リファレンスチェックという言葉を聞いたことはありますか?
リファレンスチェックは、中途採用を行う企業が採用を検討する際、応募者に対して前職における勤務状況や実績、仕事ぶりなどの調査を行うことです。
聞いたことはあるけど意味はわからないという方や、転職希望先がリファレンスチェックを実施する企業という方は特に必見です!
今回は、リファレンスチェックのメリットや具体的な質問内容、さらにはリファレンス先の選び方や注意点まで、リファレンチェックについて詳しく解説していきます。
このページの目次
リファレンスチェックは「Reference check(信用照会・身元照会)」を意味する言葉で、中途採用を行う企業が採用を検討する際、その応募者に対して前職における勤務状況や実績、仕事ぶりなどの調査を行うことをいいます。
リファレンスチェックは、おもに履歴書や職務経歴書などレジュメに記載してある内容や面接時に話した内容に虚偽がないかを確認する目的で実施されます。また、スキルや経験のギャップを減らしたり、人柄を確認する目的などでも実施されることがあります。
つまり、リファレンスチェックの結果次第では不採用となってしまう可能性も十分あり得る。そういうことなのです。
ちなみにリファレンスチェックは外資系企業でよく実施されていますので、これから外資系企業に転職を考えている方は特に覚えておくと良いでしょう。
もちろん外資系企業以外でもリファレンスチェックを導入している企業は多々あります。
では、リファレンスチェックを実施することによって、どのようなメリットが得られるのか。メリットをそれぞれ企業側・求職者側の立場から見ていきましょう。
企業側におけるリファレンスチェックのメリットとしては下記の内容が挙げられます。
もちろん経歴や職歴を偽る行為自体、あってはならないことですが、履歴書や面接だけで判断するのは極めて困難です。
リファレンスチェックは、第三者によって申告内容に嘘偽りがないかが確認できるため、未然に経歴・職歴詐称を防ぐことができます。
履歴書や職務経歴書、面接だけでは、得られるものに限りがあります。
リファレンスチェックは多方面から求職者の情報を確認することができるので、入社後のミスマッチを軽減することができます。
リファレンスチェックを実施することで求職者に関する情報も多く得られるため、選考しやすくなります。
選考材料が多いとその分選考におけるフローもスムーズになり、業務効率化が図れます。
リファレンスチェックは、求職者の性格や価値観、長所や短所など、人間性についてもある程度詳しく把握することができます。
人間性がある程度把握できれば今後のスキル向上にも大きく役立てることができ、早期退職を防止することにも繋がります。
前職で自分がどのような働きぶりだったかを調査されることから、どうしてもネガティブなイメージを持ちやすいですが、求職者側にとってもリファレンスチェックはメリットがあります。
リファレンスチェックチェックは候補者のネガティブな部分だけを調査するものではなく、候補者の強みや弱みなど、良い素質もしっかりと分かってもらえます。
したがって、入社した後の配置や業務配分など適材適所な適切な人材登用が可能となり、より働きやすい環境が期待できます。
緊張から、面接だとうまく自己アピールすることができない…という人も少なくありません。
リファレンスチェックは第三者を通じて実績や働きぶりなどの裏付けになるため、特に自己アピールが苦手な人にとっては大きなメリットとなります。
リファレンスチェックには、「求職者自身がリファレンス先を紹介する」「企業もしくは調査会社がリファレンス先を探す」この2パターンがあります。
では、2パターンの特徴をそれぞれ見ていきましょう。
求職者がリファレンス先を紹介する場合、基本的に2人以上の推薦者を選出することになります。なお、推薦者を選出する際、誰でも良いというわけではありません。
しっかりと仕事内容がわかる同僚や友人、働きぶりなどの評価する立場にいた上司などが適任です。
企業の人事担当者が、前職また前々職の採用担当者に問い合わせを行うパターンや調査会社を利用してリファレンス先を探すパターンがあります。
これに関して、求職者は何もする必要はありません。
リファレンスチェックはどのような流れで進められ、さらにどういった内容の質問がされるのか。特に質問内容に関しては気になるところでしょう。
それでは、リファレンスチェックの流れと質問内容について見ていきましょう。
まずはリファレンスチェックを実施する際の主な流れとしては、一般的に下記の5つのステップで進んでいきます。
リファレンスチェックを実施する際、応募者に対してリファレンスチェックを実施する旨を説明し、応募者の承諾を得る必要があります。
なお、承諾してもらう事項としては下記のとおりです。
推薦者の探し方は「応募者からの紹介」「企業で探す」の2パターンですが、企業で探す場合は無駄な手間がかかるので、応募者から紹介してもらう方法が一般的です。
リファレンスチェックの担当者が決定したら、実施する日取りを打ち合わせしていきます。
推薦者と打ち合わせをする際は、必ず質問内容などの事前準備はしっかりと行いましょう。相手方も仕事中での対応となります。できる限り無駄を省いてください。
日程が決定したら実際にリファレンスチェックを実施します。
リファレンスチェックは事前に用意した質問内容に沿って進めていきますが、それ以外のことで気になることがあれば、気になる内容について深堀するのも良いでしょう。
実施したリファレンスチェックの内容をすべて書面などレポートとしてまとめます。
これでリファレンスチェック実施の一連の流れは完了です。なお、レポートは採用に関係する人と共有し採用の判断材料となるため、分かりやすくまとめましょう。
