TOP > 起業 > 会社設立 > 社名変更の手続きを解説!必要な届出と提出期限・費用は?
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この記事では、社名変更の手続きを解説します。
社名変更の手続きは、株主総会の承認と法務局への手続きから始まります。
その後は、多くの公的機関と役所への届出と申請が発生しますが、2週間以内に手続きを完了させなければなりません。
金融機関やそのほかの契約サービスへの社名変更手続き、取引先への案内などもあります。
社名変更の手続きは、届出先は多いですが、手順が分かれば専門家に依頼しなくても自社で完結出来ます。
この記事を参考に、正しく社名変更の手続きを行いましょう。
このページの目次
社名(商号)は定款に記載され法務局に登記されているため、社名変更には必ず定款の変更が必要です。
まずは、株主総会で「社名変更=定款の記載事項変更」の承認を得ましょう。
1. 取締役会を開催し株主総会の開催と日付を決定
2. 株主総会の招集通知を株主に送付
3. 株主総会を開催
株主総会の決議は普通決議・特別決議・特殊決議の3種類ですが、定款の変更の決議は特別決議で行います。
特別決議とは、議決権の過半数を有する株主の出席、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を持って可決される決議です。
社名変更を含む定款の変更が決議されたなら、その内容を株主総会の議事録に記録します。
株主総会議事録は法務局での商号変更登記のときに必要な書類になるので、きちんと作成し保管してください。
※代理人申請の場合は、委任状も必要です。
社名変更の手続きは、法務局の手続きを一番初めに行います。
本社の所在地を管轄している法務局に社名変更の登記申請をしましょう。
登記申請書や印鑑(改印)届書は、法務局の公式ページからダウンロードします。
法務局での社名変更手続きが完了したら、変更後の社名が記載された最新の登記事項証明書(登記簿謄本)を入手します。
登記事項証明書は、税務署、年金事務所、ハローワーク、金融機関などへ社名変更の手続きに必要な書類です。
登記事項証明書は、発行方法によって変わりますが1枚につき600円から450円かかります。
登記事項証明書の必要枚数を事前に確認して、不要な出費がないようにしましょう。
社名変更を税務署に異動事項に関する届出を行います。
異動届出書と消費税異動届出書は国税庁の公式ページから入手できます。
各都道府県税事務所に法人異動届出を提出します。
都道府県税事務所の手続きは、各自治体によって違います。
異動届出書の様式、入手方法、提出方法については本社のある都道府県の公式ページを参考にしてください。
※東京23区内に住所がある法人の場合は、区役所への提出は不要です。
法人の所在地の市区町村の役所にも法人異動届を提出します。
こちらの異動届出書についても、地方や自治体により様式が違います。
各自治体の公式ページで様式を確認してください。
社名変更の日付から5日以内に管轄の年金事務所に「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出します。
必要事項を記載した健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届と必要書類を揃えて窓口持参、郵送、電子申請のいずれかの方法で提出できます。
社名変更のあった日の翌日から10日以内に「労働保険名称、所在地等変更届」と「雇用保険事業主事業所各種変更届」の2種類の書類を提出します。
「労働保険名称、所在地等変更届」は、適用事業に合わせて以下に提出します。
提出先 | 添付書類 | ||
一元適用事業所 | 労働基準監督署 | 提出先に要確認 | |
二元適用事業所 | 雇用保険 | ハローワーク | 提出先に要確認 |
労働保険 | 労働基準監督署 |
労働保険名称、所在地等変更届は複写用紙となっているので、管轄の労働基準監督署で用紙を入手し直接記入するのがおすすめです。
「雇用保険事業主事業所各種変更届」は事業所を管轄しているハローワークに提出します。
雇用保険事業主事業所各種変更届は、ハローワークインターネットサービスを利用して用紙の入手と作成が可能です。
雇用保険事業主事業所各種変更届の提出には「労働保険名称、所在地等変更届」の事業主控が必要なので、そちらの届出を先に済ませておきましょう。
給与から住民税を天引して支払う関係で、会社名を変更した場合はすみやかに従業員の住民票がある市区町村への名称変更届が必要です。
この書類は一般的に該当する市区町村の公式ページからダウンロードすることが可能です。
各自治体により提出窓口の名称が違うので、提出先の名称についてもきちんと確認してください。
銀行などの金融機関へ口座名義を変更する必要があります。
銀行により名義変更のときの必要な書類に違いがありますが、一般的には以下の書類等を揃えなければなりません。
公共料金へも社名変更の手続きが必要です。
多くの公共料金の変更手続きは、ネットから行えますので、契約している電気会社と額会社のホームページを確認しましょう。
水道料金については、利用地域により水道局に連絡する場合と、役所に連絡する場合に分かれますので、利用地域の受付窓口をご確認ください。
社名変更後には、会社で契約しているインターネットプロバイダ、オフィスの賃貸契約、携帯電話キャリアなどにも社名の変更の連絡をします。
サービス提供会社ごとに、社名の変更連絡方法に違いがあるので、各サービス会社への電話や公式ページなどを参考に変更方法と必要な書類を確認してください。
