採用のミスマッチはなぜ起こる?原因やリスク、対処法を紹介

採用のミスマッチはなぜ起こる?原因やリスク、対処法を紹介

記事更新日: 2024/12/17

執筆: 川崎かおり

採用ミスマッチは、企業にとって大きな損失です。

採用後に「想定していたスキルがない」「職場環境に馴染めない」といった問題が生じ、早期離職や業務効率の低下につながるケースも少なくありません。

一体なぜ、ミスマッチは起こってしまうのでしょうか?

本記事では、採用ミスマッチが起こる原因やリスクを分析し、具体的な対処法について解説します。

採用ミスマッチの現状

採用した人材が職場や業務に適応できず、早期離職やパフォーマンス不足につながる「採用ミスマッチ」が多くの企業で問題となっています。

ここでは、採用ミスマッチの現状とその発生状況、企業に与える影響について詳しく解説します。

ミスマッチが発生する割合

厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)」によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は以下の通りであると分かります。

  • 新規高卒就職者39.5%
  • 新規大卒就職者32.8%


つまり、高卒者の約4人に1人、大卒者の約3人に1人が、3年以内に何らかの理由で会社を辞めているということです。

また、離職の原因については、平成29年に「独立行政法人労働政策研究・研修機構」が21~33歳までの人を対象に行った「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成(若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)」を見てみましょう。

こちらによると、新卒3年以内に離職した人の離職理由として、以下のようなものが上げられていました。

  • 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため(男性:34.0%・女性:33.2%)
  • 人間関係がよくなかったため(男性:27.5%・女性:29.7%)
  • 自分がやりたい仕事とは異なる内容だったため(男性:29.9%・女性:23.4%)


こうした理由を見ると、職場で感じたミスマッチが原因で離職を選ぶ人が少なくないと分かります。

採用のミスマッチが与える損失

人材採用のミスマッチは、企業に大きな損失を与えます。

企業は多額のコストをかけて社員を雇い入れています。

しかし、社員が離職してしまえば、採用のためにかけたコストや手間は全て水の泡です。

例えば新卒者を採用する際には、以下のようなコストが掛かっています。

  • 求人広告の出稿費用
  • 会社説明会などの会場費
  • 資料等の印刷費
  • 採用担当の人件費
  • 交通費など


株式会社エン・ジャパン」は、社員1人が3ヵ月で離職してしまった場合の具体的な損失額を以下のように試算しています。

採用経費/人 62.5万円
在席費用/人 112.5万円
研修費用/人 12.5万円
合計費用/人 187.5万円


社員1人の離職につき、企業が被る損失は約187.5万円です。

これを知れば、採用のミスマッチによって企業がいかに大きなダメージを受けるかよく分かります。

新卒の早期離職率も増加している

厚生労働省の調査によると、令和3年に卒業した新規学卒就職者のうち、高卒者の就職後3年以内の離職率は38.4%に達し、前年より1.4ポイント上昇しました。

また、大学卒者でも離職率は34.9%と、前年より2.6ポイント上昇しています。

このような早期離職の増加には、「職場環境や仕事内容への期待値とのギャップ」「企業文化との不一致」「キャリアの方向性の迷い」など、さまざまな要因が絡んでいると考えられます。

特に、新卒採用では応募者の職務経験がない分、企業側が適性や価値観を見極めきれないことが多く、ミスマッチが発生しやすい傾向があります。

採用のミスマッチが発生する原因

採用された人が入社後に不平・不満を抱くのは、多くの場合「思っていた仕事と違う」「聞いていた話と違う」などと感じた時です。

こうしたミスマッチは、企業側と求職者側の意思疎通が適切に行われていない場合に頻出します。

「両者の意思疎通が適切に行われていない」とは、具体的にはどのような状況なのでしょうか。採用のミスマッチが発生する原因を詳しく見ていきましょう。

1. 企業・仕事の良い面ばかりを強調して伝えてしまう

企業は、求職者に伝える情報を自社の思惑で取捨選択することがあります。

「高いスキルを持った人に来てほしい」「なるべくたくさんの母数を集めたい」…、こうした希望から、労働環境や仕事の良い面ばかりを強調したりネガティブな面にあえて触れなかったりするのです。

