法人登記は会社が法人として認められるために必要な法的手続きです。
本記事では法人登記とは何かをわかりやすく解説するとともに、手続きをスムーズに進めていくポイントや揃えておくべき書類など会社設立のための最低限の知識を紹介します。
このページの目次
法人登記とは、会社設立の手続きのうちの一つです。
会社設立ではいろいろな手続きを行う必要があるのですが、法人登記では会社名・会社の住所などの会社の基礎事項を法務局という役所に届け出ます。
法人登記した内容は一般に公開されます。会社の概要が法務局に登録され、また公表されることによって会社の信用が保たれる仕組みになっているのです。
たとえば会社が口座を開設しようとした場合には、銀行から登記事項証明書という書類を求められます。これはきちんと法人登記をした会社だけが、法務局で発行できるものです。
このことからも分かるように、法人登記は会社設立においてマストの手順だといえます。
法人登記は会社設立に必要な手順ですが、法人登記の前にいくつかやるべきことがあります。
会社には種類があります。
具体的に、今日本で設立できるのは
の4種類です。
ここでは理由を省きますが、現在会社を設立するならば株式会社か合同会社の2択というのが実情です。
また株式会社か合同会社の選び方ですが、自分が以下のどちらに当てはまるかを考えて決めることをおすすめします。
株式会社:資金調達をしながら、会社を大きく成長させていきたい方
合同会社:費用をおさえて、とりあえず会社設立したい方
たとえば、
Aさん
個人事業主として活動していて、事業が大きくなってきたので法人化したい
というAさんのような場合には、合同会社がおすすめです。
なぜ株式会社と合同会社の2択なのか、株式会社と合同会社の選び方については以下の記事で詳しく解説しています。会社の形態で迷っている方は参考にしてください。
株式会社か合同会社かを決めたら、次は会社設立の準備として以下のことを行う必要があります。
1:発起人決定
2:商号決定
3:印鑑作成
4:資本金額の決定
5:所在地を決める
簡単にいえば、会社名や所在地などの会社の基本事項を決定するということです。これさえ理解していれば、ひとまず問題ありません。
それぞれ具体的に何をするかは以下の記事で解説しているので、実際に設立手続きを行う際には参考にしてください。
会社の基本事項が決まれば、定款(ていかん)を作成します。
この定款とは、会社の規則・ルールのことです。
「絶対的記載事項」と呼ばれる、必ず定款に記載する必要がある会社の基本事項をきちんと定めるとともに、取締役会の運営方法などそれぞれの会社にあったルール記載します。
参考までに、定款の絶対的記載事項とは、具体的には以下の項目を指します。
定款は会社の設立に必須で、株式会社でも合同会社でも作成が必要です。
ただ株式会社の場合、定款認証という手続きが必要となりますが、合同会社では定款認証が不要という手続き上の違いがあります。
定款については、以下の記事も参考にしてください。
定款の作成、そして株式会社の場合は定款認証も終えた後におこなうのが資本金の払込みです。
資本金払込とは、資本金を発起人名義の銀行口座に振り込むことです。
これは簡単にいうと、会社設立のために用意したお金があるのかを役所が確認をとるための手続きです。
発起人・資本金といった言葉がよく分からない方もいるかもしれませんが、これらの言葉は会社設立にあたっては避けては通れない用語です。まだしっかりと理解できていない方は、以下の記事を一度読むことをおすすめします。
資本金払込のやり方については以下の記事で詳しく解説しています。
ここまでの準備が整ってようやく法人登記に進めます。
法人登記を申請した日が、会社の正式な設立日となります。次は法人登記の具体的なやり方をみていきましょう。
先ほども説明したように、法人登記とは会社の基礎事項を法務局という役所に届け出る手続きです。
法人登記の手続きは難しいと思われることが多いのですが、結局は単純な話で必要書類をそろえて提出するだけです。
司法書士や会社代行会社に依頼することも可能なのですが、その場合でもだいたいどのような書類が必要なのかくらいは知っておいたほうがスムーズです。
法人登記に必要な書類は以下の通りです。なお書類のフォーマットは法務局のホームページにアップロードされています。
「登記申請書」は法務局の申請様式を使い作成します。先にご紹介した法務局のホームページの書式を入手しましょう。
登記申請書に明記すべき内容は次のとおりで、もれなく記載が済んだら代表者印を押印して完成です。
法人登記を申請する際、登録免許税という税金を法務局に支払う必要があります。
金額は1件につき15万円だと思っておけば大丈夫です。実際には、出資金額×0.7%が15万円を超えた場合はその額になるのですが、会社設立時においては15万円である場合がほとんどです。
支払い方法は2パターンあり、
かを選ぶことができます。
収入印紙はそのまま、現金払いの場合はその領収書をA4サイズの用紙に貼り付けた状態で提出します。