取引先には、請求書や納品書の社名欄の名前、振込先に利用している口座名義の名前などを変更してもらう必要があります。
社名変更が決定され次第、すみやかに連絡するのがマナーです。
取引先への連絡は、先にメールで連絡しておきますが、正式な社名変更のお知らせは書面や挨拶状を送付して行いましょう。
社名変更のお知らせ
〇〇様
お世話になっております。
平素より【旧社名】をご利用頂き誠に有難うございます。
さて このたび弊社は 00月00日付けで社名を下記のように変更いたしましたのでお知らせ申し上げます。
今後とも 何とぞ変わらぬご支援ご指導を賜りたくお願いかたがたご挨拶申し上げます。
商号変更日00年00月00日
旧社名【自社の旧社名】
新社名【新社名】
法務局への社名変更の手続きが完了したら、ホームページに案内を掲載しましょう。
得意先だけでなく、広く社名変更を周知させるためです。
社名変更をする前に必ずホームページのリニューアルについて確認します。
「社名に合わせたドメインが取得できるか」「同名他社の存在」などを含め新社名について事前確認が必須です。
変更後にトラブルがないよう準備してから、株主総会の承認と法務局への手続きを始めましょう。
社名変更登記申請の期限は、会社法第915条第1項により「変更が生じてから2週間」と定められています。
4月1日付けで社名を変更すると株主総会で決議した場合、その日が効力発生の日となり、そこから2週間後の15日までが登記申請の期限です。
2週間を過ぎてから変更登記申請をしても、申請に不備がなければ受理はされます。
ただし、期限を超過したのちの変更登記は会社法第976条1号に基づき登記懈怠(とうきけたい)とみなされ、代表者個人が100万円以下の過料制裁を受ける可能性があります。
社名変更の手続きは、一般的に窓口・郵送・電子申請の3つから行います。
窓口 | 郵送 | 電子申請サイト | |
法務局 | 〇 | 〇 | 登記ねっと |
税務署 | 〇 | 〇 | e -Tax |
都道府県税事務所 | 〇 | 〇 | eLTAX |
市区町村 | 〇 | 〇 | |
年金事務所 | 〇 | 〇 | e-Gov |
労働基準監督署 | 〇 | × | |
ハローワーク | 〇 | 〇 | |
従業員の住んでいる市区町村 | 〇 | 〇 | eLTAX |
雇用保険関係の手続きを行う労働基準監督署では、個人情報漏洩のリスクを回避するために郵送による書類の提出は控えるようお願いしています。
やむを得ず郵送を利用する場合は、書留などの記録付き郵便を利用し、記録付き郵便の郵券を貼付し宛名を記載した返信用封筒の同封するという方法がベストです。
社名変更の手続きでは、下記のような費用が発生します。
社名変更で発生した費用は、会社の経費で精算できますので、領収書の保管を忘れずに行いましょう。
法務局に社名変更の登記手続には、収入印紙で登録免許税3万円を支払います。
登録免許税は1件につき3万円です。
都道府県税事務所などに異動届を提出するときに、社名変更の事実を確認するために登記事項証明書の提出を求められます。
登記事項証明書の交付請求は法務局に行いますが、その際の請求手数料は以下のとおりです。
書面請求 | 600円 |
オンライン請求・送付 | 500円 |
オンライン請求・窓口交付 | 480円 |
銀行口座の名義変更などで登記された新しい印鑑の印鑑証明書が必要です。
法人の印鑑証明書の交付請求は法務局に行いますが、その手数料は以下のとおりです。
書面請求 | 450円 |
オンライン請求・送付 | 410円 |
オンライン請求・窓口送付 | 390円 |
会社印の印鑑(改印)届出書の提出には代表取締役個人の印鑑証明書を貼付します。
個人の印鑑証明書は役所の窓口、もしくはマルチコピー機のあるコンビニで取得可能です。
市区町村ごとに交付手数料が決められているので、代表取締役が印鑑登録をしている市区町村の公式ページで確認してください。
社名変更に伴い法人印(代表者印)を改印しなければならないという法的規制はありません。
しかし、変更前の社名が入った印鑑を継続して使用すると、契約書などに署名捺印するとき社名と印鑑の名前が違うと混乱が生じるため、社名変更のときに改印するのが一般的です。
法人印を新しくするときは、銀行印・角印(会社用の認印)の変更も行いましょう。
納期に時間がかからずコストを抑えて印鑑を作成できるのでオンラインショップがおすすめです。
社名変更に伴い名刺や社員証、他にも社名入りの封筒や伝票など書類の刷新も必要です。
社名変更をきっかけに、オンライン名刺の活用、郵送物の削減と見直し、ビジネス書類のペーパーレス化への移行をお勧めします。
法務局に社名変更のための登記手続きをするときには、社名以外にも定款記載事項で変更がないかを確認します。
登録免許税は、1件につき3万円です。登録免許税1件とは、1回の手続きに3万円という考え方です。
つまり、「社名変更」だけでも3万円、「社名変更」と「事業目的変更」の2つを変更しても同じ日に手続きを行えば3万円の登録料になります。
社名変更を行う時は、社名以外にも定款の内容変更が必要ないかを確認しましょう。
社名変更の手続きについてまとめました。
社名変更の手続きは、株主総会での承認と法務局への手続きから始めます。
手順と費用を確認しておけば、スムーズに手続きが行えます。
また、手順が分かればわざわざ専門家に依頼する必要はありません。
2週間以内に社名変更の手続きが完了できるように、記事参考に行いましょう。
画像出典元:O-DAN