しかし、必要な情報を伝えないままに人を雇い入れても、入社すれば企業の実体は明らかになってしまいます。

採用された人は入社後にギャップを感じやすく、企業に対し不満や不平を抱くようになるでしょう。

2. 履歴書の経歴や成果ばかりに注目して採用してしまう

履歴書の経歴や成果、スキルを重視しすぎる企業も、採用のミスマッチに悩まされがちです。

新しく人を雇い入れる時は、その人の仕事への意欲や取組み方、仕事上の価値観なども確認しておく必要があります。

これを怠った場合、採用してはみたものの「自分からは動けない人だった」「人とチームを組んで働けない人だった」などのトラブルが発生するかもしれません。

新しい人を採用する際は、スキルや経歴ばかりではなく「自社の社風や働き方に合うかどうか」「コミュニケーション能力はどうか」といった性格・性質的な面も見極める必要があります。

3.採用したい人物像が定まっていない

採用したい人物像が具体化されていないと、選考の際に重要なポイントが見落とされ、「期待していた能力が発揮されない」「企業文化や価値観に馴染まない」といった問題が発生しやすくなります。

特に、企業の採用担当者や現場のニーズが一致していない場合、必要なスキルや経験、人物像など、選考基準があいまいになりがちです。

その結果、現場と採用担当者との間に認識のずれが生じ、入社後のミスマッチにつながるケースが多く見られます。

例えば、「プログラミングスキルが高い人」という漠然とした基準だけで採用を進めると、個人のプログラミングスキルを重視しすぎてしまい、チームでの連携が難しい人材を採用してしまうことがあります。

4.候補者の適性を見極められていない

面接や書類選考では、応募者を限られた情報だけで判断するため、実際の職務遂行能力やポテンシャルを正しく把握するのは難しいとされています。

適性を見極めるための仕組みが整っていないと、面接官ごとの評価基準にばらつきが出たり、応募者の一部のスキルを過剰に評価してしまうことがあります。

また、面接では応募者が企業に好印象を与えようと振る舞うため、本来の性格や適性を見抜けないことも少なくありません。

適性を見誤ると、入社後に「期待した成果が出ない」「業務への適応が遅れる」といった問題が発生し、チームや企業全体にも悪影響を及ぼします。

 

5. 入社後のフォローがない

「仕事が思うように進まない」「職場の雰囲気にうまくなじめない」という不安は、入社後多くの人が感じることです。

しかし、これらの不安の多くは企業が適切にフォローすれば乗り越えられます

ところが企業に適切なフォロー体制がない場合、新入社員は一人で不安と戦うしかありません。

いつまでたっても不安が解消されず、ついには離職につながるケースもあるでしょう。

採用のミスマッチによって企業に生じるリスク

採用のミスマッチが起こると、企業にとってはさまざまなリスクがあります。

中には企業のイメージや今いる社員にまで悪影響を及ぼす恐れがあるものもあり、軽く考えてはいけません。

採用のミスマッチによって起こり得るリスクについて紹介します。

1. 早期離職が多くなる

採用のミスマッチによって生じるリスクとして最も大きいのが、早期離職のリスクです。

入社した人の不満や不安を解消せずに放置しておくと、すぐに退職願を出されるかもしれません。

入社早々離職されれば、前述の通り多額のコストがムダになる上、企業イメージも下がってしまう恐れがあります。

就職活動をしている人の多くは、3年以内の離職率が30%を越える企業を「ブラック企業」として認識するのだとか。

もしも「あの企業は、人が定着しないブラック企業だ」と噂が立てば、今後求人を出しても人が集まりにくくなります。

2. 採用者が戦力にならない

採用のミスマッチが発生すると、採用者が期待する戦力として機能しないリスクが高まります。

特に、採用担当者が現場の業務内容や必要なスキルを正しく把握せずに採用を進めた場合、採用者が業務に適応できず、成果を出せない状況に陥る可能性があります。

例えば、即戦力として採用した社員が実際には基本的なスキルが不足していたり、業務プロセスへの理解が不足していたりするケースです。

また、技術職や専門職では、特定の分野の知識や経験が欠けていると、周囲のフォローが必要になり、社員の負担が増加することもあります。

結果として、業務効率が低下し、プロジェクトの進行が遅れるなど、企業全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。

