TOP > SaaS > 人事 > 社内教育・研修 > リーダー育成のポイント5つ!よくある課題・具体的な育成方法・事例も解説
企業を取り巻く環境は、DXの加速や働き方改革の推進などによって大きく変化し、多くの企業がリーダー育成においてさまざまな課題に直面しています。
従来のリーダー像は通用しなくなりつつあり、組織を力強くリードし、未来を切り拓くリーダーの育成が必要です。
本記事では、今の時代に求められるリーダー育成のポイントや具体的な育成方法を解説します。
さらに、リーダー育成に成功した企業の取り組み事例もご紹介します。
このページの目次
現代のビジネス環境において、トップダウン型の指示・命令では組織を統率できなくなってきています。
ここでは、「現代のリーダーに必要な資質やスキル」「マネージャーとリーダーの違い」について解説します。
現代のビジネスリーダーに求められる能力は多岐にわたります。
以下では、現代のリーダーに求められる8つの要素について、それぞれ具体的に解説していきます。
統率力とは、共通の目標に向かって人々を一致団結させる力を指します。
優れたリーダーは、組織のビジョンを明確に示し、チームメンバーそれぞれの強みを最大限に引き出しながら、チーム全体のモチベーションを高めていきます。
リーダーの統率力が発揮されると、チーム内に信頼感や協力的な雰囲気が広がり、成果を出しやすい環境が整います。
リーダーには、迅速かつ的確に判断し、すぐに行動へと移す能力が求められます。
特に困難やトラブルに直面した状況では、リーダーの判断力と行動力がチームの命運を左右することが多く、その真価が問われます。
リーダーは、冷静に情報を収集し、状況を多角的に分析したうえで、勇気ある決断を下し、行動力をもってチームをけん引する力が必要です。
任務やプロジェクトを進める過程では、さまざまな問題が立ちはだかります。
リーダーは、論理的な思考で問題の本質を見抜き、柔軟な発想で最適な解決策を導き出さなくてはなりません。
問題を的確に解決することで、チーム全体のパフォーマンスは高まり、組織目標の達成を加速できます。
洞察力が高いリーダーは、日々の業務やチーム内の些細な変化をいち早く察知し、大事に至る前に対策を講じることができます。
効果的な戦略立案とチームマネジメントを行う上で欠かせないスキルです。
目標達成には、具体的な計画を立て、実行していく力が不可欠です。
リーダーは、大きな目標を細分化し、段階的なステップに落とし込み、チームメンバーに各自の役割を理解させる必要があります。
時には、状況の変化や進捗状況に応じて計画を柔軟に修正できる力もリーダーには重要です。
メンタリング力は、メンバーに気づきを与え、自律的な成長を促します。
優れたリーダーは、対話を通じてメンバーの潜在能力を引き出し、スキルや知識を向上させる手助けを行い、チームや組織全体の成長をリードします。
コミュニケーション能力は、リーダーがチームをまとめるうえで欠かせないスキルの一つです。
自分の考えを伝えるだけでなく、メンバーの声に耳を傾け、意見やアイデアを活かすことも重要です。
また、状況や相手に応じて適切なコミュニケーション手段を選び、チーム内で意見しやすい環境をつくり出す必要があります。
リーダーは、困難な状況に直面しても、常に前向きな姿勢を保つ必要があります。
リーダーがポジティブな考えを持ち続けると、メンバーは安心感を得られるだけでなく、チーム全体のモチベーションも高まります。
逆に、リーダーがネガティブな言動を繰り返すとチーム全体に広がり、パフォーマンスの低下を招きかねません。
マネージャーとリーダーは、メンバーを指導するという点で共通しているため、一見似ているように見えますが、本質的な役割に違いがあります。
マネージャーは、業務がスムーズに進むよう、業務管理や環境整備を行う「管理者」です。
一方、リーダーは、組織の方向性を示し、目標達成のためにチームをけん引する「先導者」です。
これらの役割は一部で重なる部分もありますが、明確に区分すると、それぞれの強みを最大限に活かせます。
ここでは、リーダー育成における主な課題とその解決策について詳しく見ていきます。
リーダー候補となる人材は、多くの場合、すでに現場で重要な役割を担っています。
そのため、育成プログラムへの参加が、業務の遅延や担当者の負担増につながるリスクがあります。
しかし、リーダー育成を後回しにすると、将来の企業成長を阻害する恐れがあります。
