上司と部下が1対1で行う1on1ミーティング。
ヤフー株式会社が取り入れている事でも有名ですが、詳しい進め方やどんな目的や効果があるのかはご存じない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、1on1ミーティングを行う際、テーマはどのように決めるのか、抑えておくべきポイントは何か、1on1ミーティングを行うメリットは何かを解説しています。
この機会に理解を深めておいて損はありませんよ。
このページの目次
アドバイスと称して上司が一方的に話を進めていては成功しないのが、1on1(ワン オン ワン)ミーティング。
行き過ぎた指導があると、パワハラやセクハラと言われかねません。重要なポイントは、部下を育成するということを忘れないことです。詳しく見ていきましょう。
もし、部下一人一人が自分で考え行動し、行動から出た結果に対して真摯に向き合い、次に繋げることが出来たなら、上司としてこれほど嬉しいことはないでしょう。
そういった部下にするためには、部下一人一人と対話する時間を持ち、対話を通じて育成することが大切です。部下育成には下記の3つのポイントがあります。
1on1ミーティング(以下1on1)で、定期的に対話することによって部下がなにを考えているのか、どのような人なのかを理解しましょう。後手になりがちな精神面でのカバーもできるでしょう。
「こんな不毛なことで悩んでいたのか?」と思わず、受け止め、共感し、ではどうしたいのかを共に考えることで理解を深めます。
1on1で対話を通じて信頼関係を築きあげ、繋がりを強化します。上司としては「部下の人となりを知り、理解する」ことができます。
部下としては「経験やアドバイスを元に共に考えてくれる」上司との繋がりを得ることができます。お互いに顔を突き合わせることで信頼関係が生まれ、回数を重ねることでその関係性は強くなります。
強制せず、指示せず、話を振り続けることで、部下の意見を聞き出すことができます。
その中で良いアイディアや主体性を引き出すことができるでしょう。また、こちら側から解を与えるのではなく、部下が自ら解を出せるように導くことを心掛けましょう。
まずは上司から部下に1on1を実施することを伝えましょう。全体会議で伝達できているのであれば、個々に日程を調整し、順次1on1の準備を進めてもらいましょう。
上司自身も、1on1の実施目的を再確認します。もし上司として1on1の研修を受けたのであれば、その資料をもう一度見直すとより良いでしょう。
これは評価面談ではありませんので、話す内容を部下が決めます。話す内容はなんでもいいということを予め部下に伝えておくと部下も決めやすくなるでしょう。
1on1ミーティング用定型シートを活用するともっと取り組みやすくなります。毎回同じシートで継続的に記入してもらうことで、前回、前々回と比べることも可能です。
1年を通じて、またはプロジェクト期間を通じて積み重ねると、一人一人の成長は一目瞭然となりますね。
会社独自で定型シートを作成する企業は多くあります。
紙媒体で記入するよりも、エクセルやワードなどの汎用性の高いファイルで送付する、あるいは共有フォルダに格納するとより活用しやすくなるでしょう。
1on1のミーティングシステムを導入している場合は、記入するシートや雛形が付属している可能性が高いので確認してみてください。
事前に報告を受けていた内容に沿って、部下中心で1on1を進めていきましょう。しかし、ただただ悩みを聞くだけの雑談場にならないように注意が必要です。
毎回の1on1の最後には、部下が次に行動できる具体的な案や策がでている状態が好ましいです。
逆を言えば、「で、一体何をどうすればいいの?」と思う状態で終わらせないことです。
例えば、「取引先様と世間話ができない」という悩みに対して「とりあえず話しかけてみれば?」というような漠然とした内容を提示することはあまり効果的ではありません。
「頑張ればなんとかなるよ」といった精神論も同様にNGですね。
一般的に、PDCAサイクルに落とし込むと達成しやすくなります。
1on1の終盤では、「A」つまり「ACT(行動)」を意識して部下の意見を引き出しましょう。しかし、全てのテーマにおいて、最終的にACTに繋げるのは容易ではありません。上司の力量が問われるところです。
どうすればいいのか、と相談を受けた場合でも、「どんな方法が思い浮かぶ?」と相手の意見を引き出してあげましょう。
どれぐらい相手について情報があるのか、自分のことは話したことがあるのか、など、部下が持つ引き出しを開けてみましょう。
解決の糸口になるようなものがあるかもしれません。さらに、上司である自分が持つ情報も提示できるものは提示し、助け舟を出してあげましょう。
次の日程を決めることで、1on1の最後で出した「ACT(行動)」をより意識することになります。次の1on1ではACTできたかどうか問われるわけですから、必然的に自分から動くようになるのです。
1on1がやむを得ずキャンセルになった場合も、必ず日程を再調整しましょう。うやむやにして1on1が行われなくなってしまうと、1on1の目的は果たされませんので要注意です。
「テーマ」とは1on1において話す内容の中心的な議題のことです。人によって、会社によってはテーマや協議内容のことをアジェンダと言うことがあります。