3. 周囲の社員のモチベーションも下がる

採用のミスマッチによって早期離職する人が出てくれば、周囲の社員もモチベーションが下がります

親身になって教えた新人が数ヵ月でやめてしまえば、徒労感が湧いてくるものです。ムダな時間を費やしたことで、やる気を失う人も出てくるでしょう。

また新人に同調して、会社に不満や不安を抱く社員が出てくることもあります。

身近な人が離職すると、自身の今後やこれからのキャリアについて考える人は少なくありません。もしかすると、「離職の連鎖」が起こる可能性もあるのです。

【採用時】採用のミスマッチを防ぐための対策

企業と求職者の意識や認識を近付けられれば、ミスマッチを防ぐことは可能です。採用のミスマッチを防ぐ上で取り組みたい、さまざまな対策を紹介します。

1. 入社後の現実をリアルに伝える

入社した人に「思っていたのと違った」と思わせないためには、実際の働き方や労働条件、環境について適切に伝えることが必要です。

好ましくない印象を与える事案があったとしても、それが事実ならばありのままに伝えましょう。

まず「給与・福利厚生・休日」などは、基本中の基本です。この部分を曖昧にする企業は、求人票を見た時点で避けられる恐れがあります。

誤解が生じるような書き方は控え、正しい情報を伝えましょう。

また、入社後のイメージをよりリアルに近付けるためには、業務内容を詳細に記すことはもちろん、社風や職場の雰囲気、企業理念なども詳細に盛り込んでおきたいところです。

また、「繁忙期は残業が多い」「○○から△△までやってもらうことになる」など、覚悟が必要なことについても明記しておくのがベターです。

2. 適性検査を導入する

スキルや資格は目に見えるものですが、その人の性格や性質を把握するのは容易ではありません。

そこで、ひとつの目安としておすすめなのが適性検査の導入です。全ての求職者に受けてもらうことで、その人のパーソナリティを把握しやすくなります。

「コミュニケーション能力の高い人」「堅実に業務をこなす人」…、テストの結果から、雇い入れたい人材をみつけられるかもしれません。

また、社内にロールモデルとなる優秀な社員がいるのなら、その人にも適性検査を受けてもらいましょう。その結果と似た傾向の人を選べば、入社後の働きに期待が持てます

3. 面接者の意識を合わせる

人を雇い入れる時は、1次、2次、と複数の面接者が対応するケースが多いのではないでしょうか。

この時面接者の意識がそろっていないと、自社にとって本当に必要な人材を雇えません

例えば、現場は「仕事を教える余裕がない」「即戦力がほしい」、トップが「未経験者可」「将来の幹部候補になりそうな人を」などと考えていたのでは、方向性がバラバラです。

ミスマッチがないよう上から現場までが意識をそろえ、「このような人がほしい」というはっきりとした像を描くことが大切です。

4. 明確な採用基準を作る

採用に関する工程には複数の人が関わります。

明確な採用基準を作らないままに進めると、採用工程が属人化してしまうかもしれません。

個々の印象や感覚で採用が進められてしまい、期待される人材の確保が難しくなります。

新しい人を雇い入れると決めたら、次のポイントを明確にし、全員で共有しておきましょう。

  • 採用目的:新しく人を入れることで実現したいこと
  • 採用要件:仕事を任せる上で欠かせない経験・知識・資格・スキル
  • 評価項目・評価方法:「質問内容集」や「評価チェックシート」など


