どんな負債?未払金とは何か?未払費用との違いもわかりやすく解説!

どんな負債?未払金とは何か?未払費用との違いもわかりやすく解説!

記事更新日: 2019/11/15

執筆: 奥谷佳子

簿記の勘定科目にある「未払金」とは会社が購入した資産や提供を受けた役務・サービスに対して支払いをする義務=債務を表した科目であり、決算書の負債の部に表記されるものです。

今回は、この未払金はどのようなものが該当するのか?類似する勘定科目の「未払費用」や「買掛金」との違いは何か?を、詳しく解説していきます。

未払金と未払費用の違いとは?

「未払い」とは?

二つの違いを解説する前に、まずは「未払い」がどのような状態を指すのかを説明します。

未払いとは、ある一定の時点で支払いが確定したものを支払っていない場合に発生する債務(負債)です。

例えば3月31日が決算日の法人の場合、3月31日以前に物品の購入やサービスの提供等を受けていれば支払義務である「債務(負債)」が発生しますが、これを3月31日現在で支払っていなければ「未払い」であるということになります。

この「未払い」を会計処理する際、使用する勘定科目でどちらを使うかで迷うのが「未払金」と「未払費用」です。

どちらも負債科目であり科目名も似ていますが「企業会計原則」上、意味合いは少し異なります。

未払金と未払費用の違い

支払い義務が発生しているという点はどちらも同じですが、違いはその経費が「1. 契約に基づき発生する経費」であり「2. 継続的に発生するもの」であるか?が、ポイントになります。

1. 契約に基づき発生する経費

契約といっても様々ですが、代表的なものとして以下のようなものがあります。

・給与 (雇用契約)

・地代家賃 (不動産賃貸借契約)

・新聞代 (定期購読契約)

・リース料 (リース契約)

・支払利息 (金銭貸借契約)

・会計士、税理士などの報酬 (顧問契約)

 

2. 継続的に発生するもの

契約に基づくというだけではなく、その費用が継続的に発生するものであることも要件の一つです。

給与は雇用契約が解除されるまでは継続的に支払わなければなりませんし、地代家賃は借主が貸主に対して申し出をして退去するまでは毎月支払う義務が発生しますので、継続的なものに該当します。

「工事請負契約」のように、スポット的な契約により発生する費用についてはこの要件には該当しません。

上記の要件を満たす未払いが発生した場合に使用するのが「未払費用」、それ以外の未払いについては「未払金」を使用します。

未払費用は発生主義

未払費用の仕訳は以下の例示のようになります。

例示:3月分の給与100,000円を翌月の4月10日に支払った場合

発生時
借方 貸方
給与   100,000円 未払費用 100,000円
支払時
借方 貸方
未払費用 100,000円 現金   100,000円

費用が発生した時点で未払費用を使って経理処理する方法を「発生主義」と呼びます。

企業会計原則の損益計算書原則においては「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない」とされています。

簡単に言うと「収益も費用も発生した時に計上してください」ということです。

これにより、正しい期間損益の計算が可能となるからです。

支払った時に費用を計上する「現金主義」で処理した場合、支払うタイミングによって経費の計上時期が左右され、実際の発生時期との間にタイムラグが生じる可能性があります。

その点、「発生主義」で処理を行えば経費は実際の発生時期にオンタイムで計上されますので、正しい期間損益の計算と合致するわけです。

未払金と買掛金について

次に、未払金についてもう少し詳しく解説していきます。

未払金をさらに細分化すると「未払金」と「買掛金」に分類することができます。

この二つもまた負債科目の未払いであるという点は同じですが、買掛金は「売上原価や製造原価、工事原価にかかる未払い」である場合に使用する勘定科目です。

売上原価とは商品を販売するにあたって直接要した商品仕入や包材仕入などを指し、製造原価、工事原価とは製造現場や工事現場で直接使用した材料仕入や外注費などを指します。

これに対し、売上原価や製造原価、工事原価に該当しない費用の未払いについて使用するのが未払金です。

事務所で使用する事務用品や消耗品、広告宣伝費などが該当します。

買掛金の仕訳は以下の例示のようになります。

例示:3月分の商品仕入500,000円を翌月の4月10日に支払った場合

発生時
 借方 貸方
商品仕入 100,000円 買掛金  100,000円
支払時
 借方  貸方
買掛金  100,000円 現金   100,000円

「未払金」「未払費用」「買掛金」の判断基準をフローチャートにしてまとめたものが下図になります。


 

税法から見た「未払金」「未払費用」「買掛金」

ここまで解説した内容は「企業会計原則」という会計処理のルールに基づいた表記方法についてでしたが、法人税や所得税などの税法から見た場合、勘定科目の違いで何か影響があるのでしょうか?

借方 貸方
地代家賃 10,000円 未払費用 10,000円
材料仕入 10,000円 買掛金  10,000円
通信費  10,000円 未払金  10,000円

上記の仕訳のうち、税金を計算するにあたって重要になるのが経費の内容とその金額です。

税法の世界では経費の内容や金額さえ適正であれば問題ありません。

つまり左側(借方)の地代家賃や材料仕入、通信費といった経費の内容とその金額さえ適正であれば右側(貸方)の科目である三つの違いについては特に重視しません。

極論ですが、全て「未払費用」一本で処理しても問題ないわけです。

建設業者にとっての「未払金」「未払費用」「買掛金」

建設業を営む会社であれば「経営事項審査(経審)」を受審している方もいるかと思います。

これは公共工事を元請で受注するために必要な入札参加資格を得るための審査であり、経営事項審査の評価(点数)が高ければ入札参加資格の格付けも高くなります。

経営事項審査は公共工事をメインに受注する企業にとっては、生命線とも言えるでしょう。

ここで可能な限り高い点数を稼ぎ出すために「未払金」「未払費用」「買掛金」の区分が重要となってきます。

審査項目の中に「経営状況(Y評点)」というのがあり、その細目に「営業キャッシュフロー」を評価する箇所があります。

詳細については割愛しますが、営業キャッシュフローは「買掛金(建設業の場合=工事未払金)」が多ければ多いほど点数が良くなる傾向にあり、この計算から未払金と未払費用は除外されてしまいます。

つまり、未払費用一本で処理するより、三つに区分表記した方が点数は良くなるのです。

会計で作成した決算書を建設業用の財務諸表に作り直して提出する際、決算書で未払費用として処理している場合には「工事未払金」に振り分ける必要がありますので注意してください。

まとめ

「未払金」「未払費用」「買掛金」は、税金の計算では影響のない勘定科目の違いですが、別の観点から見れば決して軽視することはできません。

これらの分類ができていない決算書を銀行が見た際、会計に関する知識が乏しい方が作成した決算書である…という印象を与えかねません。

当然、その内容についても本当に正しいのか?という色メガネで見ることになります。

また、建設業の会社であれば前述したとおり、経営事項審査において致命傷になることもあります。

まずは勘定科目の定義をしっかり理解し、正しい勘定科目、適正な決算書の表記を心がけましょう。

画像出典元:o-dan

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