自分の雑貨屋で、好きなモノを売り、生計を立てて生活する。
そんな素敵な夢をもっている人は、意外と多いのではないでしょうか。
もし、夢を叶えたい、雑貨屋を開業したい!と思っているのであれば、是非ご一読を。準備や成功法を紹介していきます。
このページの目次
成功の決め手となる4つのことを考えましょう。それは、なにを「コンセプト」とし、どの層を「ターゲット」にするか。そして、どのような「屋号」にして、どのように「宣伝」するか、です。
事業計画の根幹に位置する内容であり、これが決まらなければ何も始まりません。じっくり考えていきましょう。
雑貨屋を開業したい!と思ったら、まずはどのような雑貨屋を経営するか、つまりコンセプトを決めます。販売する商品の毛色が高頻度で変わるお店は、顧客の定着が見込めません。
見つけにくいお店でも、コンセプト目当てで来るお客さんはリピーターとなり定着するものです。その際、「何をやらないか」も決めておきましょう。
例えば、
・「猫グッズだけを取り扱って、ほかの動物グッズは売らない」
・「青色がコンセプトだから、それ以外の色がメインの雑貨は置かない」
・「体に優しいオーガニック製品のみで、懸念がある添加物を使ったものは絶対売らない」
などです。
そうすることによっておのずとターゲットも絞れることでしょう。
コンセプトとターゲットが決まったら、「屋号(お店の名前)」を考えましょう。一目見て読めて分かる、覚えやすいものが良いでしょう。
しかし、コンセプトによっては読めない場合もありますね。外国語や当て字を使うのであれば、日本語表記(フリガナ)も確定しておきましょう。
屋号を決めると、ショップカードを作成できます。実店舗を持つなら、地域のお店にカード置かせてもらい、オープン前から宣伝しましょう。
さて、自分のお店を見つけてもらうために、いろいろな宣伝方法を利用します。
ホームページ、ブログ、Instagram、Facebook、フリーペーパー、地域の広報誌、チラシ、新聞の広告欄などなど。これらすべてに対応するのは難しいと思います。
自分の雑貨屋のターゲット層が使いそうな媒体はどれか、それをヒントに考えましょう。
例えば、ターゲット層が10代などの若年層であれば、利用率の高いInstagramを使うべきでしょう。40代であれば、Facebookの利用率が高くなります。また60代であれば、市町村が出す広報誌を熟読している人が多いようです。
自分の雑貨屋のターゲット層がどの広告なら見てくれるのかを調査すると、どこに重点を置くべきか見えてきますね。
開業する覚悟が決まったら、準備を始めます。
流れとしては、開業形態を決め、仕入れ先を調査します。在庫をどのぐらい抱えられるかによって仕入れの個数も変わってきますので、実際に仕入れるのは後にしてもOK。
それから、開業届と青色申告の手続きをして、いよいよ開業です!流れに沿って見ていきましょう。
雑貨屋をどのような形態で開業するかを考えます。
フランチャイズで開業するのか、ネットショップにするのか、はたまた実店舗をもつのか。入口は大きく分けて3つあります。一つずつチェックしていきましょう。
ノウハウを学べるという面で有利です。フランチャイズ全体での仕入れはコスト削減が徹底され、経営面では安定しているといえます。
広告や看板の貸し出し、中には什器などを提供してくれる場合もあります。自分の経営コンセプトと似通ったものがあれば、資料を請求してみるといいでしょう。
枠組みが決まっているため、自由度は低いというデメリットがあります。
自分の好きなものに囲まれ、好きなように経営したい、という人には向かない形態です。
最も簡単で費用が抑えられる方法です。
ここ数年、ネット上での開業を支援する無料サービスが増えてきました。
導入費用がかかるクレジット決済が無料で付いている場合もあります。そういったサービスを利用して第一歩を踏み出すのも一つの手です。
商品を手に取って見ることができないため、返品などのリスクが上がるのがデメリットです。写真を多く掲載するなどして、リスクを減らす工夫が必要となります。
オーナーとしての実感が大きい形態です。お店の雰囲気を直に感じてもらい、手に取って見てもらえることが大きなメリットです。
しかし、物件を探す手間や、家賃・光熱水費・維持管理費などがかかることをお忘れなく。資金があり、掃除などの雑務も苦ではない人は、実店舗での開業に向いているでしょう。
インターネットが普及し、ネットショップは年々増加しています。
大手通販から老舗、個人のハンドメイドのお店までよりどりみどりです。自分のお店に置きたいものがあれば、ネットで仕入れるのが最も簡単かもしれません。
その際、送料には十分注意しましょう。昨今、配達の料金が上がっています。まとめて仕入れることで送料無料になれば、とても有難いですね。
問屋とは、生産者から商品を買い入れて小売に卸す中間業者を指します。
