TOP > SaaS > 人事 > 福利厚生 > ベンチャー企業の福利厚生とは?基本から個性的なものまで国内外の事例も紹介
ベンチャー企業の福利厚生は、社員の満足度やエンゲージメント向上に大きく寄与します。
本記事では、ベンチャー企業が導入すべき基本的な福利厚生から、実際に企業が導入しているユニークな制度の事例までを紹介。
また、福利厚生が不十分な場合に頼れる支援制度についても解説しています。
現在ベンチャー企業で働いている方も、これから就職を考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
まず、福利厚生は大きく分けて2種類あることをご存知でしょうか。
ここでは、それぞれの概要について解説します。
法律で企業に義務付けられている福利厚生です。
健康保険や厚生年金、労災保険、雇用保険などがこれに該当します。
企業規模に関係なく、社員を雇用する際にはこれらの制度に加入しなければなりません。
これをきちんと整備することは、企業の信頼性の向上につながります。
企業が自主的に提供する福利厚生です。
住宅手当、家賃補助、自己啓発支援、社内託児所などが含まれます。
法定外福利厚生は、企業の創意工夫が反映される部分です。
特に、ベンチャー企業では他社との差別化を図るために、独自の法定外福利厚生を導入する事例が増えています。
法定外福利厚生を一から考える時間がない場合は、アウトソーシングサービスを利用する手段が有効です。
ベンチャー企業の福利厚生には、大手企業とは異なる特徴があります。
主な2つの特徴について見ていきましょう。
ステージとは、ベンチャー企業が創業してから軌道に乗るまでの成長過程のことです。
大きく4つに区分され、ステージが進むごとに福利厚生も充実していく傾向があります。
シードステージ |
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アーリーステージ |
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ミドルステージ |
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レイターステージ |
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創業初期は資金が限られているため、基本的な法定福利厚生のみを提供している場合が多いです。
一般的に、福利厚生が充実し始めるのはミドルステージ以降から。
企業の規模が大きくなり、社員数も増えてくることで、多様な福利厚生が必要になるためです。
大手企業は、金銭的な補助をはじめとする手厚い制度が充実していますが、現状の内容から変化していく可能性はほとんどありません。
一方、ベンチャー企業は、成長段階に応じて福利厚生の内容・種類も柔軟に変化させていく必要があります。
社員のニーズに合い、なおかつユニークな制度をアピールポイントにしている企業が多いです。
近年、就職活動を行う学生たちにとって、福利厚生は企業選びの重要な要素です。
企業規模に関わらず「就職先にあって欲しい」という声が多い、福利厚生の上位5つを紹介します。
自社の福利厚生を見直したい方、就職先を探す上で待遇面に注目したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
特別休暇、介護・看護休暇などが該当します。
近年では、リフレッシュ休暇や誕生日休暇など、独自の休暇制度を導入している企業も。
休暇をしっかり取れて、仕事とプライベートのバランスが保てることが重視されています。
住宅手当や食事手当など、日常生活に直結する手当が人気です。
扶養する子どもがいる社員に対して一定の金額を支給する「子ども手当」も、社員から喜ばれる制度の一つです。
通勤費はもちろん、通信費の補助は、リモートワークの普及と共に学生が関心を持つ福利厚生です。
リモートワークに必要なインターネット回線や、モバイル機器にかかる費用を支援するもので、社員が職場環境を整える負担を軽減できます。
長期的なキャリアプランを考える学生にとって、退職金制度の有無は重要な判断材料です。
ベンチャー企業でも、独自の退職金制度を設けている場合、安心して長く働ける企業としての評価が高まります。
オンライン講座や資格取得支援、語学研修などの制度を提供する企業は、積極的に学びたいと考える学生から選ばれる傾向にあります。
特に、ITやベンチャー業界では、技術や知識のアップデートが欠かせないため、自己啓発支援に力を入れている企業が多いです。
ベンチャー企業が福利厚生を充実させることは、企業の成長や競争力に大きなメリットをもたらします。
以下では、主な3つのメリットについて解説します。
福利厚生は、給与以外の形で社員への感謝やサポートを示す方法であり、これにより社員は「大切にされている」という実感を持ちやすくなります。
特に、ベンチャー企業では社員一人ひとりの貢献が企業の成長に直結するため、意欲的に業務に取り組んでもらうためにも、福利厚生の充実は欠かせません。
大手に比べて知名度が低いベンチャー企業は、独自の福利厚生を提供することで、他社との差別化が図れます。
魅力的な制度は企業イメージの向上にもつながり、求人の応募者数増加や採用率の向上に寄与します。