この課題に対処するためには、リーダー育成プログラムを業務の一環として組み込む方法が効果的です。
例えば、リーダー候補者が現場を離れることなく、実務を通じてリーダーシップを学べるメンター制度の導入が考えられます。
また、リーダー育成には、オンライン研修やeラーニングなども有効な手段です。
近年、責任の重さに対する不安やワークライフバランスを重視する傾向から、リーダー職を希望する人が減少しています。
リーダー志向の人材を育てるためには、リーダー職に就くメリットやキャリアアップの道筋を明確に示し、社員のモチベーションを高めることが大切です。
例えば、リーダー職に就くことで得られるスキルや経験、さらに将来的なキャリアパスを具体的に説明すると、社員の不安が軽減し、リーダーシップへの意欲を高めることができます。
また、リーダー職に対するポジティブなイメージを醸成するには、チームを成功に導いた事例やリーダーとしてのやりがいを共有することも効果的です。
リーダー育成制度を整備するには、時間や費用などのリソースが必要になるため、多くの企業では十分な投資ができていないのが現状です。
このような状況を改善するために、まずはリーダー育成のステップを明確化し、座学や実務経験を組み合わせたプログラムを作成しましょう。
自社にリーダー育成のノウハウがない場合は、豊富な経験を持つ外部コンサルタントに相談するのも一つの手です。
リーダー育成プログラムの効果が分かりにくいという点も、大きな課題となっています。
主な原因は、リーダーシップの発揮は行動や周囲への影響など、定性的な要素が多く、効果測定が難しいことにあります。
課題解決には、360度評価を導入し、多面的な視点から成長を測定することが効果的です。
リーダーの行動や周囲への影響を、上司・同僚・部下から評価することで、客観的に成長度合いが把握できます。
また360度評価は、評価項目ごとの点数評価といった定量的な計測も可能なため、
定期的な評価とフィードバックを行いリーダーのさらなる成長を促すことができます。
さらに、タレントマネジメントシステムを活用すると、育成プログラムの進捗や成果を一元管理でき、データに基づいた効果測定が可能になります。
将来を担うリーダーを育成するためには、体系的なアプローチと継続的な取り組みが必要です。
以下では、効果が高い4つのリーダー育成方法について詳しく解説していきます。
リーダーシップ研修は、リーダーに必要な基礎知識やスキルを習得するための効果的な育成方法の一つです。
受講者は、リーダーとしての自信を深め、実際の業務で直面する課題に対処する能力を高めることができます。
研修では、リーダーシップ理論やコミュニケーションスキル、問題解決能力など、リーダーに求められるさまざまな能力を幅広く学べます。
座学だけでなく、グループワークやケーススタディを取り入れ、実践的なスキルを習得できるように設計しましょう。
研修後も継続して学べるように、フォローアップ研修や学習コンテンツの提供を検討することが望ましいです。
リーダーシップ能力を向上させるには、研修で学んだ知識やスキルを現場で実践することが非常に重要です。
理論だけでは得られない経験や知見を実践を通して深めることができます。
まずは小規模なプロジェクトリーダーから始めて、徐々に責任と権限を拡大していくアプローチが効果的です。
上司からのフィードバックを受けながら、試行錯誤を繰り返すことで、実践的なリーダーシップスキルと自信を身につけられます。
1on1ミーティングは、業務の進捗状況や課題、悩みについて率直に話し合う場として有効です。
さらに、キャリア開発の方向性や個人の成長目標について話し合い、具体的な行動計画を一緒に策定すると、次のステップを明確にできます。
リーダーシップスキルは、個別のフィードバックやアドバイスで飛躍的に向上します。
効果的なリーダー育成には、PDCAサイクルに基づく継続的な改善が欠かせません。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4つのステップを繰り返しながら、業務やプロセスを改善する手法です。
具体的には、育成目標の設定・育成施策の実施・成長度合いの評価・プログラム改善のプロセスをリピートします。
PDCAサイクルを回すことで、リーダー育成プログラムは常に最適化します。
ここでは、リーダー育成を成功に導くための重要なポイントを解説します。