サマリーやレジュメという言葉で表されることもあります。ここでは、最も一般的な「テーマ」という言葉を使用し、その決め方を説明します。
部下の人となりを理解し、悩み・目標・主体性を引き出すための1on1です。
今後のキャリアのこと、仕事のこと、家族のこと、プライベートなこと、時事、テーマはなんでも問題ありません。例えば以下のような例が挙げられます。
どのテーマも、部下を知る上でとても重要なヒントになるでしょう。しかし、ミーティング時間は短いです。好きな映画の雑談だけで終わることのないように注意する必要があります。
「会社のことや時事問題についてなら話すことができる」といった人は多いものです。それゆえ、テーマ例で挙げた1や2は問題ないでしょう。
4に関しても、若い世代の時事問題への関心や意見について興味深く耳を傾けることができるでしょう。
最も難しいと感じられるのは、テーマ例の3ではないでしょうか。後輩や部下との世間話が苦手だという話はよく耳にします。しかし、上司である貴方が身構えていては、部下も緊張してしまいます。
事前に提出されたテーマについて少し考えや質問、ある程度の着地点などを想定しておくとスムーズにいくでしょう。
例えば映画や漫画の話であれば、どの登場人物に共感するか、なりたいか、嫌いか、などの質問をすれば、その人物に似ている同僚はいるか、とオフィス内の人間関係の話に繋げることができるでしょう。
チームをどのように盛り上げていけばいいかといったチームビルディングの話がしたい時に有効です。
また、なりたい登場人物と自分の違いや足りないもの、部下当人が勝っているものを自分で見出すように導くと、セルフコントロールについての話になります。
どのようにすれば理想に一歩近づくのか、ビジネスモデルやロールモデルを設定、これからのキャリアの話をしたい時に役立つでしょう。
遠いように見えるテーマも身近な問題に落とし込むことができます。雑談で終わってしまわないよう、時には話を導くことで1on1を有意義なものにしていきましょう。
みなさんも一度は会社を辞めたいと思ったことはありませんか?同期や上司との繋がりが薄く、職場で孤立していると、簡単に辞職という道に進んでしまいます。
引き留めるものがなにもないのですから、仕方のないことです。
しかし、もし「同期みんなで乗り越えよう」という横の絆や、「あの人の元でもう少し粘ろう」という縦の繋がりがあれば、辞職を思いとどまる人も増えるのはないでしょうか。
横に加えて、縦の信頼関係が構築されると、離職率低下が期待されます。
タバコやアルコールを通じての繋がりが激減した今、部下と上司の縦の繋がりはとても希薄です。
1on1を通じて互いにコミュニケーションがとれれば「最近の若者はすぐ辞めてしまう」という嘆きが少なくなるかもしれませんね。
最終的な目標が決まっていても、さてまず何をすればいいのだろう、という状態では個人の力は伸びません。
中・長期的な目標、短期的な目標、直近の目標、いろいろな目標の立て方がありますが、今の自分の状態から、一歩踏み出すその直近の目標まで掘り下げることで、確実に第一歩を踏み出せるようになります。
定期的にミーティングを行うことにより、「前回はこうでしたね」という話から入ることもできます。記録を積み重ね、目標に対してどの程度進んでいるのか進捗を見ることもできるでしょう。
ひと昔前は、大勢入社し、大勢辞めていくという時代でした。しかし、現在、限られた人材と限られた予算で、企業をマネジメントしていく時代に移り変わってきました。
少数精鋭体制を実現するためにも、社員を戦力として育成していきたいものです。一人一人が主体的に行動できるようになれば、グループの力、さらには組織力の向上に繋がるでしょう。
1on1は以前からあるミーティング方式とは言え、導入する際は上司として進め方をしっかり把握しておく必要があります。心得ておかなければならないことは以下の3点です。
「上司のやり方(技術)は見て盗め」と考える人も一定数いるでしょうが、1on1においては対話を重視してください。しかも、2対8の割合で部下が話す対話です。前述した通り、上司は傾聴の姿勢を忘れてはいけません。
間違ってもこれは評価面談ではありませんので、評価を一方的に下すようなことはしないように注意してください。
ひと昔前は圧迫面接などというものもありましたが、今ではただのパワハラです。部下を育成するということを忘れずに取り組みましょう。
「これをやれ、あれをやれ」という指示型の会話にならないように注意しましょう。善かれと思って、アドバイスしたくなるものでしょうが、ここはぐっと我慢です。
と部下に話を振ることが大切です。
部下一人一人と1on1を定期的に行っていくと、上司である貴方のの時間のほとんどは1on1に割かれることになるでしょう。
しかし、自分の仕事時間がないではないか!と嘆くのではなく、部下の育成という大切な仕事に時間を割いたのだと考えましょう。10年経った時に、自発的に動いてくれる部下が増えているはずです。
米シリコンバレーではじまった1on1ミーティングは、部下育成の優れた方法として日本に伝わってきました。
最先端を走る大企業が導入し始めているということは貴方の会社で導入される日も決して遠くはありません。
1on1が導入される時が来たなら、「ついに来たか」と万全の体制で取り組みたいですね。
画像出典元:PIxabay