例えば、東京ですと、浅草のかっぱ橋道具街が有名ですね。プロ用品を中心に取り扱ったり、コアでニッチな商品ばかり置いてあったりと、個性豊かなお店が軒を連ねます。
個人や少量でも販売してくれる問屋はあります。また、ネット販売をしている問屋も増えてきました。
しかし、多くの問屋(特に問屋街のお店)は、業者を相手に商売をしているため一般の方は購入できません。
屋号を決めてからの購入となります。開業届を出していないと相手にしてくれない場合もあります。その時は、届出後に出直すことも考えましょう。
ネット販売をしていない場合や実物を見たい場合、現地に足を運びます。
海外に自分で行くほうが空輸より安い場合も同様です。交通費や仕入れの費用がかかりますので領収書は保存しておきましょう。
大量購入や、複数回買い付けに行って顔見知りになると値下げ交渉に応じてくれることも。
店主と話せるようにしておきましょう(外国ならば現地の言葉は必須)。
受注・販売のための商談展に来場するのもおすすめです。
例えば雑貨幕張メッセ、東京ビッグサイト、インテックス大阪などで開かれる「国際雑貨EXPO」があります。メーカーとバイヤーを結び付ける役割があり、多くの人でにぎわいます。
商談展に行き、世界の雑貨に触れることで視野が広がる可能性もあるでしょう。
来場には招待状(無料)が必要です。事前に申し込みましょう(招待券無しの当日の入場は有料です)。
これらのほか、メーカーと直接取引して商品を仕入れる方法もあります。仕入れ方法によって商品の原価は異なってきますので、利益のことを第一に考え仕入れ先は慎重に選びましょう。
知ってましたか?開業届は一種類だけではありません。手続きは少し面倒ですが、きちんと済ませて懸念無く開業しましょう。
正式手続名を「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」と言います。事業開始日から、1月以内に所轄税務署に提出します。
国税庁のホームページで書類(PDF)をダウンロードできますので、該当ページをチェックしましょう。
書き方が分からない場合は相談窓口で最寄りの税務署に相談可能です。
都道府県によって届出手続き名や提出期限が異なりますのでご注意ください。
東京都の場合は、「事業開始(廃止)等申告書(個人事業税)」です。事業開始日より「15日以内」に提出しましょう。
個人事業を開始すると、事業所得を得るので、確定申告をして所得税を納める必要があります。
その確定申告には、誰でも利用できる白色申告と、事前申請が必要な青色申告の二種類があります。
青色申告は最大65万円の所得控除が受けられるため、おすすめです。
しかし、事業開始日より2ヵ月以内に納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。この期限を過ぎると、自動的に白色申告で確定され、その年は変更不可!控除が受けられなくなります。
※参考:国税庁「青色申告承認申請」
国税に関わる「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」と「青色申告承認申請」は納税地の所轄税務署での手続きです。忘れないように同時に済ませましょう。
開業するために、目安としてどのぐらい用意すればいいのでしょうか。「物件や条件によって一概には言えない」のは理解されているはず。
本当に知りたいのは、「なにに、どれくらい必要になるのか」でしょう。必要になる費用を可視化して、詳しく見ていきましょう。
店舗がないネットショップであれば、最低限の仕入れの費用とネットショップの開設費用があれば開業できるでしょう。
仕入れる商品によって金額が違うので、そこは自分の雑貨屋に置きたいというこだわりと予算次第となります。
あとは商品を綺麗に撮るためのカメラやパソコンとネット設備が必要になります。すでに自分で持っているならば、今すぐにでも始められますね。
フランチャイズであれば、100万円から1,500万円ととても幅が広いです。研修などを経て、店舗・仕入れ・広告費でサポートが受けられるので、できる限りフランチャイズ元と密に連携を取りましょう。
実店舗の場合は、簡単に挙げられるだけでも下記のものがプラスされます。
1. 礼金(一般的に家賃6ヵ月分)
2. 敷金、または、保証金(一般的に家賃10ヵ月分)
3. 仲介手数料(一般的に家賃の半分)
4. 前家賃(2ヵ月分目までの家賃)
5. 共益費、または、管理費(一般的に家賃の10%)
6. 店舗改装費
7. レジスターやディスプレイの初期備品、及び仕入費
8. 月々の家賃
9. 月々の光熱水費、維持管理費、補修費など・・・
家賃ベースで考えられる1. から5. までだけでも、家賃約19ヵ月分が必要。
家賃が7万円ならば、133万円。家賃が10万円ならば、190万円が必要となります。家賃が20万円ならば、380万円!