事前に公証役場で認証を受け控えとして返却されたものの中から1部を提出書類として使用します。
資本金払込みをしたことの証明が払込証明書です。資本金払込みの際に作成をします。
就任承諾書は各取締役がその就任を承諾する旨を記載した書類です。日付・氏名・住所の記載・押印が必要となり、場合によっては印鑑登録証明書や本人を証明できる書類の添付も求められます。
また、書類に押印するための印鑑も「取締役会を設置するか否か」でその種類が変わってくるなど注意すべき点がいくつかあります。
取締役会を設置する場合
・代表取締役
∟ 実印を押印し、印鑑登録証明書を添付
・その他取締役
∟ 認印を押印し、本人確認書類を添付
取締役会を設置しない場合
・取締役全員
∟ 実印を押印し、印鑑登録証明書を添付
監査役を設置する場合にも取締役と同等の記載内容で作成した就任承諾書を提出する必要があり、この場合の印鑑は認印を押印し、本人と確認できる住民票記載事項証明書や運転免許証等のコピーなどを添付します。
会社の代表印を法務局に届け出ることで、その印鑑が会社の実印として使用できるようになります。法人登記に必要な印鑑届書の様式は法務局の申請様式からダウンロードし、書類を作成しましょう。
法人登記の申請にあたって記載して欲しい内容を法務局に知らせる方法は、登録申請書に記載する方法のほかにも2パターンあります。
ひとつは記載内容を明記した用紙を別途添付する方法、もうひとつはCD-Rなどの記録媒体に必要事項を落とし込んで提出する方法です。
最も簡単な方法は登記申請書への記載かと思われますが、より確実で漏れのない方法を選択するのがベストだと言えます。
全ての書類が揃ったところで安心したいところですが、実はこの後にもう一つ申請をスムーズにするために守るべきルールがあります。
それは手元に揃った書類は定められた順番でまとめ、提出するということです。
まずは必要書類としてピックアップしたものの中から「印鑑届書」と「記載事項を別途記載した用紙やCD-R」などを外し、別添えで提出できるようにしておきます。残った書類は次の順番に重ねていきましょう。
1. 登記申請書
2. 登録免許税分の収入印紙または領収証書を貼り付けたA4用紙
3. 公証役場の認証を受けた定款
4. 資本金の払込証明書および通帳のコピー
5. 代表取締役・取締役の就任承諾書 及び 印鑑証明書などの添付書類
6. 監査役の就任承諾書 及び 本人確認書類
すべての書類を重ねたら左側を2か所ホチキス止めして、提出書類一式の完成となります。
以上は法人登記に関する書類を本店の所在地を管轄する法務局に直接持ち込んで申請する方法で、必要な書類がすべて揃いそれぞれに不備がなければ通常は申請から1週間~10日ほどで法人登記が完了することになります。
このほかにも、郵送による申請や法務局が開設している登記・供託オンライン申請システムを利用したオンライン申請も可能となっています。
法人登記が終わっても、会社設立完了ではありません。
1. 税務署への届け出
2. 各地方自治体への開業届
3. 社会保険への加入
4. 法人用口座の作成
5. 法人用クレジットカードの作成
上記のような手続きを行う必要があります。
なお、4と5については必ずしも行う必要はないのですが、今後の会社経営のことを考えて設立直後に済ませておくとよいです。
ここまで記事を読まれて、「書類や手続きの処理はやっぱり大変そうだ...」と感じる方もいると思います。
たしかにこれらの手続きを全て自力で行おうとすると手間も時間も労力もかかり、非常に大変です。
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フォームに必要事項を記入するだけで、必要書類が作成できるので効率的に準備をすすめることができます。
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貴重なリソースである時間を浪費しないためにもこういったサービスを積極的に使っていきましょう!
本社所在地が変わったり、事業の目的が変わったり、あるいは取締役などの役員に関して変更があった場合など、会社・法人の登記変更は様々な場面で必要となります。
特にスタートアップ企業の場合には本店所在地や目的、資本金の額、あるいは役員に関する事項は変更する可能性が大いにあるので注意が必要です。
煩雑な作業のため、司法書士に外注することもできますが、オンライン登記書類作成サービスを使えば安く簡単に登記変更することができます。
例えば「GVA 法人登記」のようなサービスであれば最短7分程で書類を作成することも可能です。
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初めて会社を設立するにあたってはさまざまな事務的続きが必要となりますが、その中でも法人登記は会社として認められるために欠かすことのできない手続きです。
まず最初は会社の形態を決めるところから。以下の記事を参考に、株式会社にするか合同会社にするかを決めましょう。
画像出典元:Burst, O-dan