勤怠管理システムは自作可能?|作り方と有料サービスとの違いを解説

勤怠管理システムは自作可能?|作り方と有料サービスとの違いを解説

記事更新日: 2024/05/17

執筆: 浜田みか

勤怠管理システムは、これまで有料サービスを使うことのほうが一般的でした。

しかし、働き方改革や新型コロナウイルスの影響で、働き方が急速に変化。それに伴って、勤怠管理システムの変更を検討する企業も出てきています。

また、もともと勤怠管理システムを導入せずに手書きのタイムカードなどで対応していた企業も、テレワークやリモートワークへの切り替えから勤怠管理システムを導入せざるをえない状況になっているところもあります。

今回は、勤怠管理システムを自作しようかと迷っている方向けに、そもそも勤怠管理システムは自作可能なのかという点から、自作する際の作り方、自作と有料サービスのそれぞれの持つメリットについて解説します。

 

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勤怠管理システムは自作可能?

これまでは、有料で提供されている勤怠管理システムを利用していた企業も多いのではないでしょうか? 

ところが、昨今の働き方改革や新型コロナウイルスの影響で、もっと柔軟性のある勤怠管理システムに変更できないかと、自作を検討する企業も増えてきているようです。

そこで、ここでは勤怠管理システムは本当に自作できるのかについて解説します。

勤怠管理システムは自作可能

結論から言えば、勤怠管理システムは自作可能です。作り方にはいろいろな方法があり、作り方によってはプログラミングスキルを要するものもあります。

プログラミングのような専門的な知識がなくても、Microsoft Excelでシステムを作ることも可能です。

自作する場合には、次の点をシステム設計に含む必要があります。

  • 勤怠管理システムに組み込みたい機能
  • 勤怠管理システムの作成手段
  • どんな他システムと連携させるのか

 

勤怠管理システムに必要な機能

勤怠管理システムを自作する場合、このシステムでどんなことをしたいのか、どんな機能を組み込むのかをまず検討せねばなりません。

その内容によって、作り方やシステムの管理方法が変わってくるからです。

ここでは、勤怠管理システムに最低限必要な機能について挙げています。

機能1.打刻

出退勤がいつ行われたのか、休憩時間の開始・終了はいつなのか、これらを管理するためには、それぞれの時間を残さねばなりません。また、残業がある場合は、残業の開始時間・終了時間も必要でしょう。

打刻するタイミングを、いつにするのか。たとえば、タイムカードによる管理を行っているところでは、次のことを検討せねばなりません。

  • タイムカードの打刻に合わせて、どのようにシステムと連動させるのか
  • タイムカードを撤廃して別システムに置き換える場合、どのようにシステムに連動させるのか


また、テレワークやリモートワークのように職場への出勤がない従業員に対しては、インターネット経由で打刻できるシステム設計が必要です。

よくある失敗としては、従業員に任意で打刻させるシステムにしていたために、打刻忘れやサービス残業が検知できないといったものです。

いろいろなパターンを想定したうえで、打刻漏れが起きにくいシステムを設計する必要があります。

機能2.修正・承認

打刻間違いや打刻忘れなどが起こることがあります。たとえば、次のようなケースです。

  • 出勤で打刻するつもりが、誤って退勤で打刻してしまった。
  • 退勤したのに、打刻し忘れた。
  • 残業をしたのに、残業分の打刻を忘れて退勤してしまった。


こうしたケースでは、従業員の上司に当たる人物が修正を行うのが一般的なワークフローではないでしょうか。

従業員が直接修正を行うのは問題になりかねないため、勤怠管理システムでも上司あるいは上長に修正の権限を付与する必要があります。

このほか、残業申請や有給休暇の取得申請も従業員の勤怠に影響しますので、勤怠管理システムとの紐付けが必要です。

機能3.締め処理

たいていの企業では、勤務状況を1ヵ月単位で締め処理を行っています。最終日の最後の打刻が終わったら、自動的に締め処理を実行できるシステムにしておくと、効率的に作業を進められます。