福利厚生費の多くは経費として計上できるため、節税対策としても有効です。
例えば、社員に提供する食事補助や健康管理に関する制度は、会社が税金を負担することなく導入できる場合が多いです。
ただし、一定の要件を満たしていない制度は、これに当てはまりませんので注意が必要です。
福利厚生に力を入れている企業の中でも、特に独自性が強い制度を導入している企業の事例を、国内外・企業規模を問わず8社紹介します。
「CLARiS(クラリス)」は月額350円で従業員数1名~始められる福利厚生サービスです。
CLARiSを導入することで、求職者の高まる福利厚生ニーズに応える魅力的な募集が可能になります。
さらに、既に福利厚生を導入している企業にとっても、コスト削減の大きな利点があります。
サービスを活用することで、自社で提供するよりも幅広い福利厚生オプションを提供できるだけでなく、コスト、時間、そして労力を大幅に削減することができます。
企業全体の競争力と採用力を強化しながら、効率的な運営をサポートします。
株式会社フォロアスの「おしゃれ手当」は、社員がファッションや美容に使える手当を支給する制度です。
社外の人と関わる機会が多いことから、身だしなみをしっかり整えるという目的で導入されました。
出社用の衣類や小物、化粧品をはじめ、美容室やネイルなどもこの制度の対象になります。
結果として、社員の満足度が向上し、職場でのコミュニケーションが活発化したという効果が見られます。
株式会社OKUTAでは、1日15分程度のお昼寝ができる「POWER NAP制度」を導入しています。
仕事中に疲れを感じたタイミングで自由に休むことができるため、社員のパフォーマンス向上につながっています 。
Cygames株式会社では、社員がリフレッシュできるように、会社内で整体師による施術を受けられる制度を提供しています。
このほか、体重・体脂肪・基礎代謝などを測定できる「体組成計」も利用可能で、こういった健康サポートの施策は社員から好評を得ています。
株式会社ホープでは、社員の子どもの誕生日に1日休、配偶者の誕生日に半日休を取得できる制度を導入しています。
家族との時間を大切にしてもらうことで、社員のワークライフバランスを整え、モチベーションを高めることが狙いです。
同社はこのほかにも、「Xmasプレゼント手当」や「オムツ手当」など、社員とその家族に寄り添った福利厚生に力を入れています。
参考:株式会社ホープ 公式HP
iYell株式会社では、毎月新しい福利厚生を追加するユニークな制度を採用しています。
「全社員を幸せにしたい」という社長の想いから始まったもので、フリードリンクやサプライズ休暇、セミナーや資格支援、週1でジムに通える制度など、ジャンルは多岐に渡ります。
2024年3月には、お弁当代を全額補助する「iYellunch‐いえランチ‐」を導入し、100個目の福利厚生導入を実現しました。
アメリカに本拠を構える、靴やアパレル関連の通販サイトZapposでは、社員同士が社内通貨「Zollars」を使ってボーナスを送り合う制度を導入しています。
この制度は、社員が互いに感謝や称賛を伝える文化を醸成するために設けられました。
社内の協力関係やコミュニケーションを活性化し、チームワークの向上につながっています。
民泊のマッチングサービスを提供するAirbnbは、同社が提携する世界中の宿泊施設を社員に無料で提供するほか、社員が休暇中に旅行する場合、年間2,000ドルの補助金を支給しています。
これは、旅行を通じて世界を探索し、会社の理念である「どこにでも居場所を作る」という精神を社員自身が体験することを目的としています。
ベンチャー企業では、コストやリソースの制約から、十分な福利厚生を提供できない場合があります。
そういった場合の対処法として、個人で利用できる支援制度を紹介します。
企業側が独自の制度を持たない場合でも、こうした制度を社内に周知することで、社員に安心感を与えることができます。
健康保険組合や自治体の支援を活用できるケースがあります。
健康保険組合では、結婚や出産、葬儀に対して見舞金や弔慰金が支給されることがあり、金額は数万円〜10万円程度です。
また、自治体によっては、結婚祝金や葬儀費用補助を提供することもあり、地域によって異なる補助金額が設定されています。
民間の災害共済や、健康保険組合の災害支援を活用できます。
例えば、被災者生活再建支援制度では、地震や台風などの災害に見舞われた際に、最大300万円の補償を支給しています。
また、自治体によっては、災害時の住宅再建支援や一時金の支給も行われており、社員の生活再建を支援します。
自治体や民間の住宅補助制度を利用することが可能です。
たとえば、自治体によっては、若者や新婚世帯に対して月額1〜3万円程度の家賃補助が提供されるケースがあります。
このほか、民間の住宅ローン補助制度は、特定条件を満たすことで支援が受けられます。
ベンチャー企業にとって、柔軟で社員ニーズに合った制度を導入することが、企業の成長を支える鍵となります。
福利厚生が不十分な場合でも、健康保険組合や自治体の支援制度を活用することで、社員の負担を軽減できるかもしれません。
身の回りの支援制度についても、ぜひ一度調べてみてください。
画像出典元:Pixabay