実際「どんなこと聞かれるのか?」「どんな質問をしたらいいのか?」リファレンスチェックの質問内容に関しては非常に気になるところ。
なお、リファレンスチェックの質問内容として一般的に多いのは「勤務関連」「人柄」「スキル」この3点です。
勤務関連では、主に書類や面接の内容に関して虚偽等がないかを確認するためです。
書類や面接だけでは求職者の人柄は分かりません。コミュニケーション能力や性格などを把握し、社風にマッチするかを確認します。
求職者のスキルを事前に確認し、採用後のミスマッチを防ぐようにするためです。
リファレンスチェックを実施したあと、内定取り消しといった事態は起こり得るのか?これについて心配されている方も少なくないでしょう。
結論からいうと、リファレンスチェック後の内定取り消しは基本的にできません。そもそも内定というのは、企業が求職者に内定通知書を出した時点で労働契約が成立しています。つまり、内定取り消しは「解雇」にあたるということ。
よって、正当な理由がない限り、内定取り消しはできません。
ただし、リファレンスチェック後に以下の事項が発覚した場合、内定取り消しが認められる可能性があります。
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こうした致命的な問題がリファレンスチェック後に発覚した場合は、内定取り消しもあり得ると言えるでしょう。
リファレンスチェックは、外資系企業をはじめ、多くの企業で実施されています。そのため、転職する際はリファレンスチェックの実施が求められることもあるでしょう。
しかし、今の職場にいながら就職活動を行っている場合などではリファレンスチェックを実施して欲しくない場合もあります。果たしてリファレンスチェックは拒否することができるのでしょうか?
こちらも結論からいうと、リファレンスチェックを拒否することは可能です。
ただし、リファレンスチェックの拒否は企業側に与える印象もマイナスに転じる可能性が高くなるため、極力同意するようにした方が良いです。
それでも拒否したい場合は、その拒否したい理由を正直に伝えることが重要です。
たとえば、「在職中で就職活動を行っており、現職場とのコンタクトは控えてほしい」「リファレンス先として適任者が見当たらない」などです。
いずれにせよ、後ろめたい理由でリファレンスチェックを拒否しているのではない。ということが伝われば、企業側もそれ相応の措置をとってもらえるはずです。
ちなみに、リファレンスチェックを実施している企業は「外資系企業」「日系企業」が主ですので、それ以外のリファレンスチェックを実施してない企業を狙うのもリファレンスチェックを回避するひとつの方法ではあります。
次にリファレンスチェックを実施するうえで注意すべきポイントを紹介します。企業側・求職者側、それぞれ紹介していきますので、よく確認しておくようにしてください。
まずは企業側の視点から見たリファレンスチェックのポイントを紹介します。
リファレンスチェックを実施する際は、必ず求職者の承諾を得らなければなりません。
求職者の承諾を得ないまま実施すると、個人情報保護法に抵触する可能性があるので注意が必要です。
求職者の個人情報の取扱いには細心の注意を払う必要があります。
特に「要配慮個人情報」に関しては注意が必要で、下記の内容は要配慮個人情報の観点から求職者の不利益になり得る項目のため、質問することは原則として禁止されていますので注意してください。
リファレンスチェックは求職者によって拒否されることもあります。拒否する主な理由としては、現職場に黙って就職活動を行っているケースです。
企業としては、やむを得ない理由で拒否された時の対応策を、あらかじめ検討しておくべきです。
リファレンスチェックは内定を決定する前、もしくは最終面接の段階で実施するのが基本です。
前述のとおり、内定の取り消しは余程の事情がない限り原則としてできません。そのため、リファレンスチェックの結果を見てから内定を出す。こうしたタイミングがもっとも良いでしょう。
続いて、リファレンスチェックを受ける求職者側のポイントを紹介します。
リファレンスチェックは合否に関わる非常に重要なものであるため、推薦者は良い面も悪い面も、自分のことをよく理解していて信頼のできる人物が適任でしょう。
なお、依頼する人物としては直属の上司が一般的ですが、上司が難しい場合は先輩や同僚でも大丈夫です。多少ポジティブなことを言ってもらえそうな人が好ましいです。
自分のために忙しい時間を割いてリファレンスチェックに協力してもらうわけですから、丁重にお願いするとともに、目的や流れなど正確に説明することも重要です。
事前準備をおろそかにすると正確な情報を伝えることができなくなるので、やるべきことを確実に行うよう心掛けてください。
前述のとおり、リファレンスチェックは拒否することが可能です。ただし、リファレンスチェックの拒否は選考に対してマイナスになり得る可能性があります。
拒否する場合は、きちんと理由が述べられるよう、しっかりと準備しておくべきです。
リファレンスチェックは、中途採用において書類選考や面接では把握しきれない求職者の情報を調査するために実施されるものです。
また、リファレンスチェックは採用後のミスマッチなどトラブルの防止や即戦力として早い段階で活躍してもらうためなどに役立てられます。
ただ、個人情報保護法や解雇権濫用法理など法律に抵触する恐れもあるため、リファレンスチェックを実施する際は注意点をよく知ったうえで実施するようにしてください。
なお、リファレンスチェックを実施している職種は、現在「外資系企業」「日系企業」が中心です。そのため、こうした企業に転職を考えている場合は、リファレンスチェックが実施されると考えておいたほうが良いでしょう。
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