締め処理で必要になる機能は、集計、エラーチェックです。この2点については、次の項目以降で解説しています。

機能4.エラーチェック

一日の勤務状況や締め処理において、打刻された日づけや就労した時間に誤りがないかをチェックする機能は用意しておいたほうが業務効率が上がります。

このエラーチェック機能がない場合、一つ一つを処理担当者がチェックせねばならず、作業負荷が高まる要因になります。

また、エラーチェック機能では、チェックした内容の合否について通知する機能も付けておきましょう。チェックしても通知がなければ、見過ごしてしまう原因になります。

機能5.参照・集計

勤務状況を必要に応じて参照できる機能や、勤怠の集計機能も付けましょう。打刻機能のみ搭載しても、勤怠管理システムとして不十分です。

締め日ごとに、少なくとも以下の項目が参照・集計されるように機能を搭載しておきましょう。

  • 一日当たりの定時労働時間
  • 一日当たりの残業時間
  • 1ヵ月分の総労働時間
  • 1ヵ月分の残業の合計時間
  • 休日出勤の総労働時間
  • 欠勤日数
  • 有給取得日数


給与管理や人事システムにも連携するのであれば、これらの項目は最低限必要です。

そのほか、会社独自の制度がある場合は、それにも対応できるように項目を洗い出してから搭載するようにしましょう。

機能6.データ出力

給与管理や人事システムなど別のシステムと連携をさせて関連業務の効率化を図る場合には、勤怠管理システムで収集したデータを出力できるようにしておきます。

出力するデータ形式は、連携したい他システムで読み込めるデータ形式に揃えておきましょう

自作する場合、多くのケースではCSV形式が活用されています。

機能7.その他

そのほかに搭載したほうがいい機能には、次のものがあります。

  • 給与管理や人事管理などの他システムに自動連携できる機能
  • 管理権限の範囲を設定できる機能


一つ目の機能は、勤怠管理システムで出力したデータを他のシステムに連携する手作業での処理を省くためです。

手作業で他システムにデータを取り込むようにすると、誤った処理を行う要因になります。自動でデータを取り込めるように機能を搭載しておけば、ヒューマンエラーによる誤処理を防げます

二つ目の管理権限については、従業員が病気やケガなどで長期間打刻できない場合に上司や上長が従業員に代わって処理を行えるようにするためです。

このほかにも、従業員の権限を打刻のみ、あるいは当日の修正処理のみに範囲を限定するなどすれば、勤怠管理の正当性を確保できるからです。

勤怠管理システムの作り方

勤怠管理システムを自作する場合、上記で挙げた機能を実装しますが、どのように作っていくのか計画を立てることが大切です。

1.データ構造を考える

勤怠管理システムを作る際、まず考えなければならないのがデータ構造です。

収集した勤怠データをどのように保存・保管するのか。形式はもちろんのこと、項目をどの順番で配置するかも重要です。

これによって他システムと連携する際の円滑さ、さらには勤怠データ参照時におけるデータの読み込み速度や処理時間が変わることがあるからです。

2.システム構造を考える

勤務体系には、外出、出張、社外常駐、早朝勤務など複数のパターンがあります。

自社の勤務体系に複数のパターンが存在するケースでは、全てのパターンに対応できるようにしなければなりません。

勤務体系のパターンが多いほど処理が複雑になりやすいため、勤怠管理システムそのものの構造に漏れや抜けが出ないように、しっかりと検討するようにしましょう。

3.連携する他システムとの境界を決める

給与管理や人事管理といった他システムと連携する場合は、他システムと項目が重複しないように、勤怠管理システムでどこまで対応するのか境界を明確にするようにしましょう。

勤怠管理システムを自作する際は、関連する他システムで提供している項目を予め洗い出しておきましょう。

4.就労環境に合わせたインターフェイスを考える

リモートワークやテレワークなど、従来の就労環境から働き方が変わっているところでは、就労環境に合わせたインターフェイスの導入が必須です。

タイムカードのように打刻機が会社に設置されている状況では、打刻するためだけに出社することになるからです。

また、テレワークやリモートワークでは残業の把握が難しくなるのが予想されます。どのように残業時間を取り扱うのかについても、事前に検討しておきましょう。

5.メンテナンスを考慮してシステムを設計する

残業や有休などに関して、法律の改正で取り扱い方が変わることがあります。今はリモートワークやテレワークを導入していない会社でも、今後導入する可能性はあるでしょう。

その場合、構築したシステムに手を加えることになります。このとき、システムの設計図がないと、システムを更新した際に不具合が発生するリスクが高くなります。

必ず、システムがどのように働くのか、処理の流れがわかるように設計図を作ってからシステムを構築していくようにしましょう。

また、システムを構築する際、どのようにシステムを設計するのかによってプログラミングの技術を要することがあります。

データベースをモニター上に表示させたり、データを抽出したり、あるいは項目を分類したデータにアクセスしたりするときに、どのように処理させるのか動作をシステムに指示するためです。

