定をすることも出来るので、業務の可視化を進めたい企業に最適なサービスと言えます。



リーテックスデジタル契約

画像出典元:「リーテックスデジタル契約®︎」公式HP

3つ目は、リーテックスが提供する電子契約サービス「リーテックスデジタル契約」です。

リーテックスデジタル契約では、契約書の一元管理のほか、電子記録債権の指定記録機関である企業と連携しているため、電子記録債権や注文書を担保として融資を受けるPOファイナンスを利用出来る点が特徴的です。

電子契約のメリットに加えて、上記も利用したい企業にはオススメです。

BtoBプラットフォーム契約書

 

画像出典元:「BtoBプラットフォーム契約書」公式HP

4つ目は、インフォマートが提供する電子契約サービス「BtoBプラットフォーム契約書」です。

このサービスの特徴としては、「3ステップ」で契約業務が完了する仕組みになっている点です。

具体的には、契約用の資料をWeb上でアップロードし、「取引先相手への依頼」「締結」で契約業務が完了する流れになっています。

契約書の作成業務が多い企業や、簡単に取引先と契約が出来るようにしたい企業にはオススメです。

paperlogic(ペーパーロジック)

画像出典元:「paperlogic」公式HP
 

最後5つ目に紹介するのは、ペーパーロジックが提供する電子契約サービス「paperlogic」です。

paperlogicでは「電子稟議」「電子契約」「電子書庫」という3つのサービスを提供している点が特徴と言えます。

社内での稟議や決済書類が多い企業、紙の契約書を電子化して印紙税を削減したい企業、法対応した電子書類の保存を実現したい企業など、ニーズに応じたサービスを選びたい企業にはオススメです。


以上5つの電子契約サービスについて紹介してきましたが、どれも今回の記事内で紹介したメリットを享受出来るので、あとは自社にあっているかどうかを確認しながら選んでみてください。

まとめ

今回は、電子契約と紙契約の違いや収入印紙との関連を中心に紹介してきました。

すべての業務をいきなり電子化することは難しいので、関係者の協力や理解を得ながら、目標を定めた上で導入を進めるようにしてみてください。

電子契約の導入に成功した時のメリットは大きいので、少しでもコスト削減を考えている企業や個人事業主の方は参考にしてみてください。

 

画像出典元:Shutterstock

この記事を書いた人

TAK

フリーコンサルタント・公認会計士。公認会計士試験に合格後、大手監査法人のアドバイザリー部に就職し、IFRSやUSGAAP、連結納税、銀行監査などに携わる。その後、中国事業の代表として外資系コンサル会社に転職し、中小日系企業の中国新規進出や現地企業のM&Aサポート、コンプライアンス業務などを担当。帰国後は独立し、フリーのコンサルタントとして生活しつつ、ブログVectoriumを運営。

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