eラーニングは、場所や時間を選ばず受講できるため、社員のスキルアップや研修に有効です。
しかし管理が難しいことや動画特有の性質によって、意味がないと評されるケースが少なくありません。
そこで本記事では、eラーニング研修は意味がないと言われる原因と解決策を受講者と管理者の立場に分けて紹介し、効果を最大限に引き出すポイントも解説します。
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リモートワークの普及などにより、場所や時間を選ばず受講できるeラーニングを導入する企業が増えています。
しかし、受講者側からは「意味がない」「モチベーションが上がらない」などといった後ろ向きな意見がよく聞かれます。
なぜこのように思われてしまうのか、その要因と解決策について解説します。
eラーニングの動画視聴時間は、30〜60分間が平均と言われています。
コンテンツの試聴時間が長すぎたり、実務との関連性が薄い内容だったりすると、「費やした時間に対して得られるものが少ない」と不満を抱きやすくなります。
受講者の興味を引き、業務やキャリアアップに役立つコンテンツを5〜10分単位で視聴できるように作り直すのが有効です。
それが難しい場合は、一定時間ごとに休憩が取れるように工夫するのもよいでしょう。
eラーニングはシステムの仕様によって、コンテンツを早送りしたり、読み飛ばしたりしても、受講済みとして処理されることがあります。
内容に興味が持てないと、早送りしたり、飛ばし見したりしてしまう受講者も出てくるでしょう。
そのような場合は、いくら受講しても学習内容が身に付かず、スキルアップにも繋がりません。
LMS(学習管理システム)を導入すると、各受講者の進捗管理、履修管理、成績管理が可能になります。
例えば、単元ごとに理解度をチェックするテストやクイズを挟んで、進捗や成績を管理できます。
早送りやシークバー操作を禁止する機能が付いたシステムなら、飛ばし見対策になるでしょう。
eラーニングは、「学習内容が実務に直結しないため意味がない」という意見も多いです。
一方的に配信するスタイルのため、インプット型が多かったり、コンテンツが古かったり、マニュアル通りで現場での応用が効かなかったりします。
アウトプットの場がない点も、知識が定着しにくい要因といえるでしょう。
eラーニングに加えて、対面で理解度をチェックしたり、質疑応答できたりするブレンデッドラーニングを行うと効果が上がります。
動画の中には、プレゼンや対話が可能なタイプもあるので、講義内容や受講者のレベルに応じて提供するのもよいでしょう。
実践的なスキルと知識のある人物が、コンテンツのクオリティを精査することも欠かせません。
eラーニングは、会社のパソコンや限られたネットワーク内でしか視聴できないケースが多いです。
時間や場所が拘束されることは、受講者にとっては不便に感じる要因になります。
会社のパソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットでも視聴できるようにすると出張先や移動中でも受講可能になります。
社員個人のデバイスで利用可能なシステムにすることで、さらに受講の自由度が増すため学習効果が上がると期待できます。
続いて、管理者側の立場で考えてみましょう。
eラーニングを導入するからには、社員のスキルアップやコスト削減といった目的があります。
ところが想定した結果に結びつかず、「意味がない」と感じてしまうケースが少なくありません。
その要因と解決策について解説します。
インストラクショナルデザインとは「教育設計」のことで、目的をもとに最適な教育内容を設計し、提供する手法です。
インストラクショナルデザインが曖昧だと、受講者とのミスマッチが起きたり、受講する理由や目的が伝わりにくくなったりして、期待する成果が得られません。
eラーニングの構想段階において、インストラクショナルデザインの考え方をベースに以下のポイントを明確にし、担当者間で共有します。
上記の内容を受講者にわかりやすく伝えるとともに、学習したことをアウトプットできる機会を設けることも重要です。
eラーニングは、受講者のペースに任せるケースが多く、学習状況を正確に管理することが難しいです。
仕事の合間や移動時間、出張先、自宅など、管理者の目の届かないところで受講している場合はとくに十分な管理も評価も困難でしょう。
LMS(学習管理システム)の導入により効果的に学習管理できるようになります。
LMSには、以下のような機能があります。
LMSはサービスによって機能も料金も異なります。
そのため自社に合ったシステムを選択し、効果が上がる使い方を検証しましょう。
受講者にそもそもeラーニングを受講する意欲が低く、「させられている感」が強い場合は管理者が満足できる成果が望めません。
学習結果を実際の仕事の場でプレゼンする機会を設けたり、人事評価と紐付けたりすると、モチベーションアップに繋がるでしょう。
eラーニングの効果を最大限に引き出すには、以下の3点に留意する必要があります。
eラーニングの効果を引き出すには、受講者が利用する価値を強く見出せるように促す必要があります。
そのためには、営業職やエンジニア、新入社員などの立場ごとに魅力と実効性のあるコンテンツを作り、そのメリットをわかりやすく伝えることです。
また受講内容と習熟度に応じて、昇給や昇格、転勤といった人事評価に繋がる体制の構築もモチベーションアップに繋がります。
受講者が利用しやすいように社内だけでなく、自前のスマートフォンやタブレットで好きなタイミングで学習できるシステムを整備することも重要です。
eラーニングで一方的に聴講するだけでは、理解度にばらつきが出る上、知識の定着が進みにくくなります。
そこで、新入社員の場合は、学んだことを実際のタスクの中でアウトプットしたり、補足したりできる研修を行います。
営業職の場合は、先輩社員や上司の前でのプレゼンやロールプレイングによるシミュレーションを行う研修が有効でしょう。
さらに受講者同士でディスカッションをして新たな気づきを見出したり、講師や上司に質疑応答したりできる機会を設けると効果が如実に現れます。
LMSを使ったり、上司がヒアリングしたりして進捗管理を行うことも欠かせません。
自己管理のみで完結する体制だと、どうしても個人によって習熟度や受講ペースにばらつきが出ます。
監視されているというより、見守り応援してもらっているという気持ちになるような雰囲気と体制を作ることで、受講者の集中力やモチベーションを高めることができるでしょう。
eラーニングに関する課題解決を可能にする様々なサービスがあるので、その中の最新トレンドを2つ紹介します。
VR(仮想現実)を活用したeラーニングサービスが続々と誕生しています。
仕事現場に即したリアルな映像と音声を使って学べるので、学習意欲や習熟度の向上が期待できるでしょう。
製造や医療、建設など、専用機器や重機の操作、専門性の高い動作などがともなう業界で積極的に導入されています。
eラーニングのサービスでは、専門性や利便性、実効性、安全性に富んだプラットフォームが多数提供されています。
とくに、以下3つの管理機能が充実していると、より高い導入効果が期待できるでしょう。
eラーニングは、場所や時間を選ばず受講できるため、社員のスキルアップや研修に大変有効です。
しかし受講者主導では、コンテンツの飛ばし見やモチベーション低下のリスクがあります。
そこで、LMSなどを使ってeラーニングの質を高めるのがおすすめです。
人事制度や複数の研修とセットで行えば、より高い効果が期待できるでしょう。
自社に最適なプラットフォームを見つけ、eラーニングによる研修の強化を検討されてはいかがでしょうか。
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