そして、借りてすぐに6. と7. が必要になります。
初期の店舗の状態と、ディスプレイする商品の価格によりますが、100~200万円とします。この時点で233万円(133+100)から580万円(380+200)まで差があることが分かります。
最初は黒字経営は難しいでしょうから、最低でも半年分の8. は用意しておくと安心ですね。
家賃が7万だと仮定すると、42万円。家賃が20万ならば、120万となります。合計すると、275万円(233+42)から700万円(580+120)の開業資金が必要でしょう。
こう見ると、月々の家賃がいかに重要か見えてきます。
運よく、立地条件が良くて家賃も安い素晴らしい物件に出会えたら、手付金を払ってでも抑えておくべきですね。
しかし、世にはツワモノもいます。開業資金100万円で実店舗を持ち、若さと勢いで働き始めた例もあるのです。
もちろん、軌道に乗るまでは貧乏で、空いた時間にバイトもしていたそう。それでも楽しく幸せに生活して、現在足掛け10年の経営者となっていらっしゃいます。
「100万円あるから実店舗で開業しよう!」と思った貴方。
2,000万円の貯金があるから余裕で開業できる、と思った貴方。決める前に、使える補助金や助成金があるのか調べてみましょう。
準備資金は多ければ多いに越したことはありません。
助成金や補助金は原則返す必要がありませんので、非常にありがたい制度です。融資や貸付となると、返済する義務が生じます。
募集要項の詳細まで読み込み、必要であれば申し込みましょう。細々と各方面で出費が嵩むものですので、使える補助金や助成金は必ずチェックしましょう。
例えば、東京都で出店するのであれば、以下の5つは是非見ておきましょう。
女性・若者・シニア創業サポート事業
東京都中小企業制度融資『創業』
など
新規開業資金(新企業育成貸付)
新創業融資制度(無担保・無保証型)
女性、若者/シニア起業家支援資金
など
創業助成事業
など
創業助成事業
など
東京商工会議所創業支援融資保証制度
など
「東京都」「開業」「助成金」というワードで検索しただけでも、とても多くの制度が見つかります。自分の開業形態や性別、年齢、出店場所などで調べ、これぞというものを探しましょう。
助成金や補助金の募集開始日は正確には決まっていません。
傾向として春と秋に始まるようです。募集期間が短いものが多いので気を付けてください。アンテナを張り巡らし、ホームページをこまめにチェックしましょう。
実店舗での開業であれば、物件が決まるとそこからは怒涛のような日々となります。オープン前であっても家賃は発生します。店舗決定後はすぐ店内改装に取り掛かりましょう。
壁塗りや棚作成など、ところどころDIYを取り入れると少し費用を抑えることができます。ガス・電気は、資格を有した人のみが取り付けできるものです。プロにお願いしましょう。
最初に考えた宣伝方法に沿って、オープンを周知していきましょう。店舗に足を運んでもらわないと購入に繋がりませんから、まずは気づいてもらう努力が必要となります。
ブログなどで店舗改装の途中写真などを日記のように発信し、お客さんの気分も盛り上げていくのも良い手ですね。
実際に商品を仕入れ、ディスプレイで形が見えてきたらオープンも間近です。
お客さんが来てくれるのか、自分はうまく立ち回れるのか、心配事も多いでしょう。少しでも心配事を減らすために、プレオープンをしてみましょう。
短い開業時間で、知り合いを呼ぶなどしてお客さんを限定し、開業時の動きを確認するのです。
問題点があれば、オープンまでの(または今後の)課題となります。対策を考えてからオープンすることができるため、プレオープンはおすすめです。
声高らかに宣言する人はいません。
しかし、「軌道に乗れば」生活できる程度には稼げる、と言えます。小さな地方発の雑貨屋がフランチャイズ形式を取れるほど大きく成功した例もあります。
雑貨業界は、直近10年で業界全体での売り上げも増加傾向にあります。この先数年、それが続く見込みです。
雑貨屋といえども、良品計画や東急ハンズのような大手から、専門性の高くニッチな雑貨屋まで、規模や方向性は多岐にわたります。自分が提案するコンセプトが「ウケれば」、儲かる可能性はありますよ。
昔住んでいた街にカエルの専門店がありました。
しかもニホンアマガエルのみ取り扱う専門店。大通りから外れて狭い路地を進んで、2階にお店があったにも関わらず、客足が途切れることはありませんでした。
意外にもカエル好き、もといニホンアマガエル好きは多くて、とても繁盛していました。このように、実はニーズの高いニッチな領域はまだ残されていることでしょう。
個人事業主の平均年収が384万円ですので、それより少し余裕のあるように年収400万円だと仮定しましょう。
ざっくりとした計算で1年400万円の利益を出すとなると、1月は34万。
ショップの家賃7万・光熱水費1万・雑費2万・備品費1万・仕入れ費4万と仮定し、合計が15万だとすると、給与34万に経費15万を足して49万の粗利(売上から原価を引いたもの)が必要という計算になります。
仮に原価率を60%とすると、月間約122万円の売上が目標ラインになってきます。
週休1日で26日働くとすると、1日約4万7千円の売上。一人平均2千円の購入と仮定するならば、1日約24人にはお買い上げいただかなくてはなりません。
給与が低くてもいいのであれば、売上目標はもう少し下がります。家賃が高くなれば、もっと売り上げなければなりません。1日50人が購入すれば、給与も上がりますね。どうでしょう、イメージできたでしょうか。
雑貨を経営するための必要な準備と成功法を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
難しいのかな、と思っていた雑貨屋開業も、ポイントを押さえれば遠い夢ではないのです。もし、「いつか雑貨屋を」と思っているのであれば、今から動き出しても良いのかもしれませんね。
画像出典元:pixabay
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