明確な採用基準があれば、最後まで「雇い入れたい人材」のイメージがブレません。自社にとって本当に必要な人を雇い入れやすく、ミスマッチが起こりにくくなります

5. 仮採用期間を設ける

新規採用であれ中途採用であれ、仮採用期間は採用のミスマッチを防ぐ上で有益です。

企業や業務の実態をいくら丁寧に伝えても、体験に叶うものはありません。

新しく入った人に実際の業務をこなしてもらうことで、職場の雰囲気や業務の難易度をリアルに伝えられます。

この時採用した人が給与面・待遇面で割に合わないと感じたり、企業側がスキル不足を感じたりした場合は、本採用の前に話し合う必要があります。

ただし、どんなに努力してもミスマッチを解消できないこともあるかもしれません。

この場合、その人は仮採用のみで終了することとなるでしょう。

ミスマッチを抱えたままで雇用関係を継続するよりは、そこで終わりとした方が双方にとって良い結果となるはずです。

6. 採用活動の振り返りを行う

採用活動は、1回採用したら終わりというわけではありません。次回の採用活動に備えて、採用までの全工程を振り返り、検証を行いましょう

具体的には次の記録を残し、効果検証します。

  • 選考プロセスの動員推移
  • 選考プロセスの予約率、合格率
  • 内定承諾率、辞退率
  • 応募動機の傾向
  • 面接時の質問内容の傾向
  • 面接内容
  • 面接者のスキル
  • 面接合格者・不合格者の傾向など


採用活動を適切に振り返ることで、採用における課題が明確になります。次回の採用活動では、ミスマッチがより起こりにくくなるはずです。

7. リファレンスチェックを行う

リファレンスチェックとは、書類選考や面接だけでは分からない、求職者の経歴や実績に関する情報を取得するためのサービスです。

求職者の元上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者にヒアリングするので、経験や能力、職場での人柄など、採用担当者や企業から見えづらい情報が手軽に集まります

自社と求職者(候補者)のミスマッチを避け、離職防止・従業員の定着にもつながる情報収集が、リファレンスチェックです。

【入社後】 採用のミスマッチを防ぐための対策

採用のミスマッチを完全になくすことは難しいですが、入社後のフォローを適切に行い、ミスマッチを最小限に抑えることが可能です。

ここでは、入社後に行うべき3つの対策について解説します。

  • メンター制度の導入
  • オリエンテーションや研修の実施
  • 定期的な面談の実施

 1.メンター制度の導入

メンター制度は、新入社員の早期離職を防ぐうえで効果的な手法です。

上司とは異なる立場の先輩社員をメンターとして任命し、日常業務のサポートや相談役を担わせることで、心理的な安心感を与えることができます。

また、メンター自身も後輩の成長を支援する中で、コミュニケーション能力や指導スキルを高めることができるため、組織全体のエンゲージメント向上にもつながります。

2.オリエンテーションや研修の実施

オリエンテーションや研修を充実させることで、新入社員が早期に職場に適応できるよう支援しましょう。

例えば、企業理念や業務フローを伝えるオリエンテーションを実施すると、入社直後の戸惑いを軽減し、スムーズなスタートを切ることができます。

また、業務に必要なスキルを段階的に学べる研修プログラムを整え、実践的な知識を早期に身に付け、即戦力としての活躍を促しましょう。

特に、将来的なキャリアパスや成長の可能性を示すと、社員のモチベーションを高める効果も期待できます。

3.定期的な面談の実施

1on1ミーティングなどの定期的な面談を実施し、採用者の現状や課題を把握することも重要です。

入社してから数ヶ月は特に環境に慣れるのが難しい時期とされるため、早期に課題を発見し、サポートを行うことがポイントです。

例えば、業務の進め方や職場環境への不満を聞き出すだけでなく、キャリアプランや成長目標についても話し合うことで、社員の意欲を引き出すことができます。

また、定期的な面談を通じて信頼関係が築かれ、職場への愛着が深まるため、離職率の低下にもつながります。

まとめ

採用のミスマッチは、企業と求職者のイメージや認識のギャップから発生します。

求人をかける時は、給与や福利厚生はもちろん、厳しいことや大変なこともきちんと伝えるようにしましょう。

求職者に入社後のリアルな姿をイメージしてもらうことが、ミスマッチ防止につながります。

また、ミスマッチを防ぐには適切な採用工程を踏むことも大切です。明確な採用基準を設けることはもちろん、適性検査や採用管理システムの導入なども検討してみてください。

採用のミスマッチが少なくなれば、長く企業に貢献してくれる良い人材を獲得できるでしょう。


画像出典元:Pixabay、Pexels、Unsplash

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