このときに使われるのが、プログラミング言語の「Java」や「PHP」、「Python」です。

Webアプリケーションとして作成する場合には、「HTML」「CSS」「JavaScript」などのプログラミング言語が使われるのが一般的です。

システムを設計する場合、これらのプログラミング言語に精通している人がいるかいないかも含めて考慮する必要があるでしょう。

自作と有料、それぞれのメリット

勤怠管理システムには、有料で提供されているものもあります。自作のシステムと有料のシステム、それぞれのメリットを見ていきましょう。

勤怠管理システムを自作するメリット

自作のメリットは、なんといっても柔軟性の高さです。自社の勤務体系や制度に適応したシステムを構築しやすいからです。

今後複雑化するであろう働き方に応じて、自在に対応していける点もメリットとして挙げられます。

有料の勤怠管理システムを利用するメリット

有料サービスの勤怠管理システムを利用するメリットには、次の4つが挙げられます。

  • データの正確性
  • 法改正への迅速な対応
  • 複数の勤務体系パターンに対応
  • 保守管理コストの軽減


勤怠データは、正確性が重要です。データをもとにして給与計算や人事評価が行われるためです。

法改正があっても提供元の事業者がすぐにシステムを最新状態に更新してくれるため、自社で更新作業を行う必要がないのも魅力です。

たいていの有料サービスでは、複数の勤務体系にも対応しています。よほど特殊な場合を除いては問題なく利用することが可能です。

最後に、保守管理における人員の確保とコスト面においても、有料サービスのほうが優れています。

自作すると、システムの内容に精通した人を確保したうえで、法改正や働き方に合わせてシステムの変更を行わなければなりません。

万が一、データの破損やシステムの不具合があった場合に、人員を投入する必要があります。

有料サービスであれば、自社で人員を確保する必要がなく、月々の利用料だけで対応してもらえます

人件費の面で見ても、売上に直結しない人員を確保せずに済むため、コスト軽減にも繋がるのです。

編集部厳選!おすすめの勤怠管理システム5選

勤怠管理システムを使用する場合、自社の勤務体系や制度に合うものを選ぶのがポイントです。ここでは、おすすめのサービスを挙げています。

これから勤怠管理システムを刷新、あるいは新規導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1. 月200円から導入可能!『ジョブカン勤怠管理』


画像出典元:「ジョブカン勤怠管理」公式HP

特徴

最大の魅力は200円/月で導入できる安さ。30人程度のベンチャーから1,000人以上の企業まで、全ての規模で利用可能です。主要な給与計算ソフトと連携できる便利なシステムです。

打刻方法

打刻方法は、PC/タブレット打刻・モバイルGPS打刻・ICカード打刻・指静脈打刻・LINE/SLACK打刻の5種類。

生体認証打刻が搭載されているので、不正打刻に悩んでいる企業におすすめです。

 

運用のしやすさ

マニュアルがかなり充実しているので、初めて勤怠管理システムを導入する企業でも問題ないでしょう。

UI マニュアル整備 問い合わせ窓口
HPに動画説明あり 電話(平日のみ)・メール・チャット

 

料金プラン

10人以下の企業でも月額費用2,000円が発生するので、注意しましょう。

10人以下の企業向けに無料プランが用意されていますが、機能がだいぶ制限されます。(無料お試しとは別物)

初期費用 月額費用/ユーザー 最低利用料金 無料お試し期間
0円 200円~ 2,000円 30日間


 

2. 追加料金なしで全機能利用できる!『jinjer勤怠』


画像出典元:「jinjer勤怠」公式HP

特徴

jinjer勤怠は、全機能が最初から搭載されているため、追加費用が発生しません。予算がたてやすいことは、大きな魅力です。

打刻方法

打刻方法は、PC/タブレット打刻・モバイルGPS打刻・ICカード打刻・Slack/Chatwork打刻の4種類。

Apple Watch・Google homeでも打刻できます。

運用のしやすさ

サポート体制が充実しています。

UI マニュアル整備 問い合わせ窓口
HPに動画説明あり 電話(平日のみ)・メール・チャット

 

