これでコモディティ化も怖くない!原因や問題点・脱却方法を徹底解説

これでコモディティ化も怖くない!原因や問題点・脱却方法を徹底解説

記事更新日: 2020/12/10

執筆: 編集部

「コモディティ」や「コモディティ化」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。

コモディティには「一般化」という意味があるため、市場のコモディティ化というと市場が一般化するという意味にもなります。

言葉だけ聞くと、企業にとって、市場のコモディティ化は良い意味に捉えられそうですが、実際はそうではありません。

市場がコモディティ化すると価格競争が起こり、利益が低下するなど、企業には大きなダメージがあるのです。

今回は、コモディティ化について、原因と問題点、その回避方法などについて、詳しく解説していきます。

コモディティとは?

コモディティ(Commodity)とは、「日用品」や「必需品」などを指す言葉で、ビジネス用語としては「一般化」という意味でも使われています。

投資用語としては、商品取引所で取引されている商品または商品先物取引のことを意味します。

商品先物市場で取引されているエネルギー(原油・ガソリンなど)、貴金属(プラチナ・金など)、穀物(大豆・トウモロコシなど)、非鉄金属(アルミ・銅など)はコモディティ商品と呼ばれ、このような商品に投資することをコモディティ投資といいます。

コモディティ化とは?

コモディティ化とは、市場投入時には価値が高かった商品について、多数の類似商品が市場に出回ることで商品間の差がなくなってしまい、市場価値が低下して一般的な商品になることをいいます。

商品が販売され始めた頃は、機能や品質、ブランド力など高い付加価値を持っていたのに、競合他社が同様の機能や品質の商品を提供してくると、だんだんとその付加価値が薄れて他社の商品と同質化してしまい、他社との差別化が図れない状態になることを指すのです。

コモディティ化はあらゆる業界において発生していて、その状態から抜け出すために、企業では戦略の検討が重要な課題となってきているのです。

コモディティ化する原因

コモディティ化は、どのような原因によって起こってしまうのでしょうか。ここで、その原因について説明していきます。

競合商品の続出による供給過多

コモディティ化の原因の多くは、元々市場に出回っていた商品と同等の機能や品質を持つ競合商品が市場に続出し、その商品の需要に対して供給が多くなり過ぎてしまうことです。

そうなると、企業は売り上げを確保するために、他社よりも安い価格で商品を販売してしまいます。安易に価格を落とすことだけを行うと、急速にコモディティ化が進むことになります。

この背景として、インターネットなどを介して、各社の商品に関する情報が簡単に手に入るようになったことが挙げられます。

競合他社の情報を入手して、容易に商品などの模倣ができるようになり、早々に市場への参入が可能になったからなのです。

商品のモジュール化

モジュール化とは、規格やルールに沿って標準化された部品などを使い、商品の開発をすることをいいます。

商品のモジュール化は、メーカーにとって容易に開発できるというメリットがあります。しかし、他社も同じく標準化された部品を使うため、似たような商品ができることになります。

そのような理由から、商品をモジュール化するとコモディティ化を発生させる可能性が高くなるのです。

海外から低価格商品が流入

海外では、低コストで商品を作ることが可能です。そのため、日本国内のメーカーよりも安い価格で商品を販売することができるのです。

顧客にすると、価格が安くても、国内商品と同質のものと判断すれば、低価格の海外商品を選ぶ可能性が高くなります。

そのような状況になると、商品の価格を海外商品に合わせる必要が出てきます。その結果、コモディティ化が進むことになるのです。

コモディティ化により発生する問題

コモディティ化が進むと、企業にはさまざまな問題が発生することになります。具体的にはどのようなことが起こるのでしょうか。

企業同士の競争の激化

市場のコモディティ化が進むと、各企業が提供する商品は同じようなものになってしまいます。各企業の商品に大きな違いがなければ、買う側の顧客は価格で選ぶようになるのです。