まずは、なぜリーダー育成の必要があるのかを明確にすることが大切です。
リーダーを育てる目的が曖昧なままでは、方向性が定まらず、効果も期待できません。
例えば、「将来の経営幹部を育成する」「現場のマネジメント能力を向上させる」など、具体的な目標を設定しましょう。
明確な目的を定めることで、育成プログラムの内容や評価方法を適切に設計することが可能になります。
リーダーにふさわしい人材を選抜するためには、選抜基準を設定する必要があります。
リーダー候補は勤続年数や年齢で選ぶのではなく、「コミュニケーション能力」「決断力」など、具体的な能力や資質を基準として設定しましょう。
これらの基準を昇進や報酬制度と連動させれば、リーダーを目指す社員を増やす効果が期待できます。
また、明確な選抜基準があることで、社員一人ひとりが自身のキャリア目標を描きやすくなり、スキルや能力を高める意欲が自然と向上するでしょう。
リーダーには、幅広い視野と多角的な視点が必要です。
そのため、リーダー候補者には、さまざまな業務を経験させましょう。
会社全体を見渡す視点や、異なる立場の人々と協力する力を育むことができます。
また、新規プロジェクトのリーダーを任せるなど、挑戦的な機会を提供することで、実践的なリーダーシップスキルを磨くことができます。
リーダー育成は、一部の部署や担当者だけで行うものではなく、企業全体で推進すべき取り組みです。
経営層は育成の方針を示し、現場の上司は日々の指導を行い、人事部門はプログラムの運営をサポートする、といったように役割を分担しましょう。
各部門がそれぞれの役割を担い、連携することで、効果的な育成体制の構築が可能です。
また、既存のリーダーがメンターとして候補者をサポートする仕組みを導入すれば、より実践的な学びの場を提供できます。
リーダー育成は、知識やスキルの習得だけでなく、実践を通じた経験の蓄積が必要なため、短期間での効果を期待することは現実的ではありません。
そのため、3〜5年程度の中長期的な視点で計画的に取り組むことが重要です。
育成計画は、段階的に能力を伸ばしていけるよう、時間軸を意識して策定しましょう。
焦らず着実に取り組むことで、確実な成果につながります。
また、時代や事業環境の変化に応じて、育成プログラムの内容や方法についても、定期的な見直しと改善を行うことも大切です。
リーダー育成は多くの企業が課題を抱えていますが、独自の工夫で成果を上げている企業もあります。
ここでは、リーダー育成に力を入れ、実際に成功を収めている2社の取り組みを紹介します。
国分グループ本社株式会社は、食品卸売業を営む老舗企業です。
同社では、30代の若手社員を対象とした次世代リーダー育成のための選抜研修を実施。
このプログラムでは、経営戦略の基礎から実践的なリーダーシップスキルまで、幅広い内容を学べます。
特徴的なのは、実際のビジネス課題にチームで取り組み、解決策を提案する機会が豊富に設けられている点です。
研修を通して、社内にはチャレンジして学ぶ風土が醸成され、参加者の成長が見られるようになりました。
また、長期経営計画の課題に対するPDCAサイクルが加速するという効果も生まれています。
参考:株式会社グロービス|次世代のリーダーへ火をつける。全社を巻き込んだ自社課題プログラムへの取り組み
サントリーホールディングスは、酒類・飲料事業を中心に、幅広い事業を展開するグローバル企業です。
次世代リーダー育成においては、グローバルな視点と多様な価値観を理解するための海外研修や、経営視点を養うためのビジネスシミュレーション研修など、多様なプログラムを提供しています。
また、「やってみなはれ」という創業精神を大切にしてきた同社では、社員自ら課題を見つけ、挑戦することを奨励する文化が根付いています。
この文化を基盤に、若手社員からシニア社員まで、それぞれのキャリアステージに応じてリーダーシップを発揮できる環境が整備されており、企業全体の活性化につながっています。
参考:サントリーホールディングス株式会社|人材育成と成長機会
リーダー育成は、企業の未来を左右する重要な取り組みです。
明確な目的と計画に基づき、適切な人材を選抜・育成することで、次世代を担うリーダーを確実に育てられます。
本記事でご紹介したポイントや事例を参考に、最適なリーダー育成戦略を構築し、次世代リーダー育成に取り組みましょう。
画像出典元:Pixabay