料金プラン

人事管理・給与計算・経費精算・労務管理・雇用契約と組み合わせる場合は、追加費用が発生します。

初期費用 月額費用/ユーザー 最低利用料金 無料お試し期間
300,000円 400円〜 設定なし 30日間

 

 

 

3. 勤怠管理クラウド市場シェアNo.1『KING OF TIME』


画像出典元:「KING OF TIME」公式HP

特徴

KING OF TIMEは多くの外部サービスと連携可能。入退室管理システムと連携できる勤怠管理システムは少ないので、かなり貴重です。

打刻方法

PC/タブレット打刻・モバイルGPS打刻・ICカード打刻・指静脈打刻・指紋打刻・指ハイブリッド認証打刻・顔認証・カメレオンコード認証・入退室管理システム連動打刻などの16種類。

運用のしやすさ

オンラインセミナーを実施しているシステムは、ほとんどありません。KING OF TIMEの強みの1つです。

UI マニュアル整備 問い合わせ窓口
HPに動画説明あり
オンラインセミナー週2回開催
電話(平日のみ)・メール

 

料金プラン

登録した人数ではなく、その月に打刻利用があった人のみが課金対象となります。

初期費用 月額費用/ユーザー 最低利用料金 無料お試し期間
0円 300円〜 設定なし 30日間

 

 

 

4. スタッフ30人までは0円『スマレジ・タイムカード』

画像出典元:「スマレジ ・タイムカード」公式HP
 

特徴

スマレジ・タイムカードは、従業員30人まではタイムカードでの勤怠管理を無料で利用可能。

有料プランなら、勤怠管理の他に給与・賞与計算、日報管理・プロジェクト管理も利用できます。

ウェブ上で従業員の休暇管理を行えるため、管理コストを削減できます。申請後は管理画面やメールで通知されるため、承認や確認漏れの心配もありません。

60日間の無料お試しが用意されています。

打刻方法

PC/タブレット打刻・モバイルGPS打刻、アプリ打刻(打刻はiOS端末のみ)での打刻方法になります。

運用のしやすさ

動画説明がわかりやすいと評判です。

UI マニュアル整備 問い合わせ窓口
HPに画像付き説明あり メール・チャット・ヘルプサイト

 

料金プラン

初期費用 月額費用/ユーザー 最低利用料金 無料お試し期間
0円 0円(30名まで)〜 0円は30名まで 60日間

※31名以上は、月額 1,100円(税込)〜の費用が発生します。

 

5. 1ID月額110円で使えるクラウド型勤怠管理『勤怠Reco』

画像出典元:「勤怠Reco」操作画面
 
 

特徴

「勤怠Reco」はSBIグループが提供する低コストのクラウド勤怠管理システムです。自社で勤怠管理サーバを立ち上げた場合と比べても、他のクラウド勤怠管理システムと比べても、ひとり月額110円換算で導入できる点は費用対効果が高いです。難しい機能は詰め込まずに、基本的な操作で誰でも利用できる点に注視しており、全業種で利用できる勤怠管理システムです。

打刻方法

打刻方法は、PC/タブレット打刻・モバイル打刻の2種類。主要システムと比べると少ないです

 

注目機能

申請機能 アラート機能 シフト機能
要問合せ

 

運用のしやすさ

UI マニュアル整備 問い合わせ窓口
要問合せ 要問合せ

 

料金プラン

導入サポートを受ける場合には、別途費用が必要です。

初期費用 月額費用/ユーザー 無料お試し期間
0円 110円 (10ID単位でのお申し込み) 要問合せ

 

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まとめ

勤怠管理システムを自作することは可能ですが、今後の働き方の複雑化を考慮すると、有料サービスを利用するのが賢明です。

しかし、事業規模が小さい、有料サービスでは対応しきれないほど勤務体系が特殊、シンプルな構造の勤怠管理システムで十分といったケースでは、自作のほうがおすすめです。

まずは、有料サービスと比較検討してみて、自社に合った勤怠管理システムがどちらかを判断しましょう。


画像出典元:Unsplash、Pexels、Pixabay

 

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