そうなると、自社商品を選んでもらうために、企業は価格競争に走ることになります。お互いに少しでも売り上げを確保しようとすれば、競争の激化が予想されます。

商品の低価格化

各企業の価格競争が激化すれば、商品の低価格化が予想されます。顧客とすれば、商品が安く手に入ることは大きなメリットです。

さらに商品の低価格化が進めば、購買層が広がり、多くの人々が商品を購入するようになります。

市場が拡大すれば、多くの顧客を獲得することができるようになりますが、価格競争が進むのであれば、そのまま価格を下げ続けるしかなくなります

企業利益の縮小

コモディティ化により、企業間の価格競争が激化して商品の低価格化が進むと、企業の利益確保が難しくなってしまいます。しかし、企業経営を続けるためには、一定の利益を確保しておかなければなりません

資本力がある大企業であればまだしも、中小規模の企業であれば利益率が低下すると厳しい状況になってしまいます。

営業が難しくなる

コモディティ化していない市場であれば、各企業の商品はそれぞれ差別化されているため、自社のオリジナリティを前面に出して営業することができます。

しかし、コモディティ化が発生している市場だと、商品の価値はほぼ変わらないため、自社商品を提案することはなかなか厳しい状況になります。

コモディティ化を回避するには?

コモディティ化が発生すると、新たな戦略を導入しないことには、参入企業がみな共倒れになってしまいます。

コモディティ化を回避するためには、どのような戦略を立てるべきなのでしょうか。

商品に新たな付加価値を加える

コモディティ化を回避するためには、商品に新たな付加価値を加えるのが最良の方法です。その付加価値は、他の企業が模倣できないようなものにする必要があります。

コモディティ化からの脱却のため、さまざまな企業において、商品の付加価値を高めることに力を入れています。

流通を絞り込んで、希少性を高めることでブランド価値を上げる、商品の歴史や物語といった切り口からオリジナリティを出す、商品購入後のアフターサービスの質を上げるなど、他社にはできないような付加価値を加えれば、他社との差別化につながることでしょう。

営業アプローチで差別化を図る

営業でのアプローチ方法によっても、他社との差別化を図ることができます。

顧客自身が気づかない潜在的な問題や課題を見つけて、それに合わせた解決ができるような商品を提示できれば、他社に大きく差をつけることが可能です。

そのようなアプローチを行うには、入念に準備することが大切です。従来通りのマーケティング手法や顧客へのヒアリングだけでは、差別化することが難しくなります。

顧客の側に立った提案とアプローチ方法が重要となります。

薄利多売への切り替えも

コモディティ化が進んだことで、自社商品の価値も価格も低下した場合、より多くの商品を売ることで利益を上げる「薄利多売」の方針に切り替えするのも、コモディティ化を回避する方法の一つです。

コモディティ化の発生によって、自社の方針を薄利多売に切り替えて成功した企業の一つに、百円均一ショップの先駆けである「ダイソー」があります。

ダイソーの大きな特徴は、豊富な品揃えと圧倒的な価格の安さです。ダイソーは、市場のコモディティ化を機に、商品の品質面で差別化を図るより、低価格で品揃えを強化したのです。

商品のラインナップを見ると、こんな商品まで100円で買えるのかと驚くものも多いです。

突出した機能がついた商品は少ないものの、すべての商品を低価格で提供することによって、薄利多売でも利益を上げているのです。

まとめ

市場のコモディティ化は、顧客の立場では良い商品が安く手に入るという大きなメリットがありますが、企業の立場からすると経営にかかわる非常に大きな問題です。

しかし、コモディティ化からの脱却のため、他社との差別化として価格を下げるだけという戦略しか立てられないのであれば、資本力のない企業は存続が危うくなる可能性があります

コモディティ化の原因や問題点を理解できれば、自社の経営方針に見合う戦略や対策も立てやすくなります。

今回の記事を参考にして、自社商品の新たな付加価値を見出し、営業アプローチも熟考するなどして、コモディティ化した市場の商品の差別化を行い、市場競争を勝ち抜いてください

画像出典